【2025年版】脳卒中後の歩行速度向上の鍵!下腿三頭筋と感覚フィードバックの重要性
脳卒中患者の歩行速度の改善と下腿三頭筋の役割を探る講義
論文内容
カテゴリー
タイトル
●歩行速度に対する下腿三頭筋の筋紡錘からの感覚フィードバックの重要性
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●脳卒中患者では多くの方が歩行時の麻痺側の立脚中期から後期の不安定性を示す。まだ現在の私の技能では立脚後期における足趾~足関節と股関節・体幹をリンクさせた感覚フィードバックを患者に適切に付与できていないと臨床で感じ、頭を整理するために立脚後期の神経系に関わる本論文を読む至った。
内 容
背景
●歩行において下肢伸筋は主に立脚期に活性化され、屈筋は遊脚期に活性化されます。筋のこの協調作用は脊髄内の運動ニューロンプールのパターン化された活動(運動パターン)によって制御されます。この自発運動パターンは、脊髄内の相互接続された介在ニューロンのネットワーク(Central Pattern Generator:CPG)の統合機能と末梢の皮膚および固有感覚受容器からの感覚フィードバックの結果であることが知られています。
●動物は狩猟、脱出、移動、餌を採るなどのさまざまな目的を果たすために、様々な速度で移動できます。自発運動速度が上がると、ステップサイクルの持続時間は短くなります。これは立脚期の持続時間が減少することによって引き起こされますが、遊脚期の持続時間は比較的一定のままです。
●異なる速度での屈筋と伸筋からの筋電図(EMG)活動の記録により、速度が上がると主に伸筋のEMG活動がそれに応じて増加することが明らかになりました。ただし、この速度依存の伸筋活動の調節を引き起こす回路は理解されていません。
●本論文では筋紡錘からの固有受容感覚フィードバックが立脚時の伸筋のEMG活動を調節し、この調節が高速での運動に必要であるという証拠を提示します。
方法
●実験は雌雄の60〜90日齢の成体のマウスで行われた。実験前に訓練されたマウスはいなかった。すべての手順はカナダ動物管理評議会に準拠しており、Dalhousie大学の動物実験に関する大学委員会によって承認されました。
結果
●筋紡錘からの固有受容感覚フィードバックは運動中の筋活動強度を調節する上で重要であることが示されました。膝伸筋からの筋紡錘フィードバックは振幅変調に影響を与えなかったが、足関節伸筋の筋紡錘である下腿三頭筋からのフィードバックは調節に重要であることが示されました。
●歩行速度が上がると、歩幅は短くなりました。ステップの持続時間の減少は、主に立脚期の減少と程度は少ないが遊脚期の持続時間の変化の結果でした。
● 大腿二頭筋(股関節伸筋)、外側広筋(膝伸筋)、および下腿三頭筋(足関節伸筋)から記録されたEMG活動は、歩行速度の増加とともに増加しました。歩行中には下肢伸筋のEMG活動が速度依存的にアップレギュレーションされることが示唆されています。
●筋紡錘からの固有受容感覚フィードバックが様々な速度での歩行中の下肢の動きの時間的特性を調節するために重要であることが示唆されました。
●補足:皮膚の求心性神経も伸筋活動の調節に重要であることが示されています。
私見・明日への臨床アイデア
●歩行速度を上げていくには、下腿三頭筋の機能を高め、筋紡錘から適切なフィードバックを得ていく事が重要であることが示唆された。立脚終期の下腿三頭筋の筋紡錘フィードバック信号はスイングを開始するための重要な信号であることが再確認できた。また、本論文のデータが示唆しているように、足関節伸筋からの筋紡錘フィードバックは、立脚期の筋活動強度の調節にとって重要と言える。
●健常者の歩行時の筋電図データにおいても、大腿四頭筋などより下腿三頭筋と前脛骨筋等の足部筋がより優位に相反的かつ協調的に働いているのを確認している。
併せて読みたい【歩行速度・下腿三頭筋】関連論文
●脳卒中×触診 【下腿三頭筋 腓腹筋―ヒラメ筋の起始停止:歩行の関係性】
●Vol.586.膝関節のバイオメカニクスにおける腓腹筋の役割とは??
