vol.170:脳卒中者の階段昇降とエネルギー消費 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
歩行、バイオメカニクス
タイトル
慢性期脳卒中者の階段昇降時のエネルギーコストの予測因子
Predictors of energy cost during stair ascent and descent in individuals with chronic stroke.
?pubmed Polese JC J Phys Ther Sci. 2015 Dec;27(12):3739-43. doi: 10.1589/jpts.27.3739.
本論文を読むに至った思考・経緯
・利用者様が「家から出たくない」という理由の一つに疲労がある。脳卒中者は歩容異常から単一の部位に負担が生じやすく、歩行の効率性といった観点から日常生活を評価することは有意義であると考える。今回、歩行パラメータや下肢筋力から階段昇降のエネルギーコストを予測できるかを検討した論文を見つけ、興味があったため読んでみたいと思った。
論文内容
論文背景・目的
・動作時の耐久性は動作自立の重要な因子であるが、動作時のエネルギーコストについて研究はまだ十分になされていない。
・階段昇降能力は身体活動レベルを予測するに適した能力と言われている。階段昇降を困難だと感じる高齢者も多く、そのエネルギーコストを予測することは意義深い。
・本研究はどの歩行パラメータと下肢筋力から階段昇降時のエネルギーコストを予測できるかを検討する。
研究方法
・55名の脳卒中者
・エネルギーコストは階段昇降時の酸素消費量とした(11段の階段を5分間昇降し、最後の2分間を解析した)。
・予測因子として10m歩行テストの至適歩行速度、6分間歩行テストでの歩行距離、麻痺側の膝伸筋力と足関節底屈筋力を計測した。
研究結果
表:実験結果
Polese JC (2015)より引用
・6分間歩行テストの歩行スピードと歩行距離は、階段昇降のエネルギーコストと負の相関が見られた。
・麻痺側の膝伸展筋力は階段昇降のエネルギーコストと正の相関がみられた。
私見・明日への臨床アイデア
・エネルギーコストが高いと脳卒中者にとって疲労感が強く、日常生活で階段を使うことに嫌気がさしやすくなる。結果、家屋構造によっては自室から出なくなってしまい、非活動が二次的障害を生む可能性がある。今回の研究結果は6分間歩行テストが階段昇降の効率性を予測しうることを示唆しており、病院でのリハビリテーション時に階段昇降時の疲労度などを検討することが可能になるかもしれない。
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023)