両足ジャンプができない子|しゃがむ・伸びる・着地の発達
飛び上がる前に、両足へ均等に体重を乗せ、素早く床を押せることが必要です
「跳ぼうとしても足踏みになる」「片足ずつ床から離れる」「跳べても着地で尻もちをつく」。両足ジャンプが周囲の子より難しく見えると、不安になるものです。ジャンプは脚力だけではなく、しゃがむ準備、両足で床を押すタイミング、空中姿勢、着地で受け止める力がつながった動作です。どの局面で止まっているかを分け、家庭で見られることと相談目安を整理します。

跳ぼうとしているのに、両足が床から離れない。
「ぴょん」と声をかけると膝は曲げるけれど、足は床についたまま。片足ずつ踏み替える。手を持てば跳べるのに、一人だと止まる。跳び上がれても、着地で前へ倒れる。見た目は同じ「ジャンプできない」でも、止まっている局面は異なります。
大切なのは、跳躍高を競うことではなく、準備・離地・着地のどこで条件を変えると成功しやすくなるかを見ることです。
両足ジャンプでは、身体を一度下へ沈め、足裏へ体重を集め、両脚で床を押し、身体を空中へ移し、再び両足で床を受け止めます。その間に、腕の振り、視線、体幹の傾き、怖さへの対処も同時に調整します。
走行は左右の脚を交互に使う動作ですが、両足ジャンプは左右へほぼ同時に体重を乗せ、同時に離れる必要があります。走ることができても、両脚のタイミングや着地の予測がまだ育っている途中であることはあります。
ジャンプを「しゃがむ・伸びる・着地」に分けます。
1.しゃがむ
股関節・膝・足首を曲げ、足裏へ体重を乗せます。膝だけを少し曲げる、踵が浮く、身体が後ろへ逃げる場合は、床を押す準備を作りにくくなります。
2.両足で伸びる
足首・膝・股関節を連続して伸ばし、両足をほぼ同時に離します。片足ずつになるときは、力だけでなく、体重の左右差、合図の理解、怖さ、タイミングが関係します。
3.着地で受け止める
足裏で床を捉え、股関節・膝・足首を曲げて衝撃を受けます。着地直後の姿勢だけでなく、その後1〜2秒で立ち直り、次の遊びへ移れるかを見ます。
しゃがめても伸び始めない子、両足で離地できても腕と体幹が後ろへ残る子、空中へ上がれても膝を伸ばしたまま着地する子では、必要な支援は異なります。ジャンプの高さだけを測ると、この違いを見落とします。
手を持ったときだけ両足が同時に離れるなら、脚の出力だけでなく、姿勢の予測や安心感が変化した可能性があります。低い段差からは両足で降りられるのに、床から跳び上がれないなら、重力を利用した着地より、自分で押し出しを作る局面が難しい可能性があります。

