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【2022年保存版】寝返り・起き上がり 体幹のコアスタビリティを徹底解説!!脳卒中片麻痺患者の動作分析

脳卒中片麻痺患者の寝返り・起き上がりとコアスタビリティ

 

 

 

 

寝返り・起き上がりは上記で説明したとおり、体軸内回旋に必要なCoMの安定、つまり体幹機能の理解が重要となります.

ここでは、コアスタビリテイ(corestability)の観点から体幹について説明していきます.

 

コア・スタビリティは、1990年代にHodgesとRichardsonが慢性期の腰痛患者の体幹筋のタイミングを研究した際に初めて紹介されました.

 

「コアスタビリティ」という言葉の定義については、賛否両論あり、混乱も見られています.従来、この用語は、体幹の動きやトルクの発生を可能

にし、より肉体的に負荷のかかる作業での安定性を補助する、分節的な安定性を提供する深層/局所筋(腹横筋、腰部多裂筋など)および表層/全体筋(腹直筋、脊柱起立筋など)を含む安定化システムの能動的要素を指していました.

 

 

コアスタビリティとは、生理的限界の範囲内で、代償的な動きをすることなく、動作中に脊椎と骨盤領域の平衡と制御を維持する能力と定義されます.

 

Panjabi 1)は、脊柱のコアスタビリティの必須条件として、ニューラルサブシステム、パッシブサブシステム、アクティブサブシステムの3つを挙げています.

 

これら3つの要素が組み合わさることで、予測的にも反射的にも脊柱が機能します. 

 

 

パッシブサブシステム

 

● パッシブサブシステムは脊椎椎間板、靱帯、関節包などであり、運動への機械的な抵抗や張力の最終域を安定させます.

●感覚受容器を介してニューラルサブシステムに荷重情報や位置感覚を伝える役目も担う.

 

脊柱靱帯の重要な役割は、腰椎の分節性に必要な求心性の固有受容感覚を提供することです.

脳卒中患者の場合、既往歴に圧迫骨折や姿勢変形などを抱えていたり、代償的パターンによ る分節性低下により椎間板や靱帯の機能が低下している可能性があります.

 

 

アクティブサブシステム

 

●アクティブサブシステムは筋腱筋膜などであり,安定性に加え,感覚入力や運動生成に大きな役割を果たします.

 

Akuthotaら2)は「コア」について、横隔膜(屋根)、腹筋群と腹斜筋(前/側部)、脊柱起立筋群と殿筋群(背部)、骨盤底筋と殿筋群(底部)の三次元で構成された腰椎~骨盤帯と定義しています.

 

これらが脊柱と体幹を安定させるコルセットのような役割を果たします.

 

コアスタビリティは「安定」と「運動」の両者を担い、腰椎周囲を取り囲むすべての筋群の協調性によって機能しています.

 

 

ニューラルサブシステム

●ニューラルサブシステムは、筋紡錘、ゴルジ腱器官および脊髄の靱帯からのフィードバックに基づき、筋出力を絶え間なく監視および調整する複雑なタスクを担います.

●姿勢の調整や身体への外部荷重に基づいて、十分な安定性を保証しながら目的とした関節運動を可能にします.

 

ニューラルサブシステムを介して十分な安定性を確保するうえで重要となる筋は腹横筋です.

 

Cresswellら3)は、この腹横筋が主に腹腔内圧を上昇させる働きをし、腰椎圧迫への負荷を軽減させることを報告しています.

 

Hodges4)は、腹横筋の機能に関連するフィードフォワード機構を提唱しています.

 

 

ニューラルサブシステムは姿勢調整または外乱に備え、以前経験した運動パターンからのフィードバックを利用して、腹横筋を予期的に調整します.

 

脳卒中などの疾患を呈する場合、腹横筋の不活性化のみならず、遅延の要素にも影響を及ぼす可能性があります.

 

また、腹横筋のみならず多裂筋や腰椎回旋筋などの局所筋は高密度の筋紡錘を含んでいます. これらの筋はニューラルサブシステムに固有感覚フィードバックを提供するモニターとして機能します.

 

コアスタビリテイは、知覚に基づく姿勢調整、外乱に合わせて絶えず変化するダイナミックなコンセプトです.

 

コアスタビリティのハンドリングに関する記事も併せてご覧ください.

