バーグバランススケール(BBS)14項目の採点方法・ カットオフ値を写真で徹底解説 – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
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バーグバランススケール(BBS)14項目の採点方法・ カットオフ値を写真で徹底解説

今回は、転倒リスクの評価として臨床でもよく使われているバーグバランススケール(BBS)について詳しく解説します。「なんとなく使っている」という方も多いですが、BBSは歩行の自立度評価ではありません。転倒リスクを定量化するバランス評価ツールとして正しく理解・活用することが、臨床の質を高める第一歩です。

動画で学びたい方は↑のYouTubeも是非ご覧ください。

バーグバランススケール(BBS)は、日常動作14項目を観察して転倒リスクを数値化する世界標準ツールです。
採点法・カットオフ値・MDC・エビデンスを網羅し、臨床で即座に使える形で解説します。

📊 バーグバランススケール(BBS):臨床家が必ず知っておくべき数字と事実

  • 項目数:14項目 / 各0〜4点の5段階 / 満点56点
  • 所要時間:約15〜20分
  • カットオフ:56点=機能的バランス良好、45点未満=転倒ハイリスク(Berg et al., 1992)
  • 信頼性:評価者内・評価者間ともに高い(ICC=.98)、テスト-リテストICC[2,1]=.98
  • 対象:バランス障害のある高齢者、脳卒中・パーキンソン病などの神経疾患患者
  • 最小可検変化量(MDC95):初期45〜56点→4点変化で真の変化と判断(95%信頼)
  • 限界:天井効果あり(高機能者の微細な障害を見逃しやすい)→ Mini-BESTestの併用を検討
  • 道具:定規・標準椅子2脚・踏み台・ストップウォッチ・約5mの歩道スペース

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バーグバランススケール(BBS)とは ― 定義・目的・特徴

バーグバランススケール(Berg Balance Scale:BBS)は、あらかじめ決められた14の機能的動作を通じて、患者が安全にバランスを保てるかどうかを客観的に評価するツールです。各項目は0〜4点の5段階で採点され、合計56点満点。所要時間は約15〜20分で、最小限の機器で病棟・外来・施設を問わず使用できます(Berg et al., 1995; Usuda et al., 1998)。

🎯 BBSが評価する「バランス」とは何か ― よくある誤解を解く

BBSは「歩行の自立度」ではなく「バランス能力と転倒リスク」の評価ツールです。歩行が自立していてもBBSが低い患者(例:歩けるが閉眼立位が不安定)は転倒リスクが高く、介入の優先対象になります。採点結果を「転倒予測+介入設計」に活かすことが本来の目的です。

静的バランス(姿勢保持)と動的バランス(動作中の安定性)の両方を評価できるため、転倒リスクのスクリーニング・リハビリ効果の客観的評価・退院時の能力評価など多様な場面で活用されています。

BBSの利点と欠点

✅ 利点 ⚠️ 欠点・限界
高い信頼性・妥当性:高齢者・脳卒中など多様な集団で検証されたゴールドスタンダード 時間がかかる:15〜20分の実施時間が忙しい臨床現場では負担になることがある
包括的な評価:移動・立位・リーチング・回転など多角的なバランス側面を一括評価 天井効果:高機能患者(軽度パーキンソン病・脳卒中回復後期等)の微細な障害を見逃しやすい
日常動作で構成:14項目が生活に直結し、実際の転倒場面との対応が取りやすい 対象の限定性:主に高齢者向けに設計。小児・重度障害者への適用には調整が必要
転倒予測に有用:45点未満でハイリスクを示し、介入優先度の決定に直結する 主観性のリスク:評価者の観察に依存するため、定期的な評価者間一致率の確認が必要
実施しやすい:特殊機器不要で多様な環境(病棟・外来・施設)で使用可能 障害特異性なし:どのバランス系(感覚・運動・予測・反応)が問題かは特定できない

実施方法と採点の基本原則

🛠️ 必要な道具

・定規またはメジャー
・椅子2脚(肘掛け付き1脚、なし1脚)
・踏み台またはステップ(高さ12〜20cm)
・ストップウォッチまたは腕時計
・約5mの歩道スペース

