vol.244:多裂筋の筋活動-四つ這いと腹臥位- 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
バイオメカニクス
タイトル
腹臥位体幹伸展と四つ這いでの上下肢挙上時の腰部多裂筋浅層の筋電図的比較
Comparison of selective electromyographic activity of the superficial lumbar multifidus between prone trunk extension and four-point kneeling arm and leg lift exercises.?PubMed Kim JS J Phys Ther Sci. 2015 Apr;27(4):1037-9. doi: 10.1589/jpts.27.1037.
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・臨床でよく用いる四つ這い時の多裂筋活動を腹臥位体幹伸展と比較しており、興味深かったため読みたいと思った
内 容
背景・目的
・腰部多裂筋は脊柱の安定化を担う重要なローカル筋であり、同筋は脊柱伸展作用も持つ。
・腰痛患者は疼痛側の多裂筋が萎縮することが報告されている。逆にグローバル筋である脊柱起立筋の過活動が認められる。これは脊柱への負荷を増加させ、痛みの原因となっていると言われている。
・腹臥位での体幹伸展と四つ這いでの上下肢挙上運動は脊柱周囲の伸筋群の活動を高めることはわかっているが、多裂筋のみ着目した論文は見当たらない。
・したがって、浅層に位置する腰部多裂筋の筋活動を腹臥位体幹伸展(PTE)と四つ這い上下肢挙上(FPKAL)にて計測する
方法
・20名の健常成人
・筋電図の電極を腰部多裂筋(LM:L5棘突起から2cm外側)と腰部脊柱起立筋(LEM:L2棘突起から2cm外側)に貼付。
・PTEは腹臥位、頭部に両上肢を置き体幹伸展、FPKALは四つ這いにて対側の上下肢を挙上とした。
結果
表:実験結果 Kim JS (2015)より引用
・PTEの方がFPKALに比べてLESとLMの筋電位が有意に大きかった。
・LMとLESの割合はFPKALで有意に大きく、LMがLESより高い値を示した。
私見・明日への臨床アイデア
・四つ這い上下肢挙上は選択的に腰部多裂筋の筋活動を高めることが本研究から示唆された。逆に腹臥位体幹伸展は腰部脊柱起立筋の活動が高く、腰痛患者にとって痛みを誘発してしまう可能性がある。多裂筋の萎縮と脊柱起立筋の過活動が見られる利用者様に四つ這い運動をお願いしていこうと思う。
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
脳卒中後の腹斜筋のトレーニングに役立つ動画
脳卒中自主トレ100本以上 一覧はこちら
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023)