 

 


寝返り・起き上がりと腹横筋

 

APAsと腹横筋・腹斜筋の関係性

先行随伴性姿勢調節(anticipatory postural adjustments: APAs)

 

●Morrisら5)は、脊柱安定のための「コルセット説」という概念を提唱し、腹横筋のフィード フォワード的な活動に着目しています.

●腹横筋に加え、内腹斜筋も反対側のAPAsの機能を担うという報告もあります.

●この2つの筋は解剖においても共通する領域があり、連続的に働く類似機能を示唆しています.

 

寝返りの場合、支持面側となる腹横筋周囲の筋活動や胸郭の安定性を観察、治療することは重要であり、支持面の安定は反対側の骨盤や胸郭の回転トルク生成を促通してくれます.

 

腹横筋の上部・中部.下部領域において役割は異なります.

 

たとえば、肋軟骨から生じる腹横筋の上部線維は胸郭を安定させ、中間部線維は腰椎の制御に影響し、腸骨稜から生 じる下部線維は腹部の内圧をサポートして仙腸関節への圧力を生成します.

 

また、筋電図 (electromyography;EMG) 研究の検証によれば、腹筋機能には局所によってバリエーションがあり、上肢の運動時において腹横筋の下部線維のほうが、中間部よりも筋活動が大きいことが報告されています.

 

下部領域の表層の腹壁は、上部領域よりも立位場面で活性化することが報告されています.

 

加えて、外腹斜筋と内腹斜筋の活動も体幹の伸展や回旋時によって大きく異なることが報告されています.

 

 

腹横筋の一般的なトレーニングである「ドローイン」に関する記事も併せてご覧ください.


Aruin 6)は先行随伴性姿勢調節(anticipatory postural adjustments: APAs)の生成の条件に以下の3つを挙げています.

APAsと腹横筋・腹斜筋の関係性

1)予測した動揺の方向や程度

体節を多く使う運動は共通してCoMの垂線(center of gravity; CoG) の大きな重心移動を伴います.荷重のない上肢の挙上よりも、荷重のある上肢挙上のほうが増大します.

2)動揺に関連した随意運動

近位筋の活動は運動時に、反対方向に予測的な活動の増大を示します.すばやい運動は予測性姿勢制御の増大を生み、ゆっくりした運動は減少させます.

3)姿勢のタスク

姿勢が不安定なときAPAsは出現しなくなります.狭い支持面での腓腹筋の活動は、安定した支持面での同課題に比べ予測的な筋の発火は減少します.

 

APAs:先行随伴性姿勢調整についてまとめた記事も併せてご覧ください.

 

 


寝返りに必要なコア・スタビリティ

ここでは、寝返り・起き上がりに重要なコアスタビリティを構成する4つの筋群について解説していきます。背部、横隔膜(屋根)、腹筋群と腹斜筋(前・側部)、骨盤底筋と殿筋群(底部)に分け説明していきます。

 

 

背部:胸腰筋膜・脊柱起立筋群・腰方形筋

-胸腰筋膜-

●胸腰筋膜は「天然の背面ストラップ」であり、腰椎の筋を網目状に取り囲むストラップとして機能する.胸腰筋膜は3層(前、中、後)で構成され、特に後層は腰椎および腹筋群を支持するうえで最も重要な役割を果たします.

●腹横筋は,胸腰筋膜の中層および後層に広く付着します .後層は2枚の薄膜で構成され、表膜は下方向および中方向に線維が通過し、深膜は下方向および横方向を通過しながら棘突起に付着します.

●広背筋の腱膜は表層を形成します.本質的に胸腰筋膜は下肢と上肢間のリンクを構築します. これらは筋収縮に伴い、フィードバックを提供する固有受容器として重要な役割を果たします.

-脊柱起立筋群-

●腰椎を伸展させる筋群は主に脊柱起立筋と局所筋群(腰回旋筋、横突間筋、多裂筋)の2グループで構成されます.腰椎領域の脊柱起立筋は最長筋と腸肋筋の2つが主であります. これらは実際には胸椎筋群であり、骨盤にまで付着する長い腱を介して腰部に作用します. この長いモー メントアームは、腰椎の屈伸を作り出すうえで重要な役割を果たします.

 

●脊柱起立筋群の深部および中間部は局所筋群である.腰回旋筋と横突間筋には大きなモーメ ントがありません. その分、豊富な筋紡錘によって脊柱分節間の長さ調整や位置をモーターする役割を担っています.

