Vol.478.慢性期脳卒中患者の荷重の対称性に対する足部の感覚運動トレーニングの影響
目次
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タイトル
●慢性期脳卒中患者の荷重の対称性に対する足部の感覚運動トレーニングの影響
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●本論文に目を通した際に、臨床介入の流れが日を追って書いてあったため、臨床介入時の示唆になるかと思い本論文に至る。
内 容
背景
●理学療法士が直面する最大の課題の1つは、特にバランスと深部感覚の改善に関し、患者の治療のための効果的な手順を開発することです。
●体のバランス維持に関わる重要な要素の1つは足部で、身体と外部環境間の唯一の接触点です。適切な足の機能は足底面に豊富に存在する感覚受容器と運動系によって確保されます。情報はフィードバックメカニズムを介して高次の認知センターに転送され、連続する運動活動の計画が続きます。その他に、身体バランスを維持する上で主要な役割を果たす要素には、軟部組織の弾性と足の力学が含まれる。それらの低下により高齢者では身体バランスを補償できず、バランスを損ねてしまう。
●脳卒中慢性期の患者の体重分布の対称性に対する足部感覚運動刺激の影響を評価した。
方法
●この研究では慢性期脳卒中(脳卒中後1年以上)の患者を調査した。無作為に研究グループ(n = 8)または対照グループ(n = 12)に割り当てられた。どちらのグループも標準の6週間のリハビリプログラムを完了した。研究グループでは、標準のリハビリテーションプログラムに感覚運動足部刺激トレーニングが追加された。プログラム内容は下記図参照。
結果
●足部への感覚運動刺激は直接麻痺側下肢の荷重を増大させ、荷重分布の非対称性を減少させた。
●両足の不均衡な荷重分布は、開眼と閉眼の両方で減少していることがわかった。これは、足部の固有受容感覚に改善があったことを示しています。
私見・明日への臨床アイデア
●本論文のように、まず可動域(動く事が出来る幅)を出すことは重要。患者では骨間筋など細かい部分まで硬く機能不全を起こしている患者は多い。しかし、ただ柔らかくしても能動的にコントロール出来なければ意味をなさない。運動出力面と感覚入力面双方が表裏一体で重要となる。可動域や感覚から徐々にダイナミックな動きへと課題難易度を変化させ丁寧に介入する事は大切であると思う。患者では麻痺側のみならず、非麻痺側も同様にコントロール出来ていないケースも多く、両側に目を配りたい。
脳卒中後の足部のトレーニングに役立つ動画
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
脳卒中の動作分析 一覧はこちら
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 4万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018)