赤ちゃんの運動発達チェックリスト|月齢別に家庭で見るポイント
項目の達成数を競うのではなく、動きが多様になっているかを振り返るために活用します
「同じ月齢の子はできているのに」「一度できたけれど、その後はしません」。運動発達は、できた日だけを丸で囲むと見えにくくなります。大切なのは、準備する動きが増え、試すようになり、生活の中で安定して使えるようになる流れです。0〜18か月頃の見方と、様子見・相談・医療優先の違いを整理します。

チェックリストは、赤ちゃんを判定する表ではありません。
運動発達は、昨日できなかったことが今日から毎回できるようになるとは限りません。偶然に成功する日、助けが少しあればできる日、自分から何度も使う日へと、少しずつ変わります。
そのため、「いつ初めてできたか」だけでなく、「準備・試行・安定のどこにいるか」を見ます。
準備
完成前の小さな動きが出ています。寝返りなら横向き、足を持ち上げる、視線を横へ向けるなどです。
試行
ときどき成功する、少しの助けでできる、同じ動きを何度か試す段階です。
安定
複数の日に自分から行い、玩具へ近づくなど生活の目的に合わせて使う段階です。

例えば「座れる」には、座らせてもらえば保てる状態と、自分で横向きから座位へ移り、手を遊びに使い、再びうつ伏せへ戻れる状態があります。姿勢を保つ力と、その姿勢へ移る力は分けて見ることが大切です。
月齢の数字は、出典によって意味が違います。
発達表の数字が違うのは、必ずしもどちらかが間違っているからではありません。対象、質問方法、何%の子どもができる時期を示すかによって、数字は変わります。
| 情報源 | 数字の意味 | 家庭での使い方 |
|---|---|---|
| CDC | 各年齢で75%以上の子どもが行う行動 | 気づきと医療者への共有に使う。診断表ではない |
| 令和5年乳幼児身体発育調査 | 日本の乳幼児について、月齢帯ごとの「できる」と回答した割合 | 日本の集団での達成状況を知る参考にする |
| WHO運動発達研究 | 健康児集団の1〜99パーセンタイルによる広い発達窓 | 健康児でも達成時期に幅があることを理解する |
首のすわりは4〜5か月未満、寝返りは6〜7か月未満、ひとり座りは9〜10か月未満、はいはいは10〜11か月未満、つかまり立ちは11〜12か月未満、ひとり歩きは1歳4〜5か月未満でした。これは「その月齢までにできなければ異常」という診断基準ではありません。
早産児は修正月齢を考慮します
米国小児科学会の保護者向け情報では、最初の2年間は修正月齢が一般的な発達目標を見る助けになると説明されています。出生週数や医療経過によって見方が異なるため、主治医・NICUフォロー・健診担当者の方針を優先してください。
0〜18か月の運動発達チェック。
以下は家庭で観察しやすい運動の例です。すべてが同じ順序、同じ月齢で現れるわけではありません。月齢は目安であり、早産児は修正月齢を考慮します。
「できる」に丸をつけるより、準備があるか、試す回数が増えたか、生活で安定して使うかを書き添えてください。
| 月齢帯 | 家庭で見る運動 | 発達の途中を見る | 相談時に伝えたいこと |
|---|---|---|---|
| 0〜2か月頃 | 両手足を動かす。短いうつ伏せで頭を上げようとする。手を一時的に開く | 顔を左右へ向けるか。抱き方や床面で動きが変わるか | 片側の手足がほとんど動かない、哺乳・呼吸・顔色の変化 |
| 3〜4か月頃 | 抱かれたとき頭が安定する。手を口へ運ぶ。玩具へ腕を動かす。うつ伏せで前腕支持 | 頭・胸・骨盤が同時に固まらず、視線に合わせて少し動けるか | 頭部が極端に不安定、反り返りや片向きが複数場面で続く |
| 5〜6か月頃 | 横向き・寝返りを試す。うつ伏せで腕を伸ばす。手をついて座位を支える | 視線、肩、骨盤が順に動くか。左右へ体重を移せるか | 一方向だけ、腕が体の下に残る、支えると強く突っ張る |
| 7〜9か月頃 | 支えなし座位。座位で両手を遊びに使う。自分で座位へ移ろうとする | 座らせれば保てるだけか、自分で入り戻れるか。倒れそうな側へ手を出すか | 9か月頃に支えなし座位が見られない、片手を常に支持に使う |
| 10〜12か月頃 | 姿勢変換、床上移動、つかまり立ち、伝い歩き | はいはいの形より、移動手段が広がるか。両脚へ体重を移せるか | 片脚だけで立つ、足を分けにくい、どの条件でも踵が接地しにくい |
| 13〜18か月頃 | 数歩の自立歩行から安定した歩行へ。しゃがむ、立つ、低い場所へ上り下りする | 歩数だけでなく、転んだ後に立ち直るか、方向を変えるか、探索が広がるか | 18か月頃に支えなし歩行が見られない、左右差や痛みが続く |

