Vol.512.脳卒中患者のスクワットは「速度」に注意しよう!! 脳卒中/脳梗塞リハビリ論文サマリー
脳神経系論文に関する臨床アイデアを定期的に配信中。 Facebookで更新のメールご希望の方はこちらのオフィシャルページに「いいね!」を押してください。」 臨床に即した実技動画も配信中!こちらをClick!!(YouTube)
STROKE LABでは療法士向けの脳科学講座/ハンドリングセミナーを行っています!上記写真をClick!! PDFでもご覧になれます。→PDF
カテゴリー
タイトル
●脳卒中患者のスクワット(Squat)を正しく行う際の注意点とは??
●原著はControl of fast squatting movements after strokeこちら
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●脳卒中患者における立位動作における課題難易度設定を学習しようと思い論文を探した。今回、スクワットを基に脳卒中患者が速度に影響を受けるという文献を見つけ興味を持ち学習に至った。
内 容
背景
●脳卒中後の後遺症である運動障害が速い動きの運動制御、特に姿勢と四肢の動きを組み合わせた姿勢・運動制御にどのような影響を与えるかについてはほとんど知られていない。本研究の目的は、速いスクワット動作(屈伸動作)の運動制御に対する脳卒中の影響を調べることであった。
方法
●脳卒中片麻痺患者17名と年齢を同一にした17名の健常人は、速度の速いスクワットを行いました。床反力計によるデータ、膝の加速度、および大腿直筋、大腿二頭筋、前脛骨筋、ヒラメ筋からの筋電図活動を収集しました。
結果
●脳卒中患者における速度の速いスクワット動作は、速度・加速度の低下、非対称性が観察された。
●膝の動きのタイミングとCOPの移動の釣り合いを取ることが難しかった。
●障害の回復が高い患者はより対称的かつ適応的に麻痺側が活性化した。
私見・明日への臨床アイデア
●脳卒中患者の運動ポイントとしては、速い動きまたは極度に遅い動きなど速度という側面を変化させると四肢間の協調性の低下、質量・重心コントロールが難しくなる傾向があります。また、速度依存で痙縮の影響も受けやすい。速さの変化は一つの課題難易度設定の指標と言えます。スクワット(屈伸)を行う際は、まずは対称的な姿勢を意識し、重心を足と足の間にまっすぐ落とすように動きましょう。その際に、「速度」を意識して行ってみると良いでしょう。何も意識しないで行うと、体の非対称性や痙縮を強めてしまう可能性があることが論文から示唆されますね。
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
脳卒中の動作分析 一覧はこちら
塾講師陣が個別に合わせたリハビリでサポートします
1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)