4AT-Jの実施方法とカットオフ|せん妄評価・他尺度との使い分け・最新エビデンス
見逃さないために。
せん妄スクリーニングの実施・採点・カットオフ。
日本語版の手順から、臨床での次の行動まで。

- 4点以上:せん妄の可能性。確定診断ではない。
- 日本語版の注意課題:「セカイチズ」の逆唱。英語版と混同しない。
- 点数の先へ:普段との違いを集め、医療チームへ共有する。
読みたいところから
01 「いつもと違う」を、評価につなぐ。
4AT-Jは、せん妄の可能性を短時間で捉えるための日本語版スクリーニングです。4項目の合計は0〜12点。4点以上を目安に、臨床評価へつなげます。せん妄を確定したり、認知症の進行度を決めたりする検査ではありません。 [1] [3]
せん妄では、注意や認知、覚醒の状態が急に変化し、一日の中でも揺れます。落ち着かない人だけでなく、返答が遅い、視線が合いにくい、食事や会話が続かないなど、活動が減る低活動型にも注意します。リハビリ場面での「今日は意欲がない」という印象を、普段との違いに言い換えることが出発点です。 [4]
昨日は会話が続いていたのか。昨夜から眠れていないのか。朝は応答できたのに、午後は閉眼が続くのか。本人の一回の回答だけでなく、家族・病棟・記録をつないで変化を確認します。
ベッドサイドの評価は約2分が目安ですが、普段の状態を聞き取る時間や情報照合は別に必要です。「短い検査」を「質問だけで完結する検査」と捉えないことが大切です。 [2] [10]
02 カットオフは4点。点数の内訳も読む。
スマートフォンでは表を横にスクロールできます。
| 合計点 | 読み方 | 次に行うこと |
|---|---|---|
| 4〜12点 | せん妄の可能性。認知機能障害を伴うこともある。 | 普段との違い・全身状態・背景を確認し、医師・看護師などと速やかに共有する。 |
| 1〜3点 | 認知機能障害の可能性。認知症の確定診断ではない。 | 病前の状態と照合。急な変化があれば、点数にかかわらずせん妄を再検討する。 |
| 0点 | この評価ではせん妄・認知機能障害を示す所見が乏しい。 | 完全な除外ではない。情報不足や時間帯による変動があれば追加確認・再評価する。 |
判定区分は公式用紙に基づき、右欄は臨床での対応例として整理しました。 [1] [2]
覚醒度4点、または急な変化4点だけでも陽性域になります。一方、AMT4が2点+注意力が2点でも4点です。後者には、既存の認知症や言語・聴覚の問題が影響している可能性があります。合計点を確認したら、「どの項目で加点されたか」を必ず読みます。
4点を超えたかどうかと、今すぐ対応が必要かどうかは別の判断です。急な強い意識低下、呼吸・循環の異常、新しい麻痺や言語障害などがあれば、検査完了を待たず施設の急変対応につなげます。低得点を理由に評価や受診を遅らせません。
03 実施前に整える、3つの条件。
- 聞こえる・伝わる:眼鏡・補聴器の使用、母語、失語症の有無を確認。静かな場所で一人ずつ話しかけます。
- 普段が分かる:病前または直近の安定時の会話・認知・覚醒を確認。情報提供者と確認時刻も残します。
- 体調の変化が分かる:眠気、痛み、発熱、呼吸状態、食事・水分、排泄、薬の変更など、確認できる情報を整理します。
これらは点数を補正するためではなく、点数を正しく解釈するための条件です。「補聴器なしで聞こえなかった」と「聞こえているが注意が続かなかった」は分けて記録します。 [1] [4]
詳しく:4項目の採点、逆唱の扱い、急性変化の時間範囲、採点後の共有。
簡潔に:他尺度の位置づけや病態の説明。他尺度の全教示や、薬物治療の手順は掲載せず、それぞれの正式資料・医療判断につなげます。
04 4AT-Jの実施と採点を、項目ごとに。
以下は公式サイト掲載の日本語版 Ver 1.0に合わせた解説です。採点区分を保持し、臨床上の補足を加えています。実施時は日本語版の原票(PDF)を手元に置いてください。 [1]
① 覚醒度|質問の正誤より、反応の状態を見る
