8か月でずりばいしない赤ちゃん|腹ばい移動の準備と家庭遊び – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
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8か月でずりばいしない赤ちゃん|腹ばい移動の準備と家庭遊び

BELLY CRAWLING AT 8 MONTHS

前へ進む前には、腕で支える、片側へ体重を移す、骨盤を動かす経験が必要です

「8か月なのに前へ進まない」「お座りはするけれど、ずりばいをしない」――周りの赤ちゃんと比べると、心配になることがあります。けれども、腹ばい移動は前進だけで決まるものではありません。胸を支える、片手を伸ばす、体を回す、足で床を押すなど、前へ進む前の準備を一緒に見ることが大切です。

UPDATED2026
READ約11分
FOR8か月前後の赤ちゃんの保護者へ
BYSTROKE LAB
本記事は、医学書院『脳の機能解剖とリハビリテーション』(2024年・408頁)の著者が監修方針を担うSTROKE LABの基準で作成しています。ずりばいをするかどうかだけで診断はできません。医療・健診が先で、私たちは生活の中で見える動きを観察可能な情報へ整理する立場で併走します。できていた動きが減る、けいれんのような動き、顔色・呼吸・哺乳の異常がある場合は、様子を見ず医療機関へ相談してください。

自宅での遊び

Quick Reference
8か月で前へ進まないときに、まず知ってほしい5つのこと。
01
8か月でずりばいをしないことだけでは、発達の遅れとは判断できません
02
回転、後退、斜め前へのリーチも、腹ばい移動の準備として現れることがあります
03
前進には、腕の力だけでなく、片手支持、体重移動、胸郭と骨盤の回旋が必要です
04
家庭では、形を教え込むより、自分から動きたくなる環境を短時間つくります
05
腹ばいで支えにくい、左右差が強い、ほかの発達も気になる場合は相談すると安心です
01
Is It Delayed?

8か月でずりばいしないのは遅い?

生後8か月は、腹ばいで前へ進む赤ちゃんが増える時期です。一方で、回転する、後ろへ下がる、お尻で移動する、腹ばい移動をあまりせず四つ這いの準備へ進むなど、移動の形には幅があります。

そのため、8か月でずりばいをしないという一点だけで、発達が遅れているとは判断できません。どの姿勢で何ができているか、動きの種類が増えているかを見ます。

Key Message
ずりばいは、全員が同じ形・同じ順番で経験する必須課題ではありません。

ただし、移動の形に個人差があることと、何も確認しなくてよいことは同じではありません。腹ばいで胸を支えられるか、片手を伸ばせるか、左右差がないか、寝返りや座位などほかの発達も含めて整理します。

月齢の目安 腹ばいで見られやすい変化 一緒に見たい準備
4〜6か月 肘や手で胸を持ち上げる 頭部保持、前腕支持、手支持
6〜7か月 回転、後退、片手リーチが増える 片手支持、体重移動、胸郭回旋
7〜9か月 腹ばい前進や四つ這い準備がみられる 骨盤移動、股関節・膝の屈伸、足で床を押す反応
8〜10か月 ずりばい、四つ這い、お尻移動など移動方法が広がる 方向転換、左右交互性、目的物への接近

月齢は幅のある目安です。早産のお子さんでは修正月齢を使います。表に完全一致するかではなく、数週間から数か月の中で動きの種類が増えているかを見ます。

02
Six Building Blocks

前進前に育つ6つの準備

ずりばいは、腕だけで体を引っ張る運動ではありません。興味のある方向へ体重を移し、支える側と動かす側を分け、胸郭と骨盤、下肢へ力をつなぐ動きです。

01 見る・近づきたい
視線と興味
玩具や保護者を見て、手を伸ばしたり体の向きを変えたりするかを見ます。
02 胸を床から離す
肘・手での支持
両肘や手で胸を持ち上げ、頭を安定して動かせるかを確認します。
03 片側で支える
片手支持とリーチ
片方の腕で体を支えながら、反対の手を斜め前へ伸ばせるかを見ます。
04 体を少しねじる
胸郭と骨盤の分節
上半身と骨盤が一枚板にならず、手を伸ばす側へ少し回旋するかを確認します。
05 骨盤を動かす
左右への体重移動
骨盤が床へ固定されたままではなく、左右へ傾いたり少し前へ移ったりするかを見ます。
06 床を押す
股関節・膝・足趾
膝が曲がり、足裏や足趾が床へ触れ、自分で押した力が骨盤へ伝わるかを見ます。

