公園遊びが苦手な子|遊具・感覚・姿勢のどこでつまずくか
「遊ばない」のではなく、どの刺激や動作で参加しにくくなるのかを分けて考えます
公園に行っても遊具へ近づかない。ブランコや滑り台を怖がる。友だちは楽しそうなのに、うちの子だけ止まってしまう。そんなとき大切なのは、「遊具が苦手かどうか」ではなく、「どの場面で止まりやすいか」を分けて見ることです。感覚だけで決めつけず、姿勢、動作の手順、見え方、環境、そして子どもの不安や成功体験まで含めて整理します。

公園遊びが苦手でも、すぐに診断名とは限りません
公園に行っても遊具で遊ばないと、「怖がりなのかな」「感覚が過敏なのかな」「運動が苦手なのかな」と気になります。ですが、遊具を避けるという一つの行動だけで、発達の問題や診断名を決めることはできません。
たとえば、揺れそのものが苦手な子もいれば、何をどう始めればよいか分からず止まっている子もいます。高い場所は大丈夫でも、動いている最中に体を支えることが難しい子もいます。友だちが多いと急に遊べなくなる子もいます。大切なのは、どの遊具が苦手かより、どの局面で止まるかを具体的に見ることです。
同じ滑り台でも、階段は登れるのに座れない子、滑るのはできるのに着地で崩れる子、友だちが後ろに並ぶと急に固まる子がいます。困りごとを分けて見ると、支え方も変わります。
公園遊びは、感覚、姿勢、動作の組み立て、見え方、周囲の環境、そして子どもの気持ちが重なってできています。
STROKE LABの視点|遊具別ではなく「流れ」で見る
私たちは、公園遊びを「ブランコができるか」「滑り台ができるか」という結果だけでは見ません。公園遊びには、遊具へ近づく、順番を待つ、乗る、動く、止まる、降りる、もう一度やる、友だちと続ける、という流れがあります。どこで止まりやすいかによって、必要な配慮も変わります。
STROKE LABの視点
よくある単純化は、「感覚が苦手だから」「体幹が弱いから」で止まってしまうことです。しかし実際には、同じ遊具でも、自分で始めるのはできるが、他の子のスピードに合わせると崩れる、空いている公園ならできるが、園庭では止まるといった差が見られます。
つまり、公園遊びは身体機能だけでなく、課題の複雑さ、時間の余裕、周囲の人数、予測のしやすさ、成功経験によっても変わります。だからこそ、生活場面そのものに近い見立てが必要になります。

遊具別ではなく「どこで止まるか」を見る
| 場面 | 見たいポイント | 背景として考えること |
|---|---|---|
| 近づく・待つ | 遠くから見るだけか、触れられるか、順番待ちで崩れるか | 新しさ、混雑、音、人との距離、不安、見通しの持ちにくさ |
| 乗る・登る | 足をどこに置くか分かるか、両手支持が使えるか、片脚へ乗れるか | 姿勢制御、手足の順序、空間の見え方、高さへの不安 |
| 動いている最中 | 体を起こしていられるか、視線が安定するか、自分で動きを調整できるか | 揺れや速度の予測、体幹の安定、自己発生運動と他動運動の差 |
| 止まる・降りる | 終わるタイミングが分かるか、着地で崩れないか、後ろ向きに降りられるか | 制動、姿勢切り替え、着地予測、次の動作へのつなぎ |
| 繰り返す・友だちと続ける | 一度できても続かないか、友だちが来ると止まるか、疲れると崩れるか | 持久力、注意の切り替え、社会的負荷、成功率、疲労後の変化 |
たとえば、ブランコを怖がる子でも、自分でゆっくり揺らすのはできるのに、大人が後ろから押すと急に固まることがあります。これは単純な「揺れが苦手」ではなく、いつ動くかを予測できるか、自分で止められる感覚があるかが関係しているかもしれません。
また、静かな公園ではできるのに、園庭や友だちの多い時間帯ではうまくいかない場合、運動の問題だけでなく、周囲の刺激量や時間的な焦りが重なっていることもあります。ここを見分けると、支援の方向が変わります。
家庭・園でできる配慮
| 配慮の例 | ねらい |
|---|---|
| 見る、触る、一段登る、短時間だけ乗るなど小さく区切る | 成功しやすい工程から始める |
| 高さ、速さ、混雑、介助量を一度に変えない | 何が難しさを増やしているか見えやすくする |
| 「次はここに手」「終わったら降りる」など短く具体的に伝える | 手順を分かりやすくする |
| 混雑しにくい時間帯や遊具を選ぶ | 環境の負荷を下げる |
| 子どもが始める・やめるを選べるようにする | 安心感と自己効力感を保つ |
気をつけたいのは、苦手そうだからといって「何度もやれば慣れる」と無理に繰り返さないことです。怖さが強いまま続けると、公園そのものを嫌がることもあります。保護者や先生が細かく操作しすぎるより、できる一歩を見つけて、終わり方まで含めて成功経験にするほうが、次につながりやすくなります。

