早産・低出生体重で生まれた子の発達フォロー|運動面で見ておくこと
早産・低出生体重で生まれた子の発達フォロー|運動面で見ておくこと
「小さく生まれたから、発達が遅れるのでは」「寝返りや歩き出しが遅い気がする」——早産・低出生体重で生まれたお子さんの発達は、修正月齢・姿勢・筋緊張・左右差・運動の流れを合わせて見ることが大切です。不安を煽らず、家庭で見ておきたいポイントを整理します。

こんな場面で、心配になります。
予定日より早く、小さく生まれた赤ちゃん。NICUを退院できたことは本当に嬉しい。一方で、母子手帳や育児アプリの月齢目安を見るたびに、「うちの子は遅れているのかな」と不安になる。
首すわり、寝返り、座る、はいはい、歩く——発達の節目を見るとき、早産・低出生体重で生まれたお子さんは、暦の月齢だけで比べないことが大切です。
早産・低出生体重で生まれたお子さんの発達には、個人差があります。小さく生まれたからといって、必ず運動発達が大きく遅れるわけではありません。多くのお子さんは、成長とともに少しずつ追いついていきます。
ただし、在胎週数が短い、出生体重が小さい、呼吸管理や脳室内出血、脳室周囲白質軟化症、長期入院などの経過がある場合は、運動発達を丁寧に見ていくことが大切です。発達フォローの目的は、できない部分を探して不安になることではありません。その子が今どこまで育っていて、次にどんな経験が必要かを見つけることです。
早産・低出生体重とは。
一般に、妊娠37週未満で生まれた赤ちゃんを早産児、出生体重が2,500g未満の赤ちゃんを低出生体重児といいます。早産と低出生体重は重なることもありますが、意味は少し違います。早く生まれたために小さい場合もあれば、予定日に近く生まれていても、お腹の中での発育が小さめだったために低出生体重となる場合もあります。
| 区分 | 目安 | 発達フォローで見ること |
|---|---|---|
| 早産児 | 妊娠37週未満で出生 | 修正月齢で発達を見ながら、姿勢・筋緊張・左右差を確認 |
| 低出生体重児 | 出生体重2,500g未満 | 体重増加、哺乳、疲れやすさ、運動の立ち上がりを確認 |
| 極低出生体重児 | 出生体重1,500g未満 | 発達フォロー外来やリハビリで継続的に確認することが多い |
| 超低出生体重児 | 出生体重1,000g未満 | 運動・感覚・認知・ことばも含めた長期的なフォローが重要 |
大切なのは、出生体重だけで判断しないことです。在胎週数、NICUでの経過、呼吸や哺乳の状態、画像所見、退院後の体重増加、家庭での様子を合わせて、発達の流れを丁寧に見ていきます。
修正月齢で見る。
早産児の発達を見るときに重要なのが、修正月齢です。修正月齢とは、出産予定日を基準にして考えた月齢のことです。たとえば、予定日より2か月早く生まれ、実際の誕生日から4か月たっている赤ちゃんは、修正月齢ではおよそ2か月として発達を見ます。

予定日より8週間早く生まれた赤ちゃんが、誕生日から生後16週になった場合、修正月齢ではおよそ8週、つまり約2か月として発達を見ます。
早産児では、首すわりや寝返りなどの運動発達を、少なくとも乳幼児期前半は修正月齢で確認することが多くあります。極低出生体重児などでは、より長く修正月齢を考慮することもあります。
修正月齢で見ることは、「遅れていることにする」ためではありません。早く生まれた分、胎内で過ごすはずだった時間を考慮し、その子の発達をより公平に見るための考え方です。
運動面フォローが大切な理由。
早産・低出生体重で生まれたお子さんでは、筋肉や骨格だけでなく、姿勢を保つための神経の働き、感覚の受け取り方、呼吸と姿勢の安定、視線と手の使い方などが少しゆっくり育つことがあります。だからこそ、単に「寝返りができたか」「歩けたか」だけではなく、どのような姿勢で、どのように体を使っているかを見ることが大切です。

