【2026年版】パーキンソン病の嗅覚低下|メカニズム・評価・嗅覚トレーニングまで徹底解説 – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
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【2026年版】パーキンソン病の嗅覚低下|メカニズム・評価・嗅覚トレーニングまで徹底解説

Parkinson’s Disease — Olfactory Dysfunction Complete Guide

においがわからない、その理由。

パーキンソン病患者の約90%が経験する嗅覚低下は、振戦や歩行障害より平均4〜6年も前に始まる最初期の前駆症状です。「加齢のせい」と見過ごされがちなこの症状は、ガス漏れ検知不能という生命安全リスクや食欲低下・抑うつとも深く関連しています。評価法・嗅覚トレーニング・安全管理まで、患者さん・ご家族に向けて徹底解説します。

UPDATED2025
READ約15分
BYSTROKE LAB

— パーキンソン病の非運動症状と嗅覚障害の概要を動画でも確認できます。

Prevalence
90%
PD患者の約90%に嗅覚障害が認められる(Doty et al. 1988)
Precedes Motor Sx
4〜6年前
運動症状(振戦・固縮)より平均4〜6年前から出現。最大10年以上先行することも
Diagnostic Sensitivity
80%
嗅覚検査のPD診断感度は約80%。特異度は70〜75%

Self Check
3つ以上当てはまる方は、
続きをお読みください。
01
コーヒーや花のにおいが、以前よりも感じにくくなった気がする
02
食事の味がぼんやりしてきた、食欲が以前より落ちてきた
03
ガスのにおいや焦げたにおいに気づくのが遅くなった、または気づかなかった
04
においの低下に加えて、便秘や睡眠中に体が動く(夢遊症状)がある
05
においの低下を耳鼻科で相談したが「異常なし」と言われ、原因がわからないまま

01
Concerns from Patients & Families

こんなお悩みはありませんか?

「においがわからなくなったのは加齢のせいだと思っていた」——パーキンソン病(PD)のご家族からよく聞かれる言葉です。

耳鼻科を受診しても「鼻に異常はない」と言われ、原因がわからないまま放置してきた方も少なくありません。実は、この嗅覚の低下こそ、パーキンソン病の最も早期に現れる症状の一つです。

嗅覚障害は「見えない症状」であるがゆえに、長年にわたって見過ごされてきました。しかし正しく理解し、具体的な対策を講じることで、安全と生活の質を守ることができます。

このページでは、パーキンソン病の嗅覚障害について、患者さんとご家族が知っておくべきことをすべてお伝えします。

02
What Is Olfactory Dysfunction in PD

パーキンソン病の嗅覚障害とは。

パーキンソン病における嗅覚障害は、嗅球(きゅうきゅう:においを処理する脳の部位)をはじめとする嗅覚系への、Lewy小体(りゅーいしょうたい:PDの原因となるタンパク質の固まり)の蓄積によって引き起こされます。

有病率はPD患者の80〜90%に達し、パーキンソン病の非運動症状(手の震えや歩行障害以外の症状)の中でも最も高頻度かつ最も早期に現れる症状の一つです。

Important — For Family
嗅覚障害は「鼻の病気」ではありません。脳の神経変性によるものです。

耳鼻科で「異常なし」と言われるのは、鼻や副鼻腔の構造に問題がないためです。パーキンソン病の嗅覚障害は、においを処理する脳の回路(嗅球・前嗅核)にLewy小体が蓄積することで起こります。

