【2026年版】顎関節と頭頚部・姿勢の機能的関係に迫る!効果的リハビリアプローチと研究サマリー – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
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【2026年版】顎関節と頭頚部・姿勢の機能的関係に迫る!効果的リハビリアプローチと研究サマリー

Stroke Rehabilitation — Temporomandibular Joint & Postural Control

顎関節の感覚入力が、立位バランスを変える。

顎の位置を変えるだけで、立位の重心動揺速度が最大25%改善する。この事実を、脳卒中患者のバランスリハビリに活かせていますか。咀嚼筋・三叉神経・脳幹を結ぶ顎関節の感覚運動システムを理解し、明日の臨床にすぐ使えるアプローチを習得しましょう。

UPDATED2025
READ約12分
FORPT / OT / ST
BYSTROKE LAB

— 顎位(顎の位置)が立位バランスに与える影響と、脳卒中リハビリへの応用を解説します。

COG Velocity Reduction
25%
食いしばり+閉眼条件で重心動揺速度が安静時比25%減少。顎の感覚運動システムが姿勢安定化に寄与することを示す(Alghadir et al. 2015)。
Study Participants
116
健常成人男性116名(平均年齢31歳)を対象に3種の顎位条件を比較。立位安定性への顎関節の寄与を示したエビデンスの規模。
Influence Pathways
2経路
顎が姿勢に影響するメカニズムは「筋膜的連結」と「神経学的連結(三叉神経)」の2経路。どちらが優位かは患者により異なる。

Quick Reference
忙しい臨床家のための
要点5項目。
01
食いしばり(clenched jaw)で不安定面立位の重心動揺速度が最大25%減少する。開眼条件でも16%の安定化が確認されている(Alghadir et al. 2015・横断研究116名)。
02
主要咀嚼筋4種(側頭筋・咬筋・外側翼突筋・内側翼突筋)は筋膜を通じて頸椎アライメントに直接影響する。過緊張が頸部を引っ張り全身姿勢が崩れる。
03
三叉神経(第V脳神経)→脳幹→前庭核という神経回路が、顎と全身の姿勢制御を結びつける主要な神経基盤となる。
04
顎の適切な位置の目安は「股関節の鉛直線上から少し前方」。頸部筋群との関連が強いため、全身姿勢の中で確認する習慣をつける。
05
介入開始前に必ず麻痺側・非麻痺側の咀嚼筋筋緊張差を触診で確認する。硬い場合と柔らかい場合で介入アプローチが正反対になる。

01
Clinical Encounter

臨床現場でこう出会う。

Case Vignette
脳梗塞後3ヶ月、左片麻痺。バランス訓練を続けても改善が乏しい60代女性。

BBS(Berg Balance Scale:立位バランスを56点満点で評価する尺度)は32点。全身の筋緊張・固有感覚・視覚系はひと通り評価済みだったが、担当PTは改善の糸口をつかめずにいた。

ある日、上司から「顎を触ってみたか?」と言われた。半信半疑で麻痺側(左)の咬筋と側頭筋を触診すると、非麻痺側と比べ明らかに過緊張していた。頭部の左側方傾斜と顎の偏位も視診で確認できた。これが顎関節アプローチのはじまりだった。

脳卒中患者のバランスリハビリは、下肢・体幹に目が向きがちです。しかし顎関節と頭頸部の関係性を見落とすと、訓練効果が天井を打ちやすくなります。「顎も全身の一部として評価する」という視点を持つだけで、見える景色が変わります。

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STROKE LABは脳神経疾患に特化した自費リハビリ施設です。顎関節・頭頸部を含めた全身的な姿勢評価のうえ、最新のエビデンスに基づいたプログラムをご提案します。まずはお気軽にご相談ください。

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02
Definition & Background

顎関節と姿勢制御の定義・背景。

顎関節(TMJ:Temporomandibular Joint)とは、下顎骨の顆頭と側頭骨の下顎窩が関節円板を介して形成する関節です。開口・閉口・咀嚼・発話・嚥下に関わるだけでなく、頭頸部アライメントや全身の姿勢制御とも密接に関連しています。先行研究では、顎関節・頭頸部・肩の複合体が解剖学的・生体力学的・神経学的に協調して働くことが繰り返し示されています。