評価中の覚醒状態を観察します。眠っていれば声をかける、肩にやさしく触れるなどして覚醒を促し、名前や住所を尋ねて反応をみます。呼びかけへの反応が著しく乏しい場合は、安全確認と医療的評価を優先します。
| 点数 | 日本語版の判定区分 |
|---|---|
| 0点 | 評価中は十分に覚醒し、興奮していない。 |
| 0点 | 起きてから10秒以内の軽い眠気があるが、その後は正常。 |
| 4点 | 覚醒度が明らかに異常。著しい眠気、または興奮・多動など。 |
「氏名を間違えた」こと自体は、覚醒度4点の根拠ではありません。「開眼を維持できず繰り返し閉眼する」「評価を通じて明らかな興奮が続く」など、観察した状態を記載します。
② AMT4|4つを尋ね、誤りの数を記録する
日本語版では、年齢・生年月日・場所(病院または建物の名前)・今日の日付を尋ねます。4つの回答をそのまま記録してから採点します。
| 点数 | 日本語版の判定区分 |
|---|---|
| 0点 | 4項目すべて正解。 |
| 1点 | 1つ間違い。 |
| 2点 | 2つ以上の間違い、または実施困難。用紙には気分不良・活気のなさ・注意不足・拒否などが挙げられている。 |
英語版の4つ目は「現在の年」ですが、ここで用いる日本語版の用紙は「今日の日付」です。英語版と日本語版の項目を混ぜたまま同じ検査として扱わず、使用した版を記録してください。日付の回答も省略せず残します。 [1] [2]
③ 注意力|「セカイチズ」を逆から言ってもらう
「今からいう単語をうしろ(逆)から言って下さい」
「セカイチズ」
正答は「ズ・チ・イ・カ・セ」です。これは評価者向けの確認表示であり、患者さんに見せる提示カードではありません。答えを先に示したり、文字カードで並べ替えたりすると、標準の口頭課題とは条件が変わります。
| 点数 | 日本語版の判定区分 |
|---|---|
| 0点 | 5文字を正しい位置・音節で言える。 |
| 1点 | 位置・音節の誤りが2つまで、または途中で辞退。 |
| 2点 | 3つ以上の間違い、または実施困難。用紙には気分不良・活気のなさ・注意不足・拒否などが挙げられている。 |
正答は0点です。1点の「2つまで」は、誤りがある場合の区分です。途中まで取り組んでやめたのか、最初から課題を実施できなかったのかを分け、実際に発した言葉も残します。英語版の「開始を拒否=1点」という扱いを、この日本語版へそのまま持ち込まないでください。 [1] [2]
「最後はズですよ」などの誘導、何度も練習してからの正答、別の単語・計算への置き換えは、通常の採点と分けて扱います。判定に迷ったときは独自ルールを作らず、原票・使用上の注意を確認し、実施条件と回答を記録します。
④ 急な変化・変動|家族や病棟の情報が要る
覚醒・認知・その他の精神機能に、2週間以内に生じた著しい変化や変動があり、かつ直近24時間にも明らかに残っているかを確認します。妄想や幻覚の変化も含みます。
| 点数 | 日本語版の判定区分 |
|---|---|
| 0点 | 該当する変化・変動がない。 |
| 4点 | 該当する変化・変動がある。 |
- 「普段は、どの程度会話や食事ができますか?」
- 「いつから変わりましたか。数か月前からですか、昨日からですか?」
- 「この24時間で、良い時間と悪い時間はありましたか?」
- 「夜間の様子や、普段と違う言動はありましたか?」
本人が今しっかり答えられても、直近24時間の明らかな変動は評価対象です。逆に、長年同じ見当識の誤りがあるだけでは、この項目の急な変化には当たりません。情報が足りない場合は「情報未確認」を併記し、変化がないと確認できた状態と区別します。原票には独立した「不明」の配点がないため、総点だけで陰性判定を完結させません。 [1]

05 3つの例で、点数から行動へつなぐ。
以下は説明用の架空例です。点数の足し方だけでなく、加点理由・不足情報・次の行動を一緒に示します。
評価中も閉眼が続くほど眠気が強い。AMT4は2項目誤り。逆唱は開始できず、看護記録と家族の話から昨夜以降の急な変化が確認できた。
