片手を使わない赤ちゃん|左右差に気づいたときの相談目安 – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
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片手を使わない赤ちゃん|左右差に気づいたときの相談目安

INFANT DEVELOPMENT

乳児期の早い段階で明確な使用差が続く場合は、全身の動きと併せた確認が重要です

「最近、いつも同じ手ばかり使っている気がする」「反対の手は持たせれば持てるけれど、自分からは出ない」──そんな気づきは、保護者だからこそ見つけられる大切なサインです。大切なのは、片手を使うかどうかだけでなく、どの姿勢・どの遊び・どの場面で、反対の手が参加しにくいのかを見ることです。この記事では、様子を見てよい左右差と、相談した方がよい左右差の目安を整理します。

UPDATED2026
READ約12分
FOR赤ちゃんの保護者
MODECV導線 / モードA
本記事は、医学書院『脳の機能解剖とリハビリテーション』(2024年・408頁)の著者が執筆しています。STROKE LABは、医療・健診が先、私たちはその後を併走するという立場を大切にしています。急に腕を使わなくなった、痛がる、顔色や呼吸が気になる、けいれんのような動きがある場合は、まず医療機関へご相談ください。

自宅での様子

Quick Reference
不安なときに、まず知ってほしい5つのこと。
01
乳児期に一時的な左右差はありますが、いつも同じ手しか使わない状態が続くなら相談して構いません
02
利き手と早合点するより、「反対の手も遊びに参加しているか」を見ることが大切です
03
急に腕を使わなくなった、痛がる、腫れているときは、まず医療機関に相談します
04
家庭で大切なのは矯正ではなく観察です。姿勢や玩具の位置を変えながら動画で残すと相談に役立ちます
05
専門施設では、手だけでなく、視線、体幹、うつ伏せ支持、両手協調まで含めて左右差の中身を整理できます
01
What Does It Mean?

片手を使わないとは、どういう状態でしょうか。

保護者が「片手を使わない」と感じる背景はさまざまです。本当に動かないのか、動くけれど遊びに参加しないのか、姿勢を変えると参加できるのかで、見え方は大きく変わります。

例えば、正面では両手が出るのに、左右へ玩具を動かすといつも同じ手だけが伸びる。持たせれば握れるのに、自分からは取りに行かない。うつ伏せだと片手だけで支えてしまい、反対の手が遊びに参加しない。こうした違いは、単純に「片手が弱い」とは限りません。

赤ちゃんの左右差を考えるときは、次のように分けてみると整理しやすくなります。

見えていること 実際には何を確認したいか
片手ばかりで玩具を取る 視線、頭の向き、肩の出しやすさ、体幹の向きが影響していないか
反対の手は持たせれば持てる 自分から見つけて伸ばすところで止まっていないか
片手がグーになりやすい 安静時もそうなのか、頑張る場面でだけ強くなるのか
うつ伏せだと片手を使わない 手そのものより、前腕支持や体重移動の左右差がないか
いつも同じ向きばかり見る 向き癖や全身の左右差とつながっていないか

左右どちらも手が使える、同じ手ばかりを使う

02
Clinical Observation

STROKE LABの視点|手だけでなく、遊びに参加するまでの流れを見ます。

STROKE LABでは、「片手を使わない」を視線・頭、肩と肘、手首と親指、体幹、うつ伏せ支持、両手協調に分けて考えます。回数の多い少ないだけではなく、遊びに参加するまでの流れのどこで左右差が始まるのかを見ます。

STROKE LAB’s View
「持てるか」だけではなく、「見つける→向く→伸ばす→触る→つかむ→両手で扱う」のどこで止まるかを見る。

よくあるのは、持たせれば握れるのに、自分からは反対の手を出さないケースです。これは握力だけではなく、視線を向ける、頭を回す、肩を前に出す、手を開く、という前段階のどこかに左右差があるかもしれません。

もう一つ大切なのは、仰向けだけで判断しないことです。うつ伏せでの前腕支持、横向きでの上側の手、支えた座位での両手遊びなど、姿勢が変わると見え方も変わります。手だけの問題に見えていたものが、実は姿勢条件や支持面の左右差として見えてくることがあります。