そのため「耳鼻科で問題なかった」はパーキンソン病の嗅覚障害を否定する根拠にはなりません。神経内科への相談が重要です。

嗅覚障害の4つの型

01
嗅覚低下(Hyposmia)最多・最初期

においを感じる能力が正常より低下している状態。PD患者の嗅覚障害で最も多いタイプ。軽度〜中等度の低下が長期間持続し、患者本人が気づかないことが多い。

02
嗅覚消失(Anosmia)進行型

においを全く感じられない状態。嗅覚低下が進行したもの。ガス漏れ・火災の煙が感知できないため、生命安全リスクが最も高い型。

03
異嗅症(Parosmia)においの歪み

実際のにおいと異なる・不快なにおいとして感じられる状態。例:コーヒーが腐ったにおいに感じる。PD患者では比較的まれだが、食事拒否・体重減少の原因となりえる。

04
幻嗅(Phantosmia)存在しないにおい

実際には存在しないにおいを感じる状態。PD患者、特に認知機能低下を伴う場合に報告される。Lewy小体型認知症(DLB)との鑑別が必要。

FOR PROFESSIONALS
嗅覚障害の疫学と診断的意義

有病率:Doty et al.(1988)の大規模研究でPD患者の約90%に嗅覚低下が認められると報告。一般高齢者(約20〜25%)と比べて圧倒的に高い。

Braak病期との対応:嗅球・前嗅核へのLewy小体蓄積はBraak病期1〜2に相当し、黒質(Substantia nigra)への障害(Braak病期3〜4)よりも先行する(Braak et al. 2003)。

鑑別診断の有用性:MSA・PSP・CBDでは嗅覚が比較的保たれる→嗅覚検査がParkinson病とParkinson症候群の鑑別に有用。Sniffin’ Sticks TDIスコア≦30.75点が嗅覚障害の基準。

STROKE LABでの無料相談の様子

— ご本人・ご家族の状況を丁寧にお伺いします

Free Consultation
「においがわからない」というお悩み、一人で抱えないでください。

STROKE LABでは、パーキンソン病の非運動症状(嗅覚障害・自律神経症状・睡眠障害など)への対応経験豊富なセラピストが、生活の安全管理から嗅覚トレーニングの指導まで、包括的にサポートします。まずは無料相談でご状況をお聞かせください。

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03
Neurological Mechanism

なぜ嗅覚が低下するのか。

Key Point
嗅覚障害は「鼻」の問題ではなく「脳の神経変性」の問題です

PD嗅覚障害のメカニズムは、鼻詰まりや副鼻腔炎とは根本的に異なります。嗅覚系における神経変性そのものが原因です。4つの主要な経路があります。

① 嗅球・前嗅核へのLewy小体蓄積

PDの神経変性の主役であるαシヌクレイン凝集体(Lewy小体)は、脳幹・大脳への進行より前に、嗅球(においを処理する脳の部位)と前嗅核(においの情報を高次脳に伝える部位)に最初に蓄積します(Braak et al. 2003)。これがBraak病期1〜2に相当し、黒質(Substantia nigra:ドーパミン産生細胞の集まる場所)への障害(Braak病期3〜4)よりも先行します。

② 嗅球内ドーパミン産生細胞の変性

嗅球の中にある、においの信号を選別・調整する「ドーパミン産生傍糸球体細胞」がPD患者では著明に減少します。この細胞は成人後も継続的に再生される性質を持ちますが、PDではこの再生能力が障害されているという報告があります(Höglinger et al. 2004)。変性と再生不全のダブルパンチが機能低下に寄与しています。

③ 嗅覚上皮(末梢嗅覚器)の変化

PD嗅覚障害は純粋に中枢性(脳の問題)と思われがちですが、近年の研究では鼻腔内の嗅覚上皮(においを直接受け取る細胞が存在する場所)にもαシヌクレイン蓄積が認められることが報告されています。この知見は「鼻→脳軸」というPD神経変性の経路を示唆し、Braak仮説の末梢起源説を支持します(Beach et al. 2010)。

FOR PROFESSIONALS
④ 中枢嗅覚処理経路の広範な障害

高次嗅覚処理領域の変性:嗅覚情報は嗅球から梨状皮質・眼窩前頭皮質・扁桃体・海馬・島皮質へと伝達される。PDが進行するとこれらの高次嗅覚処理領域でもLewy小体蓄積が増大し、においの同定能力(Identification)・識別能力(Discrimination)・検知閾値(Threshold)のすべてが順次障害される。

食欲・抑うつへの連鎖:眼窩前頭皮質と扁桃体の障害は「においに対する感情的反応の喪失」「食べ物への欲求低下」と直結し、PD患者の食欲低下・体重減少・抑うつという悪循環の神経学的基盤となる。

