パーキンソン病で水分でむせやすい|原因と対策・自宅でできる工夫 – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
  1. HOME
  2. ブログ
  3. パーキンソン病
  4. パーキンソン病で水分でむせやすい|原因と対策・自宅でできる工夫
パーキンソン病

パーキンソン病で水分でむせやすい|原因と対策・自宅でできる工夫

SWALLOWING & WATER

水は、実は手ごわい相手です。

ご飯はむせないのに、お茶や水を飲むとむせる。それはパーキンソン病でみられる、飲み込み(嚥下)の変化かもしれません。水はとろみのある食べ物より速く喉を通るため、飲み込みのタイミングが追いつかないことがあります。しくみと、今日から自宅でできる工夫を整理します。

UPDATED2026
READ約10分
FORご本人・ご家族へ
BYSTROKE LAB
本記事は、医学書院『パーキンソン病の機能促進(動作分析から自主トレーニングまで)』(2025年・448頁)の著者が執筆しています。頻繁なむせ、発熱、体重減少がある場合は自己判断せず、神経内科や耳鼻咽喉科で確認してください。

Quick Reference
まず知ってほしい5つのこと。
01
食事は平気なのに水分だけむせるのは、珍しいことではありません
02
原因は一つではなく、喉の動き・感覚・姿勢・呼吸のタイミングなどが関係します
03
とろみ・一口量・あご引き姿勢で、むせは減らせます
04
むせない誤嚥(不顕性誤嚥)もあり、むせの有無だけで安全とは判断できません
05
水分を控えるのではなく、飲み方を工夫するのが基本です
01
It Happens With Water

「お茶でむせる」と、言われた。

A Family’s Voice
「ご飯は普通に食べられるのに、お茶を飲むとむせ込んでしまって」

食事のときは特に問題を感じないのに、水やお茶を飲んだ瞬間だけ、急にむせ込んでしまう。何度も咳が続き、周りも本人も不安になる——。「飲み込む力が弱った」と考えて、水分を控えてしまう方も少なくありません。

でも、知ってほしいのです。水分だけでむせやすいのには理由があり、飲み方と姿勢を変えるだけで、ぐっと安全に飲みやすくなるということを。

パーキンソン病では、食事より先に、さらさらとした水分でむせやすくなることがあります。飲み込みは、喉の筋肉が一瞬で連携して気道を閉じる、とても速い運動です。その連携が少しずつ遅れることで起こるのが、水分中心のむせです。まずはしくみを知り、そのうえで具体的な立て直し方を見ていきましょう。リハビリの全体像はリハビリ完全ガイドにまとめています。

02
Why It Happens

むせのしくみと、様々な原因。

「むせる=飲み込む力が弱い」と一括りにされがちですが、実際にはいくつもの要因が重なって起こる、多因子性の症状です。人によって強く関わる要因は異なるため、まず自分やご家族がどのタイプに近いかを知ることが、対策の近道になります。

原因 どういうことか
喉の動作緩慢 喉の筋肉の反応がわずかに遅れ、速い水の流れに間に合わない
喉の感覚低下 水分が気道に入っても気づきにくく、むせが起こらないことがある
姿勢の変化 猫背や首の反りで、気道が開きやすい向きになりやすい
舌の動きの低下 口の中で水分をまとめにくく、こぼれるように喉へ流れやすい
呼吸とのタイミングのズレ 息を吸う動きと飲み込みが重なり、気管に流れ込みやすくなる
薬の効果が薄れる時間帯 動きがこわばる「オフ」の時間は、飲み込みも一緒に鈍りやすい

ここに、立て直しのヒントが隠れています。水が速すぎて間に合わないなら、速度を落とせばよい。姿勢で気道が開きやすいなら、姿勢を整えればよい。次の章から、この考え方を具体的な手順にしていきます。

03
Make Water Wait

STROKE LABの視点:水を「待てる」液体に変える。

むせの対処でいちばん手早く効くのが、水分の速度を落とし、喉の準備が整うまで「待てる」液体に変える</span ことです。さらさらの水は喉の反応より速く流れてしまいますが、少しとろみをつけるだけで流れが穏やかになり、飲み込みが間に合いやすくなります。次の3ステップで、今日から始められます。

