【2026年版】ヒューゲルメイヤーとは 下肢評価 (FMA-LE )と 脳卒中片麻痺者の歩行の相関 脳梗塞のリハビリ論文サマリー
FMA下肢評価の採点基準を、新人セラピストが臨床で迷わないために。
FMA(フーゲルメイヤーアセスメント)は脳卒中治療ガイドライン2015・追補2019でグレードB推奨の疾患特異的評価スケールです。海外では標準的に使用されているにもかかわらず、「どの肢位で」「どこまで動けば2点か」といった採点の迷いは新人セラピストに頻出します。この記事では、下肢評価の全項目採点基準を実施方法とともに完全網羅し、臨床判断に直結する形で解説します。
— FMA下肢評価の実施方法と採点基準を動画で確認できます。本記事と併用してご活用ください。
要点5項目。
臨床現場でこう出会う。
60代男性、左中大脳動脈領域の脳梗塞。ブルンストロームステージは下肢Ⅲと記録されているが、今後の歩行訓練の進捗管理のためFMAでの定量評価を指示された。評価用紙を前にして、採点の根拠に自信が持てない—そんな現場の疑問にこの記事は答えます。
「E-Ⅲaの座位での膝関節屈曲、これで本当に90°以上動いているのか?」「G(バランス)のパラシュート反応はどう誘発するのか?」。このような疑問を、先輩から後輩へ伝える感覚で一つひとつ解説していきます。
FMAは入院期・外来期を問わず、担当患者のベースライン評価や介入効果の判定に使います。上司から「FMAで定期評価して」と言われたとき、どの項目でも迷わず実施できることが新人セラピストの最初の目標です。
この記事では下肢評価(E〜J項目)を中心に、バランス・感覚・関節可動域・関節痛まで全採点基準を実施方法つきで解説します。上肢評価・予後予測については関連記事を参照してください。
FMAの定義と疫学。
FMA(Fugl-Meyer Assessment)は1975年にFugl-Meyer ARらが発表した脳卒中疾患特異的評価スケールです(Fugl-Meyer AR et al., Scand J Rehabil Med, 1975)。脳卒中治療ガイドライン2015・追補2019ではグレードB(行うように勧められる)と推奨されており、海外ではブルンストロームステージよりも広く使用されています。
評価項目は6領域で構成されます。上肢運動機能・下肢運動機能・感覚・バランス・関節可動域・関節痛の6つで、それぞれを独立して使用することも可能です。特に上肢・下肢の運動機能はアウトカムとして単独で使われることが多く、進捗管理に有用です。
| 領域 | 最高点 | 内訳 |
|---|---|---|
| 運動機能 | 100点 | 上肢66点・下肢34点 |
| 感覚 | 24点 | 軽いタッチ8点・位置感覚16点 |
| バランス | 14点 | 座位6点・立位8点 |
| 関節可動域 | 44点 | ゴニオメーターで必ず計測 |
| 関節痛 | 44点 | 可動域評価と同時実施 |
採点は0点(実行できない)・1点(部分的に実行できる)・2点(完全に実行できる)の3段階。合計最高点は226点。
重症度分類(Duncan PW, 1994)
Duncan PW(1994)らは運動機能100点満点において、以下の重症度分類を提案しています。ゴール設定や転帰予測の際に参照しましょう。
