vol.378:CPGのリズム活動パターンを補正する筋骨格系からの感覚フィードバック 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
目次
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カテゴリー
神経系
タイトル
CPGのリズム活動パターンを補正する筋骨格系からの感覚フィードバック
Modular neuromuscular control of human locomotion by central pattern generatorPubMed Seyyed Arash Haghpanah et al.(2017)
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・脳卒中者の歩行中の筋シナジーの結合に対する、分化を促進したいと思い学習として論文検索をした。
内 容
・過去40年の間に、人間や動物の歩行、咀嚼などの基本的なリズミカルな活動の生成に関与する神経筋機構の理解には、多くの進歩があった。中枢神経系はそのような活動を階層的に制御することが示されている。
・脊髄中のCPGsは、リズミックな活動中に、リズム運動パターンを生成する役割を担うと考えられている。歩行では、非常に非線形な筋肉が多く存在する筋肉アクチュエータの冗長システムのために、これにはかなりの複雑さを伴う。
・下位レベルのコントローラ(脊髄内)は運動プログラムの基本的なリズムパターンを生成し、上位コントローラ(運動皮質、小脳、および基底核において)は、環境条件・文脈に従って運動プログラムを選択し、開始し、変調する。
・リズミカルな活動の下位レベルのコントローラーは、しばしばCPGに起因します。CPGは、より高いレベルのコントローラからのリズミカルな入力、および末梢神経系からの感覚フィードバックを必要とせずに、リズミカルな運動を生成するリズミカルモーターパターンを生成することができると考えられている。
・それは適切な運動プログラムを開始するために脊髄の中心から下降するコマンドを受け取り、環境との適切な関係で活動を維持するために運動パターンの必要な補正を提供する固有受容信号と相互作用する。
・リズム活動の制御に関与する神経メカニズムに関する以前の研究は、しばしば、CPG、反射回路、およびフィードバックおよびフィードフォワード変調信号間の相互作用に焦点を当ててきた。
・この研究は、共活性筋(co-acitive muscles)のモジュール構成、すなわち筋肉のシナジー作用に基づいて、CPGの神経制御戦略の理解を簡便化させることを提案する。
● シミュレーションの波形と実験結果は、TAとVMを除いてすべての筋肉のパターン、タイミング、振幅においてかなり類似していた。
● CPGによるリズム活動パターンに必要な補正するために『 筋骨格系からの感覚フィードバック 』が重要である。
● その感覚フィードバックの存在は、歩行時の相の転移を調節し、運動を安定させ、体重支持に寄与し、運動プログラムを外部環境と調整するためにCPGにとって重要であることが示唆される。
● foot contact force informationおよび股関節の屈曲角は、神経力学的な観点から、他の情報より適用可能であるようである。歩行の最も遠位の点における足のレセプタは、スイングフェーズのオンセットを抑制しながら、スタンスフェーズ中に伸筋活動を調節する。
● 歩行の最も近位の関節である股関節周辺の筋紡錘受容器は、立脚期の揺動する位相の転移を制御する。
● 脊髄ネットワークは、筋活動を調節するために幅広い感覚求心性神経を潜在的に使用することが示唆されている。皮膚、筋紡錘およびゴルジ臓器の感覚受容器によって提供される動態および運動学的情報は、ヒトにおける運動を生成するために最も重要であると考えられている。
私見・明日への臨床アイデア
・荷重感覚、関節角の変化など求心性の感覚入力の変化によって脳卒中者の歩容変化の即時効果を実際確認する。
・私自身は、免荷装置(平地またはトレッドミル)と徒手的誘導を組み合わせて、上記(CPG+求心性感覚入力)を練習を意識している。どのような感覚情報がより患者の結合した筋シナジーの分化を促進するのか探っていきたい。
氏名 shuichi kakusho
職種 理学療法士
塾講師陣が個別に合わせたリハビリでサポートします

1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 4万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018)