Three Steps

ステップ1:とろみをつけて速度を落とす。市販のとろみ調整食品を使い、とろとろのポタージュくらいのとろみから試します。濃すぎるとかえって飲みにくくなるため、少量から様子を見ます。

ステップ2:一口の量を減らす。大きめのコップで一気に飲むのではなく、小さめのコップやスプーンを使い、一口ずつゆっくり飲みます。連続してごくごく飲むのは避けます。

ステップ3:あごを軽く引いて飲む。顔が上を向いた状態は気道が開きやすいため、あごを軽く引き、うなずくような姿勢で飲み込みます。椅子に深く座り、体幹を安定させるのも助けになります。

飲み物の温度や炭酸の刺激で飲みやすくなる方もいれば、とろみが体質的に合わない方もいます。大切なのは、この3ステップを組み合わせて自分に合う「待てる水分」を見つけ、安全に必要な水分をとれる状態をつくること。合うとろみの濃さや一口量は人それぞれなので、言語聴覚士や作業療法士と一緒に調整すると近道です。

04
Posture & Daily Habits

飲み方・姿勢・生活のコツ。

紙に線を引くように、生活の中にも「むせにくい環境」をつくれます。合言葉は「あご引き、ひと口ずつ、集中して」。ながら飲みをやめるだけでも変わります。

テレビを見ながら、会話をしながらの「ながら飲み」は、注意が飲み込みからそれてむせやすくなります。飲むときはテレビを消し、姿勢を正してから一口ずつ飲む習慣をつけましょう。薬の効果が薄れる時間帯はむせやすいため、水分をとるタイミングを、薬がよく効いている時間に合わせるのも一つの工夫です。声を大きくはっきり出す発声練習は、飲み込みに関わる喉の筋肉を使う点で共通しており、日々の運動とあわせて役立ちます。詳しい体操は体操・自主トレ大全もあわせて活用してください。

Evidence
あご引き姿勢ととろみ調整で、誤嚥のリスクを減らせた研究

パーキンソン病や認知症の方を対象に、さらさらの水分に対して3つの介入(あごを引く姿勢、ネクター状のとろみ、ハチミツ状のとろみ)を比較した研究では、いずれの介入も何もしない場合に比べて、誤嚥が確認された割合を減らしたと報告されています。とろみが濃いほど即時の誤嚥は減った一方、その日のうちに肺炎を起こした割合はあご引き姿勢の群で最も低かったとされ、姿勢ととろみを組み合わせて考える重要性が示されています。

限界:この研究は嚥下造影検査という医療機関での評価に基づくもので、自宅で自己判断のみに使う情報ではありません。効果には個人差があり、進行に伴って変動します。とろみの濃さや姿勢の適否は、専門家による評価が前提です。

出典:Logemann JA, et al. A randomized study of three interventions for aspiration of thin liquids in patients with dementia or Parkinson’s disease. J Speech Lang Hear Res. 2008;51(1):173-183
水分を控えるのではなく、飲み方を工夫する。

ここまでは、自宅でできる工夫でした。専門施設では、その先の検査に基づく回復的アプローチまで踏み込めます。
+

Second Track — At STROKE LAB
専門施設で、さらに期待できること
工夫で「その場をしのぐ」段階から、喉そのものの力を育てる段階へ。

自宅での工夫が、とろみや姿勢で今この瞬間を安全にする代償的な対策だとすれば、専門施設で目指すのは、喉の筋力そのものを鍛え、飲み込みの反応を底上げする回復的アプローチです。むせへの働きかけは、大きく3つの方向から組み立てます。

1. 検査に基づく評価。嚥下造影検査(VF)や嚥下内視鏡検査(VE)で、実際に何がどこで起きているかを確認し、その人に合ったとろみの濃さや姿勢を見極めます。

2. 呼気筋・発声トレーニング。息を強く吐く練習や、大きくはっきり声を出す練習を通じて、飲み込みに関わる喉まわりの筋力と協調性を高めます。

3. 姿勢と呼吸の土台。座位や体幹の安定、呼吸のリズムを整え、飲み込みが崩れにくい身体の下地をつくります。

STROKE LABが軸足を置くのは、工夫で安全を確保しながら、同時に喉の筋力そのものを育てていくという流れです。むせを我慢するのではなく、むせにくい体をつくる設計を専門的に組み立てます。効果には個人差があり、進行に伴って変動します。検査や薬の調整は主治医の役割です。