随意運動はほぼ不可能な状態。共同運動すら引き出しにくく、端座位保持から介入を開始する段階。
共同運動が引き出せる段階。選択的な運動は困難。平行棒内歩行や介助歩行を目指す時期。
部分的に選択的運動が可能。屋外歩行や階段昇降の自立を目指すことが多い段階。
選択的運動がほぼ可能。不整地歩行や生活の質の向上が主要課題となる段階。
— ご本人・ご家族の状況を丁寧にお伺いします
STROKE LABは脳神経疾患に特化した自費リハビリ施設です。担当セラピストが、FMA評価結果を踏まえた個別プログラムを提案します。ご本人だけでなくご家族も一緒に参加できます。
共同運動パターンの神経機序。
脳卒中後の運動回復は、共同運動パターン(synergy pattern:特定の関節運動が連動して出現するパターン)の出現から始まり、やがて選択的随意運動へと移行します。この回復過程がFMAの評価構造に反映されています。
皮質脊髄路の損傷により、系統発生的に古い脊髄・脳幹の神経回路が優位になります。これが共同運動パターンの出現につながります。リハビリの進行とともに皮質の再組織化が進み、より精緻な選択的運動が可能になっていきます。
下肢の屈筋共同運動と伸筋共同運動
下肢の屈筋共同運動(Flexor Synergy)は、股関節・膝関節の屈曲と足関節の背屈が連動して起こります。伸筋共同運動(Extensor Synergy)は、股関節の伸展・内転、膝関節の伸展、足関節の底屈が連動します。
FMAのE-Ⅱ(共同運動)→E-Ⅲ(共同運動の組み合わせ)→E-Ⅳ(非共同運動)という評価順序は、この回復の段階性を反映しています。新人セラピストはまず「今の患者さんはどの段階にいるか」を意識して評価に臨みましょう。
研究概要: Winters C et al. (2016) による脳卒中後上肢回復の測定に関するシステマティックレビュー。FMAを含む複数のアウトカム指標を検討した結果、FMAが最も広く使用され、十分に検証された評価法であることが確認された。FMAを補完する追加の尺度特定に向けたさらなる研究が必要であることも指摘している。
臨床的含意: FMAは変化に対する感度が高く、介入効果の判定に信頼性が高い。単独使用でも有用だが、FIM等の機能的転帰指標との組み合わせでより包括的な評価が可能。
FMAとブルンストロームステージの違い。
どちらも脳卒中の運動機能回復を評価するツールですが、アプローチと臨床上の強みが異なります。使い分けの基準を整理しましょう。
| 比較項目 | FMA | Brunnstrom Stages |
|---|---|---|
| 評価の焦点 | 定量的(数値化) | 定性的(段階記述) |
| 構造・項目数 | 6領域155項目(最大226点) | 6段階 |
| 実施時間 | 30〜45分 | 5〜10分 |
| 変化への感度 | 高い(微細な変化を検出) | FMAより低い |
| 適した使用場面 | 研究・アウトカム評価・介入効果の定量判定 | 日常臨床の記録・スクリーニング |
| 患者層 | 広範囲の脳卒中患者に適用可能 | 重度の運動障害患者に最も適する |
下肢評価の採点基準(完全網羅)。
ここからが本記事の核心です。FMA評価用紙PDFを手元に置きながら、各項目の実施方法と採点基準を確認しましょう。
E-Ⅰ. 深部腱反射

