vol.250:聴覚フィードバックと麻痺側荷重量 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
目次
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カテゴリー
神経系、バイオメカニクス
タイトル
片麻痺者の荷重と動的バランス能力に対する聴覚フィードバック付き歩行練習の効果
Effects of auditory feedback during gait training on hemiplegic patients’ weight bearing and dynamic balance ability.?PubMed Ki KI J Phys Ther Sci. 2015 Apr;27(4):1267-9. doi: 10.1589/jpts.27.1267.
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・臨床では患者や利用者に口頭指示を与えて立位や歩容の修正を図ることが多い。聴覚刺激をフィードバックとして研究している論文を見つけ、普段行っている口頭指示の効果を確かめられるのではないかと思い、読むことにした。
内 容
背景・目的
・脳卒中者の身体動揺は同年代の健常成人の2倍との報告がある。立位時の麻痺側への荷重量は25–43%と言われており、荷重の非対称性が理解できる。
・バイオフィードバックにて荷重非対称性にアプローチした論文は多い。今回は聴覚フィードバックが麻痺側の荷重量にどう影響を及ぼすか検討する。
方法
・30名の脳卒中者を実験群と対照群の2群に分けた。
・実験群・対照群ともに神経発達的アプローチを4週間受けた。実験群のみ聴覚フィードバック付き歩行練習を行った。
・聴覚フィードバックは麻痺側の荷重量が50%超えたときに音がなるように設定した。
・GAITRiteを用いて麻痺側の単脚支持期の荷重量と立脚時間を計測した。また、Timed Up and Go test (TUG)も計測した。
結果
表:実験結果 Ki KI (2015)より引用
・実験群では介入後に立脚時間の延長、単脚支持期、TUGの有意な改善が得られた。
・対照群は全てのアウトカムで有意差が得られなかった。
私見・明日への臨床アイデア
・聴覚フィードバックにより歩行時の麻痺側荷重量の増加が得られた。荷重量が50%を超えた場合に音がなるという仕組みであり、セラピストが口頭指示を与えるということとは少し違う趣旨だったため、最初の読む理由には当てはまらなかった。しかし、麻痺側を接地するたびに荷重が十分かどうかを音で知らせるというのは被験者も理解しやすいと思われ、荷重を促すのに非常によい練習なのではないかと感じた。実際の臨床では機器を用意できるかが問題だと思われる。
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
脳卒中自主トレ100本以上 一覧はこちら
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 4万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018)