04
Differential Diagnosis

他の疾患との違い。

嗅覚低下の原因は、パーキンソン病以外にも複数あります。また、PDに似た症状を示す「パーキンソン症候群」と呼ばれる疾患群では、嗅覚が比較的保たれる傾向があり、この違いが診断の鍵となります。

疾患・原因 嗅覚障害の程度 ポイント
パーキンソン病(PD) 重度(80〜90%) 早期から出現。運動症状より4〜6年先行。本人が気づかないことが多い
多系統萎縮症(MSA) 比較的保存 嗅覚が保たれているとMSAを疑う根拠の一つ。起立性低血圧・排尿障害を合併
進行性核上性麻痺(PSP) 比較的保存 嗅覚が保たれているとPSPを疑う根拠の一つ。垂直方向の眼球運動障害が特徴
慢性副鼻腔炎・鼻ポリープ 軽度〜中等度 鼻詰まり・鼻汁を伴う。耳鼻科治療で改善しうる。PD関連との合併もある
ウイルス感染後(COVID-19等) 急性〜回復 急性発症が特徴。多くは数週〜数ヶ月で回復。嗅覚トレーニングが回復を促進
加齢性嗅覚低下 軽度〜中等度 65歳以上の約50%に何らかの低下。PDほど重度・早期・広範ではない
「嗅覚が保たれているか、著明に低下しているか」という視点が、パーキンソン病と他のパーキンソン症候群を鑑別する重要な手がかりとなります。

05
Assessment & Evaluation

評価・アセスメントの方法。

嗅覚障害の評価には、専門的な検査(耳鼻科・神経内科)と日常生活への影響評価(療法士・ご家族)があります。どちらの視点も大切です。

専門的嗅覚検査
耳鼻科・神経内科で受ける
— 客観的な嗅覚機能の測定
Sniffin’ Sticks:欧州標準。ペン型嗅素棒でTDIスコア(閾値T+識別D+同定I)を測定。TDI≦30.75点が嗅覚障害の基準
T&Tオルファクトメーター:日本標準。5種の基準臭の検知・認知閾値を測定。保険適用あり
OSIT-J:日本人向け12種のにおい(醤油・バラ・コーヒー等)を使用した同定テスト
日常生活評価
ご家族・療法士が確認する
— 生活への影響と安全リスクの把握
食欲・体重の変化:発症前後の体重変化・食事摂取量の変化を記録
安全確認:ガスや煙のにおいに気づけているかを具体的に確認
VAS評価:「においがどのくらい感じられますか?(0〜10点)」を定期記録
Key Question
PD前駆期スクリーニングのための「3つの問いかけ」

嗅覚低下+便秘+REM睡眠行動障害(寝ている間に大声を出す・体が動く)の3つが重なる場合、PD前駆期(前駆的パーキンソン病)の可能性が極めて高くなります(Postuma et al. 2019, Lancet Neurology)。

特にRBDのある嗅覚低下患者では、12年以内にPDやLewy小体型認知症を発症するリスクが80〜90%に達するという縦断研究があります。「においが落ちた気がする」という訴えには、ぜひこの3症状を合わせて確認してください。

06
Path to Recovery — Olfactory Training

回復への道のり。

嗅覚障害の治療は長らく「有効な治療法がない」と言われてきました。しかし近年、嗅覚トレーニング(Olfactory Training)が特にウイルス後嗅覚障害・加齢性嗅覚低下において複数のRCT(ランダム化比較試験:最も信頼性が高い研究手法)で有効性が示されています。

Scientific Basis
なぜ嗅覚トレーニングは有効なのか

嗅覚系は他の感覚系と異なり、成人後も嗅球への神経新生(新しい神経細胞の産生)が維持されます。繰り返しの嗅覚刺激によって、嗅球内のシナプス形成・神経回路の再編成が促進されます(Hummel et al. 2009)。

PD患者では神経新生自体が障害されている可能性もありますが、「残存する嗅覚機能を最大化する」という観点から、積極的な実施が推奨されます。

Hummelプロトコル — 嗅覚トレーニングの標準的手順

Hummel et al.(2009, Laryngoscope)が確立したプロトコルは、4種の基準嗅素を用いて1日2回・12週以上継続する方法です。

01
嗅素の準備市販のアロマオイルでOK

バラ・ユーカリ・レモン・クローブの4種のエッセンシャルオイルを用意します。アロマテラピー専門店・ネット通販・薬局で各100〜500円程度で入手できます。各オイルを小瓶に入れ密閉容器で保管します。