WHOの研究では、健康な子どもの4.3%が手と膝を使う典型的なはいはいを示しませんでした。一方、はいはいをしないから何も見なくてよいわけではありません。自分で姿勢を変える、左右の手足を使う、床上で移動する、立位へ移るといった機能の広がりを確認します。
達成の有無に加えて見る、5つの観察点。
同じ「座れない」でも、見る場所は違います。
体幹の安定が不十分なのか、手を床についたまま離せないのか、左右へ体重を移しにくいのか、そもそも横向きから座位へ入る経験が少ないのかで、家庭で記録する内容は変わります。
さらに、午前中はできるのに夕方は崩れる、硬い床では動けるが柔らかい布団では難しい、玩具が正面にあると片手だけを使う、といった負荷・環境・目的による変化も重要な手がかりです。
研究で分かっていること。
保護者と医療者が発達を共有するための資料であり、標準化された発達スクリーニングの代替ではありません。
WHOの発達窓では、支えなし座位は3.8〜9.2か月、ひとり歩きは8.2〜17.6か月でした。個人差を認めつつ、遅い側に見える場合は適切なスクリーニングにつなぐための資料です。
脳性麻痺が疑われる乳児や新生児期からリスクが分かっている乳児では、病歴、画像、標準化された神経・運動評価を組み合わせた早期評価が推奨されています。
家庭では、完成形を反復させるより「動きやすい条件」を探します。
続けやすい関わり
- 眠気や空腹が強くない普段の時間に見る
- 安全な床面で、玩具を少し手の届きにくい位置へ置く
- 左右の両側から声や玩具を提示する
- 成功した動きだけでなく、試した動きを言葉にする
- 疲れたり嫌がったりしたら休み、短く繰り返す
- 2〜4週間ごとに同じ条件の動画を比べる
避けたい関わり
- 嫌がる姿勢を長時間続ける
- 完成した姿勢を大人が何度も作り続ける
- 歩行器や手引き歩行だけで立位経験を増やす
- 同月齢の子との比較だけで練習量を増やす
- 1回できなかった日を「後退」と判断する
- けいれん様運動や呼吸異常を発達の個人差として待つ
うつ伏せ遊びは、赤ちゃんが起きていて大人が見守れる時間に行います。睡眠は仰向けが基本です。うつ伏せを嫌がる場合は、保護者の胸の上や横向きなど、負担の少ない姿勢から始めます。
様子見・相談・医療優先を分ける。
| 家庭で記録しながら見やすい状態 | 健診・小児科・発達相談へ共有したい状態 |
|---|---|
|
|
以前できていた動きが明らかに失われた、急に片側の手足を動かさなくなった、けいれんのような動き、意識・呼吸・顔色の変化、哺乳量の急な低下、繰り返す嘔吐、強い痛みが疑われる場合です。救急要請を含め、速やかに医療機関へ相談してください。

診断や医学的判断は小児科・医療機関が担います。STROKE LABでは、左右差、姿勢変換、環境条件、動作の質を観察し、医療者へ何を共有するとよいかを生活の視点から整理します。
健診・相談へ持っていく7項目。
「遅い気がします」だけでも相談できますが、次の項目があると、医療者や療法士が普段の様子を理解しやすくなります。
動画は「きれいに撮る」より、全身、床面、支え方が分かり、動作の開始前から終了後まで入っていることが大切です。詳しい撮影方法はNo.149で扱い、本記事では相談準備に必要な項目だけを示しています。
専門的な評価で分かること。
モードAの記事では、特定の治療を勧めるのではなく、保護者の曖昧な不安を、観察できる項目へ翻訳する価値を中心に考えます。
| 家庭で見えること | 評価で確認すること | 整理できること |
|---|---|---|
| 片側にしか寝返らない | 視線、頭部回旋、肩甲帯、骨盤、左右の支持 | 好み・環境差か、複数姿勢に続く左右差か |
| 座らせれば座れるが、自分で座れない | 横向き、側方体重移動、手の支持、骨盤運動 | 座位保持か、姿勢変換の問題か |
| つかまり立ちで踵が浮く | 支持物の高さ・距離、重心、股・膝・足関節の連動 | 条件で変わる反応か、どの条件でも続く特徴か |
| 月齢項目はできるが、ぎこちない | 動作開始、速度、成功率、疲労後、家庭と施設の差 | 達成の有無では見えない動作の質と負荷条件 |
評価では、姿勢や床面、玩具の位置、支える場所を少し変え、その場で動きが変わるかを確認します。少しの条件調整で動きが広がるのか、条件を変えても同じ特徴が続くのかによって、家庭で見る項目や医療者へ伝える内容が変わります。
診断、検査、投薬、装具や医学的治療の判断は主治医・小児科医など医療機関の領域です。STROKE LABは、その判断を尊重しながら生活場面の姿勢と運動を整理します。
よくある質問。
Q. 月齢の項目が1つできないと、運動発達が遅れているのでしょうか?
Q. できる日とできない日がある場合、「できた」と考えてよいですか?
Q. 早産で生まれた場合は、暦月齢と修正月齢のどちらで見ますか?
Q. はいはいをせず、つかまり立ちを始めても大丈夫ですか?
Q. 片側にしか寝返りしないときは相談した方がよいですか?
Q. 以前できていた動きが見られなくなった場合はどうすればよいですか?
STROKE LABの小児リハビリ。
STROKE LAB(東京・大阪)は、神経疾患を中心に、乳幼児の姿勢・運動・生活動作を評価する自費リハビリ施設です。「発達が遅いか」を一項目で判定するのではなく、動きの準備、左右差、姿勢変換、感覚・環境条件、生活での再現性を整理します。診断・検査・医学的管理は医療機関が担い、私たちは生活と動きの側から併走します。
観察できる言葉へ。

