着替えが遅い・服の前後を間違える子|姿勢・手先・認知の見方 – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
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小児リハビリ

着替えが遅い・服の前後を間違える子|姿勢・手先・認知の見方

DRESSING SKILLS & CHILD DEVELOPMENT

着替えが進まない理由を、
体の使い方と考える力から見ていく

朝の着替えに時間がかかる。Tシャツの前後を何度も間違える。ズボンに足を入れにくい。靴下でいつも止まってしまう。そんな姿を見ると、「やる気がないのかな」「何度言っても覚えない」と感じてしまうことがあります。けれど、更衣動作は、姿勢・手先・認知が同時に必要になる複雑な生活動作です。叱る前に、どこでつまずいているのかを分けて見ることが大切です。

UPDATED2026.07.02
READ約15分
FOR3〜7歳前後のお子さんの保護者へ
BYSTROKE LAB

着替え

Quick Reference
まず知ってほしい5つのこと。
01
着替えが遅いだけで、発達の問題とは判断できません
02
服の前後間違いは、注意不足だけでなく、身体図式や視覚認知も関係します
03
ボタンや靴下の苦手さは、指先だけでなく姿勢の安定にも影響されます
04
「急いで」よりも、服の置き方・順番・目印を整える方が成功しやすくなります
05
左右差、強い感覚過敏、園生活への支障がある場合は専門相談を考えます
01
Everyday Worry

朝の着替えで、親子ともに疲れてしまう。

A Parent’s Voice
「毎朝、着替えだけで時間が過ぎていきます」

Tシャツを着る途中で頭が出せない。袖に腕を通すと、もう片方の袖が分からなくなる。ズボンを前後逆に履く。靴下を持ったまま止まる。ボタンを留めようとしても、手元を見続けられない。

保護者から見ると「急いでほしい」「何度も教えたのに」と感じやすい場面です。でも子どもにとって着替えは、姿勢を保ち、両手を使い、服の向きを判断し、順番を覚えるという複数の力を同時に使う活動です。

着替えが遅い子は、単にやる気がないわけではありません。片足立ちが不安定でズボンが履きにくい、座っていても体が崩れて手元が見にくい、左右の袖を見分けることが苦手、服の前後を判断する手がかりが少ない、肌触りやタグが気になって集中できないなど、さまざまな理由があります。

この記事では、着替えが遅い・服の前後を間違える子を、姿勢・手先・認知の視点から整理します。STROKE LABらしく、生活動作を細かく分解し、家庭で見られる観察ポイントと支援方法を具体的にまとめます。

02
Daily Living Skill

着替えは、思っている以上に難しい動作です。

大人にとって着替えは、ほとんど考えずにできる動作です。しかし子どもにとっては、服を見て、向きを判断し、頭・腕・足を通し、布を引き上げ、左右を整え、ボタンやファスナーを操作する必要があります。

たとえばTシャツを着るだけでも、服の前後を見分ける、首の穴を探す、両手で服を広げる、頭を通す、袖の位置を探す、片腕ずつ通す、裾を引き下げる、という流れがあります。この途中で一つでも難しい部分があると、着替え全体が止まってしまいます。

Key Point
「できない」のではなく、どこで止まっているかを見る

着替え全体を「できる・できない」で見ると、子どもも保護者もつらくなります。大切なのは、服を選ぶところで止まるのか、前後判断で止まるのか、袖に腕を通すところで止まるのか、ボタンで止まるのかを分けて見ることです。止まる場所が分かると、支援も具体的になります。

更衣ステップ

03
Three Layers

姿勢・手先・認知の3層で見ます。

着替えの苦手さを考えるとき、STROKE LABでは大きく3つの層で見ます。1つ目は姿勢です。座ったり立ったりしながら体を保てるか。2つ目は手先です。布をつまむ、引く、押す、両手を別々に使うことができるか。3つ目は認知です。服の前後、左右、順番、体のどこに通すかを理解できるか。

Layer 1
姿勢

座位や立位で体が崩れると、両手が自由に使えません。ズボンや靴下では、片足を上げるバランスも必要です。

Layer 2
手先

布をつまむ、引き上げる、ボタンを合わせる、ファスナーを差し込むなど、細かな両手操作が必要です。

Layer 3
認知

前後、左右、裏表、手順、体の部位との対応を理解し、記憶しながら進める必要があります。

更衣3層モデル

04
Task Analysis

場面別に、つまずきやすい理由を分けます。

着替えの困りごとは、服の種類によって変わります。Tシャツ、ズボン、靴下、ボタン、ファスナーでは、必要な力が少しずつ違います。下の表は、家庭で観察するときの目安です。

