vol.165:舌と立位姿勢の関係性 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
目次
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カテゴリー
神経系
タイトル
舌の位置と立位姿勢の制御Effect of tongue position on postural stability during quiet standing in healthy young males.?pubmedへ Alghadir AH.et al.(2015)
本論文を読むに至った思考・経緯
•繊細な感覚を持つ「舌」の運動・姿勢制御への関与に興味を持ったため。
論文内容
論文背景
•姿勢制御のための頚部および顎の感覚運動系の役割が確立されている。「舌」は顎の感覚運動系の不可欠な部分であり、食べたり飲んだり話したりするような、精巧で意図のある運動の遂行に役立ちます。
•舌は顎の感覚運動系と密接に関連しており、歯・口蓋・上顎および下顎のようなランドマークの近くに位置するため、その位置および運動に関する情報は、その領域に供給される機械受容器システムにおいて常に利用可能である。
研究目的
•研究目的は、「舌の位置」が姿勢制御システムに与える影響を評価することであった。
研究方法
•116人の正常な健康な男性被験者(平均年齢31.56±8.51歳および身長170.86±7.26cm)がこの研究に参加した。
•不安定面上で静止立位中の平均COG速度と、2つの試験条件下で開眼または閉眼状態で比較した。
(i)いつも通りの習慣的な顎(舌)の位置
(ii)舌を上の前歯につけるように指示された
•COG速度(deg/s)は、NeuroCom(登録商標)を用いて測定した。
研究結果
•結果は、習慣的な位置と比較し、上前歯に位置された状態において、COG速度が有意に低下したことを示す。平均COG速度(deg /sec)値は1.58(習慣的位置)対1.24であった。
•上顎(前歯)に舌をつけた配置は、不安定面上の直立状態で、閉眼した健常若年者の姿勢の安定性を高めた。
•本研究は舌の位置が姿勢制御機構を調節できることを示唆している。
興味深かった内容
•硬口蓋に触れることで舌からの感覚フィードバックを追加する事は、顎および頚部感覚運動システムへの接続を介して、または前庭システムへの間接的な接続を通じて、立位中の姿勢制御を調節する可能性がある。
舌の位置に関する他論文
The acute effect of the tongue position in the mouth on knee isokinetic test performance: a highly surprising pilot study.(Rosa di Vico et ai.2013)
では、舌の位置と下肢機能の関係について研究されている。舌の位置を図のようにMiddle、Up、Low positionと3つの位置において、膝の等速性運動のパフォーマンスを比較した。結果は、Up positionにおいて他と比較して、膝の等速性運動 (90 and 180°/s共に)の顕著なパフォーマンス向上を示した。
私見・明日への臨床アイデア
•自覚的にも「舌」を下歯・左右などに付けるより、上前歯に付けた方が垂直感や頭部の位置情報、顎関節部の安定性の向上などを感じる。
•舌も運動器として捉え、推察・治療の助けとして頭に入れ臨床に臨もうと思います。
氏名 覚正 秀一
職種 理学療法士
脳卒中自主トレ100本以上 一覧はこちら
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 4万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018)