👥 対象患者

・バランス障害のある高齢者
・急性期・回復期の脳卒中患者
・パーキンソン病(軽度〜中等度)
・整形外科術後の歩行開始期
・その他、転倒リスク評価が必要な患者

採点ルール

以下の4条件に該当する場合は減点

① 時間または距離の要件が満たされていない場合 各項目で定められた保持時間・到達距離に届かない
② 監督が必要なパフォーマンスの場合 セラピストが近くで見守らないと安全を確保できない
③ 外部支持・援助を利用した場合 手すりへの接触、試験官からの身体的介助が発生した
④ 判断力の問題でパフォーマンスが低下した場合 どの足で立つか・どこまで手を伸ばすかは患者に委ねられるが、不適切な判断はスコアに影響する

採点の鉄則:各項目で「当てはまる最も低い回答カテゴリー」を記録する。迷った場合は低い点数を選択します。

カットオフスコアと臨床解釈

45〜56点 機能的バランス良好
転倒リスク:低〜中
35〜44点 バランス障害あり
転倒リスク:中〜高
0〜34点 著明なバランス障害
転倡リスク:高

📏 最小可検変化量(MDC95)― 「真の変化」かを判断する基準

初期スコア 45〜56点4点以上の変化で真の変化と95%確信可(Donoghue & Stokes, 2009)

初期スコア 35〜44点5点以上の変化 / 25〜34点7点以上 / 0〜24点5点以上

リハビリ効果を評価する際、MDCを超えない変化は測定誤差の範囲内の可能性があります。介入判断には必ずMDCを参照してください。

専門家向け:信頼性エビデンスの詳細(ICCおよびrs値)

様々な高齢者集団(N=31〜101、60〜90歳以上)を対象とした複数研究において、高い評価者内・評価者間信頼性が示されています(ICC=.98; 被験者間変動比率=.96〜1.0; rs=.88)。片麻痺患者22名でのテスト-リテスト信頼性もICC[2,1]=.98と非常に高い。Usuda et al.(1998)は脳卒中入院患者でのBBS構成妥当性(FBS)を確認しています。

評価の実施 ― 14項目の詳細と採点基準

各項目の姿勢・道具・指示文・採点基準・評価例を詳細に解説します。採点は動作の最初から終了まで通して観察し、最も低い回答カテゴリーを記録してください。

1

椅子から立ち上がり動作

椅子から立ち上がり動作の評価

開始姿勢座位
道具高さ40〜42cmの椅子(肘掛けあり可)
指示文「では立ってみてください」
点数 採点基準
4点 手を使わずに安全に立ち上がり可能
3点 手を用いれば一人で立ち上がり可能
2点 数回試した後、手を用いて立ち上がり動作可能
1点 立ったり平衡をとるために最小限の介助が必要
0点 立ち上がりに中等度ないし高度な介助が必要
【評価例】 数回試したのち手を使って立ち上がり動作が可能であった場合 → 2点

2

立位保持(開眼)

立位保持の評価

開始姿勢立位
道具ストップウォッチ
指示文「つかまらず2分間立っていてください」
点数 採点基準
4点 安全に2分間立位が保持できる
3点 見守りがあれば2分間立位が保持できる
2点 介助なしで30秒間立位が保持できる
1点 何度か行えば、30秒間の立位が保持できる
0点 介助なしには30秒間立っていられない
【評価例】 監視下であれば2分間立位保持可能だった場合 → 3点
【注意点】 2分間安全に立位保持できれば、次の「座位保持」は満点(4点)とし、第4項目へ進む。

3

座位保持

座位保持の評価

開始姿勢座位(背もたれなし・両踵接地)
道具ストップウォッチ
指示文「手を使わず2分間座ってください」
点数 採点基準
4点 安全に2分間座位が保持できる
3点 見守りがあれば2分間座位が保持できる
2点 30秒間の座位が保持できる
1点 10秒間の座位が保持できる
0点 介助なしには10秒間の座位が保持できない
【評価例】 監視下であれば2分間座位保持可能だった場合 → 3点

4

座る動作(立位→座位)

座る動作の評価

開始姿勢立位
道具プラットホームまたは椅子
指示文「座ってください」
点数 採点基準
4点 ほとんど手を使わずに、安全に座ることができる
3点 手を使って、着座を制御している
2点 両下肢後面を椅子につけて、着座を制御している
1点 独りで座れるが、着座が制御できない
0点 座るのに介助を要する
【評価例】 しゃがみ動作が制御できず後方に座り込む形となった → 着座の制御ができていないため 1点

