子どもの装具・姿勢、今の体に合っていますか|専門家と見直すタイミング
子どもの装具・姿勢、今の体に合っていますか|専門家と見直すタイミング
「装具を外すと赤くなる」「靴に入りにくい」「最近つま先立ちが増えた」「座ると体が傾く」。子どもの体は日々成長し、装具や座位姿勢は少しずつ合わなくなることがあります。大切なのは、足だけでなく、姿勢・歩行・生活全体から見直すことです。

こんなサインはありませんか。
装具を履くと泣く。外すと足首やくるぶしが赤い。靴がきつくなった。歩くと膝が反りやすい。座ると骨盤が後ろに倒れ、体が横に傾く。以前より転びやすい——。
こうした変化は、単なる「嫌がり」や「癖」ではなく、装具・靴・姿勢環境が今の体に合わなくなっているサインかもしれません。
子どもの体は、大人よりも速いスピードで変化します。足の長さ、足幅、筋緊張、関節の柔らかさ、活動量、歩き方、座り方。半年前に合っていた装具や座位姿勢が、今の体にも合っているとは限りません。
この記事では、装具や姿勢管理を見直すタイミング、家庭で見られるサイン、専門家が確認するポイントを整理します。特に脳性麻痺や発達に伴う運動課題があるお子さんでは、装具を「足だけの問題」としてではなく、全身の姿勢と生活動作の一部として見ることが大切です。
装具と姿勢管理は、動きやすさを助ける道具です。
装具は、足部や関節を支え、姿勢や歩行を安定させるために使われます。代表的なものに、短下肢装具(AFO)、足底装具、足部を支えるインソール、手や指のスプリントなどがあります。座位保持装置や立位台、姿勢保持用のクッションも、広い意味では姿勢を支える環境の一つです。
ただし、装具は「作ったら終わり」ではありません。装具は、成長していく子どもの体に合わせて、定期的に見直す必要があります。装具の目的は、体を固定することだけではなく、足裏で地面を感じやすくする、膝や股関節の位置を整える、立つ・歩く・手を使う活動へつなげることです。

| 種類 | 主な目的 | 見直しで見ること |
|---|---|---|
| 短下肢装具(AFO) | 足首・足部を支え、立位や歩行を安定させる | 赤み、かかとの位置、ベルト、足幅、靴との相性 |
| 足底装具・インソール | 足裏の支持、足部アライメント、荷重の偏りを調整する | 土踏まず、踵、母趾、小趾側の圧、靴の中でのズレ |
| 手指・上肢スプリント | 手首や指の位置を整え、変形予防や活動補助を行う | 皮膚、親指の位置、握り込み、活動中に使えるか |
| 座位保持・姿勢保持具 | 骨盤・体幹・頭部を支え、手や視線を使いやすくする | 骨盤の傾き、側方の倒れ、呼吸、食事、上肢活動 |
装具が合っているかどうかは、皮膚に当たらないかだけでは判断できません。立ちやすいか、歩きやすいか、座位や手の使い方が変わるか、生活の中で無理なく使えるかをあわせて見ます。
なぜ、装具や姿勢は合わなくなるのか。
一番大きな理由は成長です。足長や足幅が伸びるだけでなく、ふくらはぎや太ももの太さ、膝の位置、股関節や骨盤の動き、体幹の長さも変わります。足だけに合わせた装具でも、成長に伴って全身の使い方が変化します。
また、筋緊張や活動量も変化します。歩く距離が増えた、園や学校で座る時間が長くなった、ボトックス治療や手術後で筋緊張が変わった、体重が増えた、靴を変えた。こうした出来事のあとに、装具や姿勢の見直しが必要になることがあります。

| 変化 | 起こりやすいこと | 見直しポイント |
|---|---|---|
| 足の成長 | つま先が当たる、足幅がきつい、赤みが出る | 足長・足幅・踵の入り方・靴のサイズ |
| 筋緊張の変化 | 足が入りにくい、突っ張りが増える、歩き方が変わる | 装具角度、ベルト、足部の支持、歩行時の膝・骨盤 |
| 活動量の増加 | 疲れやすい、擦れが増える、転びやすい | 使用時間、歩行距離、皮膚、靴底の減り方 |
| 靴・環境の変更 | 装具が靴に入らない、踵が浮く、歩き方が不安定 | 靴の深さ、幅、踵の安定、滑りにくさ |
見直しが必要なサイン。
装具を外したあと、皮膚に赤みが出ること自体は珍しくありません。ただし、赤みが長く残る、痛みがある、水ぶくれや傷がある場合は、早めに専門家へ相談してください。特に、感覚が分かりにくいお子さんは、本人が痛みをうまく伝えられないことがあります。
また、皮膚だけでなく、歩き方や姿勢の変化も大切です。装具を履くと膝が反る、つま先が引っかかる、歩幅が狭くなる、座ると骨盤が倒れる、食事や手の使用がしにくくなる。こうした変化も、装具や姿勢環境の見直しにつながります。

