Vol.520.重度感覚障害の患者のリーチ動作の特徴 脳卒中リハビリ論文サマリー – 脳卒中/神経系 自費リハビリ施設 東京 | STROKE LAB
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Vol.520.重度感覚障害の患者のリーチ動作の特徴 脳卒中リハビリ論文サマリー

 

 

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カテゴリー

 

神経系

 

タイトル

●重度感覚障害の患者のリーチ動作の特徴

 

●原著はInternally driven control of reaching movements: a study on a proprioceptively deafferented subjectこちら

 

なぜこの論文を読もうと思ったのか?

 

●重度感覚障害を有する患者様を臨床において続けてみさせて頂き、その治療の難しさを感じ、学習の一助として本論文に至った。

 

内 容

 

背景

 

●視覚で捉えた標的に手でリーチすることは、視覚からの入力(網膜にコード化されたターゲット位置)が上肢の運動指令に変換される一連の感覚運動プロセスの行動の結果です。動きがトリガーされると、手がターゲットに到達するまで中枢神経系(CNS)が動きを制御することが一般的に認められています。視覚と固有受容感覚の両方が、ターゲットに正確にリーチするための手の位置に関する静的および動的な情報を提供します。

 

●多発性神経炎の患者GL(運動覚・位置覚・触覚のみが消失)と健常者間にて手と目標物の位置に関する周辺フィードバックなしでの目標物へのリーチ動作を制御できるかを調査し、その時の軌跡を測定し比較検証した。

 

 

方法

 

●感覚の求心路の遮断された被験者(GL)と対照群の健常者は、動きの開始時に横方向に移動する可能性のある直線上のターゲットを視覚的に見えない手でリーチしました。位置が変更されたターゲットは、継続的または短時間点灯するか、点灯なしで被験者の頭の両側からのビープ音が運動目標物の変化を示し、記憶された目標位置の内部表現によってのみ運動を制御しました。

 

●被験者は目標にリーチするように求められました。仮想ターゲットで停止するのではなく、仮想ターゲットを通過するために、上肢を完全に伸ばす必要がありました。したがって、被験者は運動方向を制御するだけで済みました。移動時間は移動の精度に影響を与えるため約1秒でターゲットに到達するように求められました。

 

●各試行の開始時に、ポインターLEDが2秒間点灯して、手の位置に関する視覚情報を提供し、手の位置をより適切に定義できるようにしました。ポインタLEDがオフになると、中央のターゲットが点灯しました。

 

 

結果

 

●コントロール群と比較して、GL(重度感覚障害患者)はターゲットの視覚情報に関係なく、定量的に同様の補正(平均でターゲット変位の77%)と同様の反応時間(平均= 516ミリ秒)を示しました。これらの結果は、感覚障害を有する患者が内部駆動プロセスのみに基づいてリーチ運動を制御するための驚くべき能力を強調しています。

 

●一方、目標が移動する課題の軌跡は、GLとコントロール群の間で大幅に異なっていました。コントロール群の軌道は2つのセグメントで構成され、2番目のセグメントは移動したターゲットに直接手を近づけました。GL患者は、3つのセグメントの階段のような形の軌道となりました。 1番目と3番目のセグメントは主に矢状面にあり、2番目のセグメントはターゲットに向かう横方向でした。

 

 

●GLの特徴として軌跡は直線的でなく、曲線状になりました。また、目標がシフトする課題では運動速度のピークが何カ所にも出現する現象が見られました。固有受容感覚がない場合、関節間の協調性に影響を与えていることが示唆されました。

 

 

 

 

 

私見・明日への臨床アイデア

 

 

 

障害の重症度・年齢・認知面等にはよるが、ほとんど感覚脱失の患者でも仕事に戻られたり、生活が自立される方も多い。感覚feedbackが少ない分、自主トレはじめたくさん数をこなし、体を自分なりにコントロールできるようになっていく方が多い印象である。そのコツを掴んでいくきっかけ作りや代償・補償的に体を使用され誤った固定パターンを覚えてしまったりすることもあり、コンディショニングもしっかり臨床では行っていきたい。

 

 

執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表

・国家資格(作業療法士)取得

・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務

・海外で3年に渡り徒手研修修了

・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆

 

 

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