【2026年版】側頭葉内側部の解剖とリハビリ:MMSE評価から、記憶・感情・空間認識を改善する! – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
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【2026年版】側頭葉内側部の解剖とリハビリ:MMSE評価から、記憶・感情・空間認識を改善する!

Clinical Neuroscience — Medial Temporal Lobe Rehabilitation

側頭葉内側部は、なぜ記憶・空間・感情のすべてを司るのか。

海馬・扁桃体・嗅内皮質・海馬傍回——これら4構造が集まる側頭葉内側部(MTL)は、脳卒中・アルツハイマー病・側頭葉てんかんで最も早期に影響を受ける領域のひとつです。評価・介入・多職種連携の根拠を体系的に理解することで、臨床アウトカムは確実に変わります。

UPDATED2025
READ約15分
FORPT / OT / ST
BYSTROKE LAB

— 側頭葉内側部の解剖・機能・臨床応用をSTROKE LAB代表 金子唯史が解説します。

MEMORY IMPAIRMENT
60%以上
脳卒中患者のうち記憶障害を呈する割合。MTL損傷が主要因のひとつ。
MMSE CUTOFF
24
認知機能正常域の下限。18〜23点が軽度、18点未満が重度認知障害の目安。
REHAB FREQUENCY
週2回×3か月
運動学習の効果を最大化するために科学的に推奨される最低頻度・継続期間。

Quick Reference
忙しい臨床家のための
要点5項目。
01
MTLの主要4構造(海馬・扁桃体・嗅内皮質・海馬傍回)は、それぞれ異なる認知機能を担い、損傷部位によって症状が異なります。
02
MMSEは30点満点。24点以上が正常、18〜23点が軽度認知障害、18点未満が重度の目安です。各設問が関与する脳領域を理解すると評価解釈の精度が上がります。
03
記憶障害には「エラーレス・ラーニング」が有効です。誤りを経験させない学習環境を設定し、正しい行動パターンを繰り返し強化します。
04
空間ナビゲーション障害には、環境内のガイドツアー・視覚的標識・段階的な方向指示練習が効果的です。VR訓練のエビデンスも蓄積されています。
05
画像読解では冠状断・軸状断の両方でMTLを評価します。海馬の「タツノオトシゴ形状」と側脳室側頭角との位置関係が同定の基準になります。

01
Clinical Encounter

臨床現場でのMTL損傷との出会い。

Case Vignette
石川さん(仮名):「また同じ質問を繰り返す」「病棟で迷子になる」——それはMTL損傷のサインかもしれません。

田中先生(PT)が入院直後の石川さんに出会ったとき、石川さんは部屋が暗く不安な様子で座っていました。「院内で迷ってしまう」「予定がよくわからない」と繰り返し訴え、同じ質問が続きました。

このような患者像は、脳卒中後や神経変性疾患の初期に頻繁に遭遇します。「どの構造が傷ついているか」を意識した評価が、介入の質を根本から変えます。

側頭葉内側部(Medial Temporal Lobe: MTL)の損傷は、脳卒中・アルツハイマー病・側頭葉てんかんなど多様な疾患で生じます。新人臨床家が「なんとなく記憶が悪い患者」と漠然ととらえがちな症状の背景に、実は解剖学的に明確な責任病巣があります。

本記事では「リハビリテーションのための臨床脳科学シリーズ」(STROKE LAB代表 金子唯史 著)の内容をベースに、MTLの解剖・機能・評価・介入を体系的に解説します。

脳の機能解剖とリハビリテーション 書籍イメージ

— STROKE LAB代表 金子唯史 著『脳の機能解剖とリハビリテーション』(医学書院)を参照

02
Anatomy & Epidemiology

側頭葉内側部の解剖と疫学。

MTLは側頭葉の深部、脳の正中線付近に位置し、側脳室の側頭角に隣接しています。この領域には以下の4つの重要構造が含まれます。

内側側頭葉の位置と構造 MRI解剖図

— 内側側頭葉の解剖学的位置。海馬・扁桃体・嗅内皮質・海馬傍回の配置を示す。

MTLの4主要構造と機能

01
海馬(Hippocampus)記憶形成

短期記憶を長期記憶に定着させる中枢です。側脳室側頭角の中で丸まった構造として位置し、空間ナビゲーションも担います。損傷すると前向性健忘(新しい記憶が作れない状態)が生じます。