02
嗅ぎ方と意識的な想起イメージが効果を高める

各嗅素を鼻から約1〜2cm離した位置で静かに3〜5回深呼吸するように嗅ぎます。「このにおいはどんなにおいだったか」「以前感じたバラのにおいの記憶・イメージ」を意識的に想起しながら嗅ぐことが重要です(Imagery-enhanced olfactory training)。1種類につき10〜20秒程度。目を閉じて集中することも効果的です(Pellegrino et al. 2017)。

03
4種すべてを順番に実施

バラ→ユーカリ→レモン→クローブの順に行います。各嗅素の間に30〜60秒の間隔を置き、においが混合しないようにします。全体で約3〜5分で完了します。

04
1日2回・12週以上継続毎日の習慣化が鍵

朝起床後と夜就寝前の1日2回が標準プロトコルです。効果の発現には最低12週以上の継続が必要とされており、16〜24週の継続でより高い効果が期待できます(Konstantinidis et al. 2016)。歯磨きの前後など、毎日のルーティンと組み合わせると続けやすくなります。

05
12週後の嗅素ローテーション高強度プロトコル

12週間後、嗅素を新しい組み合わせ(例:ミント・タイム・緑茶・蜂蜜)に変更して追加12週間続ける「高強度嗅覚トレーニング」がより高い改善をもたらすことが示されています(Altundag et al. 2015)。嗅覚系への多様な刺激を維持することが可塑性を促進します。

STROKE LAB代表 金子唯史

Message from CEO
「においが戻らなくても、できることはあります。一緒に考えさせてください。」

嗅覚障害は「どうにもできない症状」ではありません。嗅覚トレーニングによる機能の最大化、安全環境の整備、栄養管理——それぞれの専門家が連携することで、生活の質は必ず守れます。STROKE LABでは、パーキンソン病の非運動症状に精通したセラピストが、ご本人・ご家族の状況に合わせた個別プランをご提案します。

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07
Support from Family

ご家族ができるサポート。

まず確認してほしい安全チェックリスト

ガス漏れ警報器の設置:都市ガス(天井付近)またはLPガス(床付近)に対応した自動遮断弁付き警報器を設置。年1回の電池・期限確認。IHコンロへの切り替えも有効です
住宅用火災警報器の確認:寝室・廊下・階段・台所への設置(消防法で義務)。電池式の場合は年1回の点検・10年での交換を確認
食品の賞味期限管理:冷蔵庫の食品を週1回一緒に確認。開封した食品・調理済み食品に日付ラベルを貼る習慣をつける
体重の定期測定:毎週同じ条件(同時刻・同じ服装)で体重を記録。1ヶ月で2〜3kg以上の減少があれば医師・栄養士に相談する
危険な化学物質の管理:漂白剤・農薬・有機溶剤などは鍵付き棚に保管。明確なラベルを貼り、使用時は必ず換気する

ご家族からの声かけ例

Model Talk

「今日のご飯、色がきれいだね。一緒に食べようか」(視覚的な食欲づくりの促し)

「嗅覚トレーニングの時間だよ。バラのにおい、今日は少し感じる?」(継続を支援する声かけ)

「ガス警報器の電池、一緒に確認しよう。安心のために」(安全管理を自然に行う声かけ)

食事の楽しみを守るための工夫

工夫のポイント 具体的なアイデア 理由
視覚的演出 色鮮やかな野菜・彩りある盛り付け・清潔な食器 においで食欲が湧きにくい分、視覚的刺激が食欲を補完する
食感の活用 サクサク・もちもち・とろとろのバリエーション 食感・温度感は嗅覚低下後も比較的保たれる
味覚の強化 酸味(レモン汁・酢)・旨味(だし・トマト)を活用 5基本味覚(甘・塩・酸・苦・旨味)は嗅覚とは別の受容器で感知される
共食の場 家族・友人と一緒に食べる時間を大切にする 食事中の会話・楽しい雰囲気が食欲を大幅に補完する