3〜6歳の定型発達児411人を対象とした2025年の研究では、腕振りを使う条件で跳躍高が男児で約15%、女児で約12.5%高くなりました。一方で、跳び方の時間的な特徴や垂直性も変化しており、腕を振れば単純に「正しい」という結果ではありません。
30か月は「目安」であり、締め切りではありません。
CDCの発達マイルストーンでは、30か月頃の運動項目に「両足で床から跳び上がる」が含まれています。米国小児科学会の保護者向け30か月健診情報でも、両足ジャンプが挙げられています。ただし、CDCはマイルストーン表が標準化された発達スクリーニングの代わりではないと明記しています。
2歳後半では両足が少し浮く、3歳頃には一回のその場ジャンプへ挑戦する、3〜5歳頃には前方や連続、段差を含む遊びへ広がることがあります。ただし、これは厳密な達成基準ではありません。足が離れる高さ、腕の使い方、着地の安定は、その後も成長と経験により変化します。
| 年齢帯の目安 | 見られやすい挑戦 | 家庭で見るポイント |
|---|---|---|
| 2歳後半〜3歳頃 | 膝を曲げる、両足を浮かそうとする、その場で一回跳ぶ | 跳躍高より、両足へ体重を集めようとする変化があるか |
| 3〜4歳頃 | 前へ小さく跳ぶ、線を越える、低い段差から両足で降りる | 課題により成功が変わるか、着地後に立て直せるか |
| 4〜5歳頃 | 連続ジャンプ、遊びの合図、方向や距離を変える | 反復後に崩れないか、友達との遊びへ参加できるか |
年齢帯は観察の背景であり、診断基準ではありません。早産のお子さんでは修正月齢を含めて主治医や健診担当者と確認します。以前できた動作を失った場合は、年齢にかかわらず早めに医療機関へご相談ください。
2025年の着地生体力学研究では、3歳頃の子どもでも課題の要求に応じて着地を変えられる一方、若い子どもは着地初期に硬い戦略を示しやすく、下肢関節を使った衝撃吸収は成長とともに変化することが報告されました。
「できない」の中に、4つのつまずき方があります。
しゃがみが作れない
膝を少し曲げるだけ、踵が浮く、お尻が後ろへ引けない、深くなると手を床につく場合があります。可動性だけでなく、低い姿勢でバランスを保つ経験も関係します。
片足ずつ離れる
跳ぶ直前に片側へ体重が移る、踏み替えになる、いつも同じ側が先になることがあります。両脚の強さだけでなく、同時性、足幅、視線、合図への反応を見ます。
離地できるが着地で崩れる
膝を伸ばしたまま着く、足幅が極端に広がる、前へ手をつく、尻もちをつく場合です。着地の衝撃吸収、予測、着地点を見る力、姿勢の立て直しを確認します。
できるが、怖くて試さない
手を持つと跳べる、柔らかい床ではできる、低い線なら越えられる場合があります。能力の不足だけでなく、見通し、失敗経験、床や高さへの不安を分けます。
同じ子どもでも、課題によりパターンが変わります。その場ジャンプでは動けなくても、前方の目印へなら身体を移せることがあります。反対に、線は越えられても、連続すると着地が硬くなることがあります。
家庭では、4つの条件を比べます。
一人では足踏みになるが、両手または片手を軽く持つと両足が離れるか。変わる場合は、安心感や姿勢の予測が成功条件になっている可能性があります。
その場、前方の線越え、低い段差から降りる課題を比べます。押し出し、前方移動、着地のどこが難しいかを整理できます。
「せーの」だけ、手拍子、両足マーク、保護者の見本で変わるか。言葉の理解、リズム、開始のタイミングを分けて見ます。
一回目はできるが、2〜3回で片足ずつになるか。反対に、数回試すと両足がそろうか。学習と疲労を同じものとして扱わないことが大切です。
横から全身が入る動画と、正面から左右差が分かる動画を、それぞれ短く撮ります。開始姿勢、保護者の合図、床、靴、支えの有無、何回目かが分かると、相談時に情報が伝わりやすくなります。
家庭では、高さより「成功しやすい一回」を作ります。
両足マークで、しゃがんで伸びる
床に左右の足形を置き、まずは足をそろえてしゃがみ、背伸びする遊びから始めます。足が浮かなくても、準備から伸びる流れができれば一歩です。
細い線を、小さく越える
高さのないテープ線を使い、近い目標へ小さく前進します。遠くへ跳ばせず、着地点を見やすくします。線を踏んでも失敗扱いにしません。
合図で一回だけ跳ぶ
「せーの、ぴょん」や手拍子で開始を分かりやすくします。連続回数を求めず、両足のタイミングが合いやすい一回を作ります。
ごく低い段差から、静かに着地する
床とほぼ同じ高さから始め、両足で降りて止まります。高く跳ぶことより、着地後に姿勢を保てることを評価します。痛みや強い恐怖があれば行いません。

