Vol.549.脳卒中後の膝関節固定位での歩行(Stiff Knee Gait)と大腿直筋の反射亢進の関係性
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カテゴリー
タイトル
●脳卒中後のStiff Knee Gaitと大腿直筋の反射亢進の関係性
●原著はRectus femoris hyperreflexia contributes to Stiff-Knee gait after strokeこちら
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●Stiff knee Gaitの患者様を受け持つことがあり、その際の治療選択の組み立てで頭を整理しようと思い本論文に至った。
内 容
背景
●Stiff Knee Gait(SKG)は、脳卒中後の最も一般的な歩行障害の1つです。 SKGは遊脚相の膝の屈曲の減少として定義されます。 SKGの患者では、関節痛、代償運動によるエネルギー効率の低下、転倒のリスクの増加が見られます。脳卒中後のSKGは、大腿直筋(RF)の過活動と、膝の屈曲モーメントを生成する足関節底屈筋および腸腰筋の活動低下に起因しています。大腿四頭筋の過活動は、SKGの最も広く受け入れられている原因です。
●脳卒中後のStiff Knee Gait(SKG)は、遊脚相での膝屈曲角度の低下を伴うことがよくあります。膝の屈曲角度の減少は、大腿四頭筋の過活動に起因すると仮定されています。ただし、反射亢進がこの活性化に影響しているかどうかは不明です。
●研究目的は、脳卒中後のStiff Knee Gaitを呈す患者の大腿四頭筋反射亢進と膝屈曲角度の関係を確立することでした。
方法
●大腿直筋(RF)H反射は、脳卒中後のSKGの参加者10人と、10人の健康対照群のプレスイングで記録されました。病理学的神経調節を大腿四頭筋の反射亢進と活性化に帰するために、健常者は大腿直筋のH反射誘発時の立位およびプレスイング中に、筋電図(EMG)フィードバックを使用して大腿四頭筋活動を自発的に増加させました。
結果
●脳卒中後のSKGで膝屈曲角度と大腿直筋のH反射振幅間に負の相関が観察されました。対照的に、大腿直筋の筋活動筋活動の増加の有無にかかわらず健常者のH反射振幅は、膝の屈曲角度と相関していませんでした。大腿直筋の活動が自発的に増加した健常者で、立っている状態と歩行間で体位に依存する大腿直筋のH反射変調が観察されましたが、このような変調は脳卒中患者では見られませんでした。
●脳卒中後のSKGでは大腿直筋の反射の変調が損なわれます。 大腿直筋の反射亢進と膝屈曲角度の間の強い相関関係は、脳卒中後のSKGにおける脊髄反射興奮性の調節的役割の可能性を示しています。大腿四頭筋反射亢進を標的とする介入は、脳卒中後のSKGにおける膝関節機能に対する反射亢進の因果的役割を解明するのに役立つ可能性があります。
私見・明日への臨床アイデア
●大腿直筋の過活動がStiff Knee Gaitと関連していることは非常に良く知られている。結果、脳卒中患者の歩行時の床とのクリアランスを低下させ転倒リスクを高めてしまう。臨床では大腿直筋が近位と遠位で別の活動を必要とするが、近位の股関節屈曲作用が遠位側の分離なく膝伸展も伴って働くことが多い。本論文からは大腿直筋への介入だけでなく、その背景の問題に膝の屈曲を作る足関節底屈筋や腸腰筋等の弱化を述べており、臨床で意識して取り組んでみたい。
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
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塾講師陣が個別に合わせたリハビリでサポートします
1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 4万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023)