Key Anatomy
主要な咀嚼筋4種とその役割。

側頭筋(Temporalis):下顎挙上・後退。側頭骨を広く覆う扁平な扇形筋。頭頸部アライメントへの影響が大きく、過緊張で頭部が前方偏位しやすい。

咬筋(Masseter):下顎挙上。顎外側の最も触れやすい筋。脳卒中後に麻痺側での過緊張・低緊張が生じやすく、評価の起点となる。

外側翼突筋(Lateral Pterygoid):下顎前方突出・開口補助。咀嚼リズムの制御に関与。触診しにくいが偏位・クリック音に関係する。

内側翼突筋(Medial Pterygoid):下顎挙上・側方移動。咬筋と協調して咬合力を生み出す。咬合の左右差に関わることが多い。

顎位変化が姿勢制御に影響する3つの先行研究。

01
食いしばりが全身の運動パフォーマンスを高めるGlobal Enhancement

食いしばりは手のグリップ力など他部位の筋活動も増加させます。これは全身的な筋活性化作用であり、バランス課題にも応用できる根拠となります。

02
オクルーザルスプリントが全身姿勢を変えるOcclusal Intervention

オクルーザルスプリント(咬合調整装置)の装着で咀嚼筋の再平衡が誘導され、身体姿勢が改善されることが報告されています(Bracco et al. 2004)。咬合を介した全身への変化を示す証拠です。

03
咬合刺激が足部筋のH反射を促進するNeurological Linkage

歯の咬合がヒラメ筋・前脛骨筋のH反射(脊髄反射弓を介した筋活動の指標)を促進します。咬合力と筋電図活動量の間には正の相関があります(Takada et al. 2000)。顎から足先まで神経的につながっています。

03
Neurological & Fascial Mechanism

顎が姿勢を変える。2つのメカニズム。

「なぜ顎関節が姿勢に関わるのか」は2つのルートで理解できます。一方は筋膜という構造的な連結、もう一方は三叉神経を介した神経学的連結です。この2つをセットで理解しておくことが、臨床判断の基盤になります。

経路① 筋膜の連結性。

Myofascial Chain
顎から足裏まで続く、筋膜の連鎖。

筋膜(fascia)は全身を覆う連続した結合組織です。咀嚼筋は筋膜を介して胸鎖乳突筋・僧帽筋・胸筋・体幹深部筋と連結しています。この連鎖を「スーパーフィシャル・フロント・ライン」などの筋膜ラインで整理すると理解しやすくなります(Myers 2020)。

例えば咬筋・側頭筋の過緊張は胸鎖乳突筋を引っ張り、頭部の前方変位・頸椎の伸展制限を招きます。これが体幹・骨盤の後傾を誘発し、最終的に立位バランスを不安定にする連鎖が生まれます。

経路② 神経学的連結性。

三叉神経(第V脳神経)は顎関節・歯・口腔粘膜からの感覚情報を脳幹に伝える主要な経路です。脳幹の三叉神経核は前庭核・小脳・上位姿勢制御系と密接に結合しており、顎からの感覚入力が全身の筋緊張調整と姿勢反応に影響します。

EVIDENCE — Key Study
Alghadir AH, Zafar H, Iqbal ZA. Effect of three different jaw positions on postural stability during standing. Eur J Dent. 2015;9(1):26-30.

研究デザイン:横断研究(エビデンスレベルⅣ)。健常成人男性116名・平均年齢31歳。不安定面(50×50×15cm発泡体)での静止立位における重心動揺速度(COG速度)を測定した。開眼・閉眼条件下で3種の顎位を比較。

3種の顎位条件:①Resting jaw(安静位:指示なし自然状態)、②Open jaw(口を少し開いた状態)、③Clenched jaw(歯を少し食いしばった状態)。

主要結果:Clenched jawのCOG速度は安静時・開口時と比べて有意に減少(p<0.05)。開眼条件:open jaw −9%、clenched jaw −16%。閉眼条件:open jaw −14%、clenched jaw −25%。

臨床への含意:健常者対象のため脳卒中患者への直接外挿には注意が必要。ただし顎の感覚運動システムが姿勢機構を調節できることを示しており、バランス介入の切り口として参照価値がある。

顎位条件別のCOG速度比較グラフ(Alghadir et al. 2015)

— 顎位条件(安静・開口・食いしばり)による立位COG速度の比較(Alghadir et al. 2015)