この段階では診断をつけることが目的ではありません。不安を、観察できる現象へ翻訳し、医療機関や健診で伝えやすくすることが目的です。

乳児の手の発達のステップ

03
Evidence

研究でわかっていること

Evidence Box
一貫した早い手の左右差は、専門的な発達評価を考える材料の一つです。

脳性麻痺の早期診断に関する国際的なまとめでは、異常に早い手の優位性は、正式な評価につなげる手がかりの一つとされています。ただし、それだけで病名を決めることはできず、病歴、神経学的所見、運動評価、画像など複数の情報を組み合わせます。

また、乳児の左右それぞれの手の使い方と両手協調を見る評価では、片手の参加の少なさや両手遊びの偏りが、早期の左右差を捉える助けになると報告されています。研究の多くはハイリスク児を対象にしており、一般の赤ちゃん全員にそのまま当てはめるものではありません。

出典:Novak I, et al. JAMA Pediatr. 2017;171(9):897-907. / Krumlinde-Sundholm L, et al. Phys Occup Ther Pediatr. 2021;41(2):154-167. / CDC Milestones 4 months, 6 months.
限界:これらの研究は周産期脳卒中や脳性麻痺のリスクがある乳児を多く含みます。一般の乳児で見られる一時的な左右差すべてが神経学的な問題を意味するわけではありません。診断や医学的治療の代替ではありません。
04
When To Watch, When To Ask

様子見と相談の目安

「少し気になるけれど、すぐ相談した方がいいのかな」と迷うことは自然です。次の表は、家庭で経過を記録しながら見られる状態と、健診を待たず相談したい状態を分けた目安です。

経過を記録しながら見られること 健診を待たず相談してよいこと
玩具の位置を変えると左右どちらの手も使う 数週間にわたり、いつも同じ手しか使わない
両手が自然に開き、胸の前や口へ出る 反対の手が握られたまま開きにくい、親指が入り込む
姿勢を変えると反対の手も遊びに参加する 仰向け、うつ伏せ、座位など、どの姿勢でも反対の手が参加しない
左右差が少しずつ小さくなっている 左右差に加えて、足の蹴り、寝返り、頭の向きにも偏りがある
痛みや急な変化はない 急に使わなくなった、痛がる、腫れ・変形・けいれん・顔色の変化がある
Medical First
急に腕を使わなくなった、痛がる、腫れているときは、まず医療機関へ。

左右差の相談であっても、外傷、骨折、関節の問題、腕神経叢の障害、感染、神経学的な急性変化など、医療的に先に確認したいことがあります。STROKE LABは医療と対立するのではなく、その後の見方を整理し、家庭での観察や相談内容を整える立場です。

05
What To Record

相談前に残したい7つの場面

相談先で役立つのは、赤ちゃんの“良いところも含めた”動画です。片手を使わない瞬間だけでなく、どの条件だと反対の手が出やすいかもわかると、相談が具体的になります。

  • 仰向けで、正面から玩具を見せたとき
  • 仰向けで、右と左から順に玩具を見せたとき
  • 胸の前で両手を合わせる、手を口へ持っていく場面
  • 横向きで、上側の手が玩具へ伸びる場面
  • うつ伏せで、左右どちらへ体重が乗りやすいかを見る場面
  • 持った玩具を反対の手へ渡す、両手で触る場面
  • 普段のご機嫌な時間帯と、疲れている時間帯の両方
Consultation Flow
「この左右差、相談してよいのかな」と迷ったら

小児科や健診での相談に加え、専門施設では、動画や実際の遊びの場面から左右差の中身を整理できます。来院前のご不安がある方は、まず無料相談をご利用ください。

無料相談を予約する

06
What A Specialist Looks At

相談先でわかること|専門家と整理すると、「使わない」の中身が見えてきます。

モードAの記事で大切なのは、治療法を前に出すことではなく、どんな視点で見てもらえるのかを知って安心することです。専門家は、右手か左手かという結果だけではなく、その過程を見ます。