 

●多裂筋は2〜3椎体にまたがり、分節間の安定を保証する機能を担います.多裂筋のモーメントは短いため、粗大運動に大きくは関与しません.脳卒中患者の場合、これらの筋群の萎縮が認められ、コアスタビリテイに特化した治療の重要性が示唆されます.

 

-腰方形筋-

●腰方形筋は腰椎に直接付着する大きく薄い四角形の筋です.腰方形筋は3つの構成要素(下斜、上斜、縦束)から形成され、縦側および上斜の両線維は腰椎に直接的な作用を及ぼしません.

 

●これらは呼吸中に第12肋骨を安定させるための呼吸補助筋として働きます.一般に下斜線維には,わずかに腰椎の側屈作用があると考えられています.

 

●McGillは,等尺性収縮で作用する脊椎の主要な安定筋として腰方形筋があると述べています.

腹筋群・股関節屈筋群

-腹筋群-

●腹筋群はコアスタビリティの重要なコンポーネントとして機能します.特に腹横筋は注目されており、 その線維は腹部の周りを水平に走り、収縮を伴う腹部の応力を可能にします.

 

●腹横筋単独の収縮は腹部内で風船が膨らむような 「空洞化作用 (hollowingin)」によって達成されます.腰痛や脳卒中の病態では活性化の遅延や不活動が報告されています.

 

●内腹斜筋は腹横筋と同様の線維走行を有し、外腹斜筋、腹横筋と共同し、胸腰筋膜を介する 「空洞化作用」により瞬空内圧を増加させ、腰椎の機能的安定性に寄与します.

●外腹斜筋は最も浅層で広く分布する腹筋群であり、骨盤の前傾角度をモニターしています.同様に、腰椎伸展・回旋において遠心的に作用します.

 

●腹直筋は前腹壁のストラップとなる筋であり、筋収縮は主に腰椎の屈曲を促します.

-股関節屈筋群-

●股関節筋群は、脳卒中など下肢不安定性を有する患者において、四肢からの運動連鎖を伝達 するうえで重要な役割を果たします.

 

●股関節は下肢から骨盤と脊椎に力を伝達する運動連鎖の中継地点です.

 

●大腰筋は長く太い筋で、主な活動は股関節の屈曲です. しかしながら、起始部となる腰椎の付着部は、脊柱の安定構造をサポートする役目を担います.

 

脳卒中患者のなかでは腹直筋や外腹斜筋を過剰収縮させ、体幹を固定的に止めているケースは 多いです. このようなケースは、予測できる外乱に対して固定的に体幹を保持できるため体幹機能は良さそうにみえます.

 

しかし、インナーユニットとのバランスが乏しくダイナミックな腰椎の安定性を構築できません.これにより、バランスを保てる幅(安定性限界)が狭くなり、予測不能な外乱が生じた場合には転倒リスクや痛みが伴いやすくなります. また、胸腰筋膜の張力が脳卒中患者は得られていない場合が多いです.

 

脳卒中患者の場合、バランスの不安定性に伴う股関節戦略や痙縮により腸腰筋の短縮が生 じやすいです. この問題に対してCorryら7)は痙縮においてハムストリングスや腸腰筋らのボトツクス治療を提唱しており、腰椎の分節性低下の改善によるバランス拡大が期待されます.

 

骨盤底筋群

●骨盤底筋群は腹横筋との共同収縮により活性化しやすく、骨盤底筋群の機能不全を伴う脳卒中患者の場合、便秘や尿漏れなどに悩まされるケースも認められます.

●骨盤底筋群には直接作用、間接作用があり、間接的に作用する中殿筋やハムストリングス起始部など骨盤帯周囲筋群のアライメントや筋活動を調整することで、骨盤底筋群の安定性を改善できる場合もあります.

骨盤底筋群は、恥骨から尾骨までの3層の筋肉、腱、靭帯、結合組織からなり、お椀のような構造をしています.

 

骨盤底筋群(PFM)は、いくつかの重要な機能を提供しており、それらは「4S」という頭文字で要約することができます.

●支持:骨盤内臓器(膀胱、腸、女性:子宮と膣管、男性:前立腺)の支持

●括約筋:排尿・排便のそれぞれの制御と弛緩

●性感帯:骨盤底筋の表層筋が性器をサポートする

●安定化:股関節、骨盤、腰部の安定化

横隔膜

●横隔膜はコアスタビリティの「屋根」としての機能を担い、骨盤底筋群は「底」の部分を担います.