08
Home Life & Public Support

在宅復帰と公的支援制度。

パーキンソン病は厚生労働省の定める「特定疾患(難病)」に指定されており、さまざまな公的支援制度を活用できます。嗅覚障害を含む非運動症状への対応にも、これらの制度を積極的に利用してください。

在宅生活チェックリスト(嗅覚障害への対応を含む)

01
ガス警報器・火災警報器の設置と定期点検が済んでいる
02
食品の賞味期限管理ルールをご家族と共有している
03
毎週の体重測定を習慣化し、記録をつけている
04
嗅覚トレーニングを毎日のルーティンに組み込んでいる
05
神経内科・耳鼻科・栄養士・療法士が連携した多職種チームがある
06
OT(作業療法士)による在宅環境アセスメントを受けている
07
緊急時の対応手順(ガス漏れ・火災時)をご家族と確認している

主な公的支援制度

制度名 主な内容 問い合わせ先
難病医療費助成制度 パーキンソン病の治療費の自己負担を軽減(最大月額上限額あり) 都道府県の保健所・保健センター
介護保険 訪問リハビリ・デイサービス・訪問介護・福祉用具貸与など 市区町村の介護保険窓口・地域包括支援センター
障害福祉サービス 居宅介護・重度訪問介護・就労支援など(介護保険との併用も可能な場合あり) 市区町村の障害福祉窓口
身体障害者手帳 医療費控除・交通費補助・税制優遇など各種サービスの利用 市区町村の福祉窓口・申請は主治医の診断書が必要
高額療養費制度 1ヶ月の医療費自己負担が一定額を超えた場合に払い戻し 加入している健康保険の窓口
障害年金 一定の障害状態に該当する場合に受給可能(1〜3級) 年金事務所・社会保険労務士
これらの制度は自分から申請しなければ利用できません。担当のケアマネジャーや主治医に「使える制度を教えてほしい」と遠慮なく相談してください。

09
Prognosis & Timeline

回復までの期間と予後。

PD関連の嗅覚障害は、Braak病期1〜2という最初期から始まり、PDの進行とともに緩やかに悪化していきます。各病期(Hoehn-Yahr分類)での対応方針を知ることが、適切なケアにつながります。

Disease Stage
Hoehn-Yahr分類別の嗅覚管理の重点

HY 1〜2(軽度):嗅覚障害のスクリーニングと嗅覚トレーニングの開始・習慣化が最重要。安全対策(ガス警報器等)の初期設置を行う。食事摂取量・体重の定期モニタリングを開始する。

HY 2.5〜3(中等度):在宅環境アセスメント(OT訪問)で安全設備の確認を強化。食欲低下・体重減少が顕著化しやすいため、管理栄養士と連携した積極的栄養介入が必要。

HY 4〜5(重度):低栄養・体重減少の厳密な管理。嚥下障害と嗅覚・味覚低下が重なることで食事摂取量が著明に低下するリスクへの対応。在宅・施設双方での安全環境整備の再確認が介護者の役割となる。

「においが戻らないから何もしない」という考えは誤りです。嗅覚トレーニングによる機能最大化、安全管理、栄養サポートを続けることが生活の質を守る最善の手段です。

10
Frequently Asked Questions

よくあるご質問。

Q. パーキンソン病の嗅覚低下は治りますか?元に戻りますか?
A.

PD関連の嗅覚障害は神経変性(Lewy小体による嗅球の変性)が原因であるため、完全な回復は現時点では困難です。レボドパを含むPD治療薬は嗅覚機能に直接的な改善効果をほとんど示しません。

ただし嗅覚トレーニング(Hummelプロトコル)によって残存する嗅覚機能を活性化し、部分的な改善や悪化の抑制が期待できます。「においを感じようと意識的に嗅ぐ習慣」を維持することが嗅覚系の可塑性(かそせい:脳の柔軟な変化する力)を維持する上で重要です。

Q. 嗅覚トレーニングはどこで材料を入手できますか?どのくらい続ければよいですか?
A.

バラ・ユーカリ・レモン・クローブのエッセンシャルオイルは、アロマテラピー専門店・ネット通販(Amazon等)・薬局で入手できます。各オイル100〜500円程度で揃えることができ、コストは非常に低く抑えられます。

