vol.377:膝関節症と先行性の中殿筋の活動 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
目次
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カテゴリー
バイオメカニクス
タイトル
膝関節症と先行性の中殿筋の活動
The Relationship of Anticipatory Gluteus Medius Activity to Pelvic and Knee Stability in the Transition to Single-Leg Stance.PubMed Kim D et al.(2016)
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・中殿筋の活動が大事と話を良く聞くが、どう活動するのが良いのか、中殿筋と機能的単位としてどのような活動が協働すべきなのか等調べようと思った。
内 容
背景
・立脚支持側の膝関節外転モーメントは、膝蓋大腿関節痛および変形性膝関節症にとって重要な危険因子である。
・片足立位での骨盤が過度に落ちていることは、膝関節外転回転力を増加させる可能性があります。中殿筋は、骨盤の落ち込みを防ぐために重要であり、両脚から片脚支持への移行を予期し作動されなければならない。
・Aminakaらは、PFPを有する患者は、階段降下中に健常者と比較してGmedの活動を遅延させ、膝関節外転モーメントを大きくすると報告した。
目的
・中殿筋の先行活動と骨盤の傾斜との関係を検討する。
方法
・20名の女性成人(平均年齢22.6歳)が参加した。参加者は、膝および足に病歴を持たない健康な女性で、膝・股関節および腰痛の徴候または適切なスクワット技術の知識があった。
・参加者は、利き足でない側の脚で16回の片足ハーフスクワットを行った。
・両脚から単脚への移行時に、利き脚のトー・オフに関連して、先行性の中殿筋の活動の開始および大きさを測定した。中殿筋の先行性制御において、その活性の大きさ・タイミング・骨盤の傾斜・膝関節外転モーメントとの相関を調べた。
結果
・中殿筋の活動量は、活動の開始時期よりも前額面での膝および骨盤の安定性を制御するためにより重要であることが示された。
・20人全ての参加者は、toe off前にGmedの活動の発生を示した。Gmedの活動はtoe off前の平均330±133ミリ秒で発生し、各試験の完了まで活性したままであった。
・すべての参加者は、トー・オフ時に骨盤の落ち込みの代わりに骨盤の傾斜を示した。
・結果は、予測的な先行性のGmedの活性の大きさの増加が、骨盤の傾斜および膝関節外転モーメントの増加と有意に相関していたが、Gmedの発生timingは、骨盤の傾斜または膝の外転モーメントとは有意に相関しなかった。
・これらの結果は、Gmedの活性のタイミングではなく、その大きさが、健常者の両脚脚から片脚支持に移行する際の過剰な骨盤の落ち込みおよび膝関節外転モーメントからの保護にとって重要な要因であることを示唆している。
https://youtu.be/0yhMBwTZ_Wg
私見・明日への臨床アイデア
・両脚支持から片脚支持の姿勢に移行する前に先行性に中殿筋の収縮の大きさを強調することで下肢の位置を改善し、膝の痛みを軽減することが示唆される。脳卒中リハビリにも活かせる可能性が示唆される.
氏名 覚正 秀一
職種 理学療法士
塾講師陣が個別に合わせたリハビリでサポートします

1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 4万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018)