●Vol.595.脳卒中患者の歩行速度と体重移動(weight shift)の関係性
●Vol.501.皮質脊髄路は歩行速度の予測因子?脳損傷部位と歩行機能の関係性
脳卒中患者の下腿三頭筋をターゲットとした歩行速度改善の具体的手順
脳卒中後の歩行速度低下の原因には、下腿三頭筋(腓腹筋とヒラメ筋)の筋力低下、筋活動のタイミング不良、そして感覚入力の低下が含まれます。このアプローチでは、評価からリハビリ計画、段階的な介入法に至るまでの具体的なプロセスを解説します。
1. 初期評価
目的: 患者の下腿三頭筋の状態を詳細に把握し、歩行速度低下の要因を特定する。
-
筋力評価:
- 徒手筋力検査(MMT)を用い、麻痺側下腿三頭筋の筋力を評価。
- 等速性筋力測定器(利用可能であれば)で収縮力を定量化。
-
筋電図(EMG)解析:
- 歩行周期における下腿三頭筋の活動タイミングを確認。
- プッシュオフ時に十分な活動が得られているかを判断。
-
歩行解析:
- 3Dモーションキャプチャとフォースプレートを使用し、以下を分析:
- 床反力(推進力)。
- 足関節のプッシュオフ角度。
- 歩行周期の非対称性。
- 3Dモーションキャプチャとフォースプレートを使用し、以下を分析:
-
感覚評価:
- 足底の感覚障害(足底板への圧力感覚など)をチェック。
- 足関節の固有受容覚を検査(ジョイントポジションセンステストなど)。
2. リハビリ計画の立案
目標: 歩行速度を改善するための筋力強化と神経-筋協調性の向上。
-
短期目標:
- 下腿三頭筋の等尺性筋力を10%向上させる。
- プッシュオフ時の筋活動タイミングを正常化する。
-
中期目標:
- 歩行周期の非対称性を50%改善。
- 足関節のプッシュオフ力を強化。
-
長期目標:
- 歩行速度を患者の年齢・性別の正常値の80%以上に回復。
3. 具体的なリハビリ手順
初期段階(可動性と筋収縮の再学習)
目標: 筋活動を促進し、歩行時に下腿三頭筋を効率的に使える状態を作る。
-
関節可動域(ROM)の確保:
- 足関節の背屈・底屈のストレッチを実施。
- リラックス手技: 足関節底屈の硬さを軽減。
-
等尺性収縮の訓練:
- 座位で足を地面に固定し、プッシュオフをイメージしながら下腿三頭筋を等尺性収縮。
- 毎回10秒間収縮 × 10回を1セット、1日3セット。
-
感覚フィードバックの提供:
- 足底に圧力センサー付きインソールを装着し、適切な荷重分布をリアルタイムで確認。
中期段階(筋力とプッシュオフ能力の強化)
目標: 下腿三頭筋の筋力増強と歩行周期後半での推進力生成を促進。
-
重心移動の練習:
- 片足荷重を練習し、麻痺側に体重を乗せる感覚を習得。
-
プッシュオフ強化エクササイズ:
- 階段昇降訓練: 体重を麻痺側下肢にかけて階段を上る。
- カーフレイズ(踵上げ): 両足からスタートし、徐々に麻痺側の単独動作に移行。
- 負荷を増加するためにウェイトを追加。
-
弾性バンドトレーニング:
- セラバンドを足に巻き、足関節を底屈させる運動を行う。10回×3セット。
-
トレッドミル歩行訓練:
- プッシュオフ動作を意識したトレーニングを実施。
- 初めは手すりを使用し、速度を徐々に増加。
後期段階(歩行速度の直接改善)
目標: 歩行速度を安定して向上させ、日常生活レベルでの歩行を可能にする。
-
リアルタイムバイオフィードバック:
- 歩行中の下腿三頭筋の筋活動をリアルタイムでフィードバックするデバイスを使用。
-
デュアルタスク歩行訓練:
- 軽い認知課題(例: 数字の逆唱)を行いながら歩行速度を向上させる。
-
プライオメトリックトレーニング:
- ジャンプやスキップを取り入れて、速筋線維の活性化を促進。
- 注意: バランス能力を十分確認した上で実施。
-
アウトドア歩行:
- 坂道や異なる地面条件での歩行練習を実施。
- プッシュオフの感覚を強化。
4. フォローアップと再評価
- 歩行速度: 6分間歩行テストや10m歩行テストで客観的に評価。
- 筋力: 徒手筋力検査や再度の等速性筋力測定を行う。
- 歩行解析: 歩行周期の非対称性やプッシュオフ時の力発揮を確認。
ポイント
- リハビリの各段階で患者に適切なフィードバックを提供する。
- 筋力強化だけでなく、神経-筋協調性を同時に改善することが重要。
- 歩行速度の改善には、感覚と運動制御の統合的アプローチが不可欠。
新人療法士が歩行速度の改善を目的にリハビリを行う際のポイント
退院後のリハビリはSTROKE LABへ
“本気で変わりたい” あなたへ
自費リハビリという新しい選択肢と、STROKE LAB が叶える未来
▼ まずはお悩みを共有してみませんか?
