2016.04.26脳科学トピック
<第4回:脳科学講座Blog>~間脳・脳幹・脊髄編~
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間脳(Diencephalon)
間脳は大脳半球の間に位置し,下垂体・視床下部・視床・松果体を含みます.視床核は,視床前核・視床内側核・視床外側核・視床後核・髄板内核に区別されます.
視床は「脳の中継所」
視床においては,脳の中継所であり,情動や内臓活動,運動・感覚,立体認知など様々な感覚情報を中継しています.臨床において,「患者の全体像を把握しろ!」という言葉をよく耳にすると思いますが,神経科学的視点でみれば,視床病変をもつ対象であればこそ,全体像を把握する必要性があります.情動系に問題がでているかもしれませんし,運動・感覚系に問題がでているかもしれません.はたまた,運動のプログラミングに問題がでているかもしれません・・・.それくらい視床に関しては諸症状が認められる可能性があり,それに対してどのようにアプローチしていくのか?という思考をもつことが重要です.
脳 幹(Brainstem)
脳幹は,中脳(Midbrain)・橋(Pons)・延髄(Medulla oblongata)に分類され,主に上行路・下降路の通り道です.中脳は黒質・赤核・脳神経(Ⅲ・Ⅳ)を保有し,橋は橋核・脳神経(Ⅴ~Ⅷ),延髄は錐体・楔状束核・薄束核・下オリーブ核・脳神経(Ⅸ~Ⅻ)をもちます.
脳幹網様体
網様体は体性感覚や内臓感覚からの入力を受け,視床を介して大脳皮質に送ります.この出力は大脳皮質を刺激して覚醒させ,意識を保持する作用を有し,上行性網様体賦活系と呼ばれます.その他,姿勢制御や生命維持にも関与することから,如何に網様体系を促通できるかの重要性が伺えます.
脊 髄(Spinal Cord)
脊髄は頸髄・胸髄・腰髄・仙髄・尾髄に分類され,灰白質には中心管・前角・後角・側角・灰白交連,白質には前索・側索・後索が存在します.前角には運動ニューロンが,後角には感覚ニューロンが入出力しています.
脊髄レベルでの反射の重要性
過去の神経科学では,ヒトの運動は反射での構成では成り立たず,大脳皮質レベルからの上位階層性理論にて発生しているとされている時代もありました.近年は脳は並列での入出力によるシステム理論が主流です。また、近代の神経科学においては,脊髄レベルでの反射ループによって,一部大脳皮質への負担を軽減して運動していると言われています.例示すると,歩行におけるTstでの下腿三頭筋の伸張反射によって歩行はリズム化され,皮質を介さずとも自動的に歩けたりします.かなり抽象的ですが,携帯電話を操作しながら歩行できるのはその要素もいくらか寄与しているとも言えます.
最後は,毎回恒例のWorkshopにて受講生皆さんがActiveにセッションを行っていました!! 今回にて基礎講座は終了し,来月からは機能特化講座となり,運動学習理論や運動・姿勢制御における臨床応用となります!!
(編集:齋藤潤孝)
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