つま先立ちが多い赤ちゃん|足裏を使いにくい理由と相談目安 – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
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小児リハビリ

つま先立ちが多い赤ちゃん|足裏を使いにくい理由と相談目安

INFANT TOE STANDING

うれしい時だけなのか、立つたびに続くのかで動きの意味は大きく変わります

「つかまり立ちをすると、いつも踵が浮きます」「片足だけつま先になり、脳性麻痺や発達障害ではないか心配です」。つま先立ちは、踵だけを見ても背景が分かりません。支持物の高さ、体の重心、膝と足首の使い方、左右への体重移動によって見え方が変わります。大切なのは、つま先になる回数より、どの条件なら踵が下りるかを丁寧に見ることです。

UPDATED2026
READ約14分
FORつかまり立ち〜歩き始めのお子さんの保護者へ
BYSTROKE LAB
本記事は、医学書院『脳の機能解剖とリハビリテーション』(2024年・408頁)の著者が、乳児の運動発達と動作分析の視点から執筆しています。つま先立ちだけで病名を判断することはできません。まず医療・乳幼児健診で安全と発達を確認し、STROKE LABは姿勢・運動・家庭での関わりを整理する立場から併走します。急に体重をかけられない、強い痛みや発熱がある、できていた動きが消えた、意識・呼吸・けいれん様の異常がある場合は、医療機関を優先してください。

自宅でのつかまり立ち

Quick Reference
つま先立ちが気になるとき、まず知ってほしい5つのこと。
01
つま先立ちだけで、発達障害や脳性麻痺とは判断できません
02
踵が浮くかより、支持物や姿勢を変えると踵が下りるかを見ます
03
片側だけ続く、踵が全く下りない、脚の強い突っ張りは相談の目安です
04
踵を押しつけるより、低い家具やしゃがみ遊びで接地の変化を観察します
05
急な変化、退行、痛み、発熱、体重をかけられない状態は医療機関を優先します
01
A Parent’s Concern

つかまり立ちで踵が浮くと、不安になります。

A Parent’s Voice
「床に踵がつかず、ずっとつま先で立っています」

検索すると、癖、感覚、自閉スペクトラム症、脳性麻痺、足首の硬さなど、さまざまな言葉が出てきます。見た目が同じでも、背景は一つではありません。

まず知ってほしいのは、つま先立ちだけで病名を判断することはできないということです。保護者の不安を、観察できる動きへ分けていきましょう。

米国整形外科学会は、歩行を学び始めた子どもにつま先歩きが見られることは珍しくなく、多くは2歳以降に踵から足先へ体重を移す歩き方へ変わると説明しています。ただし、これは独歩中の「つま先歩き」の説明であり、家具につかまって立つ乳児の姿勢を直接調べた資料ではありません。

そのため、「何か月なら普通」と断定せず、いつも同じか、左右差があるか、条件によって踵が下りるか、ほかの動きが増えているかを中心に整理します。

02
Standing And Walking

「つま先立ち」と「つま先歩き」は分けて考えます。

TOE STANDING
つま先立ち

家具や大人につかまって立つときに、踵が床から浮いている状態。支持物の高さ、体との距離、膝の曲がり、玩具の位置で変化しやすい場面です。

TOE WALKING
つま先歩き

伝い歩きや独歩で、踵の接地が少なく前足部を中心に移動する状態。持続期間、頻度、踵を下ろして歩けるか、左右差を確認します。

つかまり立ちの初期は、手で家具を強く引き、体を前へ預け、膝を伸ばして立つことがあります。その結果として踵が浮く場合があります。一方、支持条件を変えても踵が下りない、片側だけ一貫して浮く場合は、立ち方だけでなく足首の動きや左右差も確認します。

03
Why The Heels Lift

足裏全体をつけにくく見える、5つの理由。

Clinical Observation
01支持物が高い・遠い
腕を上へ伸ばし、体を前へ預けると、重心が前足部へ集まりやすくなります
02股関節・膝・足首をまとめて伸ばす
体を安定させるため、脚全体を一本の棒のように突っ張る立ち方を選ぶことがあります
03左右へ体重を移しにくい
両足へ均等に力を入れ続け、片側で支える準備が少ないと、前足部で踏ん張ることがあります
04足首の動く範囲やふくらはぎの緊張
条件を変えても踵が下りにくい場合は、足首の可動域や筋の硬さを確認します
05床・靴・疲労・興奮などの環境
床の感触や温度、靴、疲れ、急いだ場面だけで頻度が変わることがあります