覚醒4+AMT4 2+注意2+急性変化4=12点。静かだから安心とは考えず、せん妄を含む急な状態変化として速やかに共有します。通常の負荷練習を続ける前に、全身状態と原因の評価へつなげます。
覚醒は普段どおり。AMT4は2項目以上誤り、逆唱も3文字以上誤る。家族と病棟の情報では、普段から同程度で、新しい変化は確認されない。
0+2+2+0=4点。陽性域ですが、せん妄の確定ではありません。慢性の認知機能障害による加点を考慮し、本人の通常状態と照合します。新しい変化の情報が不十分なら、聞き取りと観察を追加します。
日中の覚醒・AMT4・逆唱は正常。しかし昨夜、普段ない強い混乱があり、直近24時間の経過として確認された。
0+0+0+4=4点。検査時に会話ができることだけで否定しません。夜間の具体的な状態、持続時間、情報源を共有し、医療者が全体像を判断します。
4AT-Jは「患者さんができなかった理由」を一つに決める道具ではありません。看護師・療法士が変化を言葉にし、診察やケアの判断へつなげるために使います。
06 ほかの評価表とは、目的をそろえて使う。
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| 評価 | 主な役割・判定の考え方 | 4AT-Jと併用するとき |
|---|---|---|
| 4AT-J | せん妄の可能性を短時間で捉える。0〜12点、4点以上が目安。 | 最初の気づきと臨床評価への接続。合計点と4項目の内訳を記録する。 |
| CAM | 急性発症・変動と注意障害があり、さらに思考のまとまりのなさ、または意識水準の変化を伴うという組み合わせで判定。 | 単純な合計点ではない。4AT-J陽性とCAM陰性が食い違うときは、実施時刻・観察内容・情報源を確認する。 |
| CAM-ICU/ICDSC | 重症患者・ICU向け。ICDSCは一般に4点以上をせん妄の目安として用いる。 | NICEはICU・術後回復室では4ATの代わりにこれらを推奨。覚醒・鎮静状態と各尺度の手順を確認する。 |
| DRS-R98-J | せん妄の症状をより詳しく捉え、重症度などを検討する。 | 「何点下がれば回復か」を4AT-Jだけで決めず、詳細な症状評価や経過と合わせる。 |
| RASS | 興奮・鎮静の程度を評価する。 | 覚醒状態を共有する補助。RASSが0だからせん妄なし、とは判定しない。 |
| HDS-R/MMSE/MoCA | 認知機能を評価する。尺度・版・対象に応じた判定が必要。 | 急性変化がある時点の低得点だけで、認知症の診断や進行を決めない。状態安定後の再評価も検討する。 |
| CAT-R | 注意機能を複数の課題から詳しく調べる。 | 急な変動・覚醒低下を先に確認し、詳細検査が可能な状態か判断する。CAT-Rの成績だけでせん妄を判定しない。 |
CAMの判定構造、ICUでの使い分け、DRS-R98-J、ICDSC、CAT-Rの位置づけは各資料に基づき整理しました。ICDSCには閾値の再検討研究もありますが、本記事を理由に施設の採点基準を独自変更しません。各尺度の点数を換算したり、足し合わせたりはしません。 [4] [12] [13] [16] [17]
①同じ時刻・状態か → ②同じ普段の情報を使ったか → ③聞こえ・言語の条件はどうか → ④各尺度の実施・判定は正しいか。
多数決で診断せず、臨床所見と経過へ戻ります。
2019年の多施設比較研究では、70歳以上の急性期内科患者を4ATまたはCAMに割り付け、基準診断と比較しました。解析対象785人で、4ATの感度76%・特異度94%、CAMは40%・100%でした。これはその研究条件での比較であり、「CAMは常に感度40%」「4ATがあらゆる場面で優れる」という意味ではありません。 [7]
07 エビデンスは、対象と研究設計を分けて読む。
以下は2026年10月23日に確認した主要資料です。日本語版固有の根拠と、海外の4AT全般の研究を分けています。異なる集団の数値を、そのまま自施設の患者さんに当てはめないでください。
スマートフォンでは表を横にスクロールできます。
