体が硬い赤ちゃん|筋緊張が高いサインと相談目安
落ち着いているときも体が硬い赤ちゃん|筋緊張が高いサインと相談目安
「抱くと板のように硬い」「機嫌がよいときも足がピーンとしている」。赤ちゃんの体が硬く見えると、筋緊張や脳性麻痺を心配するかもしれません。ただし、硬く見えることだけで、筋緊張が高いとは判断できません。大切なのは、落ち着くと力が抜けるか、姿勢が変わると動き方も変わるか、硬さ以外の動きが増えているかを見ることです。

「体が硬い」だけでは、筋緊張が高いとは判断できません。
筋緊張とは、姿勢を保ち、動きを始めるために筋肉へ備わっている張りの状態です。赤ちゃんは大人より状態の変化が大きく、泣く、驚く、眠い、空腹、寒い、急に抱き上げられるといった条件でも全身へ力が入りやすくなります。
そのため、抱いた瞬間の硬さや、泣いている最中の足の突っ張りだけを見て「高緊張」「痙縮」「脳性麻痺」と決めることはできません。専門家は、どの状態で、どの姿勢で、どの部位に、どの程度続くのかを分けて見ます。
痙縮は、専門家が関節を動かす速さや方向、姿勢による抵抗の変化などを含めて評価する概念です。赤ちゃんの手足を速く曲げ伸ばししたり、抵抗を確かめるために強く伸ばしたりすることは避けてください。
一時的な力みと、相談したい硬さの違い。
一時的な力みでは、泣き止む、抱き方が安定する、体が温まる、姿勢をゆっくり変えるなどの条件で、手足の曲げ伸ばしや動き方が変わります。反対に、機嫌がよいときにも同じ姿勢が続き、別の動きへ切り替わりにくい場合は、健診や小児科へ伝えたい情報になります。
| 一時的な力みとして見られることがある | 一度相談しておきたい |
|---|---|
| 泣く、驚く、眠い、寒い場面で強くなる | 機嫌がよく静かな場面でも続く |
| 落ち着くと手足を曲げたり、別々に動かしたりする | 落ち着いても足が伸びたまま、手が握られたままなど同じ形が続く |
| 抱き方や姿勢で動きやすさが変わる | 仰向け、横向き、抱っこなど条件を変えても力が抜けにくい |
| 左右の手足をさまざまに動かす | 片側だけ硬い、頭の向きと手足の形がいつも同じ |
| 数週間で動きの種類が少しずつ増える | 動きの種類が増えない、またはできていた動きが減る |

筋緊張が気になるときに見たい5つのサイン。
状態が変わると緩むか
泣いているときだけか、機嫌がよいときや眠りに入る前にも続くかを見ます。
姿勢で変わるか
仰向け、横向き、抱っこ、うつ伏せで、手足の形や動きやすさが変わるかを見ます。
左右差が続くか
片手だけ握る、片足だけ伸びる、頭の向きと手足の形がいつも同じかを確認します。
硬さ以外の動きがあるか
手を開く、胸の前へ運ぶ、足を曲げる、左右別々に動かすなど、動きの選択肢を見ます。
生活へ影響しているか
哺乳、むせ、呼吸、抱っこ、おむつ替え、着替え、睡眠などで困りが重なるかを確認します。
硬さの最大値ではなく、「変動幅」を見る。
泣いたときに強く突っ張っても、落ち着くと手足を曲げ、左右別々に動かせる赤ちゃんと、状態が変わっても同じ伸展パターンが続く赤ちゃんでは、評価の意味が異なります。
もう一つ大切なのは、関節の硬さだけでなく、自分から選べる動きの種類です。仰向けで手を胸の前へ運ぶ、足を曲げる、頭を左右へ向けるなど、別の動きへ切り替えられることが、発達を見る重要な手がかりになります。