測定部位: 屈筋=ハムストリングス / 伸筋=大腿四頭筋腱または下腿三頭筋(アキレス腱)
開始肢位: 背臥位
採点: 消失=0点 / 出現=2点(各部位)
※非麻痺側でも反射がなければ、麻痺側の消失も正常と判断します。
E-Ⅱa. 屈筋共同運動
股関節・膝関節の屈曲と足関節の背屈の共同運動を評価します。可動域制限がない範囲で随意運動ができれば満点です。

実施方法: ①背臥位から股関節・膝関節の屈曲と足関節の背屈を同時に行う(股関節の外転・外旋は可)。②膝関節は踵を上に持ち上げるよう軽く抵抗をかける(下方向への抵抗は股関節屈曲への抵抗にもなるため注意)。
採点(股関節屈曲・膝関節屈曲・足関節背屈を各独立採点): 不可=0点 / 一部分可能=1点 / 全可動域可能=2点

E-Ⅱb. 伸筋共同運動
股関節伸展・内転、膝関節伸展、足関節底屈の4つを評価します。検査前に可動域の確認を行っておきましょう。

実施方法: ①股関節・膝関節の屈曲、足関節の背屈からスタート。②股関節の伸展・内転、膝関節の伸展、足関節の底屈を同時に行う。③内転以外は従重力活動のため抵抗をかける。
採点(股関節伸展・内転・膝関節伸展・足関節底屈を各独立採点): 不可=0点 / 一部分可能=1点 / 全可動域可能=2点
E-Ⅲa. 共同運動での組み合わせ(座位での膝関節屈曲)

実施方法: ①膝裏とベッド(椅子)の間が10cm空くよう座る。②足裏を床につけたまま後ろに滑らせながら膝関節を屈曲。ハムストリングスを触診して収縮を確認することが必須。大腿や足底が浮いた場合は屈筋共同運動として扱う。
採点: 随意運動なし=0点 / 90°未満=1点 / 90°以上=2点
E-Ⅲb. 共同運動での組み合わせ(座位での足関節背屈)

実施方法: ①ベッドや椅子に座り、足関節の可動域を確認。②自分の力で足関節を背屈。大腿や踵が浮いた場合は屈筋共同運動として扱う。
採点: 随意運動なし=0点 / 一部分可能=1点 / 全可動域可能=2点
E-Ⅳa. 非共同運動(立位での膝関節屈曲)

実施方法: ①股関節伸展位で立位(バランステストではないため支持物使用可)。②股関節伸展位を保ちながら膝関節のみを90°屈曲。
採点: 随意運動なし・開始直後から股関節が屈曲する=0点 / 90°未満・運動に伴い股関節が屈曲する=1点 / 90°以上屈曲可能=2点
E-Ⅳb. 非共同運動(立位での足関節背屈)

実施方法: ①股関節伸展位で立位(支持物使用可)。②足関節のみを背屈。骨盤前傾の方は足をやや前に出して評価。
採点: 随意運動なし=0点 / 一部分可能=1点 / 全可動域可能=2点
E-Ⅴ. 腱反射の程度(E-Ⅳの2項目が両方満点の方のみ実施)

実施方法: 背臥位にてハムストリングス・大腿四頭筋・アキレス腱の腱反射を麻痺側・非麻痺側ともに評価し、非麻痺側との差を判定。
採点: 2/3が著明な亢進=0点 / 1/3が著明な亢進=1点 / 1/3が亢進(非麻痺側と同等)=2点
F. 協調性(踵-膝試験)

実施方法: 踵を反対下肢の膝蓋骨につけ、膝蓋骨→足関節と滑らせて戻す動作を5回繰り返す。論文によっては座位での評価もある。
① 所要時間(非麻痺側と比較): 6秒以上遅い=0点 / 2〜5秒遅い=1点 / 差が2秒以内=2点
② 測定障害(ジスメトリア): 顕著・一定しない=0点 / わずか・程度は一定=1点 / なし=2点
③ 振戦: 著明=0点 / わずか=1点 / なし=2点
G. バランス — 5項目(座位2点+立位8点=最大14点)
バランス評価は転倒リスクが高い項目を含みます。毎回、転倒リスクの評価・環境調整・患者への説明の3点を徹底してください。
G-1. 端座位保持

実施方法: 背もたれのないベッドで5分間端座位保持。他の評価中に5分以上介助なく端座位が取れていれば再評価不要。
採点: 背もたれが必要=0点 / ときどき介助が必要=1点 / 5分以上介助なく可能=2点
G-2. パラシュート反応(麻痺側・非麻痺側の両方を評価)

実施方法: 端座位で検査者がわざと左右にバランスを崩し、上肢の外転・伸展で支えられるかを評価。転倒リスクが高いため必ずリスク管理と環境調整を行う。
採点(麻痺側・非麻痺側それぞれ): 反応なし=0点 / 一部分あり=1点 / 肘関節伸展・肩関節外転が出現=2点
G-3. 軽介助での立位保持

実施方法: 軽く肩に触れた状態で1分間立位保持(触れる力は軽く触れる程度——過介助は評価精度を下げる)。
採点: 保持不可能=0点 / 徐々に介助量が増加=1点 / 1分間可能=2点