困りごと 考えやすい背景 家庭で見るポイント
Tシャツの頭が出ない 服を広げる両手操作、首の穴の認識、頭を通す方向づけが難しい 首の穴を見つけられるか。服を両手で広げられるか。
袖に腕が通らない 肩の動き、腕の方向づけ、片手で布を引く力、身体図式の難しさ 腕をどこへ入れるか分かるか。反対側の袖を探せるか。
ズボンを履くと倒れそう 片足を上げるバランス、座位・立位の姿勢保持、体幹の安定が必要 立って履こうとしていないか。座ると楽になるか。
靴下で時間がかかる 足を引き寄せる姿勢、つま先・かかとの向き、布を広げる指先操作が必要 靴下の入り口を広げられるか。かかとの位置を見られるか。
ボタン・ファスナーが苦手 両手の役割分担、指先の感覚、目と手の協調、順番理解が必要 大きいボタンならできるか。手元を見続けられるか。
途中で止まる・忘れる 手順記憶、注意の持続、次に何をするかの見通しが難しい 声かけを減らすと止まるか。写真や順番カードで進むか。
着替えが遅い子を見るときは、「服のどこで止まるのか」を観察すると支援が見えやすくなります。

更衣チェック

05
Front / Back Awareness

服の前後を間違える理由。

服の前後を間違える子に対して、「タグが後ろって何回も言ったでしょ」と伝えても、なかなか改善しないことがあります。これは、タグの意味を知っているかどうかだけでなく、服の形を見分ける力、自分の体の前後を感じる力、服と体の向きを合わせる力が必要だからです。

STROKE LABの視点:前後判断は「認知」と「身体図式」の連携

前後の判断には、服そのものを見る視覚認知と、自分の体の前・後ろを理解する身体図式が関わります。たとえば、服を床に置いたときは前後が分かるのに、体に当てると分からなくなる子がいます。この場合、服の向きの理解だけでなく、服と自分の体を空間の中で合わせることが難しい可能性があります。

Clinical View
「前後を覚えない子」ではなく、「手がかりが足りない子」と見る

服の前後を何度も間違える場合、子どもの理解不足だけにするのではなく、前が分かる目印、鏡、服の置き方、声かけの順番を整えることが有効です。前後の判断を、子どもの記憶だけに任せない環境づくりが大切です。

更衣 確認

06
Watch or Ask

様子見でよい場合、相談した方がよい場合。

着替えの自立には個人差があります。年齢だけで判断せず、少しずつ変化しているか、園や学校生活にどの程度影響しているか、他の動作にも困りごとがあるかを合わせて見ます。

観察ポイント 様子を見ながら支援できることが多い 相談を考えたい
変化の有無 時間はかかるが、少しずつできる工程が増えている 半年以上ほとんど変化がない、毎回大きく混乱する
姿勢 座るとズボンや靴下が少しやりやすくなる 座っても体が大きく崩れる、片足立ちが極端に苦手
左右差 左右どちらの手も使うが、片方が少し不器用 片手をほとんど使わない、片側の袖やズボンだけ極端に苦手
感覚 タグや素材が気になるが、衣服を選ぶと着られる 特定の服を強く拒否し、生活に大きく影響している
生活への影響 朝の準備に時間はかかるが、工夫で進みやすい 園・学校で着替えが大きなストレスになっている
Safety First
痛み・極端な左右差・強い拒否があるときは早めに相談を

肩や股関節の痛みを訴える、片手をほとんど使わない、動きに明らかな左右差がある、服に触れるだけで強く泣く・パニックになる、園や学校生活に支障が出ている場合は、家庭だけで抱え込まず相談してください。小児科、乳幼児健診、作業療法士・理学療法士などにつなげることで、背景を整理しやすくなります。

07
Home Support

家庭でできる、やさしい支援。

家庭での支援は、子どもを急かすことではありません。着替えを分かりやすく、体を使いやすく、成功しやすく整えることです。朝の忙しい時間だけで練習しようとすると、親子ともに疲れやすいため、時間のある夕方や休日に短く遊びとして取り入れるのもよい方法です。

01
まず座る場所を整える姿勢

ズボンや靴下は、立ったままより座った方が楽な子が多いです。足が床につく椅子、背中を軽く支えられる場所、滑りにくい床を選びます。

02
服を着る順番に並べる手順

下着、Tシャツ、ズボン、靴下、上着のように、着る順番で左から右へ並べます。言葉だけで説明するより、見て分かる配置にします。

03
前が分かる目印をつける視覚手がかり

前に小さなワッペンをつける、靴の内側に左右で合うシールを貼る、ズボンの前に分かりやすいマークをつけるなど、判断を楽にします。

04
最後の一工程だけ任せる段階づけ

保護者が途中まで手伝い、最後に裾を下ろす、袖を引く、ファスナーを上げるなど、成功しやすい一工程を子どもに任せます。これをバックワードチェイニングと呼びます。

05
「早く」より「ここまでできた」を褒める意欲

「自分で袖を見つけられたね」「靴下の入り口を広げられたね」と、できた工程を具体的に褒めます。自信が育つと、挑戦しやすくなります。

自宅更衣

着替え支援

08
Do Not Force

避けたい関わり。

着替えは毎日あるため、保護者も疲れやすい動作です。ただ、急かす・叱る・全部やらせるという関わりが続くと、子どもにとって着替えが「失敗する時間」になってしまうことがあります。

