【2026年版】痙直型 小児 両麻痺の特徴は?診断から治療、リハビリテーションまで解説
痙性両麻痺の子どもは、どこまで歩けるようになるのか。
「この子は将来、自分で歩けるの?」——診断を受けたその日から、多くのご家族が抱え続ける問いがあります。痙性両麻痺(けいせいりょうまひ)は脳性麻痺の中でも最も多いタイプです。早期から継続的に介入することで、多くのお子さんの歩行能力は大きく改善できます。この記事では、ご家族が知っておくべき診断・治療・リハビリの全知識をわかりやすくお伝えします。
続きをお読みください。
こんなお悩みはありませんか?
診断を受けてから、「何から始めればいいのかわからない」と途方に暮れるご家族が多くいます。インターネットで調べても情報が多すぎて、何が正しいのかわからないとおっしゃる方も少なくありません。
学校には普通に通えるの?
この記事は、そのような問いに向き合うためのものです。最初の兆候から診断・治療・リハビリ・公的支援まで、ご家族が知っておくべきことをすべて解説します。ぜひ最後までお読みください。
痙性両麻痺(リトル病)とは。
痙性両麻痺(けいせいりょうまひ)は、脳性麻痺の中で最も多いサブタイプです。主に下肢(脚)に筋肉の硬直(痙縮)と運動障害が生じます。「リトル病」とも呼ばれます。
特徴的な歩き方として「はさみ足歩行」があります。これは股関節の内転・内旋、膝の曲がり、足首のつま先立ち(底屈)が組み合わさり、両膝がハサミの刃のように交差する歩き方です。場合によっては腕の機能にも影響が及ぶことがあります。
脳性麻痺は、生まれる前後に脳に生じた損傷が原因です。脳の損傷自体は進行しません。
一方、適切なリハビリや治療を行わないと、筋肉の拘縮(関節が固まること)や変形は進行します。だからこそ、早期からの継続的な介入がとても大切です。
主な症状(どんなことが起こるの?)
脚の筋肉の緊張が高まり、硬くぎこちない動きが生じます。程度によって、ほとんど気にならないものから、歩行困難になるものまであります。
お座り・立ち上がり・歩くなど、発達の節目(マイルストーン:子どもの年齢ごとの精神・運動機能の発達段階)への到達が遅れます。
痙縮が続くと筋肉が短縮したまま固まり(拘縮)、関節の動く範囲(可動域)が狭まります。早期のリハビリで予防できます。
PVL(脳室周囲白質軟化症): 側脳室周囲の白質が部分的に壊死し、皮質脊髄路(上位運動ニューロン)の伝導が障害されることで発症します。損傷は通常両側性で下肢への運動線維を主に侵します。
痙縮のメカニズム: 上位運動ニューロン障害により脊髄の抑制信号が減弱し、伸張反射の過興奮が生じます。これがα運動ニューロンの過活動と筋緊張亢進(痙縮)の原因です。
— ご本人・ご家族の状況を丁寧にお伺いします
その不安、一度ご相談ください。
STROKE LABは脳神経科学に特化した自費リハビリ施設です。小児の運動発達や神経リハビリに詳しいセラピストが、お子さんの状態とご家族の不安に丁寧に向き合います。まずは無料相談から始めてください。
なぜ起こるのか。
電気信号が流れるケーブル(神経路)が一部損傷しているイメージです。信号が届きにくくなった結果、筋肉のコントロールが乱れます。
原因となる脳の変化(主にPVL)は生まれる前後に生じます。その後、脳の損傷自体は進みません。
主な危険因子(リスク要因)
痙性両麻痺は遺伝的な病気ではありません。主に周産期(出産前後)の脳への影響が原因です。以下の危険因子が知られています。
① 早産(未熟児出産) ② 低出生体重 ③ 新生児脳症(出産時の酸素不足など)
④ 子宮内感染症 ⑤ 妊娠中の母体感染 ⑥ 分娩・出産時の合併症(重度黄疸など)。男女差はほぼありません。
遺伝的素因: 主因は脳損傷ですが、一部の遺伝マーカーが脳性麻痺リスクと関連し、脳の損傷脆弱性に影響する可能性が示唆されています。
再生医療の動向: 幹細胞療法(間葉系幹細胞)の研究が進んでいます。Stem Cell Res Ther. 2022;13:100(DOI: 10.1186/s13287-022-03054-0)にて臨床応用の可能性が報告されています。現時点では研究段階です。
他の症状・病態との違い。
脳性麻痺にはいくつかのタイプがあります。痙性両麻痺と他のタイプを理解することで、適切な支援につながります。
| タイプ | 痙性両麻痺(本記事) | 痙性片麻痺 | アテトーゼ型 |
|---|---|---|---|
