注意障害とは?|4つのタイプと家庭でわかるサイン・対策の入口 – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
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高次脳機能障害

注意障害とは?|4つのタイプと家庭でわかるサイン・対策の入口

ATTENTION DEFICIT

怠けではなく、注意の蛇口の問題です。

ぼんやりする、集中が続かない、ミスが増えた。脳卒中やケガのあとのその変化は、注意障害かもしれません。注意には続ける・見つける・切りかえる・同時に、という4つの働きがあり、どれが弱いかで家庭での工夫が変わります。タイプの見分け方と、今日からできる対処を整理します。

UPDATED2026
READ約11分
FORご本人・ご家族へ
BYSTROKE LAB
本記事は、医学書院『脳の機能解剖とリハビリテーション』(2024年・408頁)の著者が執筆しています。症状の現れ方には個人差があります。気になる変化は自己判断せず、必ず主治医・専門機関にご相談ください。

注意障害の説明

Quick Reference
まず知ってほしい5つのこと。
01
注意障害は、怠けや気合の問題ではなく脳の症状です
02
続ける・見つける・切りかえる・同時に、の4タイプで捉えます
03
どのタイプが弱いかで、家庭での工夫の方向が変わります
04
課題そのものより、その力を生活で使えるようにします
05
一度に一つ・刺激を減らす・疲れる前に休む、が基本です
01
Told You Make Mistakes

「ミスが増えた」と、言われて。

A Voice
「がんばっているのに、見落としてしまう」

本を読んでも途中で内容が入らなくなる。料理をしながら話しかけられると、火にかけていたことを忘れる。人の多い場所に行くと、どっと疲れて何も手につかない。本人は真剣なのに、周りからは「集中していない」「怠けている」と見えてしまう——。そんなすれ違いに、本人も家族も傷つきます。

でも、これは気合の問題ではありません。脳の傷によって、注意という働きが弱くなっているのです。名前は、注意障害といいます。

注意障害は、高次脳機能障害の中でも特によくみられる症状です。注意は、考える・覚える・段取るといったあらゆる活動の土台になるため、注意が弱ると生活の広い範囲に影響します。大切なのは、注意のどの働きが弱いかを見分けることです。全体像は高次脳機能障害の完全ガイドにまとめています。この記事では、注意障害のタイプと、家庭でできる対処に絞って解説します。

02
Four Taps Of Attention

STROKE LABの視点:注意を、4つの蛇口で捉える。

「注意障害」とひと言でいっても、中身はさまざまです。STROKE LABでは、注意を4つの蛇口に見立てます。どの蛇口が締まりにくくなっているかで、困る場面も、効く工夫も変わります。まずは、自分やご家族がどのタイプに近いかを見てみましょう。

4つの蛇口(注意の働き) 弱いと出やすい生活のサイン
続ける力(持続性) 本や作業が長く続かない、途中でぼんやりする、疲れやすい
見つける力(選択性) 物音や周りが気になって気が散る、必要なものを見つけられない
切りかえる力(転換性) 一つのことから切り替えにくい、同じ話や作業に戻ってしまう
同時に行う力(配分性) ながら作業ができない、話しかけられると手が止まる・忘れる

多くの方は、複数の蛇口がまざって締まりにくくなっています。完璧に1つに分ける必要はありません。困る場面を思い浮かべて、近いものから見ていくのがコツです。なお、左側だけを見落とす症状は空間性の注意にかかわり、半側空間無視の記事で扱います。

注意障害4分類

03
First Track — At Home

自宅でできること:タイプ別の、対処の入口。

まずは、当事者やご家族が今日から実践できる工夫からお伝えします。締まりにくい蛇口が見えてきたら、それに合わせて工夫します。どのタイプにも共通する土台は、一度に一つ・刺激を減らす・疲れる前に休むの3つです。そのうえで、タイプごとに次の入口を試してみてください。

弱いタイプ 家庭でできる工夫の入口
続ける力 作業を短く区切る、タイマーで休憩を先に予約する、疲れの前にやめる
見つける力 机の上の物を減らす、テレビや音を消す、探す物に目印や定位置をつくる
切りかえる力 次の予定を前もって伝える、切り替えの合図を決める、順番を紙に書く
同時に行う力 ながら作業を避け一つずつ、話しかけるのは手が止まってから

家の環境を集中しやすく整える具体的なやり方は集中できる部屋の作り方の記事で、練習の進め方は注意障害の自主トレの記事で、外出時の工夫は人混みで疲れないための記事で、それぞれ図解つきで解説します。

注意障害の3つの基礎能力

ここまでは、自宅でできる工夫でした。では、専門施設ではさらに何ができるのか。その到達点の差を、次にお伝えします。
04
Second Track — At STROKE LAB