02
扁桃体(Amygdala)感情処理

アーモンド形の構造で、恐怖・快楽などの感情処理と、感情に紐づく記憶の強化を担います。損傷すると他者の感情表情の読み取りが困難になったり、不安感が増大したりします。

03
嗅内皮質(Entorhinal Cortex)記憶インターフェース

海馬と大脳新皮質をつなぐ主要なゲートウェイです。前頭葉・側頭葉・頭頂葉からの情報を統合して海馬へ送ります。アルツハイマー病では最初期に変性が始まる領域として知られています。

04
海馬傍回(Parahippocampal Gyrus)空間・文脈記憶

MTLの下面を形成し、記憶の符号化・検索と空間認識に関わります。冠状断MRIでは側脳室側頭角底部に沿うリボン状の皮質組織として確認できます。

血液供給:後大脳動脈(PCA)

後大脳動脈と内側側頭葉への血液供給

— 後大脳動脈(PCA)とその分枝。P2分枝・海馬枝が主要な供給源。

Blood Supply Summary
MTLへの血液供給は4経路から成ります。

①PCA・P2分枝:下側頭葉・内側側頭葉全体に供給。②海馬枝:P2セグメントから分岐し海馬に直接栄養を供給。

③前脈絡動脈:扁桃体・鉤骨への供給に寄与。④MCA前側頭枝:内側側頭葉前外側部への側副循環。PCA梗塞では記憶障害が主症状として出現します。

STROKE LABでの無料相談の様子

— ご本人・ご家族の状況を丁寧にお伺いします

Free Consultation
「退院後も回復を続けたい」
そのお気持ちに、専門家が応えます。

STROKE LABは脳神経系に特化した自費リハビリ施設です。記憶・空間認知・感情調節など高次脳機能へのアプローチも、エビデンスに基づいた個別プログラムでサポートします。まずはお気軽にご相談ください。

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03
Neural Networks & Mechanism

神経ネットワークと責任病巣。

MTL内の各構造は独立して機能するのではなく、互いに密な双方向ネットワークを形成しています。この「ループ構造」を理解することが、介入設計の基礎になります。

嗅内皮質から海馬への神経ネットワーク

— 嗅内皮質を介した新皮質⇔海馬の双方向情報経路

4つの主要ネットワーク

Network Overview
MTL内の情報はこのルートを流れます。

① 嗅内皮質→海馬経路:前頭葉・側頭葉・頭頂葉から求心性入力を集約し、海馬へ送ります。新皮質と海馬をつなぐメインゲートウェイです。

② 海馬→新皮質経路:海馬で処理された情報が新皮質に返送され、長期記憶として定着します。この双方向経路の障害が記憶の定着不全を招きます。

③ 鼻周囲・海馬傍皮質経路:物体認識・連想記憶(鼻周囲皮質)と空間・文脈情報(海馬傍回)をそれぞれ嗅内皮質へ統合します。

④ 扁桃体ネットワーク:海馬・嗅内皮質と広範につながり、感情情報を記憶プロセスに統合します。感情的な体験が記憶に刻まれやすいのはこの経路の働きによります。

海馬から新皮質への情報流れ

— 海馬⇔新皮質間の双方向情報フロー。記憶の安定化に不可欠な経路。

記憶障害は「海馬単独」の問題ではなく、嗅内皮質・海馬傍回との連携断絶として理解するのが、臨床判断の第一歩です。
EVIDENCE
アルツハイマー病における嗅内皮質の初期病変(エビデンスレベル:SR/メタアナリシス)

Braak & Braak, 1991(Acta Neuropathologica):アルツハイマー病の神経原線維変化(タウ病理)は嗅内皮質から始まり、段階的に海馬・新皮質へ波及することを示した基礎的研究。記憶障害の進行を解剖学的に説明する。