| 研究・対象 | 確認できる結果 | 臨床での読み方 |
|---|---|---|
| 日本語版の検証 Hasegawaら、2022 65歳以上150人 [3] |
看護師の4AT-Jと、精神科医によるDSM-5・DRS-98-Jを用いた評価を比較。カットオフ4点で信頼性・妥当性を検討。 | 日本語版を使う直接の根拠。公開抄録には感度・特異度の具体的数値がないため、ここでは未確認の数字を転記しない。 |
| 系統的レビュー Tiegesら、2021 17研究・3,702評価 [5] |
統合感度88%(95%CI 80〜93)、特異度88%(82〜92)。 | 「88%なら安心」ではなく、見逃しも偽陽性もある。対象・評価者・実施条件が研究間で異なる。 |
| 別のメタ解析 Houら、2023 11研究・2,789人 [6] |
感度87%(81〜91)、特異度87%(79〜92)。陽性尤度比6.66、陰性尤度比0.15。 | 採択基準・検索期間が異なる。前のレビューと単純に人数を足して、独立した証拠と数えない。 |
| 認知症のある集団 Keaneら、2026巻 5研究・全体1,304人、うち認知症482人 [8] |
抄録では感度88%・特異度79%。本文の別の統合表では感度89.4%で、記載差がある。 | 認知症があっても有用だが、陽性時は普段からの障害との区別が重要。日本語版のみの成績ではない。 |
感度88%は「陽性なら88%の確率でせん妄」ではない
感度は、せん妄のある人のうち陽性になる割合です。陽性の人に実際にせん妄がある割合(陽性的中率)は、その場の有病率によって変わります。
感度・特異度をともに88%と仮定します。せん妄が10%いる集団なら、真陽性は約88人、偽陽性は約108人で、陽性者のうちせん妄がある割合は約45%。有病率30%なら真陽性約264人、偽陽性約84人で約76%です。
これは計算例で、4AT-Jの個別患者の確率予測ではありません。点数と、急性変化・病歴・身体所見を合わせて判断する理由を示しています。
2025〜2026年の研究が加えた視点
- 回復を追う:McCartneyら(2025)は、せん妄のある70歳以上120人を9日以内に2〜4回評価し、4ATの反復評価での診断精度を検討しました。再評価の根拠を補いますが、日本語版の「何点改善すれば回復」という基準や、訓練効果の最小変化量を確立した研究ではありません。 [9]
- 救急で運用できるか:De Vivoら(2026年8月)の迅速系統的レビューは6研究をまとめ、短時間での実施可能性とともに、教育・電子記録・担当者の明確化など運用条件の重要性を示しました。導入だけで転帰が改善するという証明とは分けて読みます。 [10]
- 推奨の強さも見る:2026年巻の高齢者救急ガイドラインは4ATなどの利用を条件付きで推奨し、エビデンスの確実性を「非常に低い」と評価しています。救急の特定の問いに対する評価であり、4ATの研究すべてを否定するものでも、単独で確定診断できるとするものでもありません。 [11]
新しい論文ほど必ず強い根拠とは限りません。診断精度、実施可能性、患者転帰、回復判定は別の問いです。本記事は主要資料を選んだ臨床向け解説であり、網羅的な系統的レビューではありません。
08 脳卒中・認知症・失語症での読み方。
失語症や難聴があるとき
口頭回答の難しさが、AMT4や逆唱の成績に影響します。重い失語症で両項目が実施困難なら、それだけで陽性域になることがあります。実施困難を安易に0点にすることも、4点だからせん妄と確定することも避け、覚醒・急性変化・非言語的な様子を含めて共有します。 [1] [2]
代わりに指さし課題を作る、文字で選ばせるなど条件を変えた場合は、標準の4AT-Jと同等とみなさず、変更内容を記録します。文化・言語による課題変更は、結果の意味にも関わります。 [15]
認知症があるとき
普段からの日付の誤りと、新しく生じた注意・覚醒の変化を分けます。認知症の人にもせん妄は起こり得るため、「もともと認知症」で判断を止めません。普段の介助量、会話、食事、睡眠を知る人の情報が役立ちます。 [1] [8]
