【2026年版】多発性脳梗塞の原因・診断・治療・リハビリテーションまで解説
多発性脳梗塞は、なぜ複数の障害が重なるのか。
脳の複数の部位に同時または時間差で起きる梗塞。認知・運動・言語・嚥下など複数の障害が複雑に重なるのはなぜなのか。原因・症状・リハビリのエビデンスをご家族にも分かりやすくお伝えします。
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こんなお悩みはありませんか?
「MRIで脳の複数か所に梗塞が見つかった」と告げられたとき、多くのご家族は言葉を失います。単発の梗塞と違い、複数の部位が同時に傷ついているということはどういう意味なのか——。認知機能・運動機能・言語・嚥下と、さまざまな症状が重なり合うことへの不安は、当然のことです。
この記事では、多発性脳梗塞の仕組みから最新のリハビリエビデンス、ご家族が今日からできるサポートまでを、分かりやすく解説します。どうか一人で抱え込まずに読み進めてください。
多発性脳梗塞とは。
多発性脳梗塞(Multiple Cerebral Infarctions)とは、脳内の複数の部位で血液の供給が途絶え、脳組織が損傷した状態を指します。単発の脳梗塞と異なり、全身の血管・血液・心臓の状態が複合的に関与していることが多いです。
人の脳は部位によって役割が異なります。運動を司る部位、言葉を扱う部位、記憶を管理する部位——それぞれが別の場所に存在しています。
多発性脳梗塞では、これらの異なる部位が同時または繰り返して傷つくため、症状が複数重なり合うのです。
主な症状の分類
新しいことが覚えられない・注意が続かない・計画や段取りが難しくなる。大脳皮質や皮質下領域への梗塞が原因です。
片側または両側の手足に麻痺が生じることがあります。細かい動作やバランス維持も難しくなります(SpringerLink, 2023)。
言葉の理解や発話が困難になる失語症(しつごしょう)、口や喉の筋肉の制御が難しくなる構音障害(こうおんしょうがい)、食べ物・水分が誤って気道に入る嚥下障害が現れることがあります。
触覚・痛覚・温度感覚の低下、気分の落ち込み(うつ状態)、衝動的になるなどの人格変化が現れることがあります。
皮質・皮質下の複合損傷:大脳皮質と皮質下白質の双方に梗塞が及ぶ場合、認知・運動・精神機能が複合的に障害されます。NIHSSスコアが高いほど予後不良とされています。
神経可塑性の活用:CIMT(拘束誘導運動療法)は健側上肢を拘束し患側使用を促すことで神経可塑性(しんけいかそせい)を促進します。1日6時間以上・2〜3週間の集中実施が標準です(Frontiers in Behavioral Neuroscience, 2022)。
認知リハの標準化:コンピュータ支援認知訓練・テレリハビリテーションは記憶・注意・実行機能の改善に有効。VRシステムによるリアルタイムフィードバックが活用されています(Frontiers in Neurology, 2024)。
— ご本人・ご家族の状況を丁寧にお伺いします
そのお気持ち、ぜひ私たちにお聞かせください。
STROKE LABは脳神経系に特化した自費リハビリ施設です。多発性脳梗塞による認知・運動・言語などの複合的な障害に対して、脳卒中専門のセラピストが個別プログラムをご提案します。まずは無料相談でご状況をお聞かせください。
なぜ起こるのか。
脳の血管は全身の大きな川(心臓・大動脈)から枝分かれしています。心臓で血栓(けっせん:血の塊)ができると、その破片が脳の複数の血管に流れ込みあちこちを詰まらせます。
これが多発性脳梗塞の最も多い発生パターンです。一つの血栓が砕けて複数の血管に飛ぶからこそ、複数の部位が同時に傷つくのです。
主な原因
①心原性塞栓症(しんげんせいそくせんしょう):心臓で血栓が作られ脳血管に流れ込む。心房細動(しんぼうさいどう:不規則な心拍)が最大の原因で、脳梗塞全体の約30%を占めます(American Journal of Neuroradiology)。心臓弁疾患・特発性塞栓性脳梗塞(ESUS)も含まれます。
②動脈硬化(どうみゃくこうか):血管の壁に脂肪が蓄積し血管が狭くなる状態。頸動脈(けいどうみゃく:首の血管)や脳内動脈の硬化が血流を妨げます(American Journal of Neuroradiology)。
③大動脈弓病変(だいどうみゃくきゅうびょうへん):心臓から出る大きな血管(大動脈弓)のプラーク(血管壁の脂肪の塊)が破裂して血栓が生じ、脳に流れ込みます。
④その他のリスク因子:高血圧・糖尿病・喫煙・肥満・遺伝的要因が動脈硬化や血栓形成を促進します。また、COVID-19感染後の凝固障害(血液が固まりやすくなる状態)も脳梗塞リスクを高めることが報告されており、D-ダイマー(血栓のマーカー値)の上昇が指標となります(BioMed Central, 2021)。