保護者の気づき 専門家が比べること 相談で持ち帰れること
いつも同じ手で玩具を取る 視線、頭の向き、体幹の回りやすさ、肩の前方化 どの向き・高さなら反対の手が参加しやすいか
持たせれば持てるが自分から出ない 到達、手の開き、触った後の把持、離すタイミング 家庭で何を観察すると変化がわかるか
うつ伏せで片手しか使わない 前腕支持、体重移動、胸郭と骨盤の左右差 手だけではなく全身で見たときの左右差
相談してよいのか迷う 急ぎの受診所見と、経過を見ながら相談できる所見の整理 次にどこへ、何を伝えて相談するか

STROKE LABは、診断や画像検査を行う場ではありません。その代わり、医療機関や健診で伝えるべき観察点を整理し、家庭での見方とつなげることに強みがあります。医療機関でのリハビリと併用しながら、生活の中での見え方を支えることも可能です。

臨床推論マップ:片手が遊びへ参加する

07
Age Range

月齢の目安|片手だけでなく、両手の参加を見ます。

月齢はあくまで目安です。早産のお子さんは修正月齢で考えます。「まだできない」よりも、「少しずつ両手が参加してきているか」を見てください。

月齢 見られやすいこと 相談を考える目安
3〜4か月ごろ 両手が胸の前に集まりやすくなる、左右へ視線を向ける 片手がほとんど胸の前に出ない、常に握られている
4〜6か月ごろ 玩具へ手を伸ばす、左右どちらの手も使って触れる 玩具の位置を変えても、いつも同じ手しか出ない
6〜8か月ごろ 持つ、持ち替える、両手で遊ぶ場面が増える 片手だけで持ち続け、反対の手が補助にも参加しにくい
8〜10か月ごろ つまむ、たたく、両手で扱いを分ける遊びが増える 左右差が固定し、全身の偏りも目立つ
注記:発達の時期には幅があります。早産のお子さんでは修正月齢で見ます。月齢だけで判断せず、急な変化、技能の喪失、痛み、全身の左右差をあわせて確認してください。
08
Avoid

避けたい関わり

避けたいこと 理由と代わりにできること
よく使う手を押さえて、反対の手だけを使わせる 診断前の段階では負担や嫌がりを強めることがあります。まずは姿勢や玩具の位置を変え、自然に参加しやすい条件を探します
無理に何度も持たせる 握れたかどうかだけでは十分ではありません。見つける、伸ばす、触る過程も一緒に観察します
「まだ赤ちゃんだから」と長く先延ばしにする 一時的な左右差もありますが、持続する不安は相談して構いません。保護者の気づきそのものに価値があります
片手だけを見て、全身の左右差を見ない 頭の向き、寝返り、足の蹴り、うつ伏せ支持まで含めて見ることで、手の左右差の背景が見えやすくなります
09
FAQ