寝返りができても、いつも同じ方向だけ、体を強く反らせて回る、手を使わず頭から倒れるように動く場合は、姿勢や筋緊張の使い方に偏りがあるかもしれません。運動発達は、節目の達成だけでなく、動きの質を合わせて見ることが重要です。

— 修正月齢と運動の質を合わせて確認します
STROKE LABでは、早産・低出生体重で生まれたお子さんの姿勢、筋緊張、左右差、寝返り・座位・はいはい・歩行の流れを確認し、家庭でできる関わり方まで一緒に整理します。
0〜6か月頃に見ること。
修正月齢0〜6か月頃は、首と体幹の土台が育つ時期です。抱っこで体を丸める、視線を合わせる、手を胸の前で合わせる、うつ伏せで頭を上げるなど、後の寝返りや座位につながる準備が育っていきます。
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| 見るポイント | 育っているサイン | 注意して見たい様子 |
|---|---|---|
| 首すわり | 抱っこやうつ伏せで頭を少しずつ保てる | 修正月齢で見ても頭が大きく後ろに倒れる、反り返りが強い |
| 視線と追視 | 顔やおもちゃを見て、ゆっくり目で追う | 視線が合いにくい、片側ばかり向く、追視に左右差がある |
| 手を真ん中へ | 胸の前で両手を合わせる、手を口へ持っていく | 片手だけ強く握る、片方の手をあまり使わない |
| うつ伏せ | 短時間でも頭を上げようとする、肘で支える準備がある | 泣き続ける、呼吸が苦しそう、腕が後ろに引けてしまう |
うつ伏せ遊びは、起きている時間に、大人が見守りながら短時間から行います。最初は胸の下にタオルを入れたり、保護者の胸の上で行ったりして、赤ちゃんが安心できる姿勢から始めましょう。
左右どちらにも顔を向ける、両手を真ん中に集める、手でおもちゃに触れるなど、寝返り前の小さな経験が後の運動発達につながります。
7〜12か月頃に見ること。
修正月齢7〜12か月頃は、寝返り、座る、ずり這い、四つ這いなど、移動の準備が進む時期です。この時期は、できたかどうかだけでなく、左右をバランスよく使えているか、手で支える力が育っているか、体幹が安定しているかを見ることが大切です。

左右どちらにも寝返りしようとするか、体を反らせて勢いだけで回っていないかを見ます。片側だけしか回らない場合は、向き癖や体幹の使い方を確認します。
手で支えながら座る、前後左右に体を調整する、両手でおもちゃを触るなど、体幹の安定と手の自由さを見ます。
両手両足を使って前に進むか、片側の手足ばかり使っていないかを見ます。移動は、感覚探索と姿勢制御を育てる大切な経験です。
手で床を押す力、膝で支える力、体幹を持ち上げる力が必要です。四つ這いは、肩・体幹・骨盤の協調を育てる大切なステップです。
1歳以降に見ること。
1歳以降は、つかまり立ち、伝い歩き、独歩、走る、階段、片足立ちなど、重力に対して体を支える力がより必要になります。早産・低出生体重で生まれたお子さんでは、歩き出しの時期だけでなく、歩き方の質や疲れやすさも見ていきます。
| 運動 | 見たいポイント | 相談を考えたい様子 |
|---|---|---|
| つかまり立ち | 左右どちらの足でも立ち上がるか、足裏で支えられるか | つま先立ちが強い、片足だけ使う、膝が突っ張る |
| 伝い歩き | 左右へ体重移動できるか、手に頼りすぎていないか | 片側方向へしか進まない、足を引きずるように動く |
| 独歩 | 足裏全体で支え、左右に体重を移しながら歩けるか | つま先歩きが続く、転びやすい、左右差が目立つ |
| 遊びの中の運動 | しゃがむ、立つ、またぐ、登る、押す、引く | 極端に疲れやすい、動きを避ける、姿勢が崩れやすい |
早めに相談したいサイン。
「少し遅いかも」と感じたとき、すぐに深刻な病気を疑う必要はありません。ただし、早産・低出生体重で生まれたお子さんの場合、早めに見てもらうことで、必要な支援につながりやすくなります。次のような様子が続く場合は、健診や小児科、発達フォロー外来、リハビリ専門職への相談を考えましょう。
相談することは、診断をつけるためだけではありません。むしろ、日常の抱っこ、寝かせ方、遊び方、姿勢の支え方を早めに整えることで、赤ちゃんが動きやすい環境を作ることができます。
家庭でできる関わり。
家庭での関わりは、特別な訓練を長時間行うことではありません。赤ちゃんが安心して姿勢を保ち、左右を使い、触って、見て、動いてみる経験を、生活の中に少しずつ増やすことです。

