vol.395:左利き患者の失行について 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
脳卒中
タイトル
左利き患者の失行について
Apraxia in left-handers.PubMed Goldenberg G,Brain. 2013 Aug;136(Pt 8):2592-601
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・左利きの患者を担当することがあり、左利き患者における高次脳機能はどのようなものがあるのか興味を持った。
内 容
方法
・左利きの脳損傷患者50名(左半球損傷28名、右半球損傷22名)
・検査は麻痺がある場合は麻痺のない方の手で、麻痺がない場合は患者自身がどちらの手を使うか決めた。
・検査は以下の3つを行った。
①意味のないジェスチャーの模倣(手の位置と指の形の模倣をそれぞれ別に行う)
②道具を使用するパントマイム
③実際の道具の使用。
結果
・相当数の左半球の損傷患者で失行が認められた。左より右半球の損傷で有意に多く見られる障害は手の位置の模倣のみであった(Table 2)。
・パントマイムと道具の使用の障害は失語患者で有意に多かった。左半球の損傷で失行がある患者は全て失語を持っていた。また失行があって失語がない患者は全て右半球の損傷であった(Table 3)。
・手の位置と指の形の模倣の障害は半側無視がある患者でより多く見られた(Table 4)
・先行研究のテータも元に解析を行った結果、右利きで右半球損傷の患者は左利きで右半球損傷の患者より半側無視の割合が多かった。左利きで右半球損傷の患者で半側無視がある患者が最も模倣の点が低かった(Table 5)。
考察
・先行研究から左利きでは右利きより両側の大脳半球の損傷で失行が認められることが多い。左利きの患者の失行は右利き患者の失行より軽い。また左利き患者の方が早く回復する。
・手の位置の模倣では右半球の損傷でより頻繁に見られ、そのような患者の多くに半側無視が見られた。これらのことから手の模倣の障害は右半球が利き手(左手)を支配していることよりも空間に関与していることによるかもしれない。
パントマイムや道具の使用と失語との関連について考えうる説明として言語と道具の使用はいずれも意味記憶にアクセスすることが挙げられる。
私見・明日への臨床アイデア
・高次脳機能と利き手が関連している可能性があることが分かった。今後、臨床で左利きの患者の場合はこのことを考慮しつつ高次脳機能の評価と解釈を行いたい。
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023)