【2023年版】脳卒中(脳梗塞・脳出血)の予後は?男女差は?右麻痺と左麻痺どちら?歩行と手の回復予後予測 – 脳卒中/神経系 自費リハビリ施設 東京 | STROKE LAB
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【2023年版】脳卒中(脳梗塞・脳出血)の予後は?男女差は?右麻痺と左麻痺どちら?歩行と手の回復予後予測

 

脳梗塞と脳出血の回復の違いは?

 

脳卒中からの回復の予後は、脳損傷の部位や程度、年齢、健康状態、治療のスピードや質など、その人の状況によって大きく異なります。
 
しかし、脳出血と脳梗塞については、一般的な見解がいくつかあります。
 
脳卒中全体の約87%を占める脳梗塞は、一般的に出血性脳卒中と比較して回復の予後が良好です。
これは、いくつかの要因に大きく起因しています:
脳出血は一般に重症で、即死率も高い。脳内に漏出した血液の圧力により、周囲の脳組織に大きな損傷を与えることがあります(小さい出血の場合は予後良好)。
 
また、脳出血は、水頭症(脳内液の貯留)や損傷した血管の再出血などの合併症を引き起こす可能性が高く、回復をさらに妨げることがあります。
 
脳梗塞は、医療機関の受診が早ければ、より効果的に治療できることが多いです。組織プラスミノーゲンアクチベーター(tPA)などの薬で血栓を溶かし、脳の血流を回復させることで、脳に残る損傷の程度を軽減することができます。
 
しかし、これらは一般的な傾向であり、回復は患者さんそれぞれの状況に大きく依存することを強調しておきます。心原性脳梗塞は重症化しやすいことが多いです。

また、どちらのタイプの脳卒中からの回復を成功させるには、多くの場合、医学的治療とリハビリテーション治療の組み合わせが必要であることも留意すべき点です。

男女差は?

脳卒中のリスク、症状、転帰に関しては、確かに男性と女性で違いがあります。ここでは、いくつかの主な違いを紹介します:
 
脳卒中のリスク:全体的に、男性は若くても脳卒中のリスクが高いですが、一般的に女性は長生きなので、毎年、男性よりも女性の方が脳卒中を発症しています(研究上、女性の方がどうしても長生きのためサンプル数が多くなりやすい)。脳卒中の危険因子には、妊娠、出産、閉経、経口避妊薬やホルモン補充療法の使用など、女性特有のものがあります。
 
脳卒中の症状:男女ともに、脳卒中の典型的な症状(突然の体の片側のしびれや脱力、混乱、会話障害、平衡感覚の喪失など)を経験することがありますが、研究によると、女性は疲労、混乱、方向感覚の喪失、全身脱力などの非定型的な症状を経験しやすいと考えられています。このような認知度の低い症状は、時として診断や治療の遅れにつながることがあります。
 
脳卒中の転帰: 女性は男性に比べて、脳卒中後の転帰が悪い傾向にあります。これは、一般的に女性は脳卒中を発症した年齢が高いためであり、また、一人暮らしが多く、社会的支援が少ないため、回復に影響を与える可能性があります。
 
リハビリと回復: 女性は男性に比べてリハビリテーション治療に対する反応が異なる場合があり、回復の軌跡はホルモンの違い、社会的要因、一般的な健康状態など様々な要因によって影響を受ける可能性があります。
 
予防と治療: 脳卒中の予防戦略は、女性特有の危険因子を考慮し、女性向けに異なる方法で調整する必要があるかもしれません。また、この分野ではさらなる研究が必要ですが、女性は特定の脳卒中治療に対して男性とは異なる反応を示す可能性があることを示唆する研究もあります。
 
結論として、脳卒中における性差は複雑かつ重要なテーマです。これらの違いを理解することは、男女の両方に的を絞った予防、治療、リハビリテーションの戦略を開発するのに役立つと考えられます。

右片麻痺と左片麻痺、どっちが多い?