COVID-19は血液凝固システムに影響を与え、微小血栓(びしょうけっせん)および動脈血栓を引き起こします。感染後長期間にわたるD-ダイマー値の上昇が多発性脳梗塞の潜在的リスクとして注目されています。抗凝固療法の適応評価と凝固マーカーの定期モニタリングが推奨されます(BioMed Central, 2021)。
他の脳梗塞との違い。
脳梗塞には種類があります。多発性脳梗塞は「単発の脳梗塞」とどう違うのか、また血管性認知症(けっかんせいにんちしょう)との関係も整理しておきましょう。
| 比較項目 | 多発性脳梗塞 | 単発の脳梗塞 |
|---|---|---|
| 梗塞部位 | 脳の複数の部位(同時または時間差) | 脳の一か所 |
| 症状の特徴 | 認知・運動・言語など複数の障害が重なりやすい | 梗塞部位に対応した局所症状 |
| 認知症リスク | 高い(血管性認知症に移行しうる) | 部位・規模による |
| リハビリの特徴 | 運動・認知・言語・嚥下の包括的アプローチが必要 | 障害機能に絞った集中的アプローチ |
診断・評価方法。
多発性脳梗塞の診断には、画像診断・血管評価・臨床スコア・血液検査・心臓評価など複数の検査を組み合わせます。それぞれの役割を知っておくことで、医師からの説明をより理解しやすくなります。
NIHSS(National Institutes of Health Stroke Scale):0〜42点で脳卒中の重症度を評価。入院時NIHSSが高いほど予後不良。治療効果モニタリングにも活用されます(BioMed Central, 2021)。
mRS(modified Rankin Scale):0〜6点で機能的自立度を評価。退院時mRSスコアが低い患者ほど、3か月〜1年以内のmRS 0〜1(自立)達成率が高いとされています。
回復への道のり。
多発性脳梗塞の治療とリハビリは、急性期・回復期・生活期と段階を踏んで進みます。各段階でご家族が知っておくべきポイントを整理します。
発症から4.5時間以内であれば、アルテプラーゼによる血栓溶解療法(けっせんようかいりょうほう)が適応されます。大動脈の閉塞では機械的血栓除去術(メカニカルサンボロクトミー)が行われます。
アスピリン・クロピドグレルなどの抗血小板薬(こうけっしょうばんやく)、心房細動がある場合はリバーロキサバンなどのDOAC(直接経口抗凝固薬)が処方されます。年間再発率10〜15%を抑えるために薬の継続が非常に大切です(SpringerLink)。
バランストレーニング(平行棒・片足立ち)、レジスタンストレーニング、トレッドミルや水中ウォーキングなどの有酸素運動が心肺機能と筋力の両方を回復させます。FES(機能的電気刺激:きのうてきでんきしげき)も筋肉の再教育に有効です(MDPI, 2022; WJGNet)。
認知リハビリテーション(記憶・注意・実行機能の訓練)、LSVT LOUD(発声強化)、DPNS(深部咽頭神経筋刺激法:嚥下・咳反射改善)など、多発性脳梗塞に特有の複合的アプローチが重要です。

包括的な視点でのリハビリが必要です。
多発性脳梗塞では一つの機能回復に集中するだけでは不十分なことがあります。STROKE LABでは脳神経科学に基づいた徒手技術と個別プログラムで、認知・運動・言語のすべてを視野に入れたリハビリをご提供します。
ご家族ができるサポート。
日常生活で気をつけること
声かけの工夫
「焦らなくていいよ。ゆっくり考えてね」(言葉が出にくい時に)
「覚えていなくてもいいよ。一緒に確認しようね」(記憶障害への声かけ)
「今日どこまでできたか、一緒に見てみようか」(達成感を一緒に確認する)
やってはいけないこと・やるべきこと
| 場面 | やるべきこと | 避けること |
|---|---|---|
| 言葉が出ない時 | ゆっくり待つ・短い言葉で話しかける | 急かす・代わりに話し続ける |
| 同じことを繰り返す時 | 穏やかに再度答える・メモを活用する | 「さっきも言った」と指摘する |
| 意欲が低下している時 | 小さな目標を一緒に設定する | 「頑張らないと」とプレッシャーをかける |
在宅復帰と公的支援制度。
退院後の生活を安心して送るためには、住環境の整備と公的支援の活用が欠かせません。「使えるサービスを把握していなかった」というご家族の声をよく耳にします。ぜひ事前に確認してください。
在宅復帰チェックリスト
主な公的支援制度
| 制度名 | 内容 | 申請窓口 |
|---|---|---|
| 身体障害者手帳 | 障害の程度により1〜6級。各種福祉サービスの基礎となる。 | 市区町村福祉窓口 |