小児の高緊張には、痙縮、ジストニア、強剛など異なる性質があり、外から見た「硬さ」だけでは分類できません。痙縮では、専門家が動かす速さや方向による抵抗の変化を含めて確認します。
また、脳性麻痺の早期評価では、一つの家庭サインではなく、病歴、神経学的評価、運動評価、必要に応じた画像検査など、複数の情報を組み合わせます。保護者の心配は、詳しい評価へつなげる大切な情報です。
月齢と姿勢課題を一緒に見る。
体の硬さは、月齢に応じて育っている動きと合わせて見ます。たとえば、生後2か月と10か月では期待する姿勢や手足の使い方が異なります。できる・できないの一項目だけでなく、前の月より動きの種類が増えているかを確認します。
| 月齢の目安 | 見たい動きの広がり | 相談時に伝えたいこと |
|---|---|---|
| 0〜3か月頃 | 手足を曲げる・伸ばす形が入れ替わる、手が顔や胸の前へ近づく、頭を左右へ向ける | いつも全身が反る、片側だけ向く、哺乳や呼吸も気になる |
| 3〜6か月頃 | 手を開いて物へ伸ばす、両手を胸の前で合わせる、足を持ち上げる、横向きへ移る | 手が開きにくい、片手だけ使わない、足が伸びたまま浮きにくい |
| 6〜9か月頃 | 寝返りや座位で重心を移す、手で支える、足を曲げて姿勢を変える | 座ると脚が強く交差する、手が支えに使えない、姿勢変換が少ない |
| 9〜12か月頃 | 床上で姿勢を変える、膝立ち・つかまり立ちへ移る、足裏へ体重を移す | つま先が強く伸びる、脚を分けにくい、片側だけで立とうとする |
月齢は目安で、達成時期には幅があります。早産のお子さんは修正月齢で確認することがあります。CDCのマイルストーンは発達を観察する資料であり、標準化された発達スクリーニングや診断の代わりではありません。
家庭では、硬さを直すより「安全に観察できる条件」を整える。
診断前の家庭対応は、筋緊張を下げることを狙うのではなく、赤ちゃんが落ち着きやすく、動きの変化を見やすい条件をつくることが中心です。
落ち着いてから見る
空腹・眠気・泣きが強い場面だけで判断せず、機嫌がよい時間にも観察します。
全身を支える
抱っこや姿勢変換では、頭・胸・骨盤をまとめて支え、急に反らせないようにします。
手足を引っ張らない
おむつ替えで両足首を強く持ち上げず、骨盤を横へ傾けながらゆっくり替えます。
動画で経過を残す
硬くなる直前から落ち着くまで、左右の手足が見える角度で短く記録します。
| 避けたい関わり | 理由と代わりの対応 |
|---|---|
| 手足を速く曲げ伸ばしする | 家庭で筋緊張を判定する方法ではありません。普段の自然な動きを動画に残します。 |
| 痛がるところまで伸ばす | 原因が分からない段階で強いストレッチは行わず、専門家へ確認します。 |
| 足首だけを持って持ち上げる | 脚の突っ張りを強めることがあります。骨盤ごと横へ傾ける方法を使います。 |
| 硬さをなくすために同じ運動を繰り返す | 疲労や泣きで力みが増えることがあります。短く、赤ちゃんが落ち着いている範囲にします。 |
| 危険な動きを再現して撮影する | 反復する硬直や呼吸・意識の変化は再現せず、医療機関へ相談します。 |
乳幼児健診・小児科へ相談する目安。
次の変化は、リハビリ相談より医療を優先してください。
急に全身が硬くなる動きを繰り返す、目線や意識の変化を伴う、呼吸や顔色がおかしい、哺乳できない、強くむせる、急に片側を動かさなくなった、できていた動きを失った場合は、早急に医療機関へ相談してください。呼吸が苦しそう、反応が乏しいなど緊急性が高い場合は救急要請を検討します。
専門的な評価で、何が分かるのか。
モードAの記事で専門施設が担うのは、病名を決めたり、特定の方法で硬さを治したりすることではありません。保護者が感じている「硬い」を、状態、姿勢、左右差、自発運動、生活への影響へ分け、医療機関へ伝える情報と家庭で安全に見られる情報を整理することです。
| 評価する視点 | 確認すること | 家庭・医療へつなぐ情報 |
|---|---|---|
| 状態の比較 | 機嫌、眠気、泣き、空腹の前後で硬さがどう変わるか | 動画を撮る条件と相談時の説明を整理する |
| 姿勢の比較 | 仰向け、横向き、抱っこ、うつ伏せで手足の形が変わるか | 力が抜けやすい安全な支え方を共有する |
| 左右差 | 頭の向きと手足の姿勢、片側だけの握り込み・突っ張り | いつ、どの場面で左右差が出るかを医療へ伝える |
| 自発運動 | 手を開く、足を曲げる、正中へ運ぶ、別の動きへ切り替える | できない動作だけでなく、出やすい条件を見つける |
| 生活への影響 | 哺乳、呼吸、抱っこ、おむつ替え、睡眠の困り | 医療相談の優先度と家庭負担を整理する |
| 経時変化 | 数週間で動きの種類や姿勢変換が増えているか | 同じ条件の動画や目標動作で再評価する |
評価で大切なのは、「硬さがあるか、ないか」の二択ではありません。どの条件なら動きが変わるのか、どの動きの選択肢が育っているのかを確認し、その結果を健診・小児科と共有します。早期の正確な評価では、標準化された神経学的・運動評価などを組み合わせることが重視されています。