| 主な影響部位 | 両下肢(腕も軽度あり) | 片側の腕・脚 | 全身(不随意運動) |
| 筋緊張の特徴 | 高い(痙縮) | 高い(片側) | 変動する(低下〜亢進) |
| 歩行の特徴 | はさみ足・つま先立ち | 片側の振り出し困難 | 揺れて不安定 |
| 知的障害の合併 | 比較的少ない | まれ | さまざま |
評価方法。
痙性両麻痺の診断・評価には、臨床的な評価ツールと画像検査が組み合わせて使われます。それぞれの役割を理解しておきましょう。
レベルI:制限なく歩行可能 → レベルII:平坦な場所なら歩行可能 → レベルIII:補助具を使って歩行可能 → レベルIV:移動に電動車いすを利用 → レベルV:手動の車いすを使用しても移動に介助が必要
レベルI〜IIIのお子さんは、適切な介入で自立歩行または補助具歩行が目標となります。
回復への道のり。
治療は「薬物療法」「リハビリ」「手術」の3つを組み合わせて行います。お子さんの状態(GMFCSレベル・年齢・症状の程度)に合わせて、チームで計画を立てます。
経口薬(バクロフェン・ジアゼパム・チザニジンなど)で筋緊張を和らげます。ボツリヌス毒素(ボトックス)注射は局所的に痙縮を抑え、リハビリと組み合わせて歩行改善に有効です。重症例では脊髄液中に薬を直接届けるくも膜下腔内バクロフェン療法(ITB)も選択肢になります。
理学療法では歩行・バランス・筋力強化・ストレッチを中心に行います。作業療法では手先の細かい動きや日常生活動作(食事・着替えなど)の自立を目指します。装具(AFOなど)や補助具も姿勢サポートと変形予防に役立ちます。
選択的背側根切除術(SDR)は痙縮に関係する神経線維を切断し、長期的な改善が期待できます。一般的に4〜8歳ごろが適応とされます。整形外科手術(腱延長・筋肉延長・変形矯正)は関節変形の進行を抑え、歩行を改善します。
ロボット支援療法は一定した反復運動練習を可能にし、運動学習を促進します。仮想現実(VR)を活用したリハビリは、楽しく継続できる環境を作り、モチベーション維持にも効果的です。

その問いに、一緒に向き合います。
痙性両麻痺のお子さんへの介入は、時間との闘いです。脳の柔軟性(神経可塑性:脳が新たな回路を作り直す力)が高い幼児期に、どれだけ質の高いリハビリを積み重ねられるかが、その後の歩行能力を大きく左右します。STROKE LABでは、神経科学に基づいた評価と、お子さんの可能性を最大限に引き出すプログラムをご提供します。
ご家族ができるサポート。
お子さんにとって、ご家族は最も身近で大切なリハビリのパートナーです。日常生活の中でできることを、無理のない範囲で取り組んでいきましょう。
日常生活でのサポートチェックリスト
声かけ例(お子さんのやる気を引き出すために)
「上手になったね!先週より全然違うよ。」
「ゆっくりでいいよ。自分のペースでやってみよう。」
「一緒にやってみようか。あなたならできると思うよ。」
多職種連携の重要性(複数の専門家とつながる)
| 専門職 | 主な役割 | いつ相談? |
|---|---|---|
| 小児神経科医 | 診断・薬物療法・全体管理 | 定期通院・症状変化時 |
| 整形外科医 | 変形・手術適応の評価 | 変形の進行・手術検討時 |
| 理学療法士 | 歩行・バランス・筋力訓練 | 継続的にリハビリ |
| 医療ソーシャルワーカー | 制度・サービスの案内 | 支援制度の相談時 |
在宅生活と公的支援制度。
お子さんが自宅で安全・快適に生活するには、環境の整備と公的サービスの活用が欠かせません。使える制度は積極的に申請しましょう。知らないと損をすることが多いのが現実です。
在宅生活整備チェックリスト
主な公的支援制度一覧
| 制度名 | 内容・受けられる支援 | 問い合わせ先 |
|---|---|---|
| 身体障害者手帳(肢体不自由) | 医療費助成・交通費割引・装具補助など | 市区町村の障害福祉窓口 |
| 自立支援医療(育成医療) | 手術・リハビリの医療費自己負担を原則1割に軽減 | 市区町村(18歳未満対象) |
| 障害福祉サービス(居宅介護等) | ヘルパー派遣・生活介護・短期入所(レスパイト) | 市区町村の障害福祉窓口 |
| 特別児童扶養手当 | 20歳未満の障害児を養育する保護者への手当 | 市区町村の児童福祉窓口 |
| 放課後等デイサービス | 学校後・長期休暇中の療育・生活訓練・余暇支援 | 市区町村・相談支援専門員 |
回復までの期間と予後。