反り返りやすい赤ちゃんは、首から背中を伸ばす力が入りやすいことがあります。頭と骨盤をやさしく支え、体が少し丸まる姿勢を作ると、落ち着きやすくなります。
ベッドの向き、おもちゃの位置、声をかける方向を変え、いつも同じ方向だけを向かないようにします。無理に頭を押さえるのではなく、興味を引く方向を調整します。
起きている時間に、大人が見守りながら行います。最初は数十秒でも十分です。苦しそうな様子があればすぐに休み、できた時間を少しずつ積み重ねます。
胸の前で両手を合わせる、両手でおもちゃを触る、手を口へ持っていくなど、体の中心を使う経験を増やします。これは寝返りや手の発達にもつながります。
早産・低出生体重で生まれたお子さんは、疲れやすさが姿勢や機嫌に影響することがあります。長く練習するより、短く、楽しく、休憩を入れながら行うことが大切です。
STROKE LABの小児リハ。
STROKE LABは、脳卒中をはじめとする神経リハビリで培った運動分析の視点をもとに、小児の姿勢・運動・発達のご相談にも対応しています。早産・低出生体重で生まれたお子さんについても、修正月齢、姿勢、筋緊張、左右差、寝返り・座位・はいはい・歩行の流れを丁寧に確認します。

あわせて読みたい:小児(脳性麻痺児/発達障害など)のリハビリ — STROKE LAB
よくある質問。
必ず遅れるわけではありません。多くのお子さんは、成長とともに少しずつ発達を追い上げていきます。ただし、在胎週数が短い、出生体重が小さい、NICUでの治療歴がある場合は、運動・姿勢・感覚・ことばなどを継続して見ていくことが大切です。
一般的には2歳頃まで修正月齢で発達を見ることが多くあります。出生体重が非常に小さい場合や在胎週数が短い場合は、医療機関によってより長く修正月齢を考慮することもあります。主治医やフォロー外来の方針に合わせて確認しましょう。
起きている時間に、大人が見守りながら短時間から行います。呼吸が苦しそう、顔色が悪い、疲れが強い、医師から制限を受けている場合は無理に行わず、主治医やリハビリ専門職に相談してください。
歩き出しの時期だけでなく、座位、四つ這い、つかまり立ち、伝い歩きの流れを見ます。つま先立ちが強い、片足だけ使う、片側へ倒れやすい、極端に疲れやすい場合は、早めに相談すると安心です。
修正月齢、在胎週数、出生体重、NICUでの経過を踏まえながら、姿勢、筋緊張、左右差、寝返り・座位・はいはい・歩行の流れを確認します。必要に応じて、ご家庭での抱っこ、寝かせ方、遊び方、環境調整も一緒に整理します。
丁寧に見ていきましょう。

早産・低出生体重で生まれたお子さんの発達は、暦の月齢だけで判断すると、必要以上に不安が大きくなることがあります。
大切なのは、修正月齢で見ながら、姿勢・筋緊張・左右差・動きの質を丁寧に確認することです。
保護者の方が感じる「少し気になる」という感覚は、とても大切です。お子さんの発達のことで不安があれば、どうぞお気軽にご相談ください。
代表取締役 金子 唯史
参考と注意書き。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療に代わるものではありません。お子さんの状態についての判断は、必ずかかりつけの小児科医、発達フォロー外来、理学療法士・作業療法士などの専門職にご相談ください。修正月齢の使用期間やフォローの頻度は、在胎週数、出生体重、合併症、医療機関の方針によって異なります。

1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024) パーキンソン病の機能促進:医学書院 (2025)