Vol.463.言葉を反復で発すると座位が不安定になる?脳卒中患者の座位保持中に発語を行う事の姿勢制御への影響
目次
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カテゴリー
タイトル
●言葉を反復で発すると座位が不安定になる?脳卒中患者の座位保持中に発語を行う事の姿勢制御への影響
●原著はDisruption of sitting balance after stroke: influence of spoken output.こちら
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●重度の脳卒中患者では、許容量が減じ、ちょっとしたことが原因で姿勢不安定や課題が上手く遂行出来なくなる。脳卒中患者の姿勢制御と二重課題に興味があり本論文に至る。
内 容
背景
●高齢者の運動と認知的要求の高い活動の二重課題研究では、これらの課題の難易度が注意力を奪うことを示唆しており、一方または双方のより低い二重課題パフォーマンスと関連する。自立した座位を取れるバランス能力は、脳卒中後の機能回復の重要な目標ですが、同時の課題要求によって影響を受ける可能性がある。
●本研究では、脳卒中回復段階の高齢患者の座位バランス制御における課題間の干渉を調査した。
方法
●姿勢の不安定性を有する脳卒中後平均69日の36人の入院患者から募集された。MMSEが少なくとも24/30の21人の高齢ボランティア(平均年齢71.0歳)がコントロール群として参加した。
●座位での姿勢の揺れは、サポートされていない座面で、介助なしでの座位を取りながら反復で言葉を発する課題(反復的な音声出力課題)または単語を生成する課題と同時に測定された。
●1つ目の課題は4つのカテゴリの中のいずれかが与えられ、1分間それに関わる単語を生成するよう求められ、その有効な単語数をスコアとした。
●2番目の課題は「ba」という音を1秒あたり1回の割合で約8秒間繰り返し、8秒休んで再度行うサイクルを繰り返した。
結果
●脳卒中患者はサポートのない座面に座っている課題では非脳卒中群よりも不安定であった。また静的座位と比較して、音声出力中に大きな動揺を示したが、単語を生成する課題では著明な動揺の増加は見られなかった。したがって、音声出力は、内容に関係なく、脳卒中後の姿勢制御に影響を与える可能性があります。
私見・明日への臨床アイデア
●今回の研究では、本人のペースで単語を生成する分には著明な動揺を示さなかったが、1秒間に1回という患者にとって運動難易度の高い課題では姿勢の不安定性を示したようである。健常者では難しいと感じない課題でも、患者にとっては姿勢制御に影響を与える様である。余分な声掛けやほんの少しの指示の違いで姿勢制御に影響を及ぼす可能性を考慮して臨床に挑みたい。
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 4万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018)