G-4. 介助なしでの立位保持

実施方法: 介助なしで1分間立位保持。転倒リスクがあるため、必ずすぐ支えられる位置で評価する。
採点: 保持不可能=0点 / 動揺あり=1点 / 動揺なく1分間可能=2点

G-5. 片脚立ち(麻痺側・非麻痺側の両方を評価)

実施方法: 麻痺側・非麻痺側の両方で片脚立位を行い、保持できた時間を計測。非麻痺側も神経学的影響を受けることが多いため、両側とも転倒注意。
採点: 3秒以下=0点 / 4〜9秒=1点 / 10秒以上=2点
H. 感覚 — 触覚と受動運動覚(最大24点)

H-1. 触覚: 非麻痺側と比較して麻痺側の触覚を評価。両側で触れる力を同じにする。→ 脱失=0点 / 鈍麻・異常感覚=1点 / 非麻痺側と同等=2点
H-2. 受動運動覚: 股関節・膝関節・足関節・母趾の4箇所を各4回評価。目を閉じた状態で上下の運動方向を回答。手の側面から触れ(上下の触圧覚で判断されないよう注意)、膝関節が動かないよう固定。→ 2/4以下=0点 / 3/4=1点 / 正常=2点
I. 関節痛 / J. 関節可動域(同時実施・各44点)
I. 関節痛: 著明=0点 / わずか=1点 / なし=2点
J. 関節可動域: わずかな可動域=0点 / 制限あり=1点 / 非麻痺側と同等=2点
評価関節: 股関節(屈曲・外転・内旋・外旋)、膝関節(屈曲・伸展)、足関節(背屈・底屈)、距骨下関節(内反・外反)
※I.関節痛とJ.関節可動域は同じタイミングで評価を行います。目視での可動域推定は信頼性を下げます。必ずゴニオメーターで計測してください。
| ID | 上肢運動 | 手指運動 | 下肢運動 | 感覚 | バランス | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 001 | 30/66 | 10/14 | 28/34 | 12/24 | 10/14 | 142 |
| 002 | 40/66 | 12/14 | 30/34 | 20/24 | 12/14 | 176 |
| 003 | 25/66 | 8/14 | 22/34 | 18/24 | 8/14 | 127 |
| 004 | 50/66 | 14/14 | 32/34 | 24/24 | 14/14 | 198 |
| 005 | 35/66 | 10/14 | 26/34 | 16/24 | 10/14 | 153 |
各領域で異なる重症度パターンを示します。上肢と下肢の回復には乖離が生じることも多く、領域別スコアの把握が重要です。
介入への応用とエビデンス。
FMAスコアは評価結果を記録するだけでなく、介入の段階設定に直結します。今の患者さんのスコアがどの段階にあるかを把握したうえで、次のフェーズへの進め方を計画しましょう。
端座位・立位バランスの促通から開始。体重支持や重心移動を通じた運動出力の誘発が優先。1セッション20〜40分・週3〜5回。
屈筋・伸筋共同運動を繰り返す反復練習(1日100〜200repetition)を導入。平行棒内歩行の開始。比例回復モデルを意識したゴール設定。
非共同運動(E-Ⅳ)が出現する段階。選択的な膝関節・足関節運動を課題に組み込む。1セッション30〜45分の課題指向型訓練・週4〜5回。歩行速度や動的バランスを指標に。
不整地歩行・段差昇降・運動速度の向上など高機能な課題を中心に。FMA各項目の2点取得が増える段階。バランスの精緻化と生活場面への汎化を目指す。
研究概要: Stinear CM et al. (2017) は運動回復バイオマーカーと脳卒中後の機能的転帰予測に関する文献をレビュー。FMAスコアを神経生理学的測定や神経画像などのバイオマーカーと組み合わせることで予後予測の精度が向上すると結論付けた。患者固有の回復予測を強化するための、より精確なバイオマーカーの開発が今後の課題とされている。
臨床への示唆: FMAのみによる予後予測には限界があります。患者の発症後日数・MRI所見・神経生理学的データを組み合わせて総合的に判断することが重要です。

