【令和版】一次運動野におけるDual-tDCS経頭蓋電気刺激の持続効果検証/脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
カテゴリー
神経系
タイトル
M1におけるDual-tDCSの持続効果検証
A comparison between uni- and bilateral tDCS effects on functional connectivity of the human motor cortex?PMC Bernhard Sehm et al.(2013)
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・臨床でtDCSに関わることがあり、電極位置の違い・電流の程度の違い等々による効果の違いを知りたく本論文に至る。
内 容
背景
・経頭蓋直流刺激(tDCS)は、表面電極を介して脳に流される低直流電流を利用する。電極の下にある皮質組織に対するtDCSの効果は、極性依存が高い。例えば、一次運動皮質(M1)の興奮性を調べる研究は、陽極tDCSが刺激された領域内で興奮性の増加をもたらす一方、陰性tDCS(少なくとも1mAの強度で)は皮質興奮性を減少させることを示した。
・一次運動野(M1)上の経頭蓋直流刺激(tDCS)は運動能力および学習の変化を誘発することが示されている。
・脳卒中患者では、両側性および片側性のM1 tDCSの有効性を直接比較することは今のところ欠けている。
・最近の研究によれば、tDCSは広範な脳ネットワークにおいて刺激中および刺激後の両方において機能的結合性(FC)の変化を誘発することができることが示された。
・FC変化に焦点を当てて、tDCS中および後の両方で、脳機能構造の動的調節を示した我々のグループの以前の所見を拡張する。
方法
研究では、2つの異なるtDCS設定にて調査された。
(i)片側M1 tDCS
(右M1上の陽極:正電荷が流れ出す電極 と 対側の眼窩上部領域の陰極)
(ii)両側のM1 tDCS
(右上M1陽極、左上M1陰極)
12人の健常者が、両側、片側、または擬似M1 tDCSのいずれかの20分前、実施中および実施後にfMRIを受けた。
結果
・両側M1 tDCSが
(a)刺激中の大脳半球間の機能的結合の減少
(b)介入後の右M1内の皮質内機能的結合の増加を誘発することを見出した。
片側のM1 tDCSもまた、刺激の間に同様の効果をもたらしたが、tDCSの終了後にそのような変化は観察されなかった。
私見・明日への臨床アイデア
・損傷半球の興奮性の促進、非損傷半球の抑制(半球間の不均衡の是正)を戦略とするDual-tDCSは運動パフォーマンスの改善をもたらすと報告されている。
・側頭頭頂へのtDCSで自覚的視性垂直位が影響を受けた、下肢の交互性を促通した等、様々な効果も検証され始めている。逆に効果はないなどの文献も目にする。
・今後tDCS群と非tDCS群の比較を臨床で感じていき、自分なりの感覚をつかんでいきたい。
塾講師陣が個別に合わせたリハビリでサポートします
1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023)