Evidence
呼気筋を鍛える訓練で、誤嚥やむせの指標が改善した研究

パーキンソン病の方を対象に、息を強く吐き出す呼気筋力トレーニング(EMST)を行った無作為化比較試験では、訓練を行った群で、飲み込みに関わる筋力や誤嚥の指標に改善がみられたと報告されています。息を吐く力を鍛えることが、飲み込みの安全性にもつながる可能性を示す研究です。

限界:専用の訓練機器と、決められた負荷・頻度での実施が前提の研究です。自己流での過度なトレーニングは避け、専門家の指導のもとで行うことが大切です。効果には個人差があり、進行に伴って変動します。

出典:Troche MS, et al. Aspiration and swallowing in Parkinson disease and rehabilitation with EMST: a randomized trial. Neurology. 2010;75(21):1912-1919
Watch & Practice
声を出す・体を動かす体操を、動画で。

脳リハ.comのYouTubeでは、発声や体幹を使う体操を配信しています。飲み込みの土台づくりとして、無理のない範囲で習慣にしてみてください。

発声・体幹の体操を見る

05
Rehab & When To See A Doctor

専門リハと、受診の目安。

専門のリハビリでは、その人がどんな場面でむせやすいかを一緒に確認し、とろみの濃さ・一口量・姿勢を、その人に合わせて調整します。実際に困っている飲み物や場面を練習の題材にすると、生活にそのまま活きます。薬の調整や検査は主治医の役割で、私たちは飲み方と生活の側から支えます。

受診の目安は、むせが頻繁に続く、原因不明の発熱や肺炎を繰り返す、体重が減ってきた、食事中や食後に声がガラガラになる、といったときです。むせないからといって安全とは限りません。気になる変化があれば自己判断せず、神経内科や耳鼻咽喉科で確認してください。専門的な費用や施設の選び方は自費リハビリの費用・施設の選び方にまとめています。

06
FAQ

よくある質問。

Q. 食事はむせないのに、お茶や水でむせるのはなぜですか?

水のようにさらさらした液体は、とろみのある食べ物より喉を速く通過します。パーキンソン病では、喉の動きがわずかに遅くなることがあり、水の速さに飲み込みのタイミングが間に合わず、むせやすくなります。とろみのある食事で問題が出にくいのは、動きがゆっくりでも間に合う速さだからです。頻繁に続く場合は、自己判断せず神経内科や耳鼻咽喉科で確認してください。

Q. とろみをつけると本当にむせにくくなりますか?

とろみをつけて液体の速度を落とすことは、パーキンソン病や認知症の方を対象にした研究でも、あご引き姿勢とあわせて誤嚥を減らす効果が報告されています。ただし、とろみの濃さが合わないと逆に飲み込みにくくなることもあるため、最初は言語聴覚士や作業療法士に相談しながら、自分に合う濃さを見つけるのがおすすめです。

Q. 自宅でできる、むせを減らす工夫はありますか?

あります。とろみをつけて速度を落とす、一口の量を減らす、あごを軽く引いて姿勢を整える、の3つが基本です。テレビを見ながらなど「ながら飲み」を避け、飲むことに意識を向けるだけでも変わります。薬の効果が薄れている時間帯は特にむせやすいため、飲むタイミングを工夫するのも助けになります。

Q. むせないのに、実は誤嚥していることがあると聞きました。本当ですか?

本当です。パーキンソン病では喉の感覚が鈍くなることがあり、水分が気管に入ってもむせる反射が起こらない、不顕性誤嚥と呼ばれる状態が起こることがあります。むせないから安全とは限らないため、原因不明の発熱や体重減少、食事中や食後の声の変化(ガラガラ声)が続くときは、むせの有無にかかわらず医療機関に相談してください。

Q. 水分を控えれば、むせは防げますか?

水分を極端に控えるのはおすすめできません。脱水は便秘や立ちくらみ、薬の効きにくさにもつながり、別のリスクを高めてしまいます。控えるのではなく、とろみや姿勢、飲むタイミングを工夫して、安全に必要な水分をとる方法を考えることが大切です。心配なときは、水分量そのものより飲み方について専門家に相談してください。

