vol.301:車いすバックサポート厚と上肢筋活動 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
目次
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カテゴリー
バイオメカニクス
タイトル
車いすバックレストの厚さの違いによる駆動時肩関節筋への負荷
The effects of backrest thickness on the shoulder muscle load during wheelchair propulsion
?PubMed Ingyu Yoo J Phys Ther Sci. 2015 Jun; 27(6): 1767–1769.
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・車いす駆動時のバックレスト厚を検討した論文を見つけ、興味深かったため読もうと思った。
内 容
背景・目的
・車いす利用者の73%は慢性的な上肢痛を有すると言われている。座位姿勢の不良が原因にあると考えられ、車いすの選択や座面の工夫などで改善可能と仮説を立てている。
・車いすのバックレストによって脊柱起立筋のリラクゼーション、腰椎前彎の減少などが得られると思われるが、まだ十分に研究はされていない。
・バックレストの最適な厚さはどのくらいか、本研究はバックレストの厚さの違いにより上肢筋活動に変化が生じるか検証する。
方法
・15名の健常成人を以下の3群に分けた。
・バックレストなし
・3cmのバックレスト
・6cmのバックレスト
・30回車いす駆動をしてもらった際の上肢筋電位を計測した(三角筋前部線維、僧帽筋上部線維、三角筋後部線維、上腕二頭筋)。
結果
表:実験結果 Ingyu Yoo (2015) より引用
・三角筋前部線維・後部線維、僧帽筋上部線維、上腕二頭筋は群間の有意差が見られ、3cmのバックレストの際に最も筋電位が少なくなった。
私見・明日への臨床アイデア
・バックレストの最適な厚さを研究した論文で、上肢筋の筋電位が最も少なくて済むのは3cmの厚さの物だった。今後車いす駆動をする方で上肢痛がある場合は、バックレストの厚さも合わせて評価したい。厚さの他に硬さでどういった違いがでるのか興味があるので、今後の研究に期待したい。
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 4万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018)