装具は体に近い位置で支えるため、皮膚トラブルが早期のサインになります。赤みの場所を写真に残し、装具・靴・靴下を持って、義肢装具士や医療職に確認してもらいましょう。
赤みが消えない、痛がる、傷や水ぶくれがある、同じ場所が毎回赤くなる場合は注意が必要です。
つま先が引っかかる、膝が反る、足が内側に入る、歩幅が変わる、転びやすくなる場合は全身から確認します。
装具を嫌がる、履くのに時間がかかる、以前より疲れやすい、園や学校で使いにくいと言われる場合も見直しの目安です。

— 装具だけでなく、姿勢・歩行・生活場面を一緒に確認します
STROKE LABでは、装具・靴・姿勢・歩行・遊び・生活動作を総合的に確認し、今の体に合った使い方や見直しの方向性を一緒に整理します。
足部装具・靴は、セットで確認します。
足部装具は、装具単体で合っていても、靴との組み合わせで合わなくなることがあります。靴の幅が狭い、踵が浅い、ソールが硬すぎる、装具を入れると足が前に滑る。こうしたことがあると、装具本来の働きが出にくくなります。
また、靴下も大切です。しわが寄る、縫い目が当たる、短くて皮膚が守れない場合、赤みや痛みの原因になることがあります。装具を見直すときは、普段使っている靴と靴下も必ず一緒に確認します。

座位・立位姿勢も、定期的に見直します。
装具の見直しというと、足元だけをイメージしがちですが、姿勢全体の確認も重要です。足部の支えが変わると、膝、股関節、骨盤、体幹、頭部の位置も変化します。逆に、座位や体幹が崩れていることで、足部に余計な力が入ることもあります。
座位保持装置や椅子、クッション、立位台は、成長とともに高さや角度が合わなくなります。食事中にむせやすくなった、手を使いにくくなった、片側に倒れやすい、足が床につかない、座るとすぐ疲れる場合は、姿勢環境の見直しが必要です。

骨盤・体幹・足部が安定すると、頭を起こしやすくなり、見る、手を使う、食べる、話す、呼吸する活動がしやすくなることがあります。姿勢は「見た目」だけでなく、生活動作と結びつけて確認します。
| 姿勢のサイン | 考えたい背景 | 見直す内容 |
|---|---|---|
| 座ると片側へ倒れる | 骨盤支持、体幹側方支持、座面幅が合っていない | 座面、背もたれ、側方支持、クッション |
| 足が床につかない | 椅子の高さ、足台、下肢長の変化 | 足台、座面高さ、膝・股関節の角度 |
| 手を使いにくい | 体幹不安定、机の高さ、肩甲帯の過緊張 | 机の高さ、骨盤・体幹支持、上肢活動との関係 |
専門家は、何を見ているのか。
専門家は、装具の形だけでなく、装具を履く前と履いた後の動きの違いを見ます。裸足ではどう立つのか、装具では足がどう収まるのか、靴を履くと歩行がどう変わるのか。さらに、座位、立位、歩行、階段、遊び、食事など生活場面でどう使えているかを確認します。
脳性麻痺のお子さんでは、足部の変化が股関節や骨盤、体幹の姿勢に影響することがあります。股関節の状態や側弯、痛み、足部変形の進行などは医師によるフォローが必要です。理学療法士、作業療法士、義肢装具士、医師が連携して確認することが大切です。

足が正しい位置に入っているか、局所的な圧がないか、ベルトやパッドが機能しているかを確認します。
足部、膝、股関節、骨盤、体幹、頭部、腕の振りを見て、装具が全身の動きにどう影響しているかを確認します。
園や学校で使えているか、着脱に時間がかかりすぎないか、疲れや痛みがないかを確認します。
家庭でできる記録と確認。
家庭でできることは、装具を調整することではなく、変化を記録することです。どこが赤くなるのか、いつ痛がるのか、何分履くと嫌がるのか、どの靴だと歩きやすいのか。こうした情報は、専門家が原因を考えるうえでとても役立ちます。
スマートフォンで、装具を履く前・履いた後・靴を履いた後の歩き方を短く撮影しておくと、相談時に伝えやすくなります。正面、横、後ろから数秒ずつ撮るだけでも、膝や骨盤、足部の変化が分かりやすくなります。