赤ちゃんの発達を調べるほど、月齢やチェック項目が気になり、不安が大きくなることがあります。けれど、発達は丸とばつだけでは捉えられません。
私たちは、今できていること、その前に育っている小さな動き、条件を変えたときの可能性を一緒に見つけます。そのうえで、家庭で何を記録し、医療・健診へ何を伝えるとよいかを整理します。
急な変化や全身状態の異常は医療機関へ。普段の動きの見方を整理したいときは、ご相談ください。
代表取締役 金子 唯史

姿勢・感覚・運動を別々に見るのではなく、目的のある動作として結びつけて考える臨床の土台をまとめています。乳児の発達でも、完成した動作だけでなく、そこへ至る身体の使い方と環境の関係を見る視点につながります。
- 首すわり・お座り・歩き始めが遅い|運動発達の遅れを神経の視点で見る
- 乳児健診で「様子見」と言われたら|家庭で記録したい運動発達
- 発達相談で見せる動画の撮り方|赤ちゃんの姿勢・動きを伝えるコツ
- 早産児の運動発達|修正月齢で見るポイントと家庭での関わり
- 赤ちゃんの発達チェックと発達スクリーニングの違い
- 東京・大阪で赤ちゃんの運動発達を相談できる小児リハビリ
本記事は、国内外の公的情報・一次研究と、STROKE LABの臨床経験および下記書籍の枠組みをもとに構成しています。診断・治療・標準化された発達スクリーニングに代わるものではありません。お子さんの状態についての判断は、主治医・小児科医・健診担当者へご相談ください(最終確認日:2026年8月1日)。
- Centers for Disease Control and Prevention. CDC’s Developmental Milestones. Updated 2026.(2、4、6、9、12、15、18か月の家庭向け観察項目。75%以上が行う行動であり、標準化スクリーニングの代替ではない)
- こども家庭庁.令和5年乳幼児身体発育調査 調査結果の概要.2024.(一般調査による運動機能通過率)
- WHO Multicentre Growth Reference Study Group. WHO Motor Development Study: Windows of achievement for six gross motor development milestones. Acta Paediatr Suppl. 2006;450:86-95.
- Zubler JM, Wiggins LD, Macias MM, et al. Evidence-Informed Milestones for Developmental Surveillance Tools. Pediatrics. 2022;149(3):e2021052138.
- Lipkin PH, Macias MM, Council on Children With Disabilities, Section on Developmental and Behavioral Pediatrics. Promoting Optimal Development: Identifying Infants and Young Children With Developmental Disorders Through Developmental Surveillance and Screening. Pediatrics. 2020;145(1):e20193449.
- Novak I, Morgan C, Adde L, et al. Early, Accurate Diagnosis and Early Intervention in Cerebral Palsy: Advances in Diagnosis and Treatment. JAMA Pediatr. 2017;171(9):897-907.
- American Academy of Pediatrics. Corrected Age For Preemies. HealthyChildren.org.(最初の2年間に修正月齢を考慮する保護者向け説明)
- American Academy of Pediatrics. Back to Sleep, Tummy to Play. HealthyChildren.org.(睡眠は仰向け、起きて見守れる時間にうつ伏せ遊び)
- 金子唯史:脳の機能解剖とリハビリテーション.医学書院,2024,408頁。

1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024) パーキンソン病の機能促進:医学書院 (2025)