| 介護保険 | 訪問リハ・通所リハ・福祉用具レンタル・住宅改修費補助など。要介護認定が必要。 | 市区町村介護保険窓口 |
| 障害福祉サービス | 居宅介護・就労支援・生活訓練など。介護保険で対応できない場合に利用可。 | 市区町村障害福祉窓口 |
| 高額療養費制度 | 医療費の自己負担が月額上限を超えた場合に払い戻しを受けられる。 | 加入する健康保険組合 |
| 障害年金 | 後遺症によって日常生活・労働に支障がある場合に受給可能。 | 年金事務所・市区町村 |
回復までの期間と予後。
「どのくらい回復するのか」——ご家族が最も知りたいことの一つです。多発性脳梗塞の予後は複数の要因に左右されますが、「何もできない」ということはありません。
① 初期の重症度(NIHSS):入院時スコアが高いほど回復に時間がかかる傾向があります。
② 早期リハビリの開始:神経可塑性(のうのかいふくりょく)が高い発症後3〜6か月の集中リハビリが重要です。
③ 基礎疾患の管理:心房細動・動脈硬化・高血圧の管理が再発を防ぎ予後を改善します。
④ 薬物療法の継続:抗凝固薬・抗血小板薬の自己中断は再発リスクを大幅に高めます。
⑤ 生活習慣の改善:禁煙・体重管理・適度な運動・節酒が長期予後に大きく影響します(SpringerLink)。
よくあるご質問。
単発の脳梗塞が脳の一か所だけに起きるのに対し、多発性脳梗塞は複数の部位で同時または時間差で梗塞が生じます。
認知機能障害・運動障害・言語障害など複数の症状が重なりやすく、日常生活への影響が広範囲になる傾向があります。
主な原因は、心房細動などによる心原性塞栓症、動脈硬化による頸動脈・脳内動脈の狭窄、大動脈弓のプラーク破裂などです。
高血圧・糖尿病・喫煙・肥満などの生活習慣病が複合的にリスクを高めます。COVID-19感染後の凝固障害も近年注目されています。
認知機能障害(記憶・注意・実行機能の低下)、運動麻痺・筋力低下・協調運動障害、失語症・構音障害、嚥下障害、感覚障害(しびれ・感覚喪失)、うつや人格変化などが代表的です。
梗塞の部位と範囲によって症状の組み合わせが異なります。
急性期(発症直後〜数日)から早期離床・リハビリを開始することが推奨されています。脳の神経可塑性は発症後3〜6か月に最も高まるとされており、この時期の集中的なリハビリが機能回復に重要です。
回復期・生活期においても継続的なリハビリが生活の質を維持します。
認知リハビリテーション(記憶・注意・実行機能の訓練)、コンピュータ支援認知訓練、テレリハビリテーションなどが有効とされています。
患者個々の障害パターンに合わせたプログラムを専門家と組み立てることが大切です。
脳神経系の専門知識を持つ施設を選ぶことが重要です。多発性脳梗塞では認知・運動・言語・嚥下など複数の障害が重なるため、包括的に評価・対応できる施設が理想的です。
STROKE LABでは脳卒中専門の理学療法士・作業療法士が個別プログラムを提供しています。
STROKE LABのプログラム。
STROKE LABは、脳神経科学と徒手技術に特化した脳神経系専門の自費リハビリ施設です。多発性脳梗塞によって生じる複合的な障害——認知・運動・言語・嚥下——に対して、脳卒中専門のセラピストが一人ひとりのご状況に合わせた個別プログラムをご提供します。
— STROKE LABでのリハビリの実際の様子です。

「最初は何度も同じことを聞いてしまい、家族に申し訳なかった。でもSTROKE LABで記憶の訓練を続けるうち、少しずつ日常のスケジュール管理ができるようになってきました。」— 60代・男性・多発性脳梗塞・発症後8か月
「退院後、歩くのが怖くて外出できなかった母が、バランストレーニングを積み重ねて近所の買い物に行けるようになりました。こんなに変わるとは思っていませんでした。」— ご家族(50代・女性)・70代の母・多発性脳梗塞・発症後1年2か月
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諦めないでください。

多発性脳梗塞では、認知・運動・言語・嚥下と、複数の機能が同時に影響を受けます。「どこから手をつければいいのか分からない」というご家族の声を、私たちは何度も聞いてきました。
STROKE LABでは、一人ひとりの障害像を丁寧に評価し、優先順位をつけて取り組むことを大切にしています。焦らず、しかし確実に、回復の道筋を一緒に歩みます。
まずは無料相談で、今の状況を聞かせてください。何ができるか、どう進めるか、一緒に考えます。
代表取締役 金子 唯史
参考文献。

1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024) パーキンソン病の機能促進:医学書院 (2025)