ケンケンが続かない子|片脚支持・足首・体幹の見方
1回は跳べる。でも、次の一歩につながらない子へ
ケンケンが続かないと、「足が弱いのかな」「バランスが悪いのかな」と考えがちです。ですが実際には、片脚で支える、跳ぶ、同じ足で着地する、体を立て直して次へつなげるという一連の流れのどこで止まっているかを分けてみることが大切です。この記事では、家庭での見方、相談の目安、そして専門施設で何ができるかを整理します。

ケンケンが続かないのは、どんな状態?
ケンケンが難しい子には、いくつかのタイプがあります。まったく跳べない子もいれば、1回は跳べるけれど、その次が続かない子もいます。本記事では、1回はできるのに、同じ足での連続した跳躍につながらないケースを中心に考えます。
このテーマでは、「筋力がないから」「体幹が弱いから」と一つの言葉でまとめないことが大切です。ケンケンは、片脚で体を支える力、床を押して浮かせる力、同じ足で着地して受け止める力、そして次の跳躍へつなげる調整が合わさって成り立っています。

どこで止まるのかを分けて見る
ケンケンは、次のような流れで見ていくとわかりやすくなります。
特に大切なのは、「同じ足で着地する」「立て直す」「もう一度跳ぶ」という後半の流れです。片足立ちはできても、ケンケンになると止まる子は、この切り替えの難しさをもっていることがあります。
家庭で見たい4つの観察点
① 1回目と2回目以降で何が違うか
1回目は跳べるのに、2回目で反対の足がつくなら、踏み切りよりも着地後の立て直しが難しい可能性があります。
② その場ではできるか、前へ進むと崩れるか
その場では続くのに、前進すると左右へ流れる場合は、前方への重心移動や着地位置の調整が鍵になることがあります。
③ 右と左で差があるか
回数だけでなく、着地音、体幹の傾き、怖がり方、疲れやすさも比べます。左右差が大きいときは、支える足や押し出す足の使い方が違うことがあります。
④ 最初と疲れた後で質が変わるか
最初はできても、繰り返すと着地が硬くなる、体幹が倒れる、反対足がつく場合は、持久性や集中の保ちやすさも含めて考える必要があります。

