vol.225:上肢深筋膜と神経線維・終末について 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
目次
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カテゴリー
バイオメカニクス
タイトル
上肢深筋膜と神経線維・終末
Anatomy of the deep fascia of the upper limb. Second part: study of innervation?PubMed C.Stecco et al.(2007)
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・ますます注目を集める筋膜の基礎を理解し、臨床に応用するために本論文に至る。
内 容
背景
・最近の研究では、筋膜は筋肉の生体力学、末梢運動の協調性、固有受容感覚および姿勢調節において重要な要素であることが言われている。
・筋膜は多くの筋肉によって基礎張力が維持され、筋収縮は筋膜の一部を牽引する。これらの伸張は、筋膜そのものに存在する神経終末を活性化させることができるという仮説が立てられている。
目的
・献体から上肢の異なる領域から深筋膜を採取し、深筋膜にどのような種類の神経線維および神経終末が存在するか調査した。
方法
・13人の献体(10人の男性、3人の女性および平均年齢79.9歳)の20肢の上肢を分析することが出来た。
・エリアは下記5か所から採取された。(上腕筋膜の前方領域への胸筋膜の展開、上腕筋膜の前方領域の中央三分の一、上腕二頭筋腱膜、前腕筋膜の前方領域の中央三分の一、屈筋支帯の中央領域)
結果
・分析されたすべての検体には、領域または対象によって特異的な差異は存在したものの、神経要素が存在していた。表は、神経の平均数および各領域に見られるメカノレセプターの種類を報告している。
・小さな無髄神経がすべての標本で観察された。それに対し、Ruffini小体、Pacini小体、ゴルジ・マッツォニ小体およびspherical clubsは一部のみに存在した。
興味深い内容
・筋膜は静的な固有受容感覚だけでなく、動的な固有受容感覚(運動の知覚と方向)の役割を担う可能性がある。なぜなら、下層にある筋肉の腱の伸張を知覚するからです。線維性間質にある機械受容体は、筋膜への強固な展開のおかげで筋肉の牽引力に敏感である。
・受容体がマッピングされている場合にのみ方向性の有意性を有することができると考え得る。著者の意見では、筋膜は受容体がマッピングされているフレームワークである可能性があります。
私見・明日への臨床アイデア
・運動を知覚させるということはリハビリを行う上でとても大切な要素であると日々感じる。運動の知覚は、筋膜自体の伸張や筋の遠心的な伸張により提供し得ることが論文より感じられた。徒手操作を行う際には、しっかり遠心的に伸張させるハンドリングが必要である。代償で逃げられず、しっかり狙った部位を伸張させるよう意識したい。
氏名 覚正 秀一
職種 理学療法士
上肢のハンドリングに役立つ動画
https://youtu.be/RFiLYEYdZ9M
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 4万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018)