Q. 病院やリハビリでは、どんなことをしてくれますか?

医療機関では、嚥下造影検査(VF)や嚥下内視鏡検査(VE)で、実際に飲み込みの様子を確認できることがあります。リハビリでは、とろみの濃さや一口量の調整、あご引きなどの姿勢指導に加え、飲み込みに関わる喉の筋力を鍛える練習や、発声を通じた喉の運動を行うことがあります。薬の調整は主治医の領域のため、気になる変化はまず相談してください。
07
STROKE LAB

飲み込みの相談は、STROKE LABへ。

STROKE LAB(東京・大阪)は、脳卒中とパーキンソン病を中心とする神経疾患専門の自費リハビリ施設です。困っている飲み物や場面を一緒に確認し、とろみの濃さ・姿勢・呼気筋トレーニングを、その人に合わせて組み立てます。むせを我慢するのではなく、むせにくい体をつくる練習として取り組みます。薬の調整や検査は主治医を尊重し、生活の側から支えます。保険リハとの併用も歓迎です。

書籍『パーキンソン病の機能促進 動作分析から自主トレーニングまで』(医学書院)の表紙
Book
パーキンソン病の機能促進
動作分析から自主トレーニングまで
医学書院/2025年/448ページ

運動を通じて心身の状態を整える考え方を、動作分析の視点から体系化。本文と連動するYouTube動画62本で、実際の動きも確認できます。

Amazonで書籍を見る

Message from CEO
むせは、我慢するものではなく、
工夫で減らせるものです。
STROKE LAB代表 金子唯史

お茶を飲むたびにむせてしまうと、「水分を控えよう」と考えてしまう方が少なくありません。ですが、それは新たな心配(脱水や体調不良)を生んでしまいます。たくさんの方が、その狭間で悩んでこられました。

お伝えしたいのは、水分を控えることではなく、飲み方を変えることで、安心して飲める場面はまだまだ広がるということです。とろみ、一口量、あご引き姿勢。ちょっとした工夫と、喉の力を育てる練習で、できることは増えていきます。

飲み込みでお困りなら、どうぞ一度ご相談ください。困っている場面そのものを題材に、その方に合う飲み方を一緒に見つけます。

株式会社STROKE LAB
代表取締役 金子 唯史

無料相談を予約する

References

本記事は、国内外の診療ガイドライン・公的情報と、STROKE LABの臨床経験および下記書籍の枠組みをもとに構成しています。頻繁なむせ、発熱、体重減少がある場合は自己判断せず、必ず神経内科・耳鼻咽喉科・主治医にご相談ください(最終確認日:2026年8月25日)。

  • 日本神経学会:パーキンソン病診療ガイドライン2018
  • 難病情報センター:パーキンソン病(指定難病6)
  • Logemann JA, et al. A randomized study of three interventions for aspiration of thin liquids in patients with dementia or Parkinson’s disease. J Speech Lang Hear Res. 2008;51(1):173-183.(あご引き姿勢ととろみ調整が誤嚥を減らしたと報告。第1動線・エビデンスボックスの出典)
  • Troche MS, et al. Aspiration and swallowing in Parkinson disease and rehabilitation with EMST: a randomized trial. Neurology. 2010;75(21):1912-1919.(呼気筋力トレーニングが飲み込みの筋力・誤嚥指標を改善したと報告。第2動線・エビデンスボックスの出典)
  • 金子唯史:パーキンソン病の機能促進(動作分析から自主トレーニングまで).医学書院.2025.
CATEGORY

 

FOLLOW US

STROKE LABの記事は各種ソーシャルメディアでも配信中。今すぐフォローして最新情報をチェックしてください。

FOLLOW US

STROKE LABの記事は各種ソーシャルメディアでも配信中。今すぐフォローして最新情報をチェックしてください。

CATEGORY

関連記事

誠心誠意の機能向上に向けたリハビリ支援
脳卒中・パーキンソン病に特化した個別リハビリ支援。
病院で培った機能をつなぎ、可能性を広げる施設です。
〒113-0033 東京都文京区本郷2-8-1 寿山堂ビル3階・5階
03-6887-5263
〒158-0082 東京都世田谷区等々力7-2-31 The Room 等々力West 201号 2026.3 OPEN
03-6887-5263
〒530-0047 大阪府大阪市北区西天満6-3-16 梅田ステートビル202号
06-7220-4733
ACCESS
会社案内
事業案内
その他