●横隔膜の収縮および卿空内圧の増加により、腰椎に安定性が生まれます.

 

脳卒中に関連する横隔膜や骨盤底筋群の報告はほとんどありませんが、臨床的には体幹周囲筋の低緊張による屈曲姿勢を伴う脳卒中患者の場合、横隔膜や骨盤底筋群の機能不全により腹腔内圧を高める機能が得られていません.

 

また、脳卒中患者は努力的な姿勢戦略でグローバルマッスルを固定的に使用し、呼吸補助筋優位となります. このようなケースは、動作時に呼吸を止めて立ち上がることが多いです.

 

参考論文/書籍

1)Panjabi MM : The stabilizing system of the spine : Part l. function , dysfunction, adaptation, and enhancement. J Spinal Disord 5 : 383-389; discussion397,1992

2)Akuthota V, et al: Core strengthening Arch Phys Med Rehabil 85 (3 Suppll) : S86-S92,2004

3)Cresswel AG, et al:Changes in intra-abdominal pressure, trunk muscle activation, and force during isokinetic lifting and lowering. Eur J Appl Physio l68:315-321,1994

4)Hodges PW: Feedforward contraction of transversus abdominis Is not influenced by the direction of arm movement. Exp Brain Resll 4:362-370,1997

5)Morris SL ,et al :Corset hypothesis rebutted: transversus abdominis does not co-contract in unison prior to rapid arm movements Clin Biomech (Bristol,Avon) 27:249254, 2012

6)Aruin AS : The Organization of Anticipatory Postural Adjustments , Journal of Automatic Controll 2 : 31 37,2002

7)Corry lS ,et al: Botulinum toxin A in hamstring spasticity Gait Posture 10: 206-210,1999

脳卒中片麻痺患者の寝返り・起き上がりの体幹機能(ローカル/グローバルマッスル)

 

【ローカルマッスルとグローバルマッスルの役割】

●Akuthotaらは筋をローカル(局所)とグローバル(全体)に分類しています.

 

●ローカルマッスルは単関節筋である深部筋で構成された ユニットであり、静的安定性の維持や運動制御を担います.

 

●グローバルマッスルは一般的に二関節筋である表面筋が中心で、運動に必要な大きなトルクや力の生成を担います1).

 

●Gibbonsら2)はグローバルマッスルをスタビライザー(内外腹斜筋,脊柱筋群)とモビライザー(腹直筋群,腸肋筋群)とに分類し、 Behmら3)はこれらに加え、ロードトランスファー (Loadtransfer)という概念を提唱しています.

 

●ロードトランスファーは体幹に関連する筋(大殿筋、中殿筋、股関節内転筋群、大腿四頭筋、腸腰筋、僧帽筋、広背筋、三角筋、大胸筋など)が含まれています. これらのロードトランスファーが末梢部とコアをつなぐ運動連鎖の役割を担い、筋膜などを介した力の生成と伝達を行います.

脳卒中患者の寝返りや起き上がりは、感覚優位のローカルマッスルより随意運動に伴いやす いグローバルマッスルを使用しやすく、安定が固定になりやすい傾向があります.

 

固定戦略は努力量に伴う循環器系への負担、疲労、バランスの不安定性に伴う転倒などにつながりやすいです.

 

臨床においてはローカルマッスルを様々な感覚入力や課題設定を用いて働かせることが重要です.

参考論文/書籍

1)Corry lS ,et al: Botulinum toxin A in hamstring spasticity Gait Posture 10: 206-210,1999

2)Gibbons SGT, et al: Strength versus stability : part 1 concepts and terms Orthop Division Rev 2: 21-27,2001

3)Behm DG, et al:The use of instablity to train the core musculature Appl PhysioI Nutr Metab 35: 91-108,2010

脳卒中片麻痺患者の寝返り・起き上がりと脳科学

-先行随伴性姿勢調節(APAs)と上位中枢機構(CNS)の関係性-

ここでは、前項までにAPAsの寝返りや起き上がりにおける重要性・役割を述べてきましたが、より脳に焦点を当てた解説をしていきます.

補足運動野

解剖学的、生理学的データに基づくいくつかの研究では、補足運動野(supplementary motor area; SMA)がAPAs生成に関与すると報告されています.

SMA損傷患者に対して、損傷側と反対側の前腕に荷重をかけた際に、重度のAPAs機能障害が認められています.