よくある質問

Q. 赤ちゃんが片手ばかり使うのは、もう利き手が決まったからですか?
乳児期に一時的に片方の手を多く使うことはありますが、早い時期からいつも同じ手しか使わない状態が続くときは、利き手と決めつけず相談して構いません。大切なのは、反対の手も遊びや生活に参加しているか、姿勢を変えると使い方が変わるか、ほかの身体の左右差がないかをあわせて見ることです。
Q. 何か月頃の左右差から相談した方がよいですか?
月齢だけで一律に決めることはできませんが、数週間にわたり同じ手ばかり使う、反対の手が胸の前や口へ出にくい、玩具の位置を変えても片手しか使わない、以前できていた動きが減った、といった場合は健診を待たず相談してよい目安です。急に使わなくなった場合や痛みがある場合は、まず医療機関へご相談ください。
Q. 使わない手に玩具を持たせて練習した方がよいですか?
無理に持たせたり、よく使う手を押さえて反対の手だけを使わせたりすることは、診断前の時点では基本的に勧めません。家庭では矯正よりも観察が大切です。玩具の位置や姿勢を変えながら、反対の手が自然に参加しやすい条件を探し、動画で記録して相談先へ持参することが役立ちます。
Q. 持たせれば持てる場合も相談が必要ですか?
持たせれば握れる一方で、自分からは取りに行かない場合、手そのものではなく、視線、頭の向き、肩や体幹の使い方が関係していることがあります。持てるかどうかだけでなく、自分から見つけて伸ばし、触れ、つかみ、両手で扱えるかを見るため、気になる場合は相談して構いません。
Q. 向き癖があると片手を使いにくくなることはありますか?
あります。頭が向きやすい方向にある手ばかり見えて使いやすくなり、反対側の手が遊びに参加しにくく見えることがあります。向き癖、体幹のねじれ、うつ伏せでの支持の左右差などが関係することもあるため、手だけを切り離さず全身で観察することが大切です。
Q. 片手を使わない場合、最初にどこへ相談すればよいですか?
急に腕を使わなくなった、痛がる、腫れている、けいれんや顔色の変化がある場合は、まず小児科など医療機関へご相談ください。持続する左右差や発達面の気がかりであれば、乳幼児健診、小児科、地域の発達相談を入口にし、そのうえで必要に応じて専門施設で動きの評価や家庭での見方を整理する流れが安心です。
10
STROKE LAB

STROKE LABの小児リハ

STROKE LAB(東京・大阪)は、脳卒中を中心とする神経疾患専門の自費リハビリ施設です。小児領域では、発達の気がかりを「手の左右差」「姿勢」「遊びへの参加」など、保護者の言葉から観察できる所見へ整理し、生活に落とし込む支援を行っています。診断・投薬・画像評価などの医学的判断は主治医を尊重し、私たちは動きと生活の側から併走します。

片手を使わないという不安は、白黒の答えがすぐ出るものではありません。だからこそ、家庭では生活を守る工夫を、専門施設では評価にもとづく見方の整理を。対立ではなく、連続した支援としてお手伝いします。

Message & Clinical Backbone
不安を、
見える観察へ。
STROKE LAB代表 金子唯史

赤ちゃんの左右差は、保護者にしか気づけない繊細な変化です。私たちはその気づきを大切にし、手だけでなく姿勢や遊びへの参加まで含めて、一緒に整理します。

お伝えしたいのは、「相談してよいのかな」という段階で相談してよいということです。医療機関での評価を尊重しながら、ご家庭で何を見ればよいか、生活の中でどう見守るとよいかを一緒に組み立てていきます。

片手の左右差に加えて、寝返りやうつ伏せ、両手遊びなども気になる方は、どうぞ一度ご相談ください。ご家族の不安を、次の一歩につながる言葉へ変えていきます。

株式会社STROKE LAB
代表取締役 金子 唯史
書籍『脳の機能解剖とリハビリテーション』の表紙
Book
脳の機能解剖とリハビリテーション
医学書院/2024年/408頁|脳の領域別からリハビリテーション方法を提案する専門書

脳の領域別の働きから、臨床で行うリハビリテーション方法を提案する専門書です。「動かない」「使わない」を一言で終わらせず、姿勢・感覚・運動の連鎖で見る視点は、小児の発達を考えるときにも土台になります。

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References
  1. Centers for Disease Control and Prevention. Milestone Moments Checklist. 4 months / 6 months.
  2. Novak I, et al. Early, Accurate Diagnosis and Early Intervention in Cerebral Palsy. JAMA Pediatr. 2017;171(9):897-907.
  3. Krumlinde-Sundholm L, et al. Hand Assessment for Infants: evidence and clinical utility. Phys Occup Ther Pediatr. 2021;41(2):154-167.
  4. American Academy of Pediatrics. Back to Sleep, Tummy to Play.
  5. World Health Organization. WHO Motor Development Study. Acta Paediatr Suppl. 2006;450:86-95.
  6. 金子唯史. 脳の機能解剖とリハビリテーション. 医学書院. 2024.
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