臨床への含意:初期評価で嗅内皮質機能(ルート記憶・地名記憶の低下)を意識することで、早期発見・早期介入につながります。

04
Differential Diagnosis & Imaging

鑑別診断と画像読解のポイント。

MTL損傷を生じる主要疾患は3つです。症状の出方・進行様式・画像所見を比較することで、臨床判断の精度が高まります。

疾患 主症状 画像所見 リハ介入の重点
アルツハイマー病 近時記憶の低下(初期)→空間見当識・言語→ADL全般 嗅内皮質・海馬の萎縮(T2/FLAIR) エラーレスラーニング・代償戦略・環境整備
コルサコフ症候群 前向性・逆向性健忘、作話 乳頭体・視床背内側核の萎縮 ルーティン確立・視覚的スケジュール・作話への対応
側頭葉てんかん 発作後の記憶障害・認知変動 海馬硬化(T2高信号) 発作管理・認知機能モニタリング・安全管理

MRI/CT画像読解の6つのランドマーク

画像読解では冠状断と軸状断の両方でMTLを評価します。以下の6点を順に確認することで、見落としを防げます。

内側側頭葉のMRI画像読解ポイント

— 冠状断・軸状断でのMTL評価。位置関係の把握が読解の基本。

Imaging Checklist
MTL画像評価の6ステップ

①位置・方向の確認:軸状断で側頭葉内側部を同定。冠状断で左右対称性を確認します。

②海馬の評価:冠状断で「タツノオトシゴ形状(海馬指状構造)」を確認。T2信号の異常と体積減少を評価します。

③扁桃体の評価:海馬前方・側脳室前角近傍の球状灰白質として識別。左右サイズ・信号を比較します。

④嗅内皮質の評価:高解像度T2/FLAIR像で海馬傍回前方内側部を評価。皮質萎縮・信号変化に注目します。

⑤海馬傍回の評価:側脳室側頭角底部沿いのリボン状構造を確認。皮質厚・溝の拡大を評価します。

⑥側脳室側頭角の評価:海馬は側頭角内側に位置します。側脳室拡大は周囲萎縮の間接指標となります。

05
Assessment & Scoring

評価尺度とMMSE採点基準の完全網羅。

MTL損傷の臨床評価では、MMSE(Mini-Mental State Examination)が広く使用されます。30点満点で、各設問が関与する脳領域を把握することで「どこが傷んでいるか」の仮説を立てやすくなります。

MMSEスコアと認知障害分類

— MMSEカットオフスコアの分類。24点以上が正常域の目安。

MMSE Cutoff Score
MMSEスコアの判定基準(30点満点)

24〜30点:正常な認知機能

18〜23点:軽度認知障害

※カットオフ値は対象集団・教育歴によって異なります。単独での診断には使用せず、必ず他の評価と組み合わせて解釈してください。

MMSE全設問と関与する脳領域(完全網羅)

設問(配点) 質問例 関与する脳部位
見当識・時間(5点) 「今日は何日ですか?」「何曜日ですか?」 前頭前皮質(作業記憶・実行機能)
見当識・場所(5点) 「ここは何県ですか?」「何地方ですか?」 前頭前皮質・右頭頂葉(空間定位)
聴覚言語記銘(3点) 「梅・犬・飛行機」3単語の繰り返し 海馬(即時記憶の符号化)
注意と計算(5点) 「100から7を引き算する(×5回)」 背外側前頭前野(注意・作業記憶・暗算)
再生(3点) 記銘した3単語の想起 海馬(保持)+前頭葉(想起の制御)
言語・呼称(2点) 「これは何ですか?」(はさみ・鉛筆) 左側頭葉・ブローカ野・ウェルニッケ野
言語・復唱(1点) 「みんなで力を合わせて棒を倒します」 ウェルニッケ野・ブローカ野・弓状束
言語・理解(3点) 「右手にハンカチを持ち折り畳んで渡す」 前頭前野・側頭葉(指示理解と実行計画)
言語・読字(1点) 「手を握ってください」 後頭葉・角回(視覚情報と言語の統合)
言語・書字(1点) 自由に文章を書く 前頭葉・運動野・補足運動野(書字計画と実行)
言語・模写(1点) 提示された図形を模写 後頭葉・頭頂葉・運動野(視覚処理・空間認識・模写)
「記銘3点・再生3点」の落差が大きいほど、海馬の符号化障害を強く示唆します。臨床では落差に注目してください。