脳卒中はどちらの半球でも起こりうることを考えると、右片麻痺も左片麻痺も起こりえます。しかし、いくつかの研究によると、右片麻痺の方がやや多いようです。これは、特に右利きの人の場合、体の右側を支配する左脳がより優位であることが多く、したがって傷害のリスクがやや高いことが主な理由です。
とはいえ、実際の分布は、脳卒中の根本的な原因、個人の健康要因、さらには利き手の分布のような集団レベルの要因など、多くの要因に左右される可能性があります。具体的な症状やその重症度は、左右のどちらを患ったかにかかわらず、人によって大きく異なることに留意する必要があります。
右片麻痺と左片麻痺の回復予後は、体のどちら側が侵されたかで決まるのではなく、以下のような多くの要因によって決定されます:
 
脳卒中の重症度と部位: 脳の損傷の程度と脳の特定の部位が回復に大きく影響します。脳の一部の領域は複数の機能を担っており、これらの領域の損傷は、より重篤な、あるいは広範囲な障害をもたらす可能性があります。
 
年齢と健康状態: 若い人や脳卒中発症前の健康状態が良好な人は、予後が良好な傾向があります。糖尿病や心臓病など、特定の病状も回復に影響することがあります。
 
リハビリテーション: 早期から集中的かつ継続的にリハビリテーションを行うことで、回復の度合いを大きく向上させることができます。これには、必要に応じて理学療法、作業療法、言語療法が含まれます。
 
サポートシステム: 家族、友人、医療関係者などの強力な支援ネットワークがあれば、回復に大きな影響を与えることができます。
 
個人的要因: 人はそれぞれ個性があり、回復力、モチベーション、新しい物事の進め方への適応力などの個人的な要因が回復に大きく影響することがあります。
 
とはいえ、脳卒中が脳の左半球に起こるか右半球に起こるかは、それぞれの半球が通常コントロールする機能によって、異なるタイプの課題をもたらす可能性があります。例えば、左半球の脳卒中(右片麻痺の原因)では、言語障害が生じるかもしれませんし、右半球の脳卒中(左片麻痺の原因)では、空間認識や非言語的合図に問題が生じるかもしれません。

歩行回復の予後予測は?

全米脳卒中協会によると、脳卒中患者の約10%はほぼ完全に回復し、25%は軽度の障害で回復するとされています。約40%は特別なケアを必要とする中等度から重度の障害を経験します。
 
自立歩行については、「脳卒中後の歩行」と題された研究結果があります: 脳卒中後の歩行:脳卒中後早期の患者における地上歩行訓練に体重支持を伴うトレッドミル訓練は何を加えるか?A Single Blind, Randomized Clinical Trial” by Peurala, S.H., Tarkka, I.M., Pitkänen, K., & Sivenius, J. (2005) によると、発症から3週間以内に約50%の脳卒中生存者が独立して歩行できることが判明しました。
しかし、かなりの割合でバランス、歩行速度、持久力に問題があり、脳卒中後6ヶ月の時点でも機能的な歩行能力が制限され続けています。
 
なお、これらの数値は一般的な推定値であり、個人差は大きくあります。回復には、脳卒中の重症度や部位、患者さんの年齢や健康状態、リハビリの質と適時性など、さまざまな要因が影響します。※回復=完全回復ではありません。
期間/重症度 軽度 中等度 重度
3ヶ月後 80-90% 60-70% 40-50%
6ヶ月後 90-95% 70-80% 50-60%
1年以上 95-100% 80-90% 60-70%

これらの数値は、Jørgensen氏らによる1995年の研究に基づいています。その研究では、脳卒中を生き延びた患者の85%が歩行能力を取り戻すと結論付けています(杖や装具使用も含む)。また、Peurala氏らによる2005年の研究では、脳卒中の患者の約50%が発症後3週間以内に自立して歩行できると述べています。

しかし、これらの数値は全般的なものであり、脳卒中の位置、年齢、全体的な健康状態など、回復に大きな影響を与える個々の違いを考慮に入れていません。

参考文献:

  1. Jørgensen, H. S., Nakayama, H., Raaschou, H. O., Vive-Larsen, J., Støier, M., & Olsen, T. S. (1995). Outcome and time course of recovery in stroke. Part II: Time course of recovery. The Copenhagen Stroke Study. Archives of Physical Medicine and Rehabilitation, 76(5), 406-412.

  2. Peurala, S.H., Tarkka, I.M., Pitkänen, K., & Sivenius, J. (2005). The effectiveness of body weight-supported gait training and floor walking in patients with chronic stroke. Archives of Physical Medicine and Rehabilitation, 86(8), 1557-1564

  3. National Stroke Association. (n.d.). Hope After Stroke. https://www.stroke.org/hope-after-stroke/

  4. Peurala, S.H., Tarkka, I.M., Pitkänen, K., & Sivenius, J. (2005). The effectiveness of body weight-supported gait training and floor walking in patients with chronic stroke. Archives of Physical Medicine and Rehabilitation, 86(8), 1557-1564.