顎の感覚運動システムは姿勢機構を調節できる。これは偶然の発見ではなく、解剖学的・神経学的に説明できる事実です。

04
Differential Diagnosis

鑑別診断と類似症候との違い。

バランス障害の原因は多岐にわたります。顎関節由来の姿勢制御障害を他の原因と区別するうえで、以下の比較を参考にしてください。顎位変化テスト(介入前後の立位安定性の目視比較)が鑑別の手がかりになります。

評価観点 顎関節由来の姿勢障害 前庭系由来のバランス障害 小脳性運動失調
主な所見 咀嚼筋の左右差・頭部偏位・顎偏位 めまい・眼振・方向性のある転倒傾向 測定異常・企図振戦・眼球運動障害
顎位変化テストの反応 食いしばりで立位安定性が向上する 顎位変化の影響は限定的 顎位変化の影響は限定的
触診所見 咀嚼筋の左右差・圧痛・筋緊張差 顎周囲の触診所見に乏しい 体幹・四肢の協調性低下が主所見
主な連携職種 PT・OT・ST・歯科 PT・耳鼻科・神経内科 PT・神経内科

05
Assessment Protocol

評価の進め方と評価ツール。

顎関節の評価は大きく4つの観点から行います。評価を系統的に進めることで、介入の優先順位と方向性が定まります。介入前後に同じ評価を繰り返し、効果の有無を確認することも重要です。

Primary Assessment
最初に必ず確認すること
— 評価の優先度:高
麻痺側・非麻痺側の咀嚼筋触診(筋緊張差の確認)
開口量(正常:40〜50mm)と偏位の視診・計測
疼痛の有無(VAS 0〜10点で定量化)
頭頸部アライメントとの関係(視診・触診)
Secondary Assessment
全身評価との統合
— 評価の優先度:中〜高
咬合の左右対称性(咬合紙・視診)
バランステスト(Berg Balance Scale / TUG)
顎位変化前後の立位安定性の目視比較
心理的ストレス・夜間食いしばりの問診
SCORING CRITERIA
開口量評価の基準値と判定方法(完全網羅)

正常(Normal)40〜50mm:上下切歯間距離40mm以上(指3本挿入可能)。スケールまたはゴニオメーターで計測。側方偏位5mm以上で有意な非対称性と判定する。

軽度制限(Mild)30〜40mm:日常生活への影響は少ないが、咀嚼筋の緊張亢進が背景にある場合が多い。筋緊張正常化から介入を始める。

中等度制限(Moderate)20〜30mm:咀嚼・嚥下・発話への影響を確認。STとの連携が必要になるケースがある。

高度制限(Severe)20mm未満:器質的な関節円板障害・線維化・強直の可能性を除外するため、歯科・口腔外科への紹介を検討する。

06
Evidence-Based Intervention

介入の4ステップと実践手順。

介入はPhase 1(評価)→Phase 2(筋緊張正常化)→Phase 3(姿勢連動訓練)→Phase 4(自主トレ移行)の順で進めます。各Phaseでのパラメータを守ることが安全で効果的な介入につながります。

01
Phase 1:評価と状態把握初回〜第2回 / 15〜20分

麻痺側・非麻痺側の咀嚼筋触診・開口量計測・頭頸部アライメント評価を実施します。顎位変化(安静・開口・食いしばり)前後の立位安定性の変化を目視で比較し、顎関節アプローチの有効性を事前確認します。変化がある場合は以降のPhaseへ進む根拠となります。

02
Phase 2:筋緊張の正常化第2〜4回 / 5〜10分

【筋肉が硬い(過緊張)場合】咬筋・側頭筋のマッサージ5分 → ゆっくりした開閉口運動10回×3セット。【筋肉が柔らかい(低緊張)場合】触覚フィードバックを与えながら軽い食いしばり→緩める反復10回×3セット。過度な力は禁忌。常に患者のフィードバックを確認しながら進めます。

03
Phase 3:姿勢連動訓練第4〜12回 / 10〜15分 / 週3〜5回

座位バランス訓練から開始し、顎の開閉と重心移動を組み合わせます。open jaw → clenched jawの交互運動で姿勢安定性を評価します。安定したら立位へ移行。顎を手で支えながら前後・左右への重心移動幅を徐々に拡大します。鏡による視覚フィードバックも有効です。

04
Phase 4:自主トレ移行第8回〜退院後 / 1日2回・各5〜10分

3つのポイントを指導します。①顎の適切な位置(股関節の鉛直線上から少し前方)を鏡で確認させる。②バランス訓練中の過剰な食いしばりを手で確認しながら避ける。③立位が不安定な場合は座位から開始する。ホームプログラムは1日2回・各5〜10分が目標です。