「足裏を使えていない」という言葉は、原因を示す診断名ではありません。実際には、足裏全体を床へつける姿勢条件が整いにくい、または踵を接地する必要の少ない立ち方を選んでいるなど、複数の可能性があります。

1歳児の踵の付き方の違い

04
STROKE LAB’s View

踵が浮くことより、「踵が下りる条件」を見ます。

1.静止した立位だけで判断しない

同じ子どもでも、家具を低くする、体へ近づける、玩具を床へ置く、膝を少し曲げる場面をつくると、踵の位置が変わることがあります。踵が下りたかだけでなく、肩の力が抜けたか、手の握りが軽くなったか、表情や呼吸が楽になったかも確認します。

2.浮いている足より、反対側の支持脚を見る

伝い歩きで右足がつま先になるとき、右足だけが問題とは限りません。左脚へ十分に体重を移せないため、右足を軽くできず、両足で前足部を踏ん張っている場合があります。右へ進むときと左へ進むとき、玩具の方向を変えたときの違いを見ます。

3.「下ろせない」と「普段は下ろしていない」を分ける

支持条件や膝の角度を変えても踵が下りない場合は、足首の可動性や筋緊張など身体側の制限を丁寧に確認します。一方、条件によって踵が下りる場合は、環境と姿勢戦略を含めて考えます。この違いは、相談先や家庭で観察する内容を決めるうえで重要です。

1歳児の姿勢連鎖

05
Evidence

研究と公式資料から、言えること・言えないこと。

What We Know
つま先立ちだけで原因を決めず、柔軟性・左右差・発達全体を見ます。
歩行を学ぶ時期のつま先歩きは珍しくありません
米国整形外科学会は、歩行を学ぶ子どもにつま先歩きが見られることは一般的で、多くは2歳以降に減ると説明しています。ただし、つかまり立ちでの踵の浮きを直接示す研究ではありません。
踵を下ろせるか、左右差があるかが評価を変えます
小児整形外科の紹介基準では、足首を中間位より上へ動かせない、踵をつけて立てない、左右差、ふくらはぎの大きさの差、神経学的所見が確認項目に挙げられています。
持続する特発性つま先歩きは自然に減る子も多い
5歳前後以降を追跡した研究では、つま先歩き経験児の79%が10歳までに典型的な歩行へ移行しました。対象は乳児ではないため、つかまり立ちへ直接当てはめることはできません。
限界:つま先歩きの研究は独歩後の幼児・学童が中心で、乳児のつかまり立ちに関する直接的な根拠は限られます。月齢や頻度だけで診断・予後を判断できません。個人差、早産の修正月齢、身体所見、発達全体を踏まえ、医療・健診の代替としないでください。
出典:American Academy of Orthopaedic Surgeons, Toe Walking. Royal Children’s Hospital Melbourne, Toe walking. Engström P, Tedroff K. J Bone Joint Surg Am. 2018;100(8):640-647.
06
At Home

家庭では、踵を押すより環境を変えて観察します。

試す条件 見る変化 目的
安定した低めの家具へ変える 踵、膝、手の握り、体の前傾 支持位置による姿勢変化を確認する
家具を体へ少し近づける 体を家具へ預けすぎないか 重心が前へ出る条件を減らす
低い玩具へ手を伸ばす 膝を曲げてしゃがみ、踵が下りるか 立位の高さを変える調整を見る
玩具を左右へ置く 左右の支持脚と踵の違い 荷重移動の左右差を確認する
遊び始めと終了前を撮影する 疲労で頻度・左右差が増えるか できる・できないではなく崩れる条件を見る
避けたい関わり
01踵を上から強く床へ押しつける
02痛がるほど足首を伸ばす
03両手を高く引き上げて歩かせる
04つま先立ちのたびに言葉で直そうとする
05片側性や退行、痛みを「癖」と決めて長く待つ
07
Developmental Flow

月齢だけでなく、立位と歩行の流れを見ます。

CDCの発達チェックリストでは、1歳で「つかまり立ち」「家具につかまって歩く」、15か月で「ひとりで数歩歩く」、18か月で「支えなしで歩く」が、多くの子どもに見られる動作として示されています。これは診断の締め切りではなく、相談のきっかけを整理する資料です。