8ヶ月頃の赤ちゃん、腹ばい移動の6つの準備

03
Movement Before Forward Crawling

前進しなくても見たい動き

前へ進んでいないと「動けていない」と感じますが、腹ばい移動の前にはさまざまな試行錯誤が見られます。次の動きが増えているかを観察してください。

その場で回転する
腕で床を押し、体重を左右へ移しながら、興味のある方向へ向きを変えています。
後ろへ下がる
腕で床を押す力が先に強くなり、重心が後方へ動いている場合があります。
斜め前へ手を伸ばす
片側で支え、反対の腕を動かす準備です。真正面だけでなく左右を比べます。
膝を曲げて足を引き寄せる
下肢で床を押す準備です。足の回数より、骨盤とのつながりを見ます。
Observation Tip
後退は「できていない」のではなく、力の向きがまだ前へまとまっていない状態かもしれません。

腕で床を押すと、体は後ろへ下がりやすくなります。そこから片側へ体重を移す、手を斜め前へ出す、骨盤や足を動かす経験が組み合わさると、前方移動へつながることがあります。

8ヶ月頃の赤ちゃんの重要な前ハイハイの動き

04
STROKE LAB’s View

STROKE LABの視点|前進距離より、重心の移り方を見る

ずりばいを評価するとき、何センチ進んだかだけでは不十分です。前へ進むには、支持側へ体重を預け、反対側の手や足を自由にし、再び支持を作り直す必要があります。STROKE LABでは、その途中で重心がどこまで移り、どの部位で止まっているかを見ます。

POINT 1
手を伸ばした瞬間に倒れないか
反対側の肘・肩・胸郭で支えられるかを見ます。
POINT 2
骨盤が床に固定されていないか
胸だけ回って骨盤が残るのか、骨盤も左右へ動くのかを確認します。
POINT 3
足の動きが骨盤へ伝わるか
バタバタの回数ではなく、膝の曲がりと床を押した反応を見ます。
POINT 4
左右で同じ準備があるか
玩具の位置を左右同じにして、支持・リーチ・足の使い方を比較します。
POINT 5
疲れると何が変わるか
開始時と数分後で、肩のすくみ、肘の広がり、顔の高さ、呼吸を比べます。
Evidence
腹ばい遊びと床上での経験は、運動発達を支える要素のひとつです。
  • 乳児期のタミータイムは、寝返りや腹ばい移動を含む粗大運動発達と関連することが報告されています。
  • 健康な赤ちゃんでも移動の順番や方法には幅があり、全員が同じ発達経路を通るわけではありません。
  • 発達が気になる場合は、ひとつの動作ではなく、姿勢・筋緊張・左右差・全体的な発達を組み合わせて評価します。

出典:Hewitt L, et al. Pediatrics. 2020;145(6):e20192168. / WHO Motor Development Study. Acta Paediatr Suppl. 2006;450:86-95.

限界:タミータイムと運動発達の関連は、ずりばいが必ず獲得できることを示すものではありません。研究対象、家庭環境、実施時間、月齢、個人差があり、医療的な評価の代わりにはなりません。

05
Play At Home

家庭でできる腹ばい遊び

家庭では、ずりばいの形を作るのではなく、赤ちゃんが自分から試したくなる条件を整えます。睡眠時は仰向けを守り、腹ばい遊びは起きていて機嫌がよく、大人が見守れる時間だけにしてください。