5

移乗動作

移乗動作の評価

開始姿勢車椅子座位または椅子座位
道具車椅子(普段使用のもの)または肘掛け付き椅子+ベッド
指示文「ベッドに乗り移り、再度車椅子に戻ってください」
点数 採点基準
4点 手をわずかに使うだけで安全に移乗ができる
3点 手をしっかり使えば安全に移乗ができる
2点 口頭指示もしくは見守りがあれば移乗ができる
1点 移乗に介助者1名を要する
0点 安全確保のために2名の介助者を要する
【評価例】 車椅子→ベッドは一人で可能だったが、帰りの移乗に介助が必要だった場合 → 最も低いスコアである 1点
【ポイント】 往復の両方を評価し、最も低いカテゴリーを採用してください。

6

立位保持(閉眼)

閉眼立位保持の評価

開始姿勢立位
道具ストップウォッチ
指示文「目を閉じて10秒間立ってください」
点数 採点基準
4点 安全に10秒間閉眼立位が保持できる
3点 見守りがあれば10秒間閉眼立位が保持できる
2点 3秒間の閉眼立位が保持できる
1点 3秒間閉眼していられないが、安定して立位が保持できる
0点 転倒しないよう介助を要する
【評価例】 開始3秒程で手すりを把持してしまった場合 → 3秒間立位保持は可能だったため 2点
【臨床的意義】 視覚遮断により体性感覚・前庭感覚への依存度を評価。視覚代償が強い患者ではここで著しく低下します。

7

立位保持(閉脚)

閉脚立位保持の評価

開始姿勢立位
道具ストップウォッチ
指示文「足を揃えて、何もつかまらずに立っていてください」
点数 採点基準
4点 両足を揃えて、独りで1分間安全に立位が保持できる
3点 両足を揃えて、見守りの下で1分間立位が保持できる
2点 両足を揃えて独りで立位が保持できるが、30秒保てない
1点 両足を揃えての立位保持には介助を要するが、15秒間可能
0点 両足を揃えての立位保持に介助を要し、15秒間保てない
【評価例】 足を揃えることはできたが20秒程で崩れ介助を要した場合 → 一人で揃えられたが30秒は不可能だったため 2点

8

両手前方リーチ

両手前方リーチの評価

開始姿勢立位(壁側でなくても可)
道具定規またはメジャー
指示文「片腕を90°挙げ、指を伸ばしてできるだけ前方に手を伸ばしてください。可能なら両腕で」
点数 採点基準
4点 自信を持って前方に25cm届く
3点 前方に12cm届く
2点 前方に5cm届く
1点 前方へ出せるが、見守りが必要
0点 行おうとするとバランスを崩すか、かなりの介助を要する
【測定方法】 伸ばした指先に定規をあて、最も前方へ傾いた距離を記録。体幹回旋防止のため両腕使用を優先。
【評価例】 5cmを超えると姿勢が崩れたが5cmまでは到達できた場合 → 2点

9

拾い上げ

拾い上げ動作の評価

開始姿勢立位
道具スリッパまたは靴
指示文「足の前に置いた靴(またはスリッパ)を拾ってください」
点数 採点基準
4点 安全にかつ簡単に拾うことができる
3点 拾うことはできるが、見守りが必要
2点 拾うことができないが、2〜5cm手前まで手を伸ばすことはできる
1点 拾うことができず、検査を行うには見守りが必要
0点 行えないか、バランスを崩したり転倒しないよう介助を要する
【評価例】 近位見守りにてスリッパを拾い上げることが困難であった → 監視が必要かつ拾い上げられなかったため 1点

10

振り返り動作(後方確認)

振り返り動作の評価

開始姿勢立位
道具なし
指示文「左の肩越しに後ろを見てください。右でも繰り返します」
点数 採点基準
4点 両側から後方を見ることができ、うまく体重移動もできる
3点 片方からなら後方を見ることができるが、もう一方では体重移動が少ない
2点 横向きまでなら回旋でき、バランスは維持できる
1点 回旋には見守りを要する
0点 バランスを失ったり転倒しないように、介助を要する
【評価例】 左のふりむきは良好だが右側にふらつきがあり監視が必要だった → 1点
【ポイント】 左右それぞれ評価し、最も低いカテゴリーを採用。

11

360度の方向転換(一回転)

