vol.177:脳卒中者の固有受容感覚と筋力・痙性 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
神経系
タイトル
脳卒中者の膝固有受容器と筋力、痙性との関係性
Correlation of knee proprioception with muscle strength and spasticity in stroke patients
?PubMed Jin-Mo Yang J Phys Ther Sci. 2015 Sep; 27(9): 2705–2708.
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・臨床コースにて、手指のアプローチが肩関節に影響を及ぼすことを多く経験する。論文で同様のことを扱ったものを探し、見つかったため読むことにした。
内 容
背景・目的
・多くの脳卒中者が体性感覚と筋の障害を伴う。脳卒中者の重要なゴールのひとつが体性感覚の回復であり、それは筋活動の回復にもつながる。
・本研究は膝の固有受容感覚と筋・痙性の関係性を探っていく。
方法
・31名の脳卒中者
・麻痺側、非麻痺側に対し、関節覚の評価として他動での関節角度再現テスト、運動覚の評価として自動での関節角度再現テストを行った。検査は側臥位で行った。
・筋力はmanual muscle testで計測し、筋緊張はModified Ashworth Scale (MAS)で計測した。
結果
表:実験結果
Jin-Mo Yang (2015) より引用
・他動での関節角度再現テストでは、屈曲方向は麻痺側14.25°、非麻痺側5.33°の誤差があり、伸展方向では麻痺側12.25、非麻痺側5.15の誤差が見られた。
・位置覚、運動覚ともに筋力・痙性と負の相関が見られた。
私見・明日への臨床アイデア
・固有受容感覚の低下と筋力・痙性に相関関係がみられた。本実験はMMTを使用しているため、計測の信頼性は低くなってしまうが、臨床において固有感覚と筋力・痙性の関連性は感じるところであるため結果が大きく異なることもないだろう。Rosant (2006)は非荷重下においたマウスヒラメ筋は固有受容感覚が低下すると述べており、本研究の相関を支持するものと考える。脳卒中者の治療の際、固有受容感覚を意識する必要性を再確認した。
Reference
Rosant, C. and Perot, N. C. (2006) ‘Adaptation of rat soleus muscle spindles after 21 days of hindlimb unloading’, Experimental Neurology, 200, pp.191–199.
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023)