06
Evidence-Based Intervention

介入の段階とエビデンスベース戦略。

MTL損傷に対するリハビリは、大きく4つの領域(記憶・空間ナビゲーション・感情処理・時間統合)に分けて段階的に介入します。各領域の観察ポイントと具体的な介入手技をセットで理解しましょう。

① 記憶処理への介入(海馬中心)

海馬はエピソード記憶(特定の体験)と意味記憶(事実情報)の符号化・整理を担います。新しい情報を記憶できているか、同じ質問を繰り返していないかを日々観察します。

A
エラーレス・ラーニング推奨:RCT複数

学習時のエラーを排除する環境を設定します。正解を先に提示して繰り返し練習させる方法で、手続き記憶システムを活用した学習が可能です。パラメータ:1セッション20〜30分、週3〜5回、4〜8週間継続。

B
段階的指導+即時フィードバック強く推奨

新しい情報を小さなステップに分割して提示します。正しい行動には即座に肯定的フィードバックを与え、記憶の強化を促します。リマインダーやメモの活用も記憶サポートに有効です。

C
環境整備(集中できる場の設定)弱く推奨

騒音・視覚的刺激を排除した環境で学習を行います。テレビや人の往来が多い場所では、海馬の符号化効率が著しく低下します。

EVIDENCE — エビデンスレベル:スコーピングレビュー
Errorless, Errorful, and Retrieval Practice for Naming Treatment in Aphasia(Kristen ら, 2023)

Kristen ら, 2023(American Journal of Speech-Language Pathology):失語症リハビリにおける学習メカニズムをレビュー。エラーレスラーニング(EL)が患者の学習効果に与える影響を調査。ELは特に重度の記憶障害を持つ患者に有効であることが示されました。PubMed ID: 36729701。

臨床含意:試行錯誤学習より先にエラーレスラーニングを選択することが、MTL損傷患者の学習効率を高めます。

② 空間ナビゲーション障害への介入

Observation Points
観察のポイント
— 空間ナビゲーション障害のサイン
院内で頻繁に迷子になる
目印・標識に過度に依存している
持ち物の置き忘れが多い
Intervention Strategy
介入戦略
— 認知マップ形成を支援する
ガイドツアーを繰り返す(重要な場所を一緒に確認)
視覚的補助(標識・ラベル)の設置
段階的な方向感覚練習(単純→複雑な指示)
EVIDENCE — エビデンスレベル:RCT
Virtual reality in neurologic rehabilitation of spatial disorientation(Silvia ら, 2013)

Silvia ら, 2013(Journal of Neuroengineering and Rehabilitation):VRトレーニングが神経疾患患者の空間記憶・空間認識に与える影響を検討。VRを活用したリハビリが空間ナビゲーション能力の改善に有望な効果をもたらすことが示されました。PubMed ID: 23394289。

③ 感情処理障害への介入(扁桃体中心)

扁桃体は恐怖・快楽に関連する感情処理を担います。他者の感情表情が読み取れない・不安感が増大しているケースでは、扁桃体機能の低下を疑います。

扁桃体の感情処理と観察ポイント

— 扁桃体損傷では感情表情の認識困難・不安増大が観察されます。

Clinical Insight — 感情処理介入のヒント

「石川さんの部屋が暗くて不安そうでした。窓から光を取り込み、植物を置くよう提案したところ、翌日から表情が明るくなりました。環境そのものが感情調節の道具になります。」

「深呼吸のやり方を教えて実践してもらうと、不安感が軽減されたとの声がよく聞かれます。認知行動療法と組み合わせると効果的です。」

「感情的な出来事を強く記憶できているかどうかも観察ポイントです。感情記憶が希薄化している場合、扁桃体の機能低下を示唆します。」

EVIDENCE — エビデンスレベル:RCT・二重盲検
Amygdala downregulation training using fMRI neurofeedback in PTSD(Zeng ら, 2023)