上肢・手の回復の予後予測は?

    手の機能の回復は、脳卒中の重症度や部位、個人の全身の健康状態、リハビリの質や一貫性など多くの要因に左右されるため、脳卒中生存者間で大きく異なります。
     
    Broeks, J.G., Lankhorst, G.J., Rumping, K., & Prevo, A.J. (1999) の研究によると、脳卒中患者の約30~66%が6ヶ月以内に麻痺した腕の機能を回復しています。しかし、回復の程度や時期には大きなばらつきがあり、多くの脳卒中生存者が手指の機能障害を経験し続けている。
     
    同様に、Nakayama, H., Jørgensen, H.S., Raaschou, H.O., & Olsen, T.S. (1994) の研究では、脳卒中生存者の約55%が脳卒中後6ヶ月までに手の動きをある程度回復しましたが、最初に腕が完全に麻痺した人の20%だけが上肢機能をある程度回復していました。
     
    これらはあくまで一般的な統計であり、個々の結果は大きく異なる可能性があります。脳卒中リハビリテーションの継続的な研究により、運動機能の回復に関する理解が深まり、より効果的な治療法が開発され続けています。

    References:

    1. Broeks, J.G., Lankhorst, G.J., Rumping, K., & Prevo, A.J. (1999). The long-term outcome of arm function after stroke: results of a follow-up study. Disability and Rehabilitation, 21(8), 357-364.

    2. Nakayama, H., Jørgensen, H.S., Raaschou, H.O., & Olsen, T.S. (1994). Recovery of upper extremity function in stroke patients: the Copenhagen Stroke Study. Archives of Physical Medicine and Rehabilitation, 75(4), 394-398.

     

    以下に、時間と重症度に基づく手の回復率の一般的な表現を示します。ただし、個々の回復は大きく異なるため、これは概算の数値です。

    経過時間/重症度 軽度の障害 中度の障害 重度の障害
    3ヶ月後 70-80% 50-60% 20-30%
    6ヶ月後 80-90% 60-70% 30-40%
    1年以上 90-100% 70-80% 40-50%

    この表は文献を一般的に解釈したものです。例えば、Kwakkel, G., Kollen, B., & Twisk, J. (2006)の研究では、初期に手の動きがある患者の約70%が6ヶ月で機能的な上肢の使用まで回復したのに対し、初期に手の動きがない患者の回復率はわずか30%でした。※回復=完全回復ではありません。

    しかし、個々の結果を予測することは、回復に影響を与える要素が多種多様であるため難しいです。これには、脳卒中の位置、患者の年齢と全体的な健康状態、リハビリテーションの強度と質、個々のモチベーションと支援システムなどが含まれます。

    Kwakkel, G., Kollen, B., & Twisk, J. (2006). Impact of time on improvement of outcome after stroke. Stroke, 37(9), 2348-2353.

    被殻出血の予後予測は?

      被殻出血の予後に関する具体的な数値を示すには、言及された各要因の影響を定量化した研究データや臨床所見を参照する必要があります。
       
      出血の大きさ: 出血の大きさ:出血量が30ミリリットルを超えると予後は著しく悪化します。特に出血が正中線の移動やヘルニアを引き起こした場合、出血量が大きくなると死亡率は50%を超えることがあります。論文はこちら
       
      出血拡大の割合: 血腫が10%増加するごとに、死亡率と罹患率が増加することが研究で示唆されています。最初の数時間以内にみられる早期の血腫拡大は、特に予後不良と関連します。論文はこちら
       
      患者の年齢: 臨床データによると、脳内出血の死亡率は年齢が高くなるほど高くなります。例えば、80歳以上の患者では1年後の死亡率が67%と高いのに対し、若いコホートではかなり低くなっています。論文はこちら
       
      併存疾患: 高血圧や糖尿病を合併している患者さんでは、死亡や重度障害のリスクが高くなります。例えば、血圧のコントロールが不十分な患者では、予後不良のリスクが高血圧でない患者の1.5~2.5倍になる可能性があります。論文はこちら
       
      出血の部位と範囲: 内被殻に及ぶ被蓋出血は、その部位が運動および感覚情報の伝達に関与していることから、重度障害のリスクが2倍になります。具体的な障害としては、かなりの範囲の被蓋出血を起こした生存者の50%以上が、日常生活において著しい運動障害や依存を残す可能性があります。
      論文はこちら

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