顎関節と姿勢制御の臨床応用イメージ

CLINICAL APPLICATION
三叉神経・舌・頭頸部を活用した3つの応用アプローチ

①顎開閉の交互運動を重心移動と連動:open jaw と clenched jaw を交互に組み合わせ、座位・立位での重心移動訓練に統合します。顎関節周囲の筋活動を高め、姿勢制御を向上させることが期待されます。

②ガムを活用した三叉神経刺激:ガムを噛む動作で三叉神経を活性化し、顎-頭頸部-肩複合体の安定性を高めます。歩行訓練の導入前に短時間実施することで立位準備を整える使い方が可能です。

③舌ポジションの活用:舌を上顎に軽く押し当てる動作を立位・歩行中に加えることで、頸部・肩の筋緊張が調整され姿勢安定に寄与する可能性があります。特にバランスが不安定な患者に試みる価値があります。

顎関節リハビリテーションの自主トレーニングポジション例

— 顎位と重心移動を組み合わせた自主トレーニング例

STROKE LAB代表 金子唯史

Message from CEO
退院後も「もっとよくなれる」と感じているあなたへ。その感覚は正しい。

STROKE LABでは、顎関節・頭頸部を含めた全身的な姿勢評価から、バランス・歩行・上肢機能まで、脳神経系リハビリのスペシャリストが個別プログラムを設計します。まずは無料相談からはじめてみてください。

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07
Interdisciplinary Collaboration

多職種連携と環境調整。

顎関節アプローチは一職種だけで完結しません。各専門職が自分の担当領域で「顎の視点」を持つことで、連携の質が上がります。特にSTとの情報共有は、嚥下と姿勢の両面から患者像を深めるうえで欠かせません。

多職種連携の役割分担。

職種 顎関節との関わり 連携のポイント
PT(理学療法士) バランス・歩行訓練中の顎位確認。不安定面立位での顎位変化テスト実施。 STに咀嚼筋評価の所見を共有。OTと座位バランス時の顎位情報を共有。
OT(作業療法士) 上肢活動・ADL時の顎位と体幹協調性の観察。食事動作時の咀嚼筋活動確認。 食事場面での顎偏位・咬合の左右差をSTと共有する。
ST(言語聴覚士) 嚥下・構音機能と顎関節の連動。口腔周囲筋の評価・訓練。 嚥下訓練の口腔筋知見を姿勢制御訓練に応用できるよう情報共有する。
看護師 日常生活場面での顎の使われ方・夜間食いしばりの観察と記録。 日中の顎緊張の変動(疼痛・ストレス時の変化)を記録・共有する。
歯科・口腔外科 咬合評価・オクルーザルスプリント処方・顎関節症の除外診断。 器質的問題が疑われる場合は早期に紹介を検討する。

先輩臨床家からの一言。

Clinical Insight

「顎関節アプローチを始めた当初、PTだけで完結しようとしていました。でもSTが嚥下訓練で把握している咀嚼筋の情報と共有し始めてから、評価の精度が格段に上がりました。」

「顎の問題に気づいたら、まず歯科に相談するかどうかを主治医に確認する。これが新人に伝えたい一番大切なステップです。器質的な問題を見逃すリスクを減らせます。」

「患者の食事場面を一度見てほしいんです。咀嚼の左右差・頭頸部の動き・体幹の安定性が一気にわかります。評価の宝庫です。」

08
Pitfalls & Clinical Reasoning

Pitfallsと臨床判断のコツ。

顎関節アプローチで新人セラピストが陥りやすい失敗にはパターンがあります。事前に知っておくことで、多くのミスを未然に防げます。

Pitfalls — Don’t make these mistakes
新人臨床家が陥りやすい3つの罠。
!
「強く食いしばれ」と指示してしまう:食いしばりは「軽度〜中等度」が効果的です。過度な食いしばりは顎関節への過負荷・疼痛増悪・咀嚼筋の廃用を招きます。患者の顎を手で触れながら筋緊張が過剰にならない範囲で調節してください。「軽くぐっと噛む程度」の声かけが適切です。
!
顎だけを局所治療して全身姿勢を無視する:顎関節の治療効果は、頭頸部・体幹の姿勢が整った状態で最大化します。「顎の運動だけ」をするのではなく、常に全身アライメントを確認しながら進めてください。治療中の姿勢を定期的に再評価する習慣が大切です。
!
麻痺側の咀嚼筋評価を忘れる:脳卒中後は麻痺側の咀嚼筋にも変化が生じます。非麻痺側だけを評価すると非対称性の本当の原因を見誤ります。初回評価で必ず両側を触診し、左右差を記録してください。麻痺側が過緊張か低緊張かで介入の方向性が正反対になります。

