vol.104:患者が考えたすくみ足の改善方法 パーキンソン病リハビリ論文サマリー
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カテゴリー
神経系, 歩行
タイトル
パーキンソン病患者のすくみ足に対する経皮的脳刺激(症例報告)
Superficial brain stimulation to overcome freezing of gait in Parkinson disease ?PubMedへ Nonnekes. J, Neurology. 2017 Mar 15.
パーキンソン病 すくみ足お役立ちお役立ち動画は↓↓↓↓
内 容
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・パーキンソン病のすくみ足に対し、なにか有効な治療はないかと考えていたため。
・患者本人がみつけたすくみ足の対処法が記載されており、有益だと感じたため。
背 景 ・ 目 的
・すくみ足は大脳基底核の障害により生じる。
・大脳基底核は動作の自動化と開始を担う組織であり、その機能の欠落はなにかしらの代償的な外部刺激がないと動作を開始できないことを意味する(リズム形成、視覚刺激など)。
・パーキンソン病患者はそれぞれ独自の代償的外部刺激を使って日常生活を送っており、本研究ではそれらを紹介する。
症 例 紹 介
・65歳
・20年前からパーキンソン病の診断
・主症状はすくみ足で、一日に最低1回はすくみ足が生じる。
・服薬の効果が薄れるとすくみ足が高頻度に発生する。
結 果
3つの代償的外部刺激
①患者自身の人差し指で左右のこめかみを押す
②アイススケートを行うつもりで歩く
③膝を高く持ち上げようとする。
上記3つの戦略がすくみ足を改善する理由の考察
・①:こめかみを押すことが経皮的に脳を刺激するため、もしくは体性感覚を刺激するためと記載されているが、明確な考察は述べられていない
・②③:本来、大脳基底核は習熟された動作(歩行など)の自動化と開始を担うものであり、慣れていない動作(スケート)などは基底核以外の経路で動作が開始されるため、有効なのではないかと述べられている。
・③:膝を高く上げることでより大きな身体重心の側方移動を生じるからだとも説明されている。
論文の背景や興味深かったこと
・症例報告という方法で新たな治療法を提案していることに面白さを感じた。研究のように、理論上概ねどの患者にでも当てはまるというものではもちろんないが、こういった一症例の報告から新しいアプローチや理論が作られることがあるのだと驚いた。
・②のアイススケートのような、慣れていない動作を意識することで基底核以外の経路を使うというのは論理的で、使える方法のように感じた。
私見・明日への臨床アイデア
・どれも日常生活に取り込みやすいものであり、効果があるか実際に患者に試してもらうことは価値があると思った。
・患者の生活に治療のヒントが隠されており、しっかり情報を拾っていきたいと思う。
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023)