装具を外した直後の赤みを写真で残し、何分後に消えたかを記録します。赤みが長く残る場合や傷がある場合は、使用を中止して専門家へ相談します。
歩行動画は、裸足、装具のみ、装具+靴の3パターンを短く撮ると比較しやすくなります。正面・横・後ろから撮ると、膝や骨盤の変化も確認しやすくなります。
園や学校での様子も大切です。疲れやすさ、転びやすさ、座り方、靴の脱ぎ履き、本人の嫌がり方などをメモしておくと、生活に合った調整につながります。
相談のタイミング。
装具や姿勢の見直しは、問題が大きくなってからではなく、変化に気づいた段階で相談することが大切です。特に成長期は、短期間で足や体幹のサイズが変わることがあります。靴がきつい、装具が入りにくい、赤みが出る、歩き方が変わった場合は早めに確認しましょう。
また、ボトックス治療後、整形外科手術後、装具を新しく作った直後、入園・入学・進級で活動量が変わった時期、歩行器や杖を変更した時期も、見直しのタイミングになります。
装具や姿勢の問題は、早い段階では小さな違和感として表れます。早めに見直せば、皮膚トラブル、歩行の崩れ、姿勢の偏り、痛みを防ぎやすくなります。
| タイミング | 見直したい理由 | 持参・共有するとよいもの |
|---|---|---|
| 足や身長が伸びた | 足長・足幅・体幹長が変わるため | 装具、靴、靴下、赤み写真 |
| 歩き方が変わった | 足部だけでなく膝・股関節・骨盤へ影響するため | 正面・横・後方の歩行動画 |
| 治療や手術の後 | 筋緊張や関節可動域が変わるため | 医師からの指示、装具情報、リハビリ内容 |
| 園・学校生活が変わった | 活動量、座る時間、移動距離が変わるため | 園・学校での様子、先生からのメモ |
よくある質問。
身長や足のサイズが伸びたとき、歩き方や姿勢が変わったとき、赤みや痛みが出るとき、装具や靴がきつくなったとき、転びやすさが増えたときは見直しの目安です。
軽い圧迫による赤みは一時的に見られることがあります。ただし、30分程度たっても消えない赤み、痛み、水ぶくれ、傷がある場合は装具が合っていない可能性があります。使用を中止し、専門家へ相談してください。
影響することがあります。足部が安定しないと、膝・股関節・骨盤・体幹の位置が変わり、立位や歩行、座位姿勢が崩れやすくなります。足だけでなく全身で確認することが大切です。
自己判断で装具を削る、穴を開ける、ベルトを切る、熱を加えるなどの改造は避けてください。支持性や安全性が変わり、皮膚トラブルや歩行の崩れにつながることがあります。調整は義肢装具士や医療職に依頼します。
現在使っている装具、靴、靴下、赤みや傷の写真、歩行動画、園や学校での様子のメモを持参すると状態を伝えやすくなります。裸足・装具・靴ありでの違いが分かる動画も有用です。
STROKE LABの装具・姿勢見直し支援。
STROKE LABでは、装具そのものの調整だけを目的にするのではなく、装具を使ったときに姿勢や動作がどう変わるかを評価します。足部、膝、股関節、骨盤、体幹、肩甲帯、手の使い方まで見ながら、生活に合った使い方を一緒に考えます。
必要に応じて、医師や義肢装具士への相談ポイントも整理します。赤みの位置、歩行の変化、座位保持の課題、園や学校での困りごとをまとめることで、より具体的な見直しにつながります。
[写真:STROKE LABの装具・姿勢見直し支援/男性療法士・日本人の子ども・母親]
あわせて読みたい:小児(脳性麻痺児/発達障害など)のリハビリ — STROKE LAB
成長と一緒に見直すものです。

子どもの装具や姿勢は、今の体に合っているかどうかを定期的に見直すことが大切です。赤みや痛み、歩き方の変化、座位の崩れは、小さなサインとして表れることがあります。
私たちは、装具を足だけの問題として見ず、姿勢・歩行・感覚・生活動作をつなげて評価することを大切にしています。
「この装具で合っているのか」「最近の姿勢や歩き方が気になる」と感じたときは、早めに専門家へ相談してください。お子さんが安心して動ける環境を、一緒に整えていきましょう。
代表取締役 金子 唯史
参考と注意書き。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療・装具調整に代わるものではありません。装具の作製・調整・中止・再作製については、必ず医師、義肢装具士、理学療法士、作業療法士などの専門職へご相談ください。
参考情報:NHS系小児AFO使用案内、AACPDM「Hip Surveillance in Cerebral Palsy」、小児脳性麻痺の姿勢管理・股関節サーベイランスに関する資料など。

1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024) パーキンソン病の機能促進:医学書院 (2025)