360度方向転換の評価

開始姿勢立位
道具ストップウォッチ
指示文「完全に一回転してください。その後、逆方向にも一回転してください」
点数 採点基準
4点 4秒以内に安全に360°回ることができる
3点 片方にのみ4秒以内に安全に360°回ることができる
2点 ゆっくりと360°回ることができる
1点 近接の見守りか口頭指示が必要
0点 回る際に介助を要する
【評価例】 一周するのに介助が必要だった場合 → 0点。時間(4秒)と安全性の両方を評価する。

12

踏み台昇降

踏み台昇降の評価

開始姿勢立位
道具昇降台(高さ12〜20cm)・ストップウォッチ
指示文「それぞれの足を交互に段差に乗せてください。各4回続けてください」
点数 採点基準
4点 20秒間に独りで8回完全に踏み換えることができる
3点 独りで8回踏み換えることができるが、20秒を超える
2点 見守りのみで、完全に4回踏み換えできる
1点 少しの補助があれば、完全に3回以上踏み換えできる
0点 転倒しないためには介助を要する、もしくは行えない
【評価例】 右下肢は台に乗せられたが、左下肢の乗せが困難で介助を要した場合 → 0点

13

タンデム立位(継ぎ足立位)

タンデム立位の評価

開始姿勢立位
道具ストップウォッチ(掴まれるものも準備)
指示文「片方の足をもう一方のすぐ前に接地してください。難しければできるだけ遠くに踵を接地してください」
点数 採点基準
4点 独りで継ぎ足を行い、30秒保持できる
3点 独りで前方に足を出し、30秒保持できる
2点 独りで前方に小さく足を出し、30秒保持できる
1点 足を出すには介助を要するが、15秒保持できる
0点 足を出す際、もしくは立っている時にバランスを崩してしまう
【評価例】 検査肢位への誘導に介助を要したが、15秒間保持できた場合 → 1点

14

片脚立位

片脚立位の評価

開始姿勢立位
道具ストップウォッチ
指示文「つかまらずに、できるだけ長く片脚で立ってください」
点数 採点基準
4点 独りで片脚を上げて、10秒超保持できる
3点 独りで片脚を上げて、5〜10秒保持できる
2点 独りで片脚を上げて、3秒以上保持できない
1点 独りで片脚はできるが、3秒まで保持できない
0点 転倒を防ぐには介助を要する
【評価例】 麻痺側を上げるのは3秒可能だったが、非麻痺側を上げることが出来なかった場合 → 最も低いスコアである 0点。左右それぞれ評価し最も低いスコアを採用。

ここまでお読みいただいた方へ

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BBSのエビデンスと限界 ― 専門家が知っておくべきこと

システマティックレビュー・信頼性研究

BBSは高い信頼性を持つゴールドスタンダードだが、天井効果に注意が必要

高齢者・脳卒中・パーキンソン病など多様な集団で評価者内・評価者間信頼性が一貫して高く(ICC=.98前後)、転倒予測における予測的妥当性も確認されています。一方で、高機能患者では天井効果が顕著で、満点近くを取っても転倒する患者を見逃すリスクがあります。

比較研究(Parkinson’s Disease)

軽度バランス障害にはMini-BESTestの併用を推奨

パーキンソン病97名を対象とした研究では、Mini-BESTestがBBSより天井効果が少なく、異常な姿勢反応のある患者をより高い感度・特異度で特定できることが示されました。BBS高得点者(45点以上)でもMini-BESTestを併用することで微細なバランス障害を検出できます。

🔍 Mini-BESTest vs BBS ― いつどちらを使うか

BBSが適している場面: 中等度〜重度バランス障害の変化を追う、初期スクリーニング、施設全体の統一評価、転倒リスクの大まかな分類

Mini-BESTestが適している場面: 軽度バランス障害(BBS45点以上)での微細な問題特定、予測的・反応的姿勢制御の評価、感覚統合能力の評価、デュアルタスク歩行の評価

実臨床での推奨: BBS45点以上でも転倒歴がある患者、または軽度の不安定感を訴える患者にはMini-BESTestを追加することで、的確な介入ポイントが特定できます。