動きが荒くなる、片足だけを使う、表情がこわばる、痛みを訴える、何度も失敗して嫌になる前に終えます。保護者が療法士になる必要はありません。短く、楽しく、またやりたいところで終えることを優先します。
避けたい関わりと、相談・受診の目安。
| 避けたい関わり | なぜ避けるか | 代わりに行うこと |
|---|---|---|
| 高い台から無理に跳ばせる | 着地能力を超える負荷と恐怖を作りやすい | 高さのない線や、ごく低い段差から始める |
| 膝や腰を手で強く押して形を作る | 本人が重心とタイミングを学ぶ機会が減る | 足形、目標、合図、軽い手支持で条件を整える |
| 失敗しても回数を続ける | 疲労による崩れと苦手意識を強める | 成功率が保てる少ない回数で休む |
| 「怖くない」「簡単」と気持ちを否定する | 不安の理由を確認できず、回避が強くなることがある | 高さ・床・支えを選ばせ、見通しを伝える |
- 両足が同時に離れる場面が数か月ほとんど増えない
- いつも同じ側だけを先に使う
- 走る、階段、段差にも苦手さが広がっている
- 着地の転倒が多く、遊びを避けている
- 手先を含む複数の運動課題で強い不器用さがある
- 痛み、腫れ、熱感、発熱を伴う
- 足を引きずる、体重をかけられない
- 急に片側を使わなくなった
- 以前できた歩行・走行・ジャンプが難しくなった
- 極端な疲れやすさ、息切れ、全身状態の変化がある
荷重できない、発熱と関節の腫れがある、急に跛行が出た場合は、ジャンプ練習を中止して医療機関へ相談します。医療・健診が先で、私たちは生活と動きの側から併走します。
- いつ頃から気になったか
- その場、前方、段差で違いがあるか
- しゃがむ・離地・着地のどこが難しそうか
- 片足ずつになる場合、いつも同じ側か
- 手を持つ、合図、足形で変化するか
- 痛み、転倒、疲労、怖がり方があるか
- 開始前から着地後まで全身が映る短い動画
専門評価では、「できない」を条件と仮説へ変えます。
専門評価の目的は、ジャンプの形へ診断名を付けることではありません。実際のジャンプを、準備姿勢、足裏への荷重、両脚の同時性、腕と体幹の連動、着地の衝撃吸収、視線、怖さ、疲労、床や靴との相互作用へ分けます。
| 評価所見 | 臨床仮説 | その場で変える条件 | 確認する反応 | 生活で見る変化 |
|---|---|---|---|---|
| しゃがむと踵が浮き、後方へ倒れそうになる | 深い準備姿勢で足裏へ荷重し続けることが難しい | しゃがみを浅くする、前方に目標を置く、軽い支持を加える | 足裏が残り、しゃがみから伸びる流れが途切れないか | 床の物を拾って立つ、遊具で低い姿勢を使えるか |
| 一人では踏み替えるが、手を持つと両足が離れる | 脚力のみでなく、姿勢予測と失敗への不安が離地を制限している | 両手、片手、指一本へ支持を段階化し、床を一定にする | 支えを減らしても両足のタイミングが保たれるか | 園の手遊びや体操で自分から参加するか |
| 段差から降りられるが、床から上へ跳べない | 着地経験はあるが、自分で押し出しを作る離地局面がボトルネック | 背伸び、微小な離地、前方目標へ課題を細分化する | 膝だけでなく股関節・足首まで連続して伸びるか | 線越えや音楽遊びで一回の跳躍が増えるか |
| 一回はできるが、連続すると着地が硬く片足になる | リズム、反復後の姿勢調整、疲労回復が制限になっている | 一回ごとに止まる、回数を減らす、休憩とテンポを調整する | 着地後に姿勢を整えてから次へ進めるか | 体操やケンケンパ遊びで参加時間が伸びるか |
低い段差からは両足着地できるのに、その場で両足を離せない場合、着地を経験する力と、床を押して身体を持ち上げる力は同じではありません。反対に、跳び上がれるのに着地で崩れる場合、離地の高さを増やすほど課題を難しくしてしまいます。まず、どの局面を変えるべきかを確かめます。
足形を近づけると成功するのか、手支持で成功するのか、着地点を大きくすると成功するのかを比較します。その場の変化が出た条件は、仮説を支える情報です。言葉で「両足そろえて」と繰り返すより、子どもが自分で成功できる課題条件を選びます。
評価室で一回跳べたことを最終成果にはしません。園の体操、線越え遊び、低い段差、友達との遊びで自分から試す回数、着地後の転倒、疲労後の変化を確認します。一定期間後は、同じ床、靴、合図、支えで再評価し、条件を少しずつ変えます。
2025年のランダム化比較試験の系統的レビュー・メタ解析では、DCDの子どもに対する運動介入は、標準化された運動技能や活動遂行を改善する可能性が示され、特に課題志向型アプローチが多く検討されていました。一方、参加や心理社会的アウトカムの改善は明確ではなく、最適な頻度や期間も未確定です。

