vol.279:ヒラメ筋に付着する静脈の解剖 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
バイオメカニクス
タイトル
ヒラメ筋に付着する静脈の解剖:臨床における影響
Anatomy of Extramuscular Soleus Veins: Clinical Impact
José Aderval Aragão, et al. In “Human Anatomy – Reviews and Medical Advances”, ed. Alina Maria Sisu
(Accessed Jan. 20. 2018)
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・ヒラメ筋の静脈について詳しく書いた著書をみつけ、興味深かったため読もうと思った。
内 容
背景・目的
・下肢の静脈は構造的・解剖的に複雑で、その障害も多岐にわたると考えられる。
・この複雑さは主に静脈還流についてのことであり、還流は姿勢や移動、身体活動量、心機能、循環血液量、室温などに影響されている。
・ヒラメ筋の静脈はカフパンピングによる静脈還流の主となる部位である。深部静脈血栓症はこのヒラメ筋の深部にある静脈が関わっているとされている。しかし、これらの静脈はまだ解剖学的に十分に研究されていない領域である。
・したがって、本研究はヒラメ筋の腹側にある静脈を解剖学的に紹介する。
方法
・下肢の静脈は構造的・解剖的に複雑で、その障害も多岐にわたると考えられる。
・この複雑さは主に静脈還流についてのことであり、還流は姿勢や移動、身体活動量、心機能、循環血液量、室温などに影響されている。
・ヒラメ筋の静脈はカフパンピングによる静脈還流の主となる部位である。深部静脈血栓症はこのヒラメ筋の深部にある静脈が関わっているとされている。しかし、これらの静脈はまだ解剖学的に十分に研究されていない領域である。
・したがって、本研究はヒラメ筋の腹側にある静脈を解剖学的に紹介する。
図1:ヒラメ筋6分割 José Aderval Aragão, et al. より引用
結果
表1:左右下肢血管数 José Aderval Aragão, et al. より引用
・543本のヒラメ筋静脈を確認した。右275本、左268本
・血管数は個体差が強く8本から38本(左)、7本から36本(右)だった。
表2:分布ごとの左右下肢血管数 José Aderval Aragão, et al. より引用
・静脈の分布は上部、中部に多く、下部は少なかった。
図2:ヒラメ筋の静脈 José Aderval Aragão, et al. より引用
・後内側脛骨静脈(TPMV)、後外側脛骨静脈(TPLV)、外側腓骨静脈(FLV)、内側腓骨静脈(FMV)が多く観察された。
・短伏在静脈(SPV)、tibiofibular trunk (TTF、日本語名不明)は少なかった。
図3:ヒラメ筋(膝窩周囲)の静脈 José Aderval Aragão, et al. より引用
・ヒラメ筋静脈は前内側・前外側脛骨静脈、腓腹筋静脈(GV)、膝窩静脈(PG)に結合する場合もあった。
表3:静脈ごとの血管数 José Aderval Aragão, et al. より引用
私見・明日への臨床アイデア
・ヒラメ筋にある静脈について学ぶことができた。個体差が大きいため一概には言えないが、浮腫軽減を図る場合はヒラメ筋の上部から中腹にかけて徒手刺激を入れていくと効果が上がるかもしれない。
・図を見るとヒラメ筋の内部に後内側脛骨静脈などの主要な血管があるように見える。ヒラメ筋は内部腱膜によって前部・後部の2つに分かれているため、腱膜周囲に静脈があるのかもしれない。
・静脈は筋の周囲に張り巡らされており、筋収縮により圧迫(カフパンピング)を受けやすいのが想像できる。逆に、筋硬結により循環が悪くなることもイメージできた。
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023)