専門施設で、さらに期待できること。

ここからは、少し専門的な話になります。ご家族はざっと読み飛ばしてもかまいませんが、リハビリに関わる方や、もっと深く知りたい方に向けて、注意障害の回復的アプローチの全体像をお伝えします。自宅での工夫が締まりにくい蛇口を避けて暮らす工夫だとすれば、専門施設で目指すのは注意の力そのものへ働きかけ、生活で使えるところまで引き上げることです。

注意障害の回復的アプローチは、大きく直接的訓練と、方略・環境調整の2系統に整理できます。直接的訓練は、注意そのものを段階的に繰り返し鍛える方法。方略・環境調整は、注意が弱くても課題をこなせるやり方を身につけ、環境を整える方法です。専門のリハビリでは、この両者を組み合わせます。

2つの系統 代表的なアプローチ(一例)
直接的訓練
注意そのものを鍛える
注意プロセストレーニング(4つの側面を段階的に扱う)、抹消課題や計算などの反復課題、刺激の量を段階的に増やす訓練
方略・環境調整
弱くてもこなせるように
一度に一つにしぼる、チェックリストやタイマー、止まって確認する自己教示、刺激を減らす環境設定、生活課題への橋渡し

初期は静かな環境で刺激を抑え、慣れるにつれてあえて生活に近い刺激のある環境へ段階的に近づけるのも、専門施設で行う環境の設計です。近年は非侵襲的な脳刺激を用いた方法も研究されています。効果の出方には個人差があります。

注意障害の回復アプローチ

STROKE LAB’s View
この見取り図の中で、私たちが軸足を置くところ。

注意障害の練習というと、プリントやパズルを思い浮かべるかもしれません。それも役立ちますが、課題ができること自体は目標ではありません。直接的訓練の成績が上がっても、それが自動的に生活に活きるとは限らない。この般化の壁こそ、注意障害のリハビリで最も難しいところです。だからSTROKE LABは、最初から生活課題に埋め込んで、般化を組み込むことに軸足を置きます。

たとえば、静かな部屋で3分の課題に集中できたとします。次は、その3分を身支度や皿洗いといった生活の作業に置きかえて、同じ時間で区切ってみます。課題で得た「これくらいなら集中できる」という感覚を、生活のタスクに橋渡しするわけです。うまくいったら少しずつ時間や難しさを上げ、疲れたら戻す。この行き来を、その人のペースで繰り返します。手や身体を動かす練習が前面に出る症状もありますが、注意障害では、こうした課題と生活をつなぐ設計が回復への中心になります。より専門的な評価とアプローチの詳細は、医療者向けの解説記事で扱います。

Evidence
注意を直接鍛える訓練に、効果を示す報告がある

脳損傷後の注意障害に対して、注意そのものを段階的に刺激する直接的注意訓練(Attention Process Trainingなど)は、机上の検査で改善を示し、生活場面への効果も示唆されたと報告されています。国内外の診療ガイドラインでも、注意障害への介入手段の一つとして取り上げられています。

限界:訓練でできたことが日常生活にそのまま広がりにくい(般化しにくい)という課題があり、研究の多くは規模が小さめです。訓練だけに頼らず、生活場面での工夫・環境調整・自分の特徴を知る練習と組み合わせることがすすめられます。効果には個人差があります。

出典:Sohlberg MM, Mateer CA. Attention Process Training(直接的注意訓練)に関する報告/日本脳卒中学会 脳卒中治療ガイドライン2021[改訂2023]、INCOG 2.0(2023)の注意に関する項
自宅で、蛇口を避ける工夫を。専門施設で、課題と生活をつなぎ、使える注意の力そのものを。

注意障害を生活へ

05
Rehab & When To See A Doctor

専門リハと、受診の目安。

前の項でお伝えした直接的訓練と生活課題への橋渡しは、どの蛇口が締まりにくいかをていねいに検査で確かめたうえで、その人の生活に合わせて設計します。前頭前野の働きを解説した動画も、背景の理解に役立ちます。

注意や段取りに関わる前頭前野のしくみを解説(脳リハ.com)。効果には個人差があります。

受診の目安は、脳卒中や頭のケガのあとで、集中やミスの変化によって仕事や生活に支障が出てきたときです。似た様子は疲れや気分、他の原因でも起こるため、自己判断せず、神経内科・脳神経外科・リハビリテーション科で確かめてください。より専門的な評価やアプローチを知りたい医療者の方は、医療者向けの解説記事もご覧ください。