FMAの評価結果をもとに、脳神経系に特化したセラピストが一人ひとりに合ったプログラムを提案します。退院後・慢性期でも継続して通える自費リハビリだからこそ、時間をかけて丁寧に向き合うことができます。
多職種連携と環境調整。
FMAのスコアは担当PTだけのものではありません。チーム全体で共有し、各職種の介入方針に活かすことで患者の回復を多面的に支援できます。
多職種連携の役割分担
| 職種 | FMA評価との連携内容 | 共有ポイント |
|---|---|---|
| PT | 主体的にFMA評価を実施。下肢運動・バランス・ROM・疼痛を担当。 | 歩行段階・立位バランスの目標をチームに伝える。 |
| OT | 上肢FMAを担当。ADL動作・手指機能への影響を把握。 | 移乗・入浴等のADL場面での下肢安定性を確認。 |
| 看護師 | 病棟での自立動作の見守りレベルをFMAスコアから判断。 | 夜間・休日の離床・トイレ動作の安全確保。 |
| 医師 | FMAスコアをアウトカムとして転帰先・退院方針決定に活用。 | 薬物療法(痙縮・疼痛)の効果をFMAで追跡。 |
| MSW | FMAスコアをもとに退院後のサービス選択・施設適否を判断。 | 在宅復帰か施設転帰かの判断材料として共有。 |
カンファレンスでの伝え方
「FMAスコアをそのまま数字で伝えるだけでは看護師や医師には伝わりにくいです。”下肢運動は34点中18点で、現在は伸筋共同運動が主体。平行棒内歩行を開始した段階”というように、点数の意味を添えましょう。」
「バランス評価のG-5(片脚立ち)が1点(4〜9秒)になったタイミングを看護師に共有すると、病棟での歩行見守りレベル変更の根拠になります。」
「関節痛のスコアが下がっているのに患者さんが”痛い”と言っている場合は、中枢性感作など別の要因を疑いましょう。FMAの点数と患者の訴えには乖離が生じることがあります。」
Pitfallsと臨床判断のコツ。
FMA評価で新人セラピストが陥りやすい採点ミスと、それを防ぐための臨床判断のポイントをまとめました。先輩から引き継いでほしい3つの罠です。
臨床判断の分岐点
「FMAスコアが伸び悩んでいるとき、”練習量が足りない”と考える前に”採点が正確かどうか”を再確認してほしいです。採点の甘さや代償の見落としが、見かけ上の伸び悩みにつながっているケースがあります。」
「関節可動域(J)と関節痛(I)は必ずゴニオメーターで計測し、同時に評価します。目視での”だいたいこのくらい”は信頼性を下げます。初回評価の計測を後から確認できるよう記録しておきましょう。」
予後とゴール設定。
FMAスコアは回復の予後予測にも使用されています。代表的な研究とその臨床的含意を整理します。
Prabhakaran S et al. (2008) は「脳卒中後上肢回復と転帰:比例回復モデル」として、初期の障害に関係なく、個人が潜在的に持っているFMAスコア向上の約70%を回復することを提案しました。中等度〜重度障害患者における上肢回復の強固な予測因子として報告されています。
臨床でのゴール設定では「この患者さんの理論的な回復上限はどこか」を計算しておくと、realistic goalを設定しやすくなります。ただし比例回復モデルはあくまで「統計的傾向」であり、個々の患者で大きく異なることを忘れないでください。
研究概要: Nijland RH et al. (2010) は脳卒中後の機能的転帰予測について、FMAスコアと機能的回復の関連を検討。FMAスコアは機能的回復と正の相関があることが確認された。また半側無視(体の片側への注意・意識の欠如)は機能的転帰の負の予測因子であることも報告している。
臨床への示唆: 半側無視を合併する患者では、FMAスコアが同等でも機能的転帰が悪い場合があります。認知・注意機能の評価と並行してFMAを解釈しましょう。
よくある質問。
FMAの下肢運動機能は34点満点です。全領域合計は226点満点となります。
