vol.373:姿勢の不安・恐怖と前庭脊髄反射・前庭眼反射 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
目次
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カテゴリー
神経系
タイトル
姿勢の不安・恐怖と前庭脊髄反射・前庭眼反射
Vestibulo-spinal and vestibulo-ocular reflexes are modulated when standing with increased postural threat.PubMed Naranjo EN et al.(2016)
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・脳卒中者のトレーニング(セルフを含む)を考慮する上で、神経系の振る舞いを考えることは大切だと思われる。同じ立位exでも、個々で反応が変わることが推測される。その一つとして、姿勢脅威が及ぼす影響に興味を持ち本論文に至る。
内 容
背景
・最近の研究では、頸部および下肢筋から記録された前庭誘発筋電位(VEMP)の振幅が有意に増加し、VEMPの変化と有意な正の相関が示唆されるように、高い所に立つという生理的な覚醒と恐怖が増加した脅威の状態は前庭脊髄反射の増加を有意に増加させることが示されている。 (Naranjo et al.2015)
目的
・我々は、 前庭誘発筋電位検査(VEMP)および vHIT(video Head Impulse Test)の結果で測定された前庭脊髄反射および前庭眼反射(VOR)が、姿勢脅威の増大の条件下で立位中にどのように調節されるかを調べた。
方法
・25人の健常者が、低(床から0.8m)高(3.2m)の高さの状態で静止立位を取った。
・最初の実験では、ヘッドフォンを介して送達された256の空気伝導のショートトーンバーストに応答して、下斜筋(IO)、胸鎖乳突筋(SCM)、僧帽筋(TRP)およびヒラメ筋(SOL)筋肉からの表面EMGを用いてVEMPを記録した。
・また、被験者のサブセットは、機能的なVORの利得を計算するためにvHITシステムを使用して、目と頭の速度を比較して、別々のセッションで各高さで水平および垂直の頭部推力(約150°/ s)を受けた。
結果
・VEMPの振幅(IO、TRP、SOL)および水平および垂直のvHITの利得はすべて、高い面での静止立位条件で増加しました。
・IOおよびSCMの変化VEMP振幅および水平vHITの利得は、皮膚電気活動の変化と相関していた。
・IOのVEMP振幅もまた恐怖と正の相関を示した。
・脅威に起因する不安、恐れ、および覚醒は、生理学的および機能的結果の両方の測定において観察され得るVSRおよびVORの増加に重大な影響を及ぼす。これらの知見は、恐怖、不安、覚醒、および警戒の処理に関与する中枢神経からの興奮性入力を介して、前庭核複合体の潜在的な中枢調節を支援する。
私見・明日への臨床アイデア
・例として、高い不安を煽る場所でストレッチを行うのと低い安定した地で行うのには脊髄反射の増減の影響から違いが出る可能性がある。
・同じ平地でも、健常者と脳卒中者ではバランス機能が違う為、前提脊髄反射が脳卒中者でより増となる可能性がある。
氏名 shuichi kakusho
職種 理学療法士
塾講師陣が個別に合わせたリハビリでサポートします

1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 4万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018)