vol.296:猫背姿勢被験者の頭部位置と上肢筋活動 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
バイオメカニクス、上肢
タイトル
頭部前突・肩甲骨前傾外転姿勢の被験者における頭部位置の違いによる上肢筋活動の変化
Changes in upper-extremity muscle activities due to head position in subjects with a forward head posture and rounded shoulders
?PubMed Jung Won Kwon J Phys Ther Sci. 2015 Jun; 27(6): 1739–1742.
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・頭部前突し、肩甲骨が外転前傾している姿勢を呈する利用者様は多い。今回頭部の位置に変化を付けた際に上肢筋活動がどうなるか検証した論文を見つけ、興味深かったため読もうと思った。
内 容
背景・目的
・座位の不良による頭部前突姿勢(FHPRS)は胸椎後彎・肩甲骨の外転前傾により上肢の筋活動や運動に影響を及ぼす。
・頭部位置により上肢筋活動がどう変わるか、FHPRSの患者で検証する。
方法
・40名のFHPRSを呈する利用者
・3つの頭部位置
・自然な頭部位置(NHP):リラックスし快適と感じられる座位での頭部位置
・理想的な頭部位置(IHP):徒手や口頭指示なしで、被験者が良いと思う頭部位置
・修正された頭部位置(CHP):検者の徒手や口頭指示により頭部正中位に修正された姿勢
・被験者は右上肢を180°屈曲するよう指示された。筋電図によって胸鎖乳突筋(SCM)、僧帽筋上部線維(UT)、僧帽筋下部線維(LT)、前鋸筋(SA)の筋電位を計測した。
結果
表:実験結果 Jung Won Kwon (2015)より引用
・僧帽筋上部線維と前鋸筋は群間の差が見られたが、胸鎖乳突筋と僧帽筋下部線維には有意差が見られなかった。
・僧帽筋上部線維と前鋸筋は、NHPとIHP、NHPとCHPの間に有意差が見られた。(NHPの方が筋電位が大きい)。
私見・明日への臨床アイデア
・頭部前突位だと僧帽筋上部線維や前鋸筋の筋活動が大きくなることが分かった。頭部前突位で頸部や肩の痛みを訴える場合、上記2筋の過剰な筋活動が原因かもしれない。臨床推論の際のひとつのアイデアになると思う。
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023)