PLAY 1
玩具を少し斜め前へ置く
手を少し伸ばせば届く距離から始めます。真正面だけでなく、左右どちらにも置いて比べます。
PLAY 2
保護者の顔へ近づく
床へ顔を近づけ、短い距離から声をかけます。玩具より人の表情に反応しやすい赤ちゃんもいます。
PLAY 3
足元に軽い支えをつくる
膝が曲がったときに足裏が軽く触れられる場所へ手を置きます。自分で押したときだけ反力を感じられる程度にします。
PLAY 4
薄いタオル段差を試す
玩具までの途中へ薄く丸めたタオルを置きます。顔が埋まる厚さや、抜け出しにくい障害物は使いません。
PLAY 5
短時間で終える
顔が下がる、肩がすくむ、泣く、呼吸が速くなる前に休憩します。短い成功を繰り返します。
避けたい関わり 避けたい理由
足を強く押して前へ滑らせる 赤ちゃん自身の体重移動や床を押す経験になりにくいため
両腕を前へ引っ張る 肩や肘へ負担がかかり、自分で支持を作る機会が減るため
泣いても長時間続ける 疲労や不快感が強くなり、腹ばい遊びを避けやすくなるため
柔らかい布団だけで行う 手足で床を押した力が逃げやすくなるため
ずりばいの形を一つに矯正する 移動方法には個人差があり、形だけを合わせても準備動作が育つとは限らないため

8ヶ月児のうつ伏せ遊び:おすすめと避けたい関わり方の比較

06
When To Watch And When To Ask

相談の目安と健診メモ

前進していなくても、支持や回転、リーチなどの準備が増えていれば、経過を見られる場合があります。一方、ずりばい以外の発達や全身の様子にも気になる点がある場合は、早めに相談する方が安心です。

経過を見やすい状態 相談したい状態
前進しないが、回転や後退がある 首すわりや寝返りも不安定
腹ばいで胸を持ち上げられる 腹ばいで胸をほとんど持ち上げられない
片手を離して玩具へ触れられる 片側の手足だけを使い、左右差が強い
左右へ寝返りできる 体が極端に硬い、または柔らかく支えにくい
数週間の中で動きの種類が増えている 手足をほとんど使わない、またはできていた動きが減った
Consultation Memo
健診や小児科で伝えたい7項目
  1. 在胎週数と現在の月齢、修正月齢
  2. 寝返り、ひとり座り、姿勢変換の様子
  3. 腹ばいで胸をどのくらい持ち上げられるか
  4. 回転、後退、方向転換があるか
  5. 片手リーチや足の動きに左右差があるか
  6. 視線、玩具への興味、哺乳、睡眠など運動以外で気になること
  7. 横から全身が映る腹ばい動画を、開始直後と数分後に撮影する
Medical Priority
発達の退行や全身状態の変化は、ずりばいの相談より医療を優先します。

できていた寝返りや座位が減った、けいれんのような動きがある、顔色・呼吸・哺乳がおかしい、急に片側の手足を動かさなくなった場合は、早めに医療機関へ相談してください。

07
What Assessment Can Clarify

専門家の評価でわかること

専門家の役割は、ずりばいの完成形を作ることではありません。前進を止めている条件を、支持、体重移動、左右差、骨盤・下肢、疲労、環境へ分け、家庭で観察しやすい遊びに翻訳することです。

見える状態 比較する条件 評価で整理すること
両腕を動かすが進まない 肘支持と手支持 胸を持ち上げる支持の段階
手を伸ばすと倒れる 玩具の高さ、左右、距離 片手支持と体重移動の関係
足をバタバタするだけ 膝の曲がり、足底接触 下肢の力が骨盤へ伝わるか
後ろへ進む 肩の位置、玩具の高さ 腕で押す力と前方重心移動の関係
片側へしか回らない 左右同じ距離・姿勢 胸郭・骨盤・手足の左右差
開始後すぐ姿勢が崩れる 開始直後と数分後 支持の持続性、呼吸、疲労
STROKE LAB’s Clinical Reasoning
「足の力が弱い」「腕の力が足りない」と一つに決めず、前進が止まる局面を探します。

たとえば、玩具へ手を伸ばした瞬間に支持側の肩がつぶれれば、まず片手支持の条件を調整します。足を押しても骨盤が動かなければ、下肢の力を増やす前に胸郭と骨盤の分節、股関節の位置、床面を見直します。

その場で姿勢や玩具の位置を変え、リーチ距離、左右差、骨盤移動が変わるかを確認します。変化が出た条件を家庭で短く再現し、一定期間後に同じ腹ばい動画で再評価します。

For Parents
「ずりばいしない」を、次に見たい動きへ整理したい方へ

8か月で前進しないことだけでは、発達を判断できません。小児リハでは、支持、リーチ、骨盤、足の使い方、左右差を確認し、ご家庭で観察しやすいポイントへ整理します。診断や医学的判断は小児科・健診が担い、私たちは生活と動きの側から併走します。