Zeng ら, 2023(eClinicalMedicine):PTSD患者に対してfMRIニューロフィードバックで扁桃体活動を低減させるトレーニングを実施。扁桃体の過活動制御が感情調節の改善に有効であることを示す。PubMed ID: 37230984。

④ 時間統合障害への介入

内側側頭葉は出来事を時間的な流れの中でつなぐ機能も担います。日常のスケジュール管理に混乱が生じている患者では、視覚的予定表の活用と一貫した日課の確立が中心的な介入となります。

EVIDENCE — エビデンスレベル:SR
Memory rehabilitation: restorative, specific knowledge acquisition, compensatory, and holistic approaches(Yasoda ら, 2022)

Yasoda ら, 2022(Neuropsychological Rehabilitation):脳損傷患者に対する記憶リハビリテーションのアプローチを包括的にレビュー。補償的アプローチ(外部補助具・代償戦略)と修復的アプローチの有効性を論じた。PubMed ID: 35790619。パラメータ:週2〜3回、8〜12週の継続が標準的な期間。

STROKE LAB代表 金子唯史
Message from CEO
「まだ回復できる」
その直感を、専門的なリハビリで証明します。

脳卒中後の高次脳機能障害——記憶・空間認知・感情調節の困難——に対して、STROKE LABはエビデンスに基づいた個別プログラムを提供します。「発症からX か月が経ったから」と諦める前に、まずご相談ください。

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07
Interprofessional Collaboration

多職種連携と環境調整。

MTL損傷患者のリハビリは、PT・OT・STの連携だけでなく、看護師・医師・医療ソーシャルワーカー(MSW)との協働が欠かせません。各職種の役割を明確にすることで、介入の抜け漏れを防げます。

職種 主な役割 具体的な介入内容
PT(理学療法士) 空間ナビゲーション・移動 院内ガイドツアー・歩行時の認知負荷訓練・転倒予防
OT(作業療法士) 日常生活・記憶補助 エラーレスラーニングによるADL練習・スケジュール管理ツールの導入・環境整備
ST(言語聴覚士) 言語・認知評価 MMSE・HDS-R施行・言語記憶訓練・コミュニケーション支援
看護師 24時間の行動観察 繰り返し質問の記録・夜間の見当識の観察・薬剤管理との連携
医師 診断・薬物療法 MRI評価・認知症治療薬の選択・てんかん発作管理
MSW 退院後の生活設計 介護保険申請支援・家族への環境整備指導・地域リソースの調整

環境調整の具体策

Environmental Adaptation

「視覚的スケジュールは病室の目線の高さに貼ることが重要です。引き出しの中ではなく、常に目に入る場所に設置してください。」

「ルーティンが突然変更されると、MTL損傷の患者は一気に不安定になります。リハビリの時間帯・順序・担当者を可能な限り固定することが、時間統合の支援になります。」

「自然光の取り込みと明るい照明は感情調節に直接影響します。部屋の照度をチームで共有し、環境整備の視点を全員が持つことが大切です。」

08
Pitfalls & Clinical Judgment

Pitfallsと臨床判断のコツ。

新人セラピストが陥りやすいつまずきポイントを把握しておくことで、介入の質を早期から引き上げられます。

Pitfalls — Don’t make these mistakes
新人臨床家が陥りやすい5つの罠
!
試行錯誤学習の優先:「何度もやれば覚える」と誤り体験を繰り返させる介入は、MTL損傷患者では逆効果です。エラーレスラーニングを優先し、正しいパターンを最初から提示してください。
!
視覚的補助の過小評価:「口頭で説明すれば十分」と視覚的スケジュールやラベルを導入しないケース。MTL損傷では言語的指示だけでは定着しません。視覚的補助は「補助」ではなく「主要手段」として捉えてください。
!
ルーティンの突然の変更:担当者・時間・場所が変わるたびに患者が「リセット」されます。変更が避けられない場合は前日から視覚的に予告し、段階的に移行する配慮が必要です。
!
環境案内の軽視:入院初日に施設案内を丁寧に行わないと、患者は方向感覚を失い不安が慢性化します。新入院時のガイドツアーをルーティン化し、その記録をチームで共有してください。
!
作話を「嘘」と判断する:記憶の空白を埋めるための作話は、意図的な虚言ではありません。作話の内容を訂正するより、正しい情報を優しく提示する「リアリティ・オリエンテーション」の技術を使いましょう。

