vol.130:骨盤ベルトの有用性 脳卒中/脳梗塞リハビリ論文サマリー
目次
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カテゴリー
バイオメカニクス
タイトル
骨盤ベルトの有用性The effects of a pelvic belt on trunk and lower extremity muscles in the bridge position?PMCへ Hyun-Gyu Cha.et al.(2016)
本論文を読むに至った思考・経緯
•臨床において、骨盤ベルトが処方される事、利用される事が多く、その意義について考えようと思った。
論文内容
はじめに・論文背景
•腰仙部の痛みを和らげる治療アプローチに、骨盤ベルト(PCB)の使用がある。
•PCBは、股関節伸展の際に慢性腰痛を有する女性の股関節伸筋の活性化パターンを効果的に変化させます。
•PCBを使用することで、生活の質が大幅に改善され、仙腸関節に関連する痛みが軽減される可能性が示されています。
•研究者らは、PCBを使用して実施された機能訓練が筋強化に関する有益な効果を有することを示唆している。PCBは、骨盤帯を安定させ、協調と安定化に取り組む練習を可能にする効果がある。PCBの適用は、腰仙部の問題を有する患者のリハビリテーション中の痛みを緩和し、神経筋機能を促進することができるエビデンスが示されています。
研究目的
•本研究の目的は、健常な成人の下肢体幹筋:脊柱起立筋(ES)、内腹斜筋(OI)、大腿直筋(RF)、および大腿二頭筋(BF)の筋活動の活性化に及ぼす骨盤ベルトの影響を調べることである。
研究方法
•被験者は健常者20人(21.60±1.08歳、171.20±6.23cm、71.23±8.64kg)であった。
•筋の活性化を測定するため、筋電図を用いてデータを収集した。
•骨盤ベルトは(The Com-Pressor、OPTP、Minneapolis、MN、USA)は4種類あり、適用する際に圧力を調節し、圧縮部位を変更できるように設計されている。
•骨盤ベルトを上前腸骨棘の下に置き、圧迫部位を確認した後、ブリッジ位で安定させるために圧をベルトにて加えた。
研究結果
•被験者は、ブリッジ位のPCBがない場合と比較して、骨盤ベルトを装着している間にES、OI、RF、およびBFの筋活動の有意な減少を示した。
結論
• 外部より圧縮し安定させる骨盤ベルトの使用は、骨盤帯の安定性を改善し、腰仙部および大腿部の神経-筋の運動制御を変化させる可能性がある。
私見・明日への臨床アイデア
•骨盤ベルトは、体の安定性を補助することで、筋内圧の高まった部位(筋スパズム部位)の疼痛の誘発を抑制し、運動に対してポジティブなデバイスになり得る。
•疼痛を抑制した状態での運動は、疼痛のない状態で体が動かす体験(感覚入力)や筋の循環・粘性の改善に大切ではないかと思われる。
•骨盤ベルトの圧迫部位に関して、上前腸骨棘の下となっている。この場合は腰仙部を締める位置(腰仙部の安定化の補助)と思われる。上前腸骨棘の上であれば、仙腸関節を真っすぐ抑えられない為、その効果は望めないと推察する。何を補いたいかによって、締める位置は異なると思われる。患者にとってどこを補助すればよいか考える必要がある。
氏名 覚正 秀一
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 4万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018)