vol.262:慢性腰痛と多裂筋の脂肪置換・筋萎縮 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
目次
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カテゴリー
バイオメカニクス
タイトル
慢性腰痛と多裂筋の脂肪置換と筋萎縮
Long-Term Lumbar Multifidus Muscle Atrophy Changes Documented With Magnetic Resonance Imaging: A Case Series?PubMed Mark Woodham et al.(2014)
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・リハビリ処方において腰痛患者が多く、腰痛患者におけるエビデンスを読んでいた中の一文献である。
内 容
方法
・慢性腰痛を有する3人の患者はMRIを受け、脂肪置換を伴う多裂筋の萎縮が明らかになった。その時点での状態をベースラインとした。
・それぞれの患者は脊柱(椎間関節)の徒手療法とそのうちの二人は多裂筋をターゲットとしたlow back exerciseを受けた。
・1年以上経過した時点で、フォローアップとしてMRIを受けた。
結果
・多裂筋トレーニングを受けた二人の患者は筋萎縮の改善を示した。
・多裂筋トレーニングあり)一人目は脂肪率は左27.5%(15%減)、右21.8%(7%減)とLMM腰部多裂筋の萎縮の減少を認めた。患者は著しく痛みを軽減し、フルタイムの仕事に戻ることができた。
・多裂筋トレーニングあり)二人目は脂肪率は左12.3%(39%減)、右に8.8%(32%減)と筋萎縮の減少を認め、傷害前活動に戻ることが出来た。
・多裂筋トレーニングなし)三人目は徒手療法のみを受けた患者である。LMM萎縮の増加を示した。脂肪率は左17.2%(41%増)、右に17.8%(54%増)となった。最終的に、患者は右側L4-L5椎弓切開術および椎間板切除術を施行した。
・運動を行った2人の患者の筋萎縮の減少は、機能改善と相関していた。限定的ではあるが、これらの結果は、慢性腰痛患者の回復の指標となる多裂筋の萎縮のあり、なしの長期変化を定量化する際のMRIの有用性を強調しています。
私見・明日への臨床アイデア
・画像を用いての「筋量、脂肪率」は患者を評価する上での指標となり得る。
・腰痛患者において、トレーニングの重要性が示唆された。腹横筋や内腹斜筋下部などはドローインなどで注目されるが、腰背部のローカルマッスルも大切に関わりたい所である。腹部筋も腰背筋膜が十分に機能する事で働きやすくなると考える。
氏名 覚正 秀一
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 4万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018)