脳卒中後のリハビリテーションで
急な反応低下や新しい言語・運動症状では、せん妄だけに原因を絞らず、新たな神経学的変化や全身状態の評価を優先します。慢性期の失語症・注意障害の影響と、新しい変動を区別し、長い認知検査や負荷の高い練習を続けてよいかをチームで判断します。
NICEは、この場面ではCAM-ICUまたはICDSCの使用を推奨しています。人工呼吸管理・鎮静・昏睡を伴う状態に、一般病棟の4AT-Jの流れをそのまま当てはめません。 [4]
09 評価後の共有を、具体的な言葉にする。

陽性のときは、点数だけを伝えるより、「いつから・何が・普段とどう違うか」を短く添えます。以下は共有文の例です。
「本日14時、4AT-Jは8点です。内訳は覚醒0、AMT4 2、注意2、急性変化4です。昨日は会話が続いていましたが、本日は質問への応答が途切れます。看護師から、昨夜から新たな混乱があったと確認しました。普段からの失語症はありません。体調変化の確認をお願いしたく、通常の歩行練習はいったん保留しています。」
- まず共有:検査時刻、使用版、合計点と内訳、急な変化の具体例、情報提供者。
- 背景を確認:呼吸・循環、感染の徴候、脱水、疼痛、薬剤、排尿・排便、睡眠など。職種の範囲で確認し、診断と原因治療は医療チームへつなぐ。
- ケアを調整:安心できる短い説明、見当識の手がかり、眼鏡・補聴器、休息と睡眠環境、適切な水分・栄養や活動を個別に検討。嚥下・循環などの制約にも合わせる。
せん妄が疑われるから全員を一律に寝かせ続ける、という対応でもありません。安全と全身状態を確認し、必要な活動や離床はチームの方針に沿って調整します。原因への対応と、本人が安心して参加できる条件づくりを並行します。 [4]
10 再評価は「同じ条件」と「新しい変化」を残す。
一度0点でも、その後に変化が起こることがあります。反対に、点数が下がっても、症状や生活上の困りごとが残ることがあります。定期的な観察と、変化時の再評価を組み合わせます。 [4] [9]
- 時刻:朝・夕・夜間のどこで評価したか。
- 条件:補聴器、睡眠、痛み、直前の薬剤・処置、疲労など。
- 情報の範囲:項目④は、再評価時点からみた直近24時間も確認する。
- 変化の中身:合計点だけでなく、覚醒・回答・注意・変動のどこが変わったか。
4AT-Jは等間隔の重症度尺度として作られたものではありません。「覚醒の4点が0点になったが、急性変化の4点は残る」など、項目ごとの変化を記載します。回復の判断には臨床所見・経過・普段の状態への戻り方を合わせます。
再評価の頻度は、急性変化の程度や施設の方針で決めます。「全員に毎時実施」といった独自の固定スケジュールは設けません。長期間の頻回な質問が本人の負担にならないよう、日常の観察と役割分担を明確にします。
11 原票と、共有のためのPDF。
採点には日本語版の原票を使い、その横にSTROKE LABの臨床共有メモを置く構成にしました。原票の採点ルールを作り替えず、普段との違い・情報源・連絡内容を残せます。
A4・2ページ。1ページ目は記入用、2ページ目は架空例と運用の確認です。検査用紙・診断基準の代わりにはなりません。
4ATはCC BY 4.0で公開されており、出典・ライセンス・変更の有無を明示して利用できます。本記事の解説・独自メモは公式開発者の推奨や監修を示すものではありません。 [14]
12 よくある迷いを、短く整理。
認知症の診断にも使えますか?
1〜3点などの所見は詳しい認知機能評価を検討するきっかけになりますが、4AT-Jだけで認知症を診断できません。急性の状態変化と普段からの障害を区別します。
逆唱できないだけで、せん妄ですか?
いいえ。逆唱単独の成績では決めません。日本語版の項目③は最大2点で、覚醒・AMT4・急性変化と合わせて判断します。
0点なら、そのままリハビリを進めてよいですか?
0点は運動実施の許可基準ではありません。全身状態、急な症状、情報不足を別に確認します。普段と明らかに違うなら、低得点でも共有・追加評価を行います。
特別な研修を受けないと使えませんか?