期間は最低12週間(3ヶ月)、できれば24〜32週間(6〜8ヶ月)の継続が推奨されます。12週後に嗅素を変更する「高強度プロトコル」がより高い効果をもたらすことが研究で示されています(Altundag et al. 2015)。「毎朝起きたら嗅覚トレーニング」を日課にすることが長続きの秘訣です。

Q. においがわからなくなった場合、まずどの科を受診すればよいですか?
A.

嗅覚障害の専門的な評価は耳鼻咽喉科が行います。鼻の構造(副鼻腔炎・鼻ポリープ等)の診察と客観的な嗅覚検査が実施されます。

既にPDと診断されている場合はまず担当の神経内科医に相談するのが第一歩です。嗅覚低下+便秘+REM睡眠行動障害(夢の中で体が動く・大声を出す)のトリアドがある場合は、耳鼻科受診後に神経内科へのコンサルテーションを検討することをお勧めします。

Q. 嗅覚がなくなると味覚はどうなりますか?食事はどのように工夫すればよいですか?
A.

私たちが「味」と感じるものの大部分(約80%)は実は「においの情報(嗅覚)」によるものです。甘・塩・酸・苦・旨味という5つの基本味覚は舌の味蕾(みらい:舌にある味を感じる細胞)で感知されるため嗅覚が失われても残存しますが、「食べ物の風味(フレーバー)」はほぼ消失します。

工夫としては:①視覚的演出(色鮮やかな盛り付け)②食感のバリエーション③5基本味の活用(酸味・旨味・塩味を意識的に使う)④共食の場を大切にすること が効果的です。管理栄養士と一緒にメニューを考えることも大切です。

Q. パーキンソン病の嗅覚障害の評価は療法士が行えますか?
A.

客観的な嗅覚検査(Sniffin’ Sticks・T&Tオルファクトメーター等)は耳鼻科・神経内科が実施しますが、療法士は問診スクリーニング、VASによる自覚的評価、QOL・食事・安全への影響評価を担当できます。

「においの変化に気づいていますか?」「ガスのにおいに気づきにくくなりましたか?」という積極的な問いかけと、医師への情報提供・適切な紹介の連携が、嗅覚障害の見逃しを防ぐ鍵です。

Q. パーキンソン病と診断されていない家族が嗅覚低下を訴えています。何か関係がありますか?
A.

嗅覚低下それ単独ではPDを疑う根拠として弱いですが、①嗅覚低下(ゆっくり進行)+②便秘(週3回未満)+③REM睡眠行動障害(寝ている間に大声を出す・手足が動く)のトリアドが揃う場合、PD前駆期の可能性があります。

早めに神経内科を受診されることをお勧めします。特にRBDのある嗅覚低下患者では、12年以内にPDやLewy小体型認知症を発症するリスクが80〜90%に達するという縦断研究があります(Postuma et al. 2011)。早期発見・早期介入がPDの予後改善に重要です。

11
Our Program

STROKE LABのプログラム。

STROKE LABは、脳卒中・神経疾患に特化した自費リハビリ施設です。パーキンソン病の非運動症状(嗅覚障害・自律神経症状・睡眠障害など)への対応経験を持つ理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が、医師・管理栄養士と密接に連携し、ご本人・ご家族の「安全と生活の質」を守るための包括的ケアを提供します。

STROKE LABの強み
非運動症状への専門的対応
— 嗅覚障害を含む包括的ケア
嗅覚トレーニングの個別指導と継続支援
在宅環境アセスメント(安全対策の具体的指導)
栄養管理・食欲低下への多職種連携介入
PD前駆期スクリーニングへの取り組み
取り組める内容
嗅覚障害への具体的介入
— 安全・栄養・機能の3本柱
Hummelプロトコルによる嗅覚トレーニング指導
ガス警報器・火災警報器設置など環境相談
食事環境の改善・食欲維持のための調理指導
Hoehn-Yahr分類別の定期評価と介入計画の更新