おおよその月齢帯 動きの観察例 つま先立ちを見るポイント
9〜12か月頃 つかまり立ち、家具沿いの移動が広がる 支持物の高さ・距離で踵が変わるか
12〜15か月頃 しゃがみ、立ち直り、数歩の独歩が増える 左右差、踵を下ろせる場面、脚の突っ張り
15〜18か月頃 支えなしの歩行が広がる 日常の何割程度か、踵をつけて歩けるか、転倒
18か月以降 歩行の安定、方向転換、段差などへ広がる 持続、生活への影響、踵が下りない、左右差

月齢はあくまで目安です。早産のお子さんは修正月齢を確認します。9〜12か月などの幅は観察を整理する便宜上の区分で、全員が同じ順序・時期をたどる意味ではありません。CDCのチェックリストは標準化された発達検査の代わりではありません。

08
When To Seek Advice

様子を見やすい変化と、相談したい変化。

経過を観察しやすい状態
  • つかまり立ちを始めたばかり
  • 両側性で、ときどき踵が下りる
  • しゃがむと足裏全体がつく
  • 支持物を低くすると姿勢が変わる
  • 左右へ同じように体重を移せる
  • 痛みや強い嫌がりがない
  • 立つ・しゃがむ・伝い歩きが増えている
健診・小児科へ相談したい状態
  • 片側だけ一貫して踵が浮く
  • 条件を変えても踵が全く下りない
  • 足首が硬く、足裏全体をつけにくい
  • 脚の強い突っ張りや交差がある
  • ふくらはぎや脚の使い方に左右差がある
  • 座る・立つ・移動する発達全体も気になる
  • できていた動きが減った、または消えた
  • 急な痛み、発熱、体重をかけられない状態

Royal Children’s Hospital Melbourneの脳性麻痺ガイドラインでは、修正月齢を考慮し、12か月以降も一貫した左右非対称またはつま先歩きがある場合を、ほかの運動所見と合わせて紹介を検討する目安の一つとしています。これは、12か月でつま先立ちがあれば脳性麻痺という意味ではありません。一貫性・左右差・随伴する発達所見を合わせて見るという考え方です。

1歳ごろの運動・姿勢の変化の見方

09
What An Assessment Clarifies

専門評価では、「足裏を使えない」を観察できる所見へ分けます。

モードAの記事であるため、ここでは特定の治療をすすめるのではなく、評価で何を整理できるかを示します。専門評価の価値は、つま先立ちを見た目だけで直すことではなく、どの条件が姿勢を変え、どの所見が医療相談の必要性を高めるかを分けることにあります。

観察される様子 変える条件 考える仮説 生活で確認する変化
高い家具で両踵が浮く 高さ・距離・手の位置 重心の前方偏位と手への依存 自宅の低い家具でも踵が下りるか
膝を伸ばして突っ張る 低い玩具・しゃがみ 脚全体をまとめて伸ばす安定戦略 膝を曲げて玩具を取り、戻れるか
片側だけ踵が浮く 進行方向・玩具の方向 支持脚、可動域、筋緊張の左右差 方向を変えても同じ側に差が残るか
疲労後につま先が増える 時間・休憩・床環境 姿勢保持の負担と環境依存 朝夕・遊び前後の動画で再現するか
Assessment Cycle
条件変更 → 反応確認 → 家庭で観察 → 再評価

評価室で踵が下りたことを、そのまま改善と判断しません。家庭の家具、床、靴、疲労のある場面でも同じ変化が見られるかを確認し、再び同じ立位・伝い歩きで見直します。医療的な評価が必要な所見があれば、健診・小児科・小児整形外科などへつなぎます。

