vol.257:高齢者の自転車エルゴメーター訓練の効果 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
神経系
タイトル
高齢者の自転車エルゴメーター訓練の効果
Health benefits of cycle ergometer training for older adults over 70: a review?PMC Walid Bouaziz F et al.(2015)
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・職場でエルゴを使用するが、その効果を再確認したいと思ったため。
内 容
背景
・高齢者の数は世界的に増え続け、高齢者医療のニーズにはより多くの注意が払われている。高齢者の予防的アプローチは、高齢社会において優先事項です。
・先行研究では、心疾患の予防および代謝反応の有意な改善に効果があると報告している。身体機能・筋力および認知機能の改善も十分に確立されています。
目的
・論文目的は、70歳以上の高齢者が自転車エルゴメーター訓練を行う健康上の利点のエビデンスを示すことです。計116の論文よりデータを集めました。
結果
・Lovellらは自転車エルゴメータについての適度な耐久プログラムの後、対照群と比較して活性群でVO2maxの有意な増加が認められたことを示しました。同様に、Buchner らは78人の70歳以上の高齢患者では持久性の訓練後VO2maxが9%増加し、CON群では有意な変化はなかったことを示しました。
・Vogelらによる1セッション36分間を週2回9週間の自転車エルゴメーター訓練プログラムではVO2maxが有意に増加したことが示されました(高齢女性および男性ではそれぞれ16.6%および8.9%)。
・短期間の自転車エルゴにおいて、70歳以上の高齢者ではSBPが8-16%、DBPが4-13%有意に低下することが示されました。これは心臓病の罹患率、脳卒中、全死因死亡率の低下と関連している可能性があります。
・70歳以上の高齢者においてVO2maxの50〜70%における16週間のプログラムでは、体重および体脂肪率の有意な低下をもたらした(それぞれ-2.6および-5%)、除脂肪体重の有意な変化はなかった。
・代謝障害への影響では、Sialら16週間の自転車エルゴ後に観察され、運動中の平均脂肪酸化率の有意な増加(33%)および運動中の平均炭水化物酸化率の有意な低下(-19%)を示しました。これらの著者は、運動中のグリセリン出現率(Ra)および遊離脂肪酸(FFA)消失率の有意な変化を報告しなかったが、高齢者の訓練プログラム後のグルコースRaの有意な11%低下を報告しました。
・ovellらは高齢者においてVO2maxの50〜70%(セッション30〜45分)で48セッションの自転車エルゴ後、下肢筋力(18%)、脚力(12%)、上肢筋肉量(7%)、下肢筋肉量(7%)の有意な増加を報告しています。また、Lovellらは、高齢者の16週間の自転車エルゴex後に下肢の強度が有意に18%増加し、ピークパワーが13.5%増加したことを報告しました。12週間の運動プログラム(HRRの60〜80%で20〜45分/週に3〜4回サイクリング)は、大腿四頭筋量が11%改善し、膝伸筋力が23%増加し、膝伸筋ピークの等尺性筋出力が31%増加しました。
・70歳を超える高齢者で自転車エルゴが認知改善に役立つことが示された研究は1件のみであった。Palleschi らは、アルツハイマー型認知症の小規模集団において3か月自転車エルゴexを行った結果、注意力のテスト、言語性短期記憶テスト、supra verbal span testおよびMMSEの有意な改善を報告しました。
私見・明日への臨床アイデア
・国立長寿医療研究センターが開発した運動と認知課題(計算、しりとりなど)を組み合わせたコグニサイズというものが広まっている。運動で得られる効果を十分に理解した上で、今後は認知症患者も増える時代、脳への影響も学んでいきたい。
氏名 覚正 秀一
職種 理学療法士
脳卒中自主トレ100本以上 一覧はこちら
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023)