— パーキンソン病の最新研究と嗅覚系バイオマーカーの開発動向。

Voice

「においがしなくなったのはずっと前からで、PD以外に何か鼻の病気があるのかと思っていました。リハビリで先生に聞かれて初めて、これがパーキンソン病の症状の一つだと知りました。嗅覚トレーニングを始めて3ヶ月、まだ完全には感じられませんが、コーヒーのにおいが少しわかるようになったのがうれしいです」— 69歳女性・パーキンソン病診断から4年・HY分類 2度

「家でガスを使っているのに、ガス漏れに気づけないと聞いてとても怖くなりました。療法士の先生が在宅に来てくださって警報器の設置を手伝ってもらい、今はとても安心しています。においが戻らなくても、安全な環境があればここまで不安にならないとわかりました」— 74歳男性・パーキンソン病診断から6年・HY分類 3度

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あわせて読みたい:STROKE LABのパーキンソン病リハビリを詳しく解説

Message from CEO
においが感じられなくても、
諦めないでください。

STROKE LAB代表 金子唯史 ポートレート

「においがわからない」という症状は、見えにくく、伝えにくく、周りにも理解されにくいものです。しかしそれは、決して「仕方のないこと」ではありません。

嗅覚トレーニングで残存機能を活かし、安全環境を整え、栄養を守る——具体的な行動で、生活の質は必ず守れます。私たちはその一歩を、ご一緒に踏み出したいと思っています。

まず「無料相談」でお話を聞かせてください。どんな小さな疑問でも、ご家族の不安でも、遠慮なくお持ちください。

株式会社STROKE LAB
代表取締役 金子 唯史

無料相談を予約する

References

参考文献。

01 Doty RL, Deems DA, Stellar S. Olfactory dysfunction in parkinsonism: a general deficit unrelated to neurologic signs, disease stage, or disease duration. Neurology. 1988;38(8):1237-1244.
02 Braak H, Del Tredici K, Rüb U, et al. Staging of brain pathology related to sporadic Parkinson’s disease. Neurobiol Aging. 2003;24(2):197-211.
03 Hummel T, Rissom K, Reden J, et al. Effects of olfactory training in patients with olfactory loss. Laryngoscope. 2009;119(3):496-499.
04 Beach TG, Adler CH, Sue LI, et al. Multi-organ distribution of phosphorylated alpha-synuclein histopathology in subjects with Lewy body disorders. Acta Neuropathol. 2010;119(6):689-702.
05 Ross GW, Petrovitch H, Abbott RD, et al. Association of olfactory dysfunction with risk for future Parkinson’s disease. Ann Neurol. 2008;63(2):167-173.
06 Postuma RB, Aarsland D, Barone P, et al. Identifying prodromal Parkinson’s disease: pre-motor disorders in Parkinson’s disease. Mov Disord. 2012;27(5):617-626.
07 Altundag A, Cayonu M, Kayabasoglu G, et al. Modified olfactory training in patients with postinfectious olfactory loss. Laryngoscope. 2015;125(8):1763-1766.
08 Konstantinidis I, Tsakiropoulou E, Constantinidis J. Long term results of olfactory training in patients with post-infectious olfactory loss. Rhinology. 2016;54(2):170-175.
09 Höglinger GU, Rizk P, Muriel MP, et al. Dopamine depletion impairs precursor cell proliferation in Parkinson disease. Nat Neurosci. 2004;7(7):726-735.
10 Pellegrino R, Mainland JD, Kelly CE, et al. Olfactory dysfunction in Parkinson’s disease: a critical review. Mov Disord Clin Pract. 2017;4(1):15-26.
11 Postuma RB, Gagnon JF, Vendette M, et al. Olfaction and color vision identify impending neurodegeneration in idiopathic REM sleep behavior disorder. Ann Neurol. 2011;69(5):811-818.
12 Lazarini F, Gabellec MM, Moigneu C, et al. Adult neurogenesis restores dopaminergic neuronal loss in the olfactory bulb. J Neurosci. 2014;34(14):4806-4816.
13 藤田浩二. パーキンソン病の嗅覚障害: 評価と治療. 神経内科. 2020;93(2):147-154.
14 金子唯史. 脳卒中の動作分析. 医学書院. 2018.

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