臨床判断の分岐点。

Mentor’s Voice

「顎位を変えてバランスが改善しなければ、主因は別にある。前庭・視覚・体性感覚など別の系を疑って評価しなおす。顎関節アプローチはスクリーニングとしても機能するんです。」

「痛みがある患者に顎を動かすのは慎重に。まず疼痛管理(冷却・温熱・マッサージ)をしてから運動に移る。急がば回れです。」

顎関節は繊細な構造です。「少し動かして、患者の反応を確認する」が介入の鉄則です。

顎関節リハビリテーションの自主トレーニング注意点

09
Prognosis & Goal Setting

予後とゴール設定。

顎関節アプローチの効果は、介入開始から比較的早期(1〜4週)に立位安定性の変化として現れることが多いです。ただし以下の因子が予後に影響するため、ゴール設定の前に確認しておきましょう。

Prognostic Factors
予後を左右する4つの因子。

①麻痺の程度:重度片麻痺では顎の感覚運動フィードバックの活用自体が困難なことがあります。軽〜中等度麻痺が最も効果的なターゲットです。

②認知機能:顎位の意識的なコントロールには一定の認知機能が必要です。MMSE 20点以上を目安として指導可能性を判断してください。

③感覚障害の有無:顎関節周囲の触覚・固有感覚が低下している場合、外部からの手がかり(セラピストが顎を触れるなど)を補助的に使うと有効です。

④心理的ストレス:ストレス・不安が高い患者は夜間の食いしばりにより顎関節の状態が日々変動します。ストレス管理と組み合わせたアプローチが効果的です。

ゴール設定は「顎の改善」ではなく「立位・歩行の安定性向上」や「転倒リスクの低減」に置くことで、患者・家族への説明もしやすくなります。

10
Frequently Asked Questions

よくある質問。

Q.顎関節と姿勢制御は本当に関係があるのですか?
A.

はい、関係があります。顎関節周囲の咀嚼筋は筋膜を通じて頸部・肩・体幹の筋肉と連結しており、三叉神経を介して脳幹の姿勢制御系に直接影響します。

Alghadir et al.(2015)の研究では、食いしばり状態で立位の重心動揺速度が最大25%減少することが示されており、介入の根拠として参照できます。

Q.食いしばり(clenched jaw)はバランス改善に有効ですか?
A.

有効である可能性が示されています。Alghadir et al.(2015)によると、開眼条件では安静時比16%、閉眼条件では25%のCOG速度減少が確認されました。

ただし過剰な食いしばりは顎関節への負担となります。「軽くぐっと噛む程度」で実施し、常に患者の反応を確認しながら強度を調節してください。

Q.脳卒中患者への顎関節アプローチで最初に確認すべきことは何ですか?
A.

麻痺側・非麻痺側の咀嚼筋の筋緊張差を触診で確認することが最初のステップです。硬い(過緊張)か柔らかい(低緊張)かで介入アプローチが正反対になります。

次に開口量(正常40〜50mm)と偏位、疼痛の有無、頭頸部アライメントとの関係を確認してください。

Q.顎関節の感覚入力を活用した具体的なリハビリの進め方を教えてください。
A.

Phase1(評価)→Phase2(筋緊張正常化)→Phase3(姿勢連動訓練)→Phase4(自主トレ移行)の4段階で進めます。

Phase3では座位・立位バランス訓練に顎の開閉運動を組み合わせ、1セッション10〜15分・週3〜5回を目安に実施します。open jaw → clenched jawの交互運動が特に有効です。

Q.三叉神経が姿勢制御に関わるメカニズムを教えてください。
A.

三叉神経(第V脳神経)は顎関節・歯・口腔粘膜からの感覚情報を脳幹に伝えます。脳幹では前庭核・小脳との統合が行われ、頭頸部の姿勢制御や全身バランス調節に影響します。

また、歯の咬合刺激がヒラメ筋・前脛骨筋のH反射(脊髄反射弓を介した筋活動指標)を促進することも報告されており(Takada et al. 2000)、顎の感覚が足部の筋活動にまで影響することが示されています。

Q.自主トレに顎関節運動を取り入れる際のポイントは何ですか?
A.