08
FAQ

よくある質問

Q1. 8か月でずりばいをしないのは遅いですか?
8か月でずりばいをしないことだけでは、発達が遅れているとは判断できません。移動方法や始まる時期には個人差があり、回転する、後ろへ下がる、斜め前へ手を伸ばすなど、前進前の準備が育っていることもあります。寝返り、腹ばいでの支持、座位、左右差なども一緒に見ます。
Q2. ずりばいをせず、はいはい・つかまり立ちへ進んでも大丈夫ですか?
ずりばいは、すべての赤ちゃんが必ず同じ形で経験する発達段階ではありません。ずりばいをほとんどせず、四つ這いや別の移動方法へ進む赤ちゃんもいます。ただし、腹ばいで上体を支えにくい、左右差が強い、姿勢を自分で変える動きが少ない場合は、健診や小児科で相談すると安心です。
Q3. 後ろへ下がるだけでも発達しているのでしょうか?
後ろへ下がる動きは、腕で床を押す力が先に育っているときに見られることがあります。前進できていなくても、胸を持ち上げる、片手を伸ばす、回転する、方向を変えるなどの動きが増えていれば、腹ばい移動の準備が進んでいる可能性があります。
Q4. お座りはできるのに、うつ伏せで進まないのはなぜですか?
座位と腹ばい移動では必要な体の使い方が異なります。ずりばいには、胸を支えながら片側へ体重を移し、反対の手を伸ばし、胸郭と骨盤を少しねじり、足で床を押す準備が必要です。座位で遊べても、床上で姿勢を変える経験が少ないと腹ばい移動がまだ育っていないことがあります。
Q5. 家でずりばいの練習をさせた方がよいですか?
形を教え込む練習より、赤ちゃんが自分から動きたくなる環境を整えることが基本です。起きていて機嫌のよい時間に、玩具や保護者の顔を少し斜め前へ置き、片手を伸ばしやすくします。足を強く押す、腕を引っ張る、泣いても長く続ける関わりは避けましょう。睡眠時は仰向けを守ってください。
Q6. どのような様子があれば健診や小児科へ相談すべきですか?
首すわりや寝返りも不安定、腹ばいで胸をほとんど持ち上げられない、片側の手足だけを使う、体が極端に硬いまたは柔らかい、手足をほとんど動かさない、できていた動きが減った場合は相談の目安です。けいれんのような動き、顔色・呼吸・哺乳の異常があるときは、早めに医療機関へ相談してください。
Final Message
8か月で前へ進まないときは、距離ではなく、準備動作の広がりを見てみましょう。

回転、後退、片手リーチ、骨盤の動きも発達の一部です。家庭では、赤ちゃんが自分から試せる安全な環境を短時間つくります。ほかの発達や左右差も気になる場合は、健診や小児科へ相談し、必要に応じて小児リハで動きの条件を整理すると安心です。

Representative
STROKE LAB代表・金子唯史

機能解剖と動作分析を基盤に、赤ちゃんの「できる・できない」を、姿勢、支持、体重移動、感覚、環境へ分けて整理します。保護者の不安を、家庭で観察できる情報へ翻訳することを大切にしています。

初回相談の流れを見る

Book

書籍『脳の機能解剖とリハビリテーション』

STROKE LABの臨床視点の基盤となる一冊です。体の一部分だけではなく、姿勢と運動のつながりから動作を読み解く視点を解説しています。

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References
  1. Centers for Disease Control and Prevention. Developmental Milestones: 9 Months.
  2. American Academy of Pediatrics, HealthyChildren.org. Movement: 8 to 12 Months.
  3. Hewitt L, Kerr E, Stanley RM, Okely AD. Tummy Time and Infant Health Outcomes: A Systematic Review. Pediatrics. 2020;145(6):e20192168.
  4. WHO Multicentre Growth Reference Study Group. WHO Motor Development Study: Windows of Achievement for Six Gross Motor Development Milestones. Acta Paediatr Suppl. 2006;450:86-95.
  5. 厚生労働省. 乳幼児身体発育調査.
  6. 厚生労働省. 乳幼児健康診査身体診察マニュアル.
  7. 金子唯史. 脳の機能解剖とリハビリテーション. 医学書院, 2024.
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