痙性両麻痺の予後はお子さんによって大きく異なります。GMFCSレベルと介入の質・量が、将来の歩行能力に最も大きく影響します。
幼児期(〜6歳):神経の柔軟性が最も高い時期です。早期介入の効果が最大に発揮されます。この時期の集中的なリハビリが将来の歩行能力を大きく決定します。
学童期〜青年期(7〜18歳):急激な骨格成長が筋肉の発達を上回る時期があり、痙縮が一時的に増悪することがあります。この時期も継続的なリハビリと定期評価が重要です。
成人期以降:関節への負担と進行性の拘縮により、可動性や痛みの問題が出てくることがあります。ただし通常、進行は子どもの頃より緩やかです。適切な管理で多くの方が成人後も移動能力を維持できます。
よくあるご質問。
生後数か月から1歳ごろに、寝返り・お座り・立ち上がりなどの運動発達が同年齢の子どもより遅れることが多いです。
脚が突っ張ってなかなか曲がらない、抱き上げると強く伸ばす、つま先立ちで立とうとするといった様子が見られたら、早めに専門医に相談してください。
まず小児神経科医や整形外科医によるGMFCS・修正アッシュワーススケールなどの臨床評価が行われます。
確定診断にはMRI検査が最も有効で、脳室周囲白質軟化症(PVL)などの脳の変化を確認します。発作が疑われる場合は脳波検査も行われます。
GMFCSレベルI〜IIIの多くのお子さんは、補助具を使用しながら、あるいは補助なしで歩行できるようになる可能性があります。
早期から継続的に理学療法を行い、必要に応じてボツリヌス毒素注射や手術を組み合わせることで、歩行能力が大きく改善するケースが多く報告されています。
経口筋弛緩薬(バクロフェン・ジアゼパムなど)では眠気・ふらつき・口の渇き・集中力低下が代表的な副作用です。
ボツリヌス毒素注射は局所的に作用するため全身への影響は少ないですが、注射部位周辺の筋力が一時的に低下することがあります。副作用が気になる場合は主治医にご相談ください。
保存的治療で十分な改善が得られない重度の痙縮や、関節変形・拘縮が進行している場合に外科的介入が検討されます。
選択的背側根切除術(SDR)は痙縮の長期改善に有効で、一般的に4〜8歳ごろが手術のタイミングとされます。整形外科・小児神経科の専門医にご相談ください。
主な支援制度として、身体障害者手帳(肢体不自由)、自立支援医療(育成医療)、障害福祉サービス(居宅介護・放課後等デイサービスなど)、特別児童扶養手当などがあります。
市区町村の障害福祉窓口や医療ソーシャルワーカーに相談することをお勧めします。
STROKE LABのプログラム。
STROKE LABは、脳神経科学と徒手技術に特化した自費リハビリ施設です。保険診療のリハビリでは時間が足りない、もっと専門的なアドバイスがほしい——そのようなご家族のご要望にお応えします。痙性両麻痺・脳性麻痺に関する豊富な知見を持つセラピストが、お子さんの状態を丁寧に評価し、個別プログラムを立案します。
— STROKE LABでの脳神経系リハビリの実際の様子です。
「保険のリハビリだけでは物足りなくて相談しました。セラピストの先生が歩き方の細かいところまで見てくれて、家でできるストレッチも教えてもらえました。子どもも楽しそうに通っています。」— 40代・母 / 痙性両麻痺 7歳のお子さん
「診断を受けてからずっと不安でしたが、具体的なリハビリの方針を説明してもらえて、ようやく前向きになれました。装具の使い方や学校生活のアドバイスも助かっています。」— 30代・父 / 痙性両麻痺 5歳のお子さん・診断後6か月
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諦めないでください。

「この子はどこまで歩けるようになるのか」——その問いに、正直なところ、最初から答えを出せる専門家はいません。しかし、脳の可塑性(新しい回路を作り直す力)は、私たちの予想をはるかに超えることがあります。
大切なのは「今、何ができるか」を丁寧に評価し、一つひとつ積み重ねていくことです。その積み重ねが、数年後のお子さんの姿を変えていきます。
STROKE LABでは、ご家族の不安や疑問に一つひとつ向き合います。まずは無料相談にいらしてください。一緒に考えましょう。
代表取締役 金子 唯史
参考文献。

1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024) パーキンソン病の機能促進:医学書院 (2025)