vol.193:運動イメージトレーニングの効果 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
目次
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カテゴリー
神経系
タイトル
運動イメージトレーニングの効果https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28744053?pubmedへ Oh DS et al.(2017)
本論文を読むに至った思考・経緯
•運動をどのようにイメージさせるかという所に興味を持ち、本論文に至る。
論文内容
背景
•脳卒中者は、体幹の筋活動の低下および遅延を示す。脳卒中者の体幹コントロールは、日常生活・歩行など脳卒中後の活動を予測する重要な指標である。姿勢制御能の低下はQOLを低下させる可能性がある。
•過去10年間に多くの脳卒中リハビリテーション法が開発されてきた。その中でも、 motor imagery training は、脳卒中者の介入において運動能力の改善をもたらした神経リハビリの手法である。
•motor imagery trainingを受けると、実際の動きが行われたときに活動化される脳の同じ領域が大きく活性化され、筋力と速度が改善される。
研究目的
•本研究は、脳卒中患者の体幹コントロールと固有受容感覚に及ぼす体幹の motor imagery training の効果を評価するために行った。
研究方法
•合計12名の被験者を、実験群(運動イメージトレーニング motor imagery training group)および対照群(神経発達治療 a neurodevelopmental treatment NDT)群にランダムに6人ずつ割り当てた。
•2つの群を週に5回(毎回30分)4週間訓練を行った。
•イメージトレーニングの前に、スイスボールを使用した座位、起立、水の入ったコップに手を伸ばし動かすなどのバランス運動を含む体幹安定化運動を含んだ、健常人の体幹運動ビデオが作成されました。このビデオは視覚的および聴覚的情報を用いて静かな治療室で10分間患者に提供された。その後、座り心地の良い椅子で目を閉じ、身体をリラックスさせ、10分間ビデオの動きを想像した。
•実験群は10分間のイメージトレーニングを受け、体幹コントロール訓練はNDTを中心に20分間行った。
•対照群はNDTを中心とした体幹コントロール訓練のみを30分間受けた。
•介入前後で被験者の体幹活動および位置感覚を評価しました。
•体幹筋の筋活動を測定するために無線筋電図(EMG)を使用した。筋電図の電極は、内腹斜筋(IO)、外腹斜筋(EO)、腹直筋(RA)、および多裂筋(MF)の筋腹取り付けた。
研究結果
•両方の群において介入後の筋活動の有意な改善を示した。
•実験群のみが固有感覚(位置覚)の有意な改善を示した。
•結論としてMotor imagery training は、脳卒中者の体幹活動および固有感覚を改善するために効果的に使用することができる。
私見・明日への臨床アイデア
•本論文ではビデオを作成し視覚、聴覚を用いリアルにイメージさせようと試みている。出来る限り五感を用いさせて、リアルにイメージをさせることが大切と思われる。これから行う練習と通じる練習を事前学習させるということは、見本なしで行うより効果的かもしれない。また、イメージすることを妨げない環境作りも大切であると感じた。
•ある程度、セラピストが提供したいと思っている自主トレが介助なし・代償動作少なくできるようになってきたら、リアルな自主トレ表を作り実施していくと良いと感じた。
氏名 覚正 秀一
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 4万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018)