専門家向け:バランス制御6系統とBBSの構造分析

BESTestの理論的枠組みでは、バランス制御は6つのシステムで構成されます:①生体力学的制約、②安定性限界、③予測的姿勢制御、④反応的姿勢制御、⑤感覚統合(視覚・前庭・体性感覚)、⑥歩行中の安定性。BBSはこのうち②(項目8リーチ等)と⑤(項目6閉眼立位)を一部評価しますが、③④の評価が弱い点がMini-BESTestとの差異です。「BBSで問題が見られた項目がどのバランス系に相当するか」を分析することでより焦点化されたリハビリ立案が可能になります。

BBSスコアからリハビリ計画へ ― 臨床的解釈と介入の考え方

1
スコアの解釈:どの段階のリスクか確認する

45点以上(転倒リスク低〜中)/41〜45点(補助具なし歩行は可能だが監視推奨)/21〜40点(補助具を用いた歩行が安全)/20点以下(移動に車椅子が必要)という目安でリスク区分を整理します(Shumway-Cook et al., 1997)。

2
項目分析:どのバランス能力が低下しているか特定する

例えば「閉眼立位(項目6)だけ低い→視覚依存・感覚統合の問題」、「リーチングと拾い上げが低い→動的バランス・重心移動の制限」と課題を特定します。

3
介入方針の立案:課題別のアプローチを選択する

感覚統合が問題なら「閉眼バランス練習・不安定面訓練」、予測的姿勢制御が問題なら「二重課題歩行・リーチング訓練」、筋力が主因なら「下肢筋力強化」と、課題に直結したアプローチを設計します。

4
効果判定:MDCを参照して「真の改善」かどうか確認する

初期スコアに応じたMDC(4〜7点)を参照しながら客観的な効果判定を行います。MDCを超えない変化は測定誤差の範囲内の可能性があることを念頭に置いてください。

⚠️ BBS使用時の注意点

歩行自立度の評価として使用しない:BBSは「転倒リスク」の評価であり「歩けるかどうか」の評価ではありません。

天井効果への対応:満点またはそれに近いスコアの患者でも転倒歴がある場合はMini-BESTestを追加する。

採点一貫性の確保:「最も低い回答カテゴリー」の原則を徹底し、評価者間で定期的に採点一致率を確認する。

認知機能低下への配慮:指示理解が困難な患者では動作前に十分な説明・デモンストレーションを行う。

よくある質問(FAQ)― BBS評価について

BBSは何点以下が「転倒ハイリスク」ですか?
Berg et al.(1992)によるカットオフは45点未満が転倒ハイリスクです。ただし、45点以上でも転倒歴がある場合や軽度の不安定性を訴える場合は注意が必要です。より精密な評価にはMini-BESTestの追加を検討してください。
BBSと歩行の自立度の判断は別物ですか?
はい、BBSは歩行自立度の指標ではありません。BBSはバランス能力と転倒リスクを評価するツールです。歩行自立度の判断にはFAC(Functional Ambulation Categories)やFIM歩行項目など、別の評価ツールを組み合わせることが推奨されます。
評価中に患者が転倒しそうになったらどうしますか?
安全確保を最優先してください。評価者は常に患者の近くに立ち(踏み台昇降・片脚立位・タンデム立位では特に近接見守り)、手を伸ばせば支えられる位置を維持します。転倒しそうになった場合は即座に介助し、その項目は0点として記録します。患者の安全を犠牲にして採点精度を追求してはいけません。
BBSとMini-BESTestはどう使い分けますか?
BBS:中等度〜重度のバランス障害・施設全体のスクリーニングに最適。Mini-BESTest:BBS高得点(45点以上)でも転倒リスクが疑われる患者、軽度バランス障害(特にパーキンソン病)、どのバランス系が問題かを詳しく特定したい場合に有用です。両者は相互補完的であり、必要に応じて併用します。
脳卒中患者にBBSを使う際の注意点は?
片麻痺患者では、健側と麻痺側で非対称なパフォーマンスが出る項目(振り返り動作・片脚立位等)があります。左右それぞれ評価し、最も低いカテゴリーを採用してください。テスト-リテスト信頼性はICC[2,1]=.98と高く、回復期の変化追跡に有用です。

STROKE LABのバランス評価とリハビリ ― BBSを「起点」として使う

BBSは転倒リスクを数値化する優れたツールですが、STROKE LABではBBSスコアを「診断の起点」として使い、個別のリハビリプログラムに落とし込むプロセスを大切にしています。