3つのポイントを守ってください。①顎の適切な位置は股関節の鉛直線上より少し前方。②バランス練習中は過剰な食いしばりを避ける(手で確認しながら行う)。③立位が不安定な場合は座位から開始する。

麻痺側・非麻痺側の筋緊張差を事前に確認してから種目を選択することが、安全で効果的な自主トレの前提条件です。

11
Our Program

STROKE LABのプログラム。

STROKE LABは脳神経疾患に特化した自費リハビリ施設です。顎関節・頭頸部を含めた全身的な姿勢評価から、バランス・歩行・上肢機能まで、脳科学・徒手技術に特化した専門スタッフが個別プログラムを設計します。退院後も「もっとよくなりたい」という思いに全力でお応えします。

Our Strengths
STROKE LABの強み
— 脳神経専門の自費リハビリ施設
顎関節・頭頸部を含む全身的姿勢評価
脳科学・徒手技術に特化した専門プログラム
最新エビデンスに基づく個別プログラム設計
退院後から在宅までの継続的サポート
What We Can Do
取り組める内容
— バランス・歩行・日常生活動作
顎関節・頭頸部アプローチによるバランス改善
転倒リスク評価と予防訓練
上肢・手指機能の回復訓練
日常生活動作・家事・外出の改善

— STROKE LABでの脳卒中リハビリテーションの実際の様子です。

Voice from Mentors

「顎関節の視点を持つようになってから、バランス訓練の引き出しが一気に増えました。どうしてもBBSが伸び悩む患者さんに対して、顎へのアプローチが突破口になったことが何度もあります。」— PT・臨床経験10年・神経系リハビリ専門

「嚥下訓練で顎関節周囲を評価していたら、立位バランスの変化と連動していることに気づきました。PT・OT・STで情報共有するようになってから、患者さんの全体像が格段に見えやすくなりました。」— ST・臨床経験8年・嚥下・姿勢制御専門

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バランスが不安定で、転倒が怖い。
その悩みを、諦めないでください。

STROKE LAB代表 金子唯史 ポートレート

退院後に「もうよくならない」と感じている方に、ぜひ伝えたいことがあります。脳の回復力は、私たちが思っている以上に長い期間続きます。顎関節のような「見落とされがちな視点」を加えることで、停滞していた改善が動き出すケースは少なくありません。

STROKE LABでは、脳神経科学の最新知見と徒手技術を組み合わせた個別最適なリハビリプログラムを提供しています。顎・頭頸部から全身の姿勢制御まで、諦めずに一緒に取り組みましょう。

まずは無料相談から。あなたの状況をしっかりお伺いしたうえで、何ができるかを一緒に考えます。

株式会社STROKE LAB
代表取締役 金子 唯史

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References

参考文献。

01Alghadir AH, Zafar H, Iqbal ZA. Effect of three different jaw positions on postural stability during standing. Eur J Dent. 2015;9(1):26-30. PMCID: PMC4520673.
02Bracco P, Deregibus A, Piscetta R, et al. Effects of different jaw relations on postural stability in human subjects. Neurosci Lett. 2004;356(3):228-230.
03Takada T, Miyahara T, Mori S, Naito M. Effects of voluntary clenching on body balance control. J Dent Res. 2000;79(Special Issue).
04Eriksson PO, Häggman-Henrikson B, Nordh E, et al. Co-ordinated mandibular and head-neck movements during rhythmic jaw activities in man. J Dent Res. 2000;79(6):1378-1384.
05Ferrario VF, Sforza C, Schmitz JH, et al. Occlusion and center of foot pressure variation: is there a relationship? J Prosthet Dent. 1996;76(3):302-308.
06Myers TW. Anatomy Trains: Myofascial Meridians for Manual and Movement Therapists. 4th ed. Churchill Livingstone; 2020.
07Sakaguchi K, Mehta NR, Abdallah EF, et al. Examination of the relationship between mandibular position and body posture. Cranio. 2007;25(4):237-249.
08Hellmann D, Giannakopoulos NN, Blaser R, et al. The effect of various jaw motor tasks on body posture. J Oral Rehabil. 2011;38(9):632-639.
09金子唯史. 脳卒中の動作分析. 医学書院. 2018.
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