家庭でできる関わり
家庭では、「たくさん跳ばせる」よりも、失敗が続きすぎない条件で、目標の動きを短く反復することが大切です。
| 関わり方 | ねらい |
|---|---|
| 床に印を1つ置き、そこへ同じ足で着地する遊び | 着地位置と重心の戻しやすさを助ける |
| 最初は2〜3回だけ成功したら終える | 失敗の積み重ねを避け、成功の感覚を残す |
| 右左を比べつつ、得意な足から始める | 怖さを下げ、動きのイメージをつくりやすくする |
| 疲れて崩れる前に休憩する | 動きの質を保ちながら反復しやすくする |
1. ケンケンだけを直接扱う研究は限られますが、小児リハでは、本人や家族が選んだ目標動作そのものを練習する課題ベースの介入が重視されています。
Jackman M, et al. Dev Med Child Neurol. 2022;64(5):536-549.
2. 家庭で続けやすい形へ落とし込むこと、生活の目標と結びつけることは、訓練室の練習を生活に移すうえで大切です。
Novak I, et al. Occup Ther Int. 2019;2019:7057084.
3. 研究で支持される考え方があっても、年齢、背景、得意不得意、練習量、園や学校での条件によって結果は変わります。同じ方法がすべての子に合うとは限りません。
※ これらは一般的な介入原理や生活実装の知見です。ケンケンが続かない子すべてに同じ効果を保証するものではなく、医学的評価の代替でもありません。
相談を考えたいサイン
| 様子を見ながら遊びで経験を増やしやすい場合 | 相談を考えたい場合 |
|---|---|
| 4歳頃で獲得途中に見える | 5歳以降も明らかに難しい |
| 練習すれば少しずつ回数が増える | 右左差が大きい、いつも同じ側だけ極端に苦手 |
| 他の遊びや走る動作に大きな困りがない | 走る、階段、両足跳び、スキップなど他の動きにも困りがある |
| 痛みや急な変化がない | 痛み、跛行、急なできにくさ、転倒増加がある |
- 右足と左足で差があるか
- 1回目はできるか、2回目以降で止まるか
- その場と前進で変わるか
- 疲れると崩れるか
- 痛みや転倒があるか
- 園や学校で困っている場面
- 短い動画を撮っておくと伝わりやすい
家庭では安全と成功しやすさを整えることが中心です。専門施設では、片脚支持、着地、足首や股関節の使い方、体幹の立て直し、タイミング、疲労、園や学校での再現性までを評価し、介入の順番と量を設計します。診断や投薬などの医学的判断は主治医が担い、私たちは生活機能の改善を併走します。
専門施設で、さらに期待できること
専門施設では、「ケンケンができるようにする」だけを目標にしません。目指すのは、遊びや体育で使える力へつなげることです。そのために、回数だけでなく、動きの質、怖さ、疲労、集団の中での再現しやすさまで含めて考えます。
| 評価領域 | 何を見るか | 介入選択にどうつながるか |
|---|---|---|
| 片脚支持とアライメント | 足部、膝、股関節、骨盤の位置 | 着地を受け止める練習を先にするか、踏み切りへ進めるかを判断する |
| 着地と再踏み切り | 同じ足で受け止めて、もう一度押し出せるか | 小さい連続跳躍から始めるか、前進を加えるかを決める |
| 体幹と重心制御 | 体幹の傾き、腕の使い方、反対脚の動き | 姿勢の整え方や視線・腕の条件をどう設定するかが変わる |
| タイミングと注意 | 自由なリズムと合図ありで差が出るか | 外的な合図を使うか、減らしていくかを決める |
| 疲労と生活場面 | 繰り返した後の質、園や学校での違い | 練習量、休憩、生活への移し方を設計する |
| 介入系統 | 対象となるボトルネック | なぜ選ぶか | 生活で期待する変化 |
|---|---|---|---|
| 着地と再荷重の練習 | 2回目で止まる、同じ足で受け止めにくい | 連続性の鍵が着地後の立て直しにあるため | ケンケンパや園庭遊びで続けやすくなる |
| 足首・膝・股関節の連動づくり | 押し出しが弱い、着地が硬い | 力を単独で鍛えるより、動作の中でつなげる必要があるため | 前へ進むケンケンや短い連続跳躍が安定しやすくなる |
| 体幹・腕・反対脚を含めた重心調整 | 体が横へ流れる、姿勢が崩れる | 足だけでなく全身で片脚動作を支えているため | 狭い場所や線の上でも動きが保ちやすくなる |
| リズム・課題練習・般化設計 | 一人ではできるが、遊びや体育で崩れる | 訓練室での成功を生活の中で使える形へ移すため | 友だちとの遊びや集団活動へ参加しやすくなる |
ケンケンが続かない子を、「筋力不足」や「体幹が弱い」の一言でまとめると、どこに働きかければ変わるのかが見えにくくなります。私たちはまず、1回目の踏み切りで止まるのか、2回目の着地で止まるのか、前へ進むと崩れるのか、疲労で質が落ちるのかを分けて見ます。
臨床では、足首だけ、体幹だけを単独で整えるのではなく、着地したあとに重心を支持脚の上へ戻せるか、腕や反対脚を使うと安定するのか、その場ではよいのに前進で崩れるのかといった、実際に見える現象を手がかりにします。ここがわかると、何を先に練習するか、どこから難易度を上げるかが変わります。
介入では、まず成功率を保てる小さな条件から始めます。同じ足での着地が安定してきたら、跳ぶ距離、前進、リズム、方向転換、ケンケンパといった要素を一つずつ増やします。その場での反応を確認し、よい変化が見えれば次の条件へ進みます。難しすぎる課題で失敗を重ねるより、少し頑張ればできる条件で反復するほうが、学習が進みやすいからです。
最後に大切なのは、訓練室でできたことを生活へ移すことです。園庭のケンケンパ、体育の導入、友だちとの遊びなど、実際の参加場面に合わせて課題を変換し、一定期間後にもう一度同じ目標で見直します。できる力を、使える力に変えることが、専門施設の役割です。
疾患特異的な根拠
ケンケンの困難そのものを対象にした強い研究は多くありません。このため、症状だけで一律に方法を決めず、個別の観察にもとづく設計が重要です。
介入原理の根拠
本人や家族が選んだ目標、目標動作そのものの練習、難易度と量の調整は、小児リハで広く重視される介入原理です。
Jackman M, et al. Dev Med Child Neurol. 2022;64(5):536-549.
生活実装の根拠
家庭や学校で再現できる短いプログラム、家族が続けやすい方法への変換は、生活への般化を考えるうえで重要です。
Novak I, et al. Occup Ther Int. 2019;2019:7057084.
※ 年齢、背景、診断、重症度、練習量、園や学校の環境により、見通しや反応は変わります。ここで述べる内容は、医学的治療の代替ではありません。

家庭では、生活を守りながら楽しく経験を増やすことが大切です。専門施設では、その続きを担います。評価にもとづいて複数の方法を組み合わせ、できる力を生活で使える力へつなぐことが目標です。
よくある質問
STROKE LABの小児リハビリ
STROKE LABでは、お子さんの「できない動き」を、単なる苦手さで終わらせず、片脚支持、着地、重心移動、リズム、疲労、参加場面といった視点に分けて評価します。そのうえで、家庭では続けやすく、園や学校では使いやすい形へつなげていくことを大切にしています。

お子さんの動きの見方に迷うときは、家庭での観察だけでは整理しにくいこともあります。STROKE LABでは、動きの仕組みを分けて評価し、ご家庭や園・学校で実践しやすい形に整理してお伝えします。

医学書院『脳の機能解剖とリハビリテーション』では、脳・身体・動作をつなぐ視点をわかりやすく解説しています。小児の動きを考えるときにも、機能解剖と動作分析の考え方が土台になります。
- 小児リハビリのご案内
- 3歳で片足立ち・ケンケンが苦手な子の記事
- スキップができない子の記事
- 平均台を怖がる子の記事
- 動きがぎこちない・運動が苦手の記事
- Jackman M, et al. Dev Med Child Neurol. 2022;64(5):536-549.
- Novak I, et al. Occup Ther Int. 2019;2019:7057084.
- Centers for Disease Control and Prevention. Act Early developmental milestones.
- 金子唯史. 脳の機能解剖とリハビリテーション. 医学書院, 2024.

1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024) パーキンソン病の機能促進:医学書院 (2025)