STROKE LAB式

BBSから始まる4ステップのバランスリハビリ

Step 1|BBS + Mini-BESTestによる精密評価:BBSでリスク分類を行い、Mini-BESTestで「どのバランス系が問題か」を特定。

Step 2|神経科学的視点での課題分析:脳卒中・パーキンソン病など疾患ごとの神経学的背景とバランス障害の関係を統合して解釈。

Step 3|脳の可塑性を活用した訓練:感覚入力の再構成(閉眼バランス・不安定面・二重課題)、予測的姿勢制御の再学習(リーチング・ステッピング訓練)を組み合わせる。

Step 4|定期的な再評価と計画修正:MDCを参照しながらBBSで効果を客観的に追跡。スコア変化に応じてプログラム強度を調整する。

リハビリを受けた方の声

転倒してから怖くて外を歩けない状態でした。STROKE LABでBBSを行い「どの動作が弱いか」を具体的に教えてもらえて、やっと自分の問題点が分かりました。リハビリでバランスが改善してから、今は一人で近所を歩けています。

70代女性・脳卒中回復期

BBSは病院でもやっていたのですが、点数だけ教えてもらって終わりでした。STROKE LABでは「この項目が弱いのはこういう理由で、この訓練で改善できる」と詳しく説明してもらえ、リハビリの意味が分かるようになりました。

60代男性・パーキンソン病

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BBSに関連する論文サマリー

神経系

バーグバランススケールには天井効果がある!
パーキンソン病患者のバランス障害を評価するMiniBESTestとBBSの比較

原著:Comparing the Mini-BESTest with the Berg Balance Scale to Evaluate Balance Disorders in Parkinson’s Disease

📌 なぜこの論文を読もうと思ったのか?

天井効果の低いMiniBESTestに興味があり、BBSとの比較論文に興味を持ち読むに至りました。

背景

パーキンソン病患者のバランス重症度評価において最も一般的に使用されるのがBBS(FBSとも呼ばれる)です。ただし、BBSには天井効果や冗長性の問題などの制限があり、軽度の神経障害を持つ患者を評価する際には不十分な場合があります。より包括的なバランス制御6系統を評価するBESTestが開発され、その短縮版であるMini-BESTestの有用性を検討した研究です。

方法

パーキンソン病97名を対象に、BBS・Mini-BESTest・UPDRS-III・Hoehn & Yahr(H&Y)疾患重症度分類を用いてバランス障害を評価しました。

結果

重要な発見

Mini-BESTestはBBSより天井効果が少なく、軽度PD患者に有用

①天井効果:Mini-BESTestはBBSと高い相関がありつつも、軽度PD患者に対する天井効果を回避できることが示された。

②疾患重症度との関連:BBSで満点に近い高得点を示していても、Mini-BESTestでは満点近くを取れる人がその約半分であった。

③感度・特異度:Mini-BESTestはBBSよりも感度・特異度が優れており、異常な姿勢反応のある人をより正確に特定した。

💡 私見・明日への臨床アイデア

軽度のバランス障害の患者を評価する場合、Mini-BESTestが有用であることが示唆されました。予測的姿勢制御・反応的姿勢制御・感覚の問題・二重課題など、どの要素がより苦手かを特定することができます。ラボにおいても動画にて実施方法を紹介していますので参考にしてください。

Mini-BESTest関連記事:MiniBESTestの詳細解説記事はこちら

参考文献・引用文献

  • 1) Badke MB, et al. Outcomes after rehabilitation for adults with balance dysfunction. Arch Phys Med Rehabil. 2004;85(2):227-33.
  • 2) Berg KO, et al. Measuring balance in the elderly: validation of an instrument. Can J Public Health. 1992;83:S7-11.
  • 3) Usuda S, et al. Construct validity of functional balance scale in stroke inpatients. J Phys Ther Sci. 1998;10(1):53-6.
  • 4) Donoghue D, Stokes EK. How much change is true change? The minimum detectable change of the Berg Balance Scale in elderly people. J Rehabil Med. 2009;41(5):343-6.
  • 5) Franchignoni F, et al. Comparing the Mini-BESTest with the Berg Balance Scale to Evaluate Balance Disorders in Parkinson’s Disease. Parkinson’s Disease. 2011. PMC
  • 6) Shumway-Cook A, et al. Predicting the probability for falls in community-dwelling older adults. Phys Ther. 1997;77(8):812-9.

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