相談したい目安
| 様子を見ながらよいことが多い例 | 相談が安心な例 |
|---|---|
| 特定の遊具だけ苦手だが、他の遊びには参加できる | 公園以外にも、階段、着替え、食事、体育、休み時間など複数場面で困る |
| 時間や慣れで少しずつ参加が増えている | 転倒や衝突が多く、けがを繰り返す |
| 混雑しない条件では遊べる | 左右差、痛み、極端な疲れやすさがある |
| 本人が「今日はやめる」と言えており、不安が強く残っていない | 以前できていたことができなくなった、または参加が明らかに狭まっている |
また、急な脱力、強い痛み、意識の変化、けいれんのような動き、いつもと違う歩き方や明らかな麻痺がある場合は、公園遊びの相談として様子を見るのではなく、医療機関への相談を優先してください。
研究でわかっていること
専門施設で、さらに期待できること
専門施設の役割は、「苦手な遊具を練習する場所」だけではありません。目指すのは、子ども本人と家族が選んだ参加目標を、実際の生活の中で達成しやすくすることです。たとえば「きょうだいと滑り台を1回楽しむ」「園庭でブランコに自分で乗れる」「休み時間に立ち尽くす時間を減らす」といった目標です。
| 評価で見る領域 | 何を見るか | 介入選択にどうつながるか |
|---|---|---|
| 姿勢・運動 | 体幹の立ち直り、両手支持、片脚荷重、着地、制動 | どの遊具のどの局面で姿勢補助や段階づけが必要かを決める |
| 感覚・予測 | 揺れ、高さ、速度、自分で動かす時と他者に動かされる時の差 | 刺激量の調整や開始・停止の自己選択が必要かを見立てる |
| 動作の組み立て | 手足の順序、始め方、終わり方、次の工程への移行 | 課題を細かく分けるか、見本や目印が必要かを決める |
| 情緒・参加 | 失敗経験、不安の強さ、自分から選べるか、友だちと続けられるか | 成功率や自己効力感を保てる課題設定に反映する |
| 環境・課題 | 時間帯、人数、遊具の高さ、園庭か公園か、先生や家族の関わり方 | 生活へ般化するために、どの条件を先に変えるかを決める |
公園遊びの困りごとは、筋力だけの問題ではありません。回数を増やすだけでも、生活に移るとは限りません。たとえばブランコが怖い子でも、足が床についた状態なら笑顔でいられるのか、自分で揺らすのはできるのか、後ろから押されると止まるのかで、ボトルネックは変わります。
私たちは、機能解剖と動作分析から、どこで姿勢反応が追いつかないのか、どこで予測が崩れるのか、どこで動作の手順がつながらないのかを仮説化します。そのうえで、課題そのものの練習、感覚条件の調整、手順の見える化、環境設計を組み合わせます。
その場では、成功率、必要な介助量、疲労後の変化、別条件での再現性を見ます。特に、静かな場面ではできるが他児が入ると崩れるか、午前はできるが疲れた午後に崩れるかは、生活への般化を考えるうえで重要な観察点です。
最後は、家庭や園庭で試せる形へ変換します。保護者や先生にお願いするのは、療法士のような訓練ではなく、短く、続けやすく、失敗を増やさない工夫です。そして一定期間後に、同じ目標場面で再評価します。
| 介入系統 | 対象となる困りごと | 生活で期待する変化 |
|---|---|---|
| 目標遊具そのものの課題練習 | 手順が分からない、始め方や終わり方が難しい | 遊具の一工程を自分で行える |
| 感覚・姿勢条件の段階調整 | 揺れ、高さ、速度、足が浮く不安、姿勢保持の難しさ | 自分で開始・停止を選びながら参加しやすくなる |
| 問題解決と運動学習 | 毎回指示を待つ、初めての遊具で止まりやすい | 子ども自身が試し方を考えられる |
| 家庭・園学校への般化設計 | 施設ではできるが公園や園庭で使えない | 実際の参加時間、介助量、再挑戦のしやすさが変わる |

家庭・園・学校へのつなげ方
訓練室でできることと、公園や園庭で実際に使えることは同じではありません。そのため、般化の指標を最初から決めておくことが大切です。たとえば、次のような変化を見ていきます。
- ブランコに自分から近づく回数
- 滑り台の階段を途中までではなく最後まで登れるか
- 遊びを途中でやめた後に、もう一度試す気持ちが残るか
- 園庭の自由遊びで、立ち尽くす時間が減るか
- 公園のあとに極端な疲れや癇癪が減るか
家庭では生活を守る工夫を。専門施設では、評価にもとづいて複数の方法を組み合わせ、できる力を生活で使える力へつなぎます。対立ではなく、連続した支援として考えることが大切です。
よくある質問
STROKE LABの小児リハ
STROKE LABでは、子どもの動きを単に「苦手」とまとめず、何が参加を止めているのかを整理し、家庭や学校で使える形へつなげる支援を行っています。公園遊びや園生活、体育場面での困りごとが続くときはご相談ください。

発達や参加の困りごとは、診断名だけでも、気持ちの問題だけでも説明しきれません。STROKE LABでは、評価にもとづいて生活へつながる支援を組み立てます。

医学書院『脳の機能解剖とリハビリテーション』(2024年・408頁)
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参考文献
- 国立障害者リハビリテーションセンター 発達障害ナビポータル. 発達性協調運動症(DCD). https://hattatsu.go.jp/supporter/healthcare_health/about-dcd/
- 厚生労働省. 発達性協調運動症(DCD)のあるこどもの理解と支援のために. https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001122260.pdf
- Blank R, et al. European Academy for Childhood Disability (EACD): recommendations on the definition, diagnosis, assessment, intervention, and psychosocial aspects of developmental coordination disorder. Eur J Paediatr Neurol. 2019.
- Smits-Engelsman BCM, et al. Clinical practice recommendations for developmental coordination disorder. Pediatr Phys Ther. 2025. 公開前に巻号・頁確認。
- Novak I, Honan I. Effectiveness of paediatric occupational therapy for children with disabilities: A systematic review. Occup Ther Int. 2019;2019:7057084.
- 医学書院. 脳の機能解剖とリハビリテーション. 2024.

1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024) パーキンソン病の機能促進:医学書院 (2025)