Duncan PW(1994)らは運動機能100点満点において、0〜35点を「非常に重篤」、36〜55点を「重度」、56〜79点を「中等度」、79点超を「軽度」と分類しています。
FMAは155項目で定量的な変化を捉えるのに優れています。ブルンストロームステージは6段階で5〜10分と短時間で実施でき、概括的な回復段階の把握に向いています。
海外ではFMAがより広く使用されており、研究やアウトカム評価にはFMAが推奨されます。臨床では目的に応じて補完的に使い分けるのが現実的です。
最大のポイントはハムストリングスの触診です。ハムストリングスの収縮を確認しないと、骨盤の回旋などで代償してしまうケースがあります。
大腿や足底が床から浮いてしまう場合は屈筋共同運動になっているため、採点対象外となります。評価前に触診位置を確認し、代償の有無を明確に判断しましょう。
協調性は「所要時間」「測定障害」「振戦」の3項目をそれぞれ0〜2点で採点します。非麻痺側との比較が基本です。
所要時間は非麻痺側より6秒以上遅ければ0点、2〜5秒遅ければ1点、2秒以内の差は2点です。非麻痺側も神経学的影響を受けることがあるため、非麻痺側の評価も慎重に行いましょう。
パラシュート反応は転倒リスクが高い評価です。評価前に転倒リスクを十分に評価し、環境調整と評価の説明を行ってください。
片脚立ちも同様で、必ずすぐ支えられる位置で評価しましょう。非麻痺側も神経学的影響を受けることがあるため、非麻痺側片脚立ちの評価時も注意が必要です。
Prabhakaran et al.(2008)の比例回復モデル(PRM)によると、初期の障害レベルにかかわらず、理論的な最大回復量の約70%を達成できるとされています。
FMAスコアは機能的回復と正の相関があることがNijland et al.(2010)らにより示されています。予後予測の精度を上げるには、FMAスコアと神経生理学的測定などのバイオマーカーの組み合わせが有効です(Stinear et al., 2017)。
STROKE LABのプログラム。
STROKE LABは脳卒中・脳神経疾患に特化した自費リハビリ施設です。厳しい採用基準と徹底した教育を受けたセラピストが、FMA評価結果を踏まえて個別最適化されたリハビリプログラムを提供します。「退院後に回復が頭打ちになった」「もっとよくなりたいが通える場所がない」というご家族のお悩みに、私たちは真摯に向き合います。
— STROKE LABでのリハビリテーションの実際の様子です。
「FMAを使いはじめた頃、数字を取ることに精一杯で、患者さんの”なぜ動かないか”まで考えられていませんでした。スコアの変化を神経回復の文脈で解釈できるようになったのは、臨床2〜3年目になってからでした。まずは正確に採点することから始めてください。」— PT、臨床経験10年・神経リハビリテーション専門
「FMAのG(バランス)評価を怖がって後回しにする新人さんが多いです。でもバランス評価こそ転倒リスクを事前に把握するためのもの。環境を整えてきちんと評価してこそ、安全な訓練立案につながります。」— PT、臨床経験15年・急性期・回復期リハビリテーション専門
あわせて読みたい: FMA上肢評価と予後予測の完全ガイド
諦めないでください。

FMAのスコアが低くても、それは「現在地」にすぎません。脳神経系には可塑性があり、適切な介入が継続されれば回復は続きます。退院後に「ここで終わり」と思わないでほしいのです。
STROKE LABでは、FMA評価から導き出された個別の介入計画に基づいて、ご本人の回復を全力でサポートします。
まずは無料相談で、今の状態と目標をお聞かせください。私たちと一緒に、次の一歩を踏み出しましょう。
代表取締役 金子 唯史
参考文献。

1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024) パーキンソン病の機能促進:医学書院 (2025)