STROKE LABでは、機嫌や姿勢による変化、左右差、手足の使い方、哺乳・抱っこなど生活場面を確認します。診断や医学的検査は小児科・医療機関が担い、私たちはお子さんの姿勢と動きを分かりやすく整理して併走します。
よくある質問。
体が硬いだけで、筋緊張が高いと判断できますか?
泣くと足を突っ張るのは異常ですか?
筋緊張が高いと、脳性麻痺なのでしょうか?
家で手足をストレッチしてもよいですか?
どのような動画を撮って相談すればよいですか?
どのような場合に小児科へ相談すべきですか?
STROKE LABの小児リハビリ。
STROKE LAB(東京・大阪)は、脳卒中を中心とする神経疾患専門の自費リハビリ施設です。乳児の体の硬さが気になる場合には、状態・姿勢・左右差・自発運動・生活場面を整理し、保護者が感じている違和感を医療機関へ伝えやすい情報へ変えます。診断・検査・投薬などの医学的判断は主治医を尊重し、私たちは姿勢と動きの側から併走します。
観察できる情報へ。

赤ちゃんの体が硬く感じられると、「病気のサインではないか」「今すぐ何かしなければ」と不安になるものです。しかし、一場面の硬さだけでは分からないことが多くあります。
私たちは、硬さを消すことから始めるのではなく、どの条件なら動きが変わるのかを丁寧に見ます。状態・姿勢・左右差・動きの選択肢を整理し、健診や小児科へつなぐ情報と、家庭で安全に見守るポイントを一緒に組み立てます。
医療・健診が先、私たちは併走です。呼吸、哺乳、意識、けいれん様の動きなどが気になる場合は、まず医療機関へご相談ください。
代表取締役 金子 唯史

脳と身体の働きを、姿勢・感覚・運動の連鎖として理解するための専門書です。赤ちゃんの動きを一つの形だけで決めつけず、複数の条件から考える臨床の土台にもつながります。
- 手足を突っ張る・体が硬い赤ちゃん|泣く・抱っこ・おむつ替えで突っ張る場合
- 抱っこしにくい赤ちゃん|体の突っ張り・反り・力の抜けにくさ
- ふにゃふにゃして抱きにくい赤ちゃん|低緊張と運動発達の見方
- 首すわり・お座り・歩き始めが遅い|運動発達の遅れを神経の視点で見る
- Sanger TD, Delgado MR, Gaebler-Spira D, Hallett M, Mink JW. Classification and definition of disorders causing hypertonia in childhood. Pediatrics. 2003;111(1):e89-e97.
- Novak I, Morgan C, Adde L, et al. Early, Accurate Diagnosis and Early Intervention in Cerebral Palsy. JAMA Pediatr. 2017;171(9):897-907.
- Morgan C, Fetters L, Adde L, et al. Early Intervention for Children Aged 0 to 2 Years With or at High Risk of Cerebral Palsy. JAMA Pediatr. 2021;175(8):846-858.
- American Academy for Cerebral Palsy and Developmental Medicine. Early Detection of Cerebral Palsy Care Pathway.
- National Institute for Health and Care Excellence. Cerebral palsy in under 25s: assessment and management. NICE guideline NG62.
- Centers for Disease Control and Prevention. Learn the Signs. Act Early. Developmental Milestones and Key Points.
- American Academy of Pediatrics. HealthyChildren.org: Cerebral Palsy in Children; Infantile Spasms.
- 金子唯史. 脳の機能解剖とリハビリテーション. 医学書院; 2024. 408頁.

1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024) パーキンソン病の機能促進:医学書院 (2025)