臨床判断の分岐点:MMSEのどの設問が落ちているか

Mentor’s Voice

「MMSEの合計点だけ見て終わるのは新人あるあるです。記銘3点・再生3点の落差が大きいとき、それは海馬の符号化障害のサイン。どの設問で落としているかを必ず確認してください。」

「見当識・場所の失点が大きいのに、空間ナビゲーションの介入が計画されていない——そういうプランの不整合をカンファレンスで指摘できるようになると、一段上の臨床家になれます。」

「どこが傷んでいるか」と「だから何ができるか」を常にセットで考える習慣が、Pitfalls回避の最善策です。

09
Prognosis & Goal Setting

予後とゴール設定。

MTL損傷の予後は、疾患の種類・損傷の広がり・発症からの時間・介入の質によって大きく異なります。「もう改善しない」と諦める前に、以下のエビデンスを確認してください。

Prognosis Evidence
発症後6か月以降でも改善は起こります。

Hatem SM ら, 2016(Systematic Review):脳卒中後リハビリの長期効果をまとめたSRで、発症後6か月以降でもリハビリによりFMA・ARATが有意改善することを示しました。自然回復カーブの「頭打ち」を押し上げる技術が多数存在します。

David FJ ら, 2015(24か月RCT, n=48):パーキンソン病患者への運動トレーニングで注意力・ワーキングメモリが有意改善。MTL機能(特に作業記憶)は運動負荷によって改善できる可能性があります。

ゴール設定では「何ができるようになるか」を患者・家族と一緒に言語化することが重要です。「院内で自力で食堂まで行ける」「服薬を自己管理できる」など、具体的で意味のある目標を設定します。

患者が「またできる」と感じる瞬間こそが、扁桃体を介した感情記憶として定着し、次の学習意欲を生む循環の起点になります。

10
FAQ

よくある質問(新人臨床家の疑問)。

Q.側頭葉内側部に含まれる主な構造はどれですか?
A.

海馬・扁桃体・嗅内皮質・海馬傍回の4構造が主要構造です。海馬は記憶形成、扁桃体は感情処理、嗅内皮質は新皮質とのインターフェース、海馬傍回は空間・文脈記憶をそれぞれ担います。

Q.側頭葉内側部への主な血液供給はどの動脈ですか?
A.

後大脳動脈(PCA)が主要血液供給源です。P2分枝と海馬枝が中心的な役割を果たし、前脈絡動脈とMCA前側頭枝からの側副循環も寄与します。PCA梗塞では海馬への血流が途絶え、記憶障害が前景に出ます。

Q.MMSEの軽度認知障害を示すカットオフスコアは何点ですか?
A.

18〜23点が軽度認知障害の範囲とされています。24点以上が正常、18点未満が重度認知障害の目安です。

ただし教育歴・年齢・文化的背景によってカットオフ値は変動します。単独で診断に用いず、HDS-Rや他の認知評価ツールと組み合わせた解釈が臨床上の原則です。

Q.海馬損傷患者に対するリハビリで最も根拠があるアプローチは何ですか?
A.

エラーレス・ラーニング(Errorless Learning)が推奨されています。学習時のエラーを最小化することで手続き記憶システムを活用します。2023年のスコーピングレビュー(Kristen ら)でその有効性が支持されており、特に重度の記憶障害患者に有効です。1セッション20〜30分、週3〜5回、4〜8週間の継続が標準的なパラメータです。

Q.空間ナビゲーション障害に対して有効なリハビリ戦略は何ですか?
A.

繰り返しガイドツアー(院内の重要な場所を一緒に歩いて確認する)と視覚的補助(明確な標識・ラベルの設置)が基本戦略です。段階的な方向指示練習も有効で、VRを活用したトレーニングも有望なエビデンスが蓄積されています(Silvia ら, 2013)。

Q.扁桃体機能不全を持つ患者の感情調節に推奨される治療法は何ですか?
A.