専用の特別な研修を前提としない検査ですが、せん妄の基本知識と、日本語版の採点ルールの確認は必要です。導入時には架空例で採点を合わせ、陽性・実施困難時に誰へ伝えるかも決めます。 [2] [10]
普段を知る → 日本語版どおりに評価する → 内訳と変化を伝える。
4AT-Jを採点で終わらせず、本人の状態に合った診察・ケア・リハビリにつなげてください。
参考文献・公式資料
情報確認日:2026年10月23日。各リンクは、記載した論文・資料に対応します。
- 4AT公式サイト.日本語版4AT(Ver 1.0)用紙・配布ページ.
公式資料を読む - 4AT公式サイト.4AT user guide.英語版の実施・採点・解釈.
公式資料を読む - Hasegawa T, et al. Reliability and validity of the Japanese version of the 4A's Test for delirium screening in the elderly patient. Asian J Psychiatr. 2022;67:102918. doi:10.1016/j.ajp.2021.102918.
PubMedで読む - NICE. Delirium: prevention, diagnosis and management in hospital and long-term care. CG103. Recommendations(2023年更新).
公式資料を読む - Tieges Z, et al. Diagnostic accuracy of the 4AT for delirium detection in older adults: systematic review and meta-analysis. Age Ageing. 2021;50:733–743. doi:10.1093/ageing/afaa224.
PubMedで読む - Hou L, et al. Diagnostic accuracy of the 4AT for delirium: A systematic review and meta-analysis. Asian J Psychiatr. 2023;80:103374. doi:10.1016/j.ajp.2022.103374.
PubMedで読む - Shenkin SD, et al. Delirium detection in older acute medical inpatients: a multicentre prospective comparative diagnostic test accuracy study of the 4AT and the confusion assessment method. BMC Med. 2019;17:138. doi:10.1186/s12916-019-1367-9.
PubMedで読む - Keane A, et al. 4AT screening for delirium in dementia: meta-analysis of diagnostic performance. Dement Neuropsychol. 2026;20:e20250378(オンライン公開2025年12月). doi:10.1590/1980-5764-DN-2025-0378.
PubMedで読む - McCartney H, et al. Validation of the 4AT for assessing recovery from delirium in older hospital patients. Age Ageing. 2025;54:afaf166. doi:10.1093/ageing/afaf166.
PubMedで読む - De Vivo W, Onuha C. Feasibility of the Four 'A's Test (4AT) Delirium Screening Tool in Older Adults Presenting to the Emergency Department: A Rapid Systematic Review. Cureus. 2026;18:e114359. doi:10.7759/cureus.114359.
PubMedで読む - Lee S, et al. GRADE-Based Clinical Practice Guidelines for Emergency Department Delirium Risk Stratification, Screening, and Brain Imaging in Older Patients With Suspected Delirium. Acad Emerg Med. 2026;33:e70167(オンライン公開2025年10月). doi:10.1111/acem.70167.
PubMedで読む - Inouye SK, et al. Clarifying confusion: the confusion assessment method. A new method for detection of delirium. Ann Intern Med. 1990;113:941–948. doi:10.7326/0003-4819-113-12-941.
PubMedで読む - Kato M, et al. Japanese version of the Delirium Rating Scale, Revised-98 (DRS-R98-J): reliability and validity. Psychosomatics. 2010;51:425–431. doi:10.1176/appi.psy.51.5.425.
PubMedで読む - 4AT公式サイト.Using, reproducing and adapting the 4AT(CC BY 4.0).
公式資料を読む - 4AT公式サイト.Modified 4AT and culturally adapted versions.
公式資料を読む - Boettger S, et al. Screening for delirium with the Intensive Care Delirium Screening Checklist (ICDSC): a re-evaluation of the threshold for delirium. Swiss Med Wkly. 2018;148:w14597. doi:10.4414/smw.2018.14597.
PubMedで読む - 日本高次脳機能障害学会.標準注意検査法・標準意欲評価法(CAT-R・CAS).
公式資料を読む
4AT © 2011–2014 Alasdair MacLullich, Tracy Ryan and Helen Cash. CC BY 4.0。原資料:the4AT.com。日本語版:公式サイト掲載のVer 1.0(用紙の案内先:千葉大学、日本語版検証:Hasegawaら)。本記事は採点区分の解説を日本語で再構成し、臨床例・比較表・独自メモを追加しています。公式原票自体は改変していません。独自資料に原版の検証成績がそのまま適用されることを意味しません。

1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024) パーキンソン病の機能促進:医学書院 (2025)