一方 SMAが損傷されておらず、脳梁のみ完全遮断された患者においてはAPAsに障害は認められませんでした.

一次運動野

APAsを生成する際の一次運動野(M1)の役割は、ヒトおよび動物の研究によって示されています.

無傷のネコの一次運動野の刺激により、実際に対側の動きと支持肢のAPAsを誘発することができました1).これは、ネコの一次運動野が意識的・不随意的双方に関連する姿勢調整を含んでいるためです.

APAsにおける一次運動野の役割は、ヒトの研究においても観察されています.Palmerら2)は、経頭蓋磁気刺激 (transcranial magnetic stimulation ; TMS)を用いて被験者が左上肢を外転している間に、左右M1の観察を行っています.

この場合、左広背筋でAPAsが先行することがわかっており、左のM1に刺激を送ると左広背筋のAPAs生成に遅延をもたらすが、実際の運動のタイミングに変化は認められませんでした.

一方、右M1への刺激は、実際の運動の活性化を遅延させることが報告されています.

大脳基底核

大脳基底核は、大脳半球の深部にある皮質下の核の集まりです.大脳基底核の最大の構成要素は線条体であり、そこには尾状核、レンズ状核(被殻、淡蒼球、内殻)、視床下核(STN)、黒質(SN)が含まれます.

大脳基底核の当初の機能的な構成は、皮質の求心性活動が大脳基底核に送られて調節され、大脳基底核が運動活動を促進(または抑制)するための信号を大脳皮質に送り返すというループとして考えられていました.

大脳基底核は、運動ループの中の「通過点」として取り上げられました.現在の考えでは、大脳基底核にはいくつかのループがあり、皮質と皮質下の突起が内部の再入力ループと相互に作用して複雑なネットワークを形成し、同時に発生する事象や信号を選択したり抑制したりするのに理想的な設計になっていると考えられています.

大脳基底核は、特に運動障害と関連しています.大脳基底核が損傷すると、震え、不随意の筋活動、異常な筋緊張の高まり、動作開始の困難、異常な姿勢などが生じます.

基底核のAPAs関与は、パーキンソン病患者の重度のAPAs障害についてのVialletらによ る報告から応用できます3).

近年では、両上肢での操作課題において、負荷側を支配する脳領域の先行的活動が、基底核、SMA、視床に局在したと報告されています4).

これは、十分に学習された手指の動きに関与すると報告されている基底核-視床-大脳皮質運動ネットワークの考えかたと類似します.つまり、APAsと随意運動指令の神経構造に、姿勢と随意運動の両方の指令が基盤となるという見解が一部支持されたものといえます.

小脳

小脳もまたAPAsの制御に深く関与します. Babinskiは、小脳病変が随意運動と平衡バランス間の調整を乱すとし、小脳が姿勢制御に関与していることを報告しました5).

この見解は、小脳が(知覚された姿勢に応じて)行動の結果を予測することができ、フィードバック制御に関連する時間遅延を克服するための内部モデル(順モデル)を担うという考えと一致します6).

小脳病変を患う患者は、対象物を持ち上げたり動かす際に把持力を正常に予期して調整することができません7).つまり、小脳病変がAPAsの可塑性を無効にする可能性が示唆されます8).

参考論文

1)Ford-Smith CD ,et al :Age differences inmovement patterns used to rise from a bed in subjects in the third through fifth decades of age. Phys Ther 73:300-309,1993

2)Palmer E, et al: The processing of human ballistic movements explored by stimuation over the cortex・J Physiol 481:509-520,1994

3)Vialet F, et al: Performance of a bimanual load-lifting task by parkinsonian patients.J Neurol Neurosurg Psychiatry 50:1274-1283,1987

4)Ng TH, et al: Neuro magnetic brain activity associated with anticipatory postural adjustments for bimanual load lifting.Neuro image 66:343-352,2013

5)Boecker H, et al :Role of the human rostral suppementary motor area and the basal ganglia in motor sequence control. J Neuro physiol 79: 10701080,1998

6) Babinski J: De l’asynergie cerebelleuse.Rev Neurol 7:806-816,1899

7) Imamizu H, et al: Human cerebellar activity reflecting an acquired internal mode of a new tool . Nature 403:192-195,2000

8)Muller F, et al: Impairments of precision grip in two patients with acute unilateral cerebelar lesions:  a simple parametric test for clinicause. Neuro psychologia 32:265-269, 1994

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