認知行動療法(CBT)が第一選択として推奨されます。否定的な思考パターンを認識・修正する支援が中心です。マインドフルネス・深呼吸訓練・環境調整(自然光・明るい照明・植物の設置)との組み合わせも効果的です。感情調節の改善は記憶の定着にも波及します。

11
Our Program

STROKE LABのプログラム。

STROKE LABは、脳神経系に特化した自費リハビリ施設です。脳卒中をはじめとする神経疾患後遺症に悩む方へ、エビデンスに基づいたオーダーメイドのリハビリプランを提供しています。記憶・空間認知・感情調節など高次脳機能の困難にも、経験豊富なセラピストが丁寧に対応します。

Our Strengths
STROKE LABの強み
— なぜ選ばれるのか
ベストセラー著者が監修する神経リハ特化メソッド
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What We Offer
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脳卒中・パーキンソン病・脊髄損傷など神経疾患全般
記憶・空間認知・感情調節への個別介入
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— STROKE LABでの実際のリハビリの様子。

Voice from Mentors

「MTLの解剖を理解してから評価に臨むと、MMSEのどの設問で落としているかが、患者さんの脳の状態を語っているように見えてきます。これを体感できると、臨床が根本的に変わります。」— 作業療法士・経験12年・認知神経リハビリテーション専門

「空間ナビゲーションの訓練を始める前に、患者さんの病棟内の「認知マップ」が今どこまで出来上がっているかを評価することが大切です。ゼロから一緒に地図を作る気持ちで取り組んでください。」— 理学療法士・経験8年・神経疾患リハビリ専門

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Message from CEO
「もう改善しない」と言われたとしても、
諦めないでください。
STROKE LAB代表 金子唯史 ポートレート

側頭葉内側部の損傷による記憶・空間・感情の困難は、適切な評価と介入によって確実に改善できる余地があります。「発症からXか月が過ぎたから」という理由だけで、可能性を閉じないでほしいのです。

STROKE LABでは、最新医学エビデンスに基づいたオーダーメイドのリハビリプログラムで、一人ひとりの回復の可能性を最大限に引き出します。まずはお気軽に無料相談へお越しください。

東京・御茶ノ水(駅徒歩6分)、大阪・西天満での対面セッションに加え、オンライン・訪問リハビリも対応しています。距離を理由に諦めないでください。

株式会社STROKE LAB
代表取締役 金子 唯史

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References

参考文献。

01 Braak H, Braak E. Neuropathological stageing of Alzheimer-related changes. Acta Neuropathologica. 1991;82(4):239-259.
02 Kristen M et al. Errorless, Errorful, and Retrieval Practice for Naming Treatment in Aphasia: A Scoping Review. Am J Speech Lang Pathol. 2023. PMID: 36729701.
03 Silvia M et al. Virtual reality in neurologic rehabilitation of spatial disorientation. J Neuroeng Rehabil. 2013;10(1):17. PMID: 23394289.
04 Zeng J et al. Amygdala downregulation training using fMRI neurofeedback in post-traumatic stress disorder: a randomized, double-blind trial. eClinicalMedicine. 2023. PMID: 37230984.
05 Yasoda A et al. Memory rehabilitation: restorative, specific knowledge acquisition, compensatory, and holistic approaches. Neuropsychological Rehabilitation. 2022. PMID: 35790619.
06 Hatem SM et al. Rehabilitation of motor function after stroke: A multiple systematic review focused on techniques to stimulate upper extremity recovery. Front Hum Neurosci. 2016;10:442. PMID: 27679565.
07 David FJ et al. Exercise improves cognition in Parkinson’s disease: The PRET-PD randomized, clinical trial. Mov Disord. 2015;30(12):1657-63. PMID: 26148003.
08 Squire LR, Zola-Morgan S. The medial temporal lobe memory system. Science. 1991;253(5026):1380-1386.
09 金子唯史. 脳卒中の動作分析. 医学書院. 2018.
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