vol.357:歩行に対する運動イメージの効果とは? 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
脳神経系論文に関する臨床アイデアを定期的に配信中。 Facebookで更新のメールご希望の方はこちらのオフィシャルページに「いいね!」を押してください。」 臨床に即した実技動画も配信中!こちらをClick!!(YouTube)
STROKE LABでは療法士向けの脳科学講座/ハンドリングセミナーを行っています!上記写真をClick!!
カテゴリー
脳科学系
タイトル
歩行に対する運動イメージの効果とは?
Motor imagery for gait rehabilitation in post-stroke hemiparesis.Dickstein R et al.(2004)
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・「運動をイメージする」ということに興味があり、臨床ではどのような手段でどのような効果を得ているのか学びたく、その一助として本論文に至る。
内 容
背景・目的
・先行研究では、脳卒中後の片麻痺患者の上肢機能改善のためのMotor Imagery practice(MI)の貢献を記述している。
・本症例報告の目的は、片麻痺患者の歩行を改善するためのMIの使用を記述することである。
方法
・左片麻痺を有する69歳の男性は、MI歩行練習を6週間受けた。
・介入は、課題指向の歩行および麻痺側下肢の障害に焦点を当てた介入であった。
・膝関節の時間間隔ストライドのパラメータおよび矢状面上の運動学の介入前・中期・介入後およびフォローアップ測定を行った。
スケジュール:
検査(1)MI実施の2週間前(2)最初の練習セッションの1日前 (3)MI実施開始後3週間(中間評価) (4)6週間後(介入後評価)(5)練習終了後6週間(フォローアップ評価)からなる。
・通常の歩行靴でAFOなしで、杖を使用しない歩行でテストが行われました。
結果
・介入後6週間で、患者の歩行速度は23%増加し、double-support timeは13%減少した。
・膝の動きの範囲の増加も観察された。麻痺膝および非麻痺膝の動きの範囲が正味に増加し、フォローアップ時に部分的に維持された。 それにもかかわらず、麻痺側の動きの範囲は、影響を受けていない側と比較して実質的に制限されていた。
・歩行の対称性の変化は認められなかった。
・結果は、MIが脳卒中後の患者の歩行能力の向上に有用であり得ることを示唆している。
・メトロノームを同様に使用することで、ケイデンスを制御したり強化したりすることが容易になりました。このような使用は、将来の研究に推奨されます。
・主な改善点は歩行の時間(速度)、歩幅などの歩行変数および膝の動きであったため、MIは、麻痺側下肢の動作に影響を及ぼすため、歩行中の特定の障害に焦点を合わせるべきであろうと考えられる。
私見・明日への臨床アイデア
・何となく歩行全体をイメージするのと、例えば膝の動きなどを部分的に明瞭にイメージするのでは、当然効果は異なってくると考えられ、バリエーションは多いと思われる。どのようなイメージのさせ方で、どのような効果が出るか臨床で、検討していきたい。
職種 理学療法士
塾講師陣が個別に合わせたリハビリでサポートします
1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)