避けたいこと 理由 代わりにできること
「早く」と何度も言う 焦りで手順や体の使い方がさらに乱れやすい タイマーや写真カードで見通しを作る
全部を一人でやらせる 難しい工程が多すぎると、失敗体験になりやすい 最後の一工程だけ任せる
細かい服で練習する 小さいボタンや硬い素材は難易度が高い 大きめ・伸びる素材・目印つきの服から始める
失敗を笑う・叱る 自信を失い、着替えを避けやすくなる できた工程を具体的に褒める

●×更衣

09
Professional Assessment

専門家は、どこを見るのか。

専門家は、着替えができる・できないだけを見ているわけではありません。どの姿勢なら手が使いやすいか、左右の手をどう使うか、服の前後をどう判断しているか、手順をどこまで理解しているか、感覚面の苦手さがあるかを見ます。

01
姿勢と体幹土台

座位や立位で体が安定するか、足を上げたときに崩れないか、背中が丸まりすぎて手元が見えにくくないかを確認します。

02
両手の協調手先

片手で服を押さえ、もう片手で引く、ボタン穴を広げる、ファスナーを差し込むなど、左右の手の役割分担を見ます。

03
身体図式と視空間認知認知

服の前後、左右、裏表、自分の体の前後をどう理解しているかを見ます。服を床に置いたときと、体に当てたときの違いも確認します。

04
感覚と環境生活

タグ、縫い目、素材、締めつけ、朝の騒がしさなどが着替えに影響していないかを確認します。服そのものの選び方も支援の一部です。

更衣訓練

For Parents
「着替えが遅い理由」は、子どもによって違います。

STROKE LABでは、着替え動作を姿勢・手先・認知・感覚・環境の視点で確認します。病院や園での相談とあわせて、家庭での支援方法を具体的に整理したい方は、小児リハビリのページもご覧ください。

小児リハビリについて見る

10
FAQ

よくある質問。

Q. 着替えが遅いのは、甘えややる気の問題ですか?

甘えややる気だけで説明できないことが多くあります。姿勢が不安定、手先が使いにくい、服の前後が分かりにくい、手順が覚えにくい、感覚的に服が不快など、背景はさまざまです。まずはどの工程で止まっているかを見ます。

Q. 服の前後を何度も間違えるときは、どうすればよいですか?

服の前にワッペンやシールをつける、床に前を上にして置く、鏡で確認する、タグを触って確認するなど、手がかりを増やします。「前はどっち?」と毎回聞くより、子どもが見て分かる仕組みにする方が成功しやすくなります。

Q. ボタンやファスナーは毎日練習した方がよいですか?

毎日長く練習する必要はありません。大きめのボタンや輪っか付きファスナーなど、成功しやすい道具から短く練習します。朝の忙しい時間ではなく、余裕のある時間に遊びとして取り入れる方が負担が少なくなります。

Q. 立って着替える練習をした方がよいですか?

最初から立って行う必要はありません。ズボンや靴下が苦手な子は、座って行う方が姿勢が安定し、手が使いやすくなります。立位での練習は、座ってできる工程が増えてから、安全な場所で少しずつ取り入れます。

Q. DCDの可能性がありますか?

着替えの苦手さだけでDCDと判断することはできません。ただし、着替えに加えて、走る・跳ぶ・階段・はさみ・書字・食事など、複数の動作で不器用さや時間のかかりやすさが目立つ場合は、協調運動の難しさが背景にあることがあります。小児科や専門職に相談すると整理しやすくなります。
11
STROKE LAB

STROKE LABでは、生活動作を分解して見ます。

STROKE LABの小児リハビリでは、着替えができる・できないだけでなく、なぜ止まるのかを丁寧に見ます。座位・立位の姿勢、体幹と骨盤の安定、両手の協調、手指の巧緻性、身体図式、前後左右の理解、感覚の受け取り方、家庭環境まで含めて評価します。

生活動作は、子どもの自信につながります。着替えがうまくいくと、朝の準備が楽になるだけでなく、「自分でできた」という感覚が育ちます。平均と比べて焦るより、その子が成功しやすい入口を一緒に探すことが大切です。

Message from CEO
毎日の「できない」を、
生活の中でできる形へ変えていく。
STROKE LAB代表 金子唯史が小児リハビリの場面でお子さんを支援している様子

着替えや靴下、ボタンのような生活動作は、毎日のことだからこそ、親子の負担になりやすいものです。一方で、少し環境を変えるだけで「できた」に変わることも少なくありません。

私たちは、子どもの動きを細かく見ながら、姿勢・手先・認知のどこを整えると生活が楽になるのかを一緒に考えます。

「毎朝の着替えで困っている」「園での準備に時間がかかる」と感じている方は、どうぞお気軽にご相談ください。

株式会社STROKE LAB
代表取締役 金子 唯史

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