06
FAQ

よくある質問。

Q. ぼんやりして集中が続かないのは、注意障害ですか?

脳卒中や頭のケガのあとで、集中が続かない・気が散りやすい・ミスが増えたといった変化が出た場合、注意障害のことがあります。注意障害は高次脳機能障害の一つで、続ける・見つける・切りかえる・同時に行う、といった注意の働きが弱くなる状態です。ただし疲れや気分、他の原因でも似た様子は出ます。気になるときは自己判断せず、神経内科やリハビリテーション科で相談してください。

Q. 注意障害には、どんなタイプがありますか?

大きく4つに分けて考えると分かりやすいです。続ける力(集中が続かない)、見つける力(必要なものを見つけられない・物音で気が散る)、切りかえる力(一つのことから切り替えにくい)、同時に行う力(ながら作業ができない)です。多くの方は複数がまざって現れます。どの力が弱いかで、家庭での工夫の方向が変わります。まずは困る場面を書き出して、どのタイプに近いかを見てみましょう。

Q. 家でできる練習はありますか?

あります。ただし、プリントやパズルなどの課題そのものより、その力を生活の中で使えるようにすることが大切です。たとえば数分の課題ができたら、身支度や家事をその時間で区切って組み合わせます。基本は、一度に一つのことに絞る、気が散る刺激を減らす、疲れる前に休む、の3つです。無理のない範囲で毎日少しずつ続け、やり方は作業療法士に相談すると自分に合う形が見つかります。

Q. 注意障害は、リハビリで良くなりますか?

注意そのものを刺激する直接的な訓練に、効果を示す報告があります。一方で、訓練でできたことが日常生活にそのまま広がりにくい(般化しにくい)という課題も知られています。そのため、訓練だけでなく、生活場面での工夫や環境調整、自分の特徴を知るメタ認知の練習と組み合わせるのが有効とされています。効果には個人差があり、続け方は専門職に相談してください。

Q. 本人がミスを認めず、怒ってしまいます。どう接すればよいですか?

本人は、自分の注意が下がっていることに気づきにくいことがあります。責めると自信をなくし、関係も悪くなりがちです。ミスを指摘するより、気が散らない環境をあらかじめ整える、手順を目に見える形にしておく、といった仕組みで支えるのが現実的です。できたことに目を向ける声かけも助けになります。関わり方に迷うときは、専門職や家族会に相談してください。

Q. 左側を見落とすのも、注意障害ですか?

左側だけを見落とす症状は、空間性注意にかかわる半側空間無視のことがあり、注意障害と近い関係にありますが、対処の考え方が少し異なります。食事の左側を残す、左にぶつかるといったサインがある場合は、半側空間無視の視点での工夫が役立ちます。詳しくは半側空間無視の記事で解説します。どちらかの判断は、専門職に相談すると整理しやすくなります。
07
STROKE LAB

注意障害の相談は、STROKE LABへ。

STROKE LAB(東京・大阪)は、脳卒中を中心とする神経疾患専門の自費リハビリ施設です。どの注意の働きが弱いかを評価し、直接的な訓練と、生活の中で使えるようにする工夫を、その人の暮らしに合わせて組み立てます。困っている場面そのものを題材にするので、練習がそのまま生活に活きます。診断や薬は主治医を尊重し、私たちは生活と動作の側から支えます。保険リハとの併用もできます。

書籍『脳の機能解剖とリハビリテーション』(医学書院)の表紙
Book
脳の機能解剖とリハビリテーション
医学書院/2024年/408ページ

注意にかかわる前頭前野をはじめ、脳の部位ごとの働きと症状のつながりを、豊富なイラストで解説。本文と連動するYouTube講義動画で、脳のしくみを目と耳から学べます。

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Message from CEO
締まりにくい蛇口が分かれば、
工夫の方向が見えてきます。
STROKE LAB代表 金子唯史

集中できない、ミスが多い。そう言われるたびに、本人はいちばん自分を責めています。がんばっているのにうまくいかず、周りには怠けと見られる。その苦しさを、私は現場で何度も見てきました。

お伝えしたいのは、どの注意の蛇口が締まりにくいかが分かれば、打つ手が具体的になるということです。そして、課題ができることより、その力を暮らしで使えることを目指す。そこにこだわると、生活は着実に変わっていきます。

集中やミスでお困りなら、どうぞ一度ご相談ください。困っている場面そのものを題材に、その方に合うやり方を一緒に見つけます。

株式会社STROKE LAB
代表取締役 金子 唯史

無料相談を予約する

References

本記事は、国内外の公的情報・診療ガイドラインと、STROKE LABの臨床経験および下記書籍の枠組みをもとに構成しています。症状の現れ方や回復には個人差があります。気になるときは、必ず主治医・専門機関にご相談ください(最終確認日:2026年7月6日)。

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