医療・健診を優先しながら、家庭や園で撮影した動画をもとに、準備・離地・着地、支え、合図、床、疲労による変化を整理できます。
よくある質問。
Q. 何歳くらいで両足ジャンプはできるようになりますか?
Q. 走れるのにジャンプできないのはなぜですか?
Q. 片足ずつ床から離れるのは問題ですか?
Q. 高いところを怖がるのは発達の問題ですか?
Q. 家庭ではどのような遊びができますか?
Q. 何歳まで様子を見てよいですか?
STROKE LABの小児リハビリ。
STROKE LAB(東京・大阪)は、脳卒中を中心とする神経疾患専門の自費リハビリ施設です。小児の運動相談では、ジャンプの高さや見た目だけを矯正せず、家庭・園で困っている動作を起点に、機能解剖と動作分析から準備・離地・着地の条件差を整理します。診断や医学的治療は医療機関が担い、私たちは生活と動きの側から併走します。急な症状、痛み、跛行、退行があるときは、まず医療機関へご相談ください。
次に試せる一歩へ。

両足ジャンプには発達の幅があります。一方で、左右差、痛み、怖さ、疲労、遊びへの参加のしにくさが、単なる「苦手」として見過ごされることもあります。
私たちは、高く跳ぶ形を教えるのではなく、どの条件なら本人が準備し、両足で押し、着地を受け止められるかを探します。その場で生まれた変化を、園の体操や遊びで使える形へつなぎます。
家庭で撮影した動画、支えの有無、床、靴、合図、反復後の変化も大切な評価情報です。不安を責める言葉ではなく、観察できる情報へ変えながら一緒に整理します。
代表取締役 金子 唯史

身体の一部だけを直すのではなく、姿勢・感覚・運動の連鎖から動作を捉えるための臨床書です。本記事の「しゃがむ・離地・着地をつなげて見る」という考え方の土台にもなっています。
- STROKE LABの小児リハビリ
- 動きがぎこちない・運動が苦手|運動制御の視点で「なぜ」を分析する
- 走り方がぎこちない子|腕振り・骨盤・足の接地をどう見るか
- 階段を怖がる子|片足支持・視線・手すり依存をどう見るか
- 幼児の運動相談の比較記事と地域別相談記事
本記事は、公的な発達情報、査読研究、STROKE LABの臨床経験、下記書籍の枠組みをもとに構成しています。両足ジャンプのみから診断を行うものではなく、医療機関での診断・治療に代わるものではありません(最終確認日:2026年8月4日)。
- Centers for Disease Control and Prevention. Milestones by 30 Months. Updated May 15, 2026.(30か月頃の運動マイルストーンに「両足で床から跳ぶ」を掲載。標準化スクリーニングの代替ではないことを明記)
- American Academy of Pediatrics. Your Checkup Checklist: 2½ Years Old (30 Months). HealthyChildren.org. Updated October 3, 2022.(30か月頃の身体発達の保護者向け情報)
- Petrić V, et al. Countermovement Jumps in Pre-School Children Aged 3 to 6 Years: How Much Can Arm Swing Help in Performance? Sports. 2025;13(11):387. doi:10.3390/sports13110387.
- Toussaint TD, et al. Landing Biomechanics Across Childhood: A Shift in Energy Dissipation From Soft Tissues to Lower Limb Joints. Scand J Med Sci Sports. 2025;35(12):e70175. doi:10.1111/sms.70175.
- Gao J, et al. Motor-Based Interventions in Children with Developmental Coordination Disorder: A Systematic Review and Meta-analysis of Randomised Controlled Trials. Sports Med Open. 2025;11:59. doi:10.1186/s40798-025-00833-w.
- Alder Hey Children’s NHS Foundation Trust. Limping Child.(荷重不能、関節の発赤・腫脹などの受診目安)
- 金子唯史:脳の機能解剖とリハビリテーション.医学書院,2024,408頁。

1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024) パーキンソン病の機能促進:医学書院 (2025)