専門的評価マップ

10
Consultation Notes & FAQ

健診で伝えることを、短く整理しておきましょう。

Consultation Memo
健診・小児科で共有したい7項目

Q1.つかまり立ちでつま先になるのは普通ですか?
つかまり立ちを始めた時期に、ときどき踵が浮くことだけで異常とは判断できません。歩き始めを学ぶ子どもにつま先歩きが見られることは珍しくないとされています。ただし、つかまり立ちでのつま先姿勢を直接調べた研究は限られます。支持物の高さや距離、しゃがむ動きによって踵が下りるか、両側が同じか、立つ・伝い歩く動きが増えているかを一緒に見ます。
Q2.片足だけつま先立ちになる場合は相談した方がよいですか?
片側だけ一貫して踵が浮く場合は、両側性より丁寧な確認が必要です。玩具の方向や伝い歩きの方向を変えても左右差が残る、片脚へ体重をかけにくい、脚の突っ張りやふくらはぎの大きさの差がある場合は、乳幼児健診や小児科で相談すると安心です。急に片側を使わなくなった場合や痛みがある場合は、早めに医療機関へ相談してください。
Q3.つま先立ちは自閉症や脳性麻痺のサインですか?
つま先立ちだけで自閉スペクトラム症や脳性麻痺と判断することはできません。つま先歩きはさまざまな子どもに見られ、多くは原因が特定されません。一方で、強い左右差、脚のこわばり、早すぎる利き手、座る・立つなどの発達上の心配、できていた動きの消失などが伴う場合は、歩き方以外も含めた発達評価が必要です。
Q4.足裏をつける練習やストレッチをした方がよいですか?
踵を上から強く押したり、痛がるほど足首を伸ばしたりする必要はありません。まずは、安定した低めの家具を使う、支持物を体から遠くしすぎない、低い玩具へしゃがむ、左右へ手を伸ばすなど、自然に足裏の接地が変わる環境を試します。条件を変えても踵が下りない、足首が硬い、痛みがある場合は、自己流で強く伸ばさず専門家へ相談してください。
Q5.どのくらい続いたら小児科や健診で相談すべきですか?
期間だけで一律に判断せず、持続性、左右差、踵を下ろせるか、発達全体を合わせて考えます。12か月を過ぎても一貫した左右差やつま先姿勢が続き、脚の突っ張りやほかの運動発達の心配を伴う場合、18か月頃に支えなしの歩行がない場合は、健診や小児科で相談する目安になります。できていた動きが消えた、急に歩けない、痛みや発熱がある場合は月齢にかかわらず医療機関を優先してください。
Q6.専門評価ではどのようなところを確認しますか?
踵の位置だけでなく、床からの立ち上がり、支持物の高さと距離、骨盤・股関節・膝・足首の連動、左右への体重移動、足首の動く範囲、ふくらはぎの左右差、疲労や床環境による変化を確認します。条件を一つずつ変えてその場の反応を見たうえで、家庭の同じ場面でも変化が再現するかを確認し、必要に応じて医療・健診へつなぎます。
11
Pediatric Rehabilitation

不安を「観察できる動き」に変えるところから始めます。

For Parents
つま先立ちだけで、わが子の発達を決めつけないために。

STROKE LABでは、踵の位置だけでなく、支持条件、左右の荷重、しゃがみ、足首の可動性、疲労、家庭環境を整理します。診断や医学的治療は医療機関の領域です。私たちは、健診・医療と連携しながら、家庭で観察しやすい条件と次に確認する動きを一緒に組み立てます。

小児リハビリについて見る

STROKE LAB代表 金子唯史
Message & Clinical Backbone
踵を床へつけることより、
子どもが姿勢を選び直せる条件を見つけます。

つま先立ちは、足先だけの現象ではありません。支持物へ手を伸ばす位置、骨盤の向き、左右の支持、膝の曲がり、足首の動きが重なって見えます。一つの条件を変えたときの小さな反応から、その子に合う見守り方を整理します。

書籍『脳の機能解剖とリハビリテーション』の表紙
Book
脳の機能解剖とリハビリテーション

脳と身体のつながりを、臨床で使える動作分析へ落とし込んだ408頁の専門書です。

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References

1. Centers for Disease Control and Prevention. Milestones by 1 Year; Milestones by 15 Months; Milestones by 18 Months. Updated May 15, 2026. https://www.cdc.gov/act-early/milestones/

2. American Academy of Orthopaedic Surgeons. Toe Walking. OrthoInfo. https://orthoinfo.aaos.org/en/diseases–conditions/toe-walking/

3. Royal Children’s Hospital Melbourne. Orthopaedics: Toe walking. https://www.rch.org.au/ortho/for_health_professionals/Toe_walking/

4. Royal Children’s Hospital Melbourne. Clinical Practice Guidelines: Cerebral palsy; The limping or non-weight bearing child. https://www.rch.org.au/clinicalguide/

5. Engström P, Tedroff K. Idiopathic Toe-Walking: Prevalence and Natural History from Birth to Ten Years of Age. J Bone Joint Surg Am. 2018;100(8):640-647. doi:10.2106/JBJS.17.00851.

6. 金子唯史.脳の機能解剖とリハビリテーション.医学書院;2024.408頁.

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