-
-
- 「週2回の通院リハだけでは回復が頭打ち…」
- 「もう退院したのに手足が思うように動かない.
- 「痛みが慢性化し、趣味や仕事に集中できない」
- 「今の担当療法士以外の専門的リハビリも受けてみたい」
- 「通うのが大変なので、訪問やオンラインのリハビリも検討したい」
-
全国的にいま、脳卒中後遺症をはじめとするリハビリを“保険の枠内だけ”で完結させるのが難しいケースが急増しています。ところが公的保険リハには日数・時間の上限があり、“もっと良くしたい”気持ちにブレーキがかかるのが現実です。
▼ 自費リハビリという、新しい選択肢をご存じですか?
本当はまだリハビリが必要なのに、
「期間が終わったから仕方ない」とあきらめていませんか?
そこでいま注目されているのが、“自費リハビリ(保険外リハビリ)”です。これは、 時間・内容・頻度を自由に設計できるリハビリ。つまり、 あなたに合わせて、リハビリを“やりたいだけ、やれる”ということ。
- 麻痺や動作を集中的に改善したい
- 転倒や再発を予防したい
- 趣味や旅行を目標に、体力をつけたい
そんな前向きな希望を、制限なくサポートできるのが、この自費リハビリの大きな魅力です。
◆ そこで STROKE LAB
私たちは保険外=自費だからこそ、保険の枠にとらわれず、 あなたのためだけの「オーダーメイドのリハビリプラン」をご用意しています。
- 数多くのベストセラー著者が監修する神経リハ特化メソッド
- エビデンスに基づく熟練技術者の個別プラン+適宜動画フィードバックで変化を“見える化”
- 「御茶ノ水」駅より徒歩6分の本拠地とオンライン・訪問のハイブリッドで、千葉全域をサポート
▼ 「もう◯ヶ月たったから…」──本当にもう遅いの?
たとえば、脳卒中後でも半年を過ぎてから回復する症例があること、パーキンソン病でも継続的トレーニングで歩行機能を維持できること――これらは研究で裏付けられています。STROKE LABでは、最新医学エビデンスに基づきつつ、利用者様一人ひとりの状態や生活背景に合わせた最適なプログラムを構築。単なるマニュアル的リハビリではなく、「あなたがいま必要としている」アプローチを常にアップデートしていきます。
1. 脳卒中後リハビリの長期効果
エビデンス | デザイン/段階 | 主要アウトカム & 解釈 |
---|---|---|
Hatem SM et al., 2016 | システマティックレビュー(上肢中心) | 発症後6 か月以降でも リハビリでFMA/ARATが有意改善。自然回復カーブの“頭打ち”を押し上げる技術が多岐に存在 |
2. パーキンソン病リハビリの運動・認知相互作用
エビデンス | デザイン | 主要アウトカム (リハあり vs なし) |
---|---|---|
David FJ et al., 2015 | 24 か月RCT(n = 48) | 注意力・ワーキングメモリが有意改善。運動負荷が認知カーブを上方へ |
「まだ間に合うかもしれない」――その直感こそ、変化のサイン。
▼【無料相談はこちら】▼
営業日時9:00~18:00 *祝日営業
電話受付:03-6887-5263(9:00~17:00)東京
06-7220-4733(9:00~17:00)大阪
※ 1回ごとの支払制で “やめたい時にやめられます”。
“本物の技術” をあなたのそばで
「リハビリの成果は誰に行ってもらうかで大きく変わる」――これこそSTROKE LABの揺るぎない信念です。
当施設では理学療法士・作業療法士など、神経疾患のリハビリに精通したスタッフが在籍。オーダーメイドプランで集中的にサポートします。たとえば、脳卒中・パーキンソン病・脊髄損傷など、多様な症例に合わせて柔軟に対応。保険診療リハビリとの併用も可能で、1回ごとのお支払い制だからこそご要望に合わせたペースで利用できます。
- ■ 脳卒中・パーキンソン・脳性麻痺・脊髄損傷など神経疾患全般OK
- ■ 医療保険リハビリとの併用事例多数。初回だけ試す利用も歓迎
- ■ 効果の推移が分かる「変化動画」を通し、スタッフがどのように対応するかを可視化
変化動画のご紹介
実際どんなリハビリを行い、身体がどう変わるか――そのリアルを確かめるためにも、STROKE LABでは利用者様の変化を撮影した動画を豊富に公開しています。
YouTubeでも多数のトレーニング例や体験談を配信。セラピストがどう“伴走”するのか、動きがどのように変化していくのか、一目で伝わる動画が多数揃っています。
STROKE LABのオンラインリハビリとは?
ストロークラボでは、オンラインリハビリを開設しています。脳卒中やパーキンソン病などの神経疾患にお悩みの方に、現状能力の評価、自主トレやご家族でできるトレーニング方法をお伝えします。 活用には以下のアプリが必要です。スマートフォンやタブレットなどでご対応できます。
失語症や構音障害の方、歩行や上肢機能障害の方、遠方で来院できない方などにおすすめです。
指導の流れ
使用アプリ(Zoom,LINE,Facetime)
科学的な論文で、運動学習を効率的に進めるためには、週2回以上の頻度で3ヶ月継続して続けることが推奨されています。
週2回が大変な場合は週1回以上を継続し、効果が出てくるにつれ頻度を減らしていくことでオンラインリハビリの効果を最大限に高められます
▼【無料相談はこちら】▼
営業日時9:00~18:00 *祝日営業してます。
電話受付:03-6887-5263(9:00~17:00)東京
06-7220-4733(9:00~17:00)大阪
大阪店の概要
STROKE LABはこれまで、東京を拠点に全国からの患者様・利用者様をお迎えしてきました。しかし、「遠方で通いづらい」「関西にも拠点が欲しい」というお声をたくさんいただいたことから、満を持して大阪店を新たにオープンしました。
住所 | 〒530-0047 大阪府大阪市北区西天満6丁目3−16 梅田ステートビル 2階 |
---|---|
オープン日 | 2025年4月オープン |
最寄り駅 | 地下鉄谷町線「南森町駅」より徒歩8分(1番出口) ※JR天満宮駅よりエレベーター地上 JR東西線・学研都市線「大阪天満宮駅」より徒歩11分(7・8・9番出口 エレベーターあり) 地下鉄谷町線「東梅田駅」より徒歩10分(7番出口) |
営業時間 | 9:00~17:30(最終電話受付17:00) |
定休日 | 月曜・木曜(祝祭日は営業) |
・南森町駅構内図:https://subway.osakametro.co.jp/station_guide/T/t20/
・東梅田駅構内図:https://subway.osakametro.co.jp/station_guide/T/t20/
梅田周辺(大阪駅含め)からのアクセスに優れた立地なので、通院や通勤途中などにもご利用いただきやすい環境を整えています。
アクセスマップ
〒530-0047 大阪府大阪市北区西天満6丁目3−16 梅田ステートビル 2階 STROKE LAB
リハビリ料金(自費/税込)
60分 | 19,800円 |
---|---|
延長30分 | +9,900円 |
訪問(往復30分以内~) | +5,500円 |
STROKE LABでは、1回ごとのご予約・お支払い制を採用しています。
たとえば、「まずは少し試してみたい」「医療保険リハビリと併用したい」という方でも、必要な分だけ柔軟に利用できる体制です。
料金プランの詳細やプログラム内容など、気になる点があればお気軽にご相談ください。
お問い合わせ・ご予約
電話受付:06-7220-4733(9:00~17:00)
※「大阪店の件で」とお伝えいただけるとスムーズです。
メール:umeda.osaka@stroke-lab.com
Web予約フォーム:最新情報は随時当サイトにてご案内いたします。
リハビリはSTROKE LABへ
当施設は脳神経疾患や整形外科疾患に対するスペシャリストが皆様のお悩みを解決します。詳しくはHPメニューをご参照ください。
STROKE LAB代表の金子唯史が執筆する 2024年秋ごろ医学書院より発売の「脳の機能解剖とリハビリテーション」から
以下の内容を元に具体的トレーニングを呈示します。
STROKE LABではお悩みに対